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津南町で「知事と一緒に車座トーク」を開催しました
令和5年4月13日(木曜日)に、今年度初となる「知事と一緒に車座トーク」を津南町で開催しました。
「中山間地域における園芸振興 ~力強く、継続する津南町の園芸~」と題して、出席者5名と意見交換を行いました。
開催にあたり、知事は「津南町は、国営の農地開発事業によって整備された畑地を活用し、県内有数の園芸の一大産地となっている。本日は、園芸農業にかかわる方などから出席いただき、皆さんがどんな課題を抱えているのかお話を伺い、一緒に考え、皆さんの活動がさらに発展できるように応援したい。」と挨拶しました。
車座トークの概要
テーマ
中山間地域における園芸振興 ~力強く、継続する津南町の園芸~
日 時
令和5年4月13日(木曜日) 午後3時30分から午後5時まで
会 場
津南町公民館 ホール(中魚沼郡津南町大字下船渡丁2806-3)
出席者
宮澤 嘉孝 さん(津南町農業協同組合代表理事組合長)
飯吉 友恵 さん(株式会社フィールドボックス取締役社長、青年農業士)
樋口 貴幸 さん(株式会社麓代表取締役)
大口 貴裕 さん(津南町ユリ切花組合組合長)
山岸 麗好 さん(「つなベジ会」代表、越後田中温泉「しなの荘」女将)
同 席
桑原 悠 さん【津南町長】
座 長
花角 英世【新潟県知事】
主な発言
出席者の自己紹介・活動内容
・ 高齢化が進む津南町の農業を発展させるためには、機械化しかないと考え、スマート農業を目指し機械を導入した。
・ 農家の機械導入は経費がかかり負担が大きい。機械導入などの農家の要望に対応することが農協の役割ではないかと思っている。
・ 10年ほど前に津南町に移住し、夫婦で新規就農した。令和2年に家族経営協定(※1)を締結し、令和3年に青年農業士(※2)に夫婦同時に認定された。
・ 令和3年に設立した会社は、露地栽培のみの経営で、米は作っておらず、雪下人参、アスパラ、長ネギを栽培している。
・ 肌が弱く、農業だけはしないと思っていたが、やってみたらはまって、今となっては天職になっている。
・ 令和元年に会社を設立し、米と野菜を作っている。野菜は多品目を栽培することで年間を通じて出荷できるようにしている。また、農業のほか、自社の米や野菜を使った食堂と弁当屋も経営している。
・ 事業を大きくする中で、雇用を生み、お金を回すことで、町を元気にしていきたい。
・ 23歳の時に津南町にUターンし、家業を継ぎ、現在、ユリ切花組合の組合長をしている。
・ 昭和63年のオランダからの球根輸入自由化がきっかけとなり、平成2年に6人の仲間でユリの切花生産を始め、現在は、13軒17人の生産者で年間130万本栽培している。
・ メインの品種であるカサブランカは、オランダから輸入した球根を一度津南の地に植えて少し大きくし、次の年に切り花にしている。
・ 覚えてもらいやすいように「雪美人」という名前をつけて、販売するとともにブランド化に努めてきた。
・ 埼玉から20年ほど前に嫁いできて、今は旅館の女将をしている。
・ 津南の農産物を盛り上げるため、「つなベジ会」という会を立ち上げ、旅館や飲食店、菓子店や直売所、農家さんなどとともに、津南の農産物をたくさんの人にアピールするよう頑張っている。
・ 嫁いできたときは、雪がいっぱいで何もない町だと思ったが、住めば住むほど良さがわかって、美味しい野菜やきれいな花、水もいいし、空気もいいし、人もいい。そんな町を盛り上げたいと思っている。
宮澤 嘉孝 さん 飯吉 友恵 さん
樋口 貴幸 さん
※1 家族経営協定
家族単位で農業を営む「家族経営」において、経営主だけでなく、配偶者や後継者など家族全員が意欲とやり甲斐を持って農業に従事できるよう、経営方針や役割分担、就業環境などについて、家族間の話し合いに基づいて取り決める協定のこと
※2 青年農業士
地域農業のリーダーとなりうる青年農業者で、県が認定するもの
今後の課題と将来に向けて取り組んでいきたいこと
・ 経営規模を大きくするには、大型機械が必要になってくるが、一農家が導入するのは非常に厳しいし、更新時期の問題もある。若者が思い切った農業をできるように、津南町を園芸の一つの重要地点と考えてほしい。
・ 経営理念の「価値のある明るい農業」が実現すれば、雇用を増やし、地域の活性化につながるのではないかと思う。その実現のために、雪解けを待たずに育苗できる体制、ハウスでの野菜栽培、また、作業の軽労化を図るための機械導入や津南町の気候に合った新しい野菜栽培に取り組んでいきたいと思う。
・ 地域の元気づくりのためには、企業が健全で元気であることが一番だと思う。地方にはやりたい仕事がないと言われているが、やりたい仕事を作るのも、今津南町にある企業の目指すべき方向の一つだと思う。
・ 県は、園芸1億円産地育成の取組で県全体を底上げしているように見えるが、出口まで考えているのか疑問を感じている。その土地その土地の1億円産地ではなく、小売店の棚から新潟県産の農産物がなくならないような県内全体での産地リレーを確立してほしい。
・ 新幹線を丸ごと新潟県の農産物でパッケージして走行してもらったら、宣伝効果は大きいと思う。行政には園芸振興のために宣伝をしっかりやってほしい。
・ ユリの生産者が徐々に減少しているが、生産量を確保していかないといけないと思っている。
・ 物流の2024年問題(※3)を見据えて、しっかり準備をしていかないといけないと思っている。
・ 出荷作業については、生産者が手書きで伝票を起こして、それを農協の職員が集計しているが、時間がかかっているので、その効率化を図っていきたい。
・ 魅力がいっぱい、素敵がいっぱいの津南町をたくさんの方々に知っていただき、来て、見て、美味しい旬のものを味わっていただくといいなと思っている。それが子どもを含めた町の皆さんの誇りになっていくといいなと思う。
・ 「つなベジ会」で、農産物の総合的なおたよりを作ったり、のぼり旗の作り替えをしたいと思っている。そうした頑張る取組を支援する仕組みがあると、もっと頑張ろう、もっと盛り上げようという気持ちになっていくと思う。
大口 貴裕 さん 山岸 麗好 さん
※3 物流の2024年問題
働き方改革関連法の見直しにより、2024年4月以降、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることによって発生する問題の総称
津南町 桑原町長の発言
津南町は、「農を以て立町の基と為す」ということでやってきて、基幹産業である農業の振興に力を入れてきた。農業を取り巻く情勢は、肥料価格や燃料費の高騰で、経営的に非常に厳しい状況にあると思っている。今日話の出た、作業の効率化やDX、循環型農業や地産地消の取組などを含めて、次世代につながる農業政策をやっていきたいと思う。
知事の発言
若い人たちが課題を認識しながら、価値のある明るい農業、稼げる農業を目指して取り組んでいたり、様々な業種を横につないで地域の人たちの意識を変えていこうと頑張っている方もいて、心強く感じた。皆さんには引き続き挑戦していってほしいし、県も応援していきたい。
(参考)展示品紹介
当日、出席者の皆様から、活動内容に関わる展示品を紹介していただきました。