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柏崎刈羽原子力発電所のトラブルの状況(通達対象のトラブル一覧)
原子力発電所で発生したトラブルのうち、「原子炉等規制法」「電気事業法」に基づき報告義務のあるもの以外の軽微な故障についても、通商産業大臣通達により報告が求められています。
通達対象事象は平成15年10月1日より法律対象事象に併合されました。
発生年月日 | 号機 | 概要 | |
---|---|---|---|
1 | 昭和60年5月31日 | 1号機 | 定格出力で試運転中(建設中)、タービン建屋地下2階で、蒸気タービン復水器の3系統ある循環水配管の1系統から、海水が漏えいした。 原因は、配管内面の塗膜が欠損し、海水と直接接触した配管の電気化学的腐食による。 発生後直ちに出力を60%に降下し、漏えい防止処置後、6月1日定格出力に戻した。6月11日からの計画停止を利用して調査補修を行い、7月10日補修完了。 周辺環境への放射能の影響はなかった。 |
2 | 昭和62年8月17日 | 1号機 | 定格出力で運転中、3台ある非常用ディーゼル発電機のうち1台の定例試験中、ディーゼル機関冷却水のディーゼル機関燃焼室内への流入があった。 原因は、シリンダーヘッドの製作不良により、シリンダー上部から冷却水が燃焼室内に流入したもの。 周辺環境への放射能の影響はなかった。 8月25日復旧。 |
3 | 平成8年6月20日 | 3号機 | 定格出力で運転中、残留熱除去系の定例試験中、3台ある残留熱除去系ポンプのうち1台の電動機から発煙があり、当該ポンプを停止した。 原因は、当該電動機の上部軸受部締付ナットの施工不良により、ゆるんだナットと油切り(カバー状のもの)が接触し、その摩擦熱により潤滑油が白煙となったもの。 周辺環境への放射能の影響はなかった。 国際評価尺度(INES)による評価は、レベル0+。 6月25日修理完了。 |
4 | 平成9年1月27日 | 2号機 | 原子炉停止中(定期検査中)、燃料集合体の漏えい検査を実施したところ、漏えいのある集合体が1体認められた。 原因は、燃料被覆管の微小な穴からの漏えいと推定された。 周辺環境への放射能の影響はなかった。 国際評価尺度(INES)による評価は、レベル0-。 当該燃料集合体を健全なものと交換した。 |
5 | 平成9年8月19日 | 1号機 | 定格出力で調整運転中(定期検査中)、タービン駆動原子炉給水ポンプ(A)の出口逆止弁付近から原子炉給水系の水が漏えいし、「床漏えい」警報が発生した。当該弁の点検調査のため、約54万kWまで出力を降下させた。 原因は、前回当該弁を分解点検した際、組立時にプラグが所定の位置まで挿入されず、シール機能が低下したため。 周辺環境への放射能の影響はなかった。 国際評価尺度(INES)による評価は、レベル0-。 シール材を新品と交換し、8月21日定格出力に復帰。 |
6 | 平成10年10月8日 | 1号機 | 原子炉停止中(定期検査中)、原子炉開放点検の準備のため、主蒸気配管及び原子炉圧力容器への水張り作業中、原子炉格納容器内の排水槽から水があふれた。床面にたまった水の量は約300リットルで、その放射能は約9×106Bq。 原因は、操作員の作業引継が不適切で、水張り作業中は閉であるべき弁が開であったため排水槽に水が流入し、その排出容量を超えたもの。 周辺環境への放射能の影響はなかった。 国際評価尺度(INES)による評価は、レベル0+。 再発防止対策を実施し、10月16日に作業を再開。 |
7 | 平成11年9月2日 | 1号機 | 定格出力で運転中、復水器の真空度が低下したため、出力を約70万kWに降下し、運転を継続しながら調査を実施した。 原因は、非常用低圧(480V)電源5系統のうち1系統で、過電流検知器の断線により受電遮断器が動作し、同系統から受電している気体廃棄物処理系の弁が自動閉鎖したため、復水器内の空気抽出が行われなくなったもの。 周辺環境への放射能の影響はなかった。 国際評価尺度(INES)による評価は、レベル0+。 過電流検知器を健全なものと交換し、9月5日に定格出力復帰。 |
8 | 平成14年4月26日 | 7号機 | 平成13年7月に燃料から原子炉内部への放射性物質漏えいの疑いがあり、平成14年4月9日から開始した定期検査において燃料集合体全数(872本)の調査を行った結果、燃料集合体2体からの漏えいを確認した。 周辺環境への放射能の影響はなかった。 国際評価尺度(INES)による評価は、レベル0-。 当該燃料集合体を健全なものと交換。また、フィルタ付き下部タイプレートを採用した燃料集合体を導入することとした。 |
9 | 平成14年5月5日 | 3号機 | 定格出力運転中、タービン系制御装置の基板の不具合により、復水器の真空度が悪化したため、手動で56.3万kWまで出力を降下した。 周辺環境への放射能の影響はなかった。 原因は、基板の一時的な動作不良。 国際評価尺度(INES)による評価は、対象外。 当該基板を予備品と交換し、6日午後10時に定格出力復帰。 |
計9件 |
(注)国内評価尺度(原子力発電所事故・故障等評価尺度)は、平成元年7月10日から運用を開始し、平成4年8月1日からは、国際原子力事象評価尺度(INES)に切り換えられた。