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令和2年度 地域と学校の協働・連携に係る研修会を開催しました
■ 趣旨
新しい学習指導要領において、「社会に開かれた教育課程」の理念のもと、「主体的・対話的で深い学び」の実現やカリキュラム・マネジメントの充実等が示されています。学校には、カリキュラム・マネジメントを通じて、子どもたちが「何ができるようになるか」「何を学ぶか」「どのように学ぶか」等、教育課程の改善に関わる事項を組み立て、家庭・地域と連携・協働しながら教育活動を行い、不断の見直しを図ることが求められています。家庭・地域と目標を共有し、多様な教育活動が目標の実現に対してどのような役割を果たせるのかという視点をもつことも重要となっています。
このような背景のもと、より多くの教職員のニーズに応じたものとするため、昨年度から「地域と学校の連携・協働に係る研修会」として、次の(1)~(4)の研修を位置づけています。
研 修 名 | 対 象 者 |
---|---|
(1) 地域連携研修会 |
・地域連携担当教員(初めての担当) ・参加を希望する教職員 |
(2) 地域連携コーディネーター養成スクール |
・地域連携担当教員(複数年経験者) ・参加を希望する教職員 |
(3) 新潟県コミュニティ・スクール研修会 |
・地域連携担当教員 ・学校管理職 ・参加を希望する行政担当者 |
(4) 地域とともにある学校づくり研修会 |
・学校管理職(原則として校長、新任校長は全員参加) ・行政担当者 |
今年度は、新型コロナウイルスの影響で、⑴地域連携研修会、⑶新潟県コミュニティ・スクール研修会が中止となりました。感染症対策を講じながら実施した⑵地域コーディネーター養成スクールと⑷地域とともにある学校づくり研修会について紹介します。
1 地域コーディネーター養成スクール
(1) 期日・会場・対象地域
期日 | 会場 | テーマ |
---|---|---|
8月25日 | 魚沼市地域振興センター | 学校と地域との連携・協働の意義を学び、調整者としての力量を高める |
8月27日 | 新潟県立生涯学習推進センター |
期日 | 会場 | テーマ |
---|---|---|
9月16日 | 魚沼市地域振興センター | 学校という場を核とした地域総がかりの地域づくりを具現するために |
9月17日 | 新潟県立生涯学習推進センター |
期日 | 会場 | テーマ |
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10月5日 | 魚沼市地域振興センター | 地域コーディネーターとして学校・地域で活躍するために |
10月9日 | 新潟県立生涯学習推進センター |
(2) 日程
<第1回>
9時50分~10時 開会・オリエンテーション
10時~12時 講義1・演習
13時~16時 講義2・演習
16時~ 閉会・アンケート記入
<第2回>
9時50分~10時 開会・オリエンテーション
10時~12時 講義1
13時~14時30分 講義2
14時40分~16時 トークセッション
16時~ 閉会・アンケート記入
<第3回>
13時30分~13時40分 開会・オリエンテーション
13時40分~15時30分 講義
15時20分~16時 演習
16時~ 閉会・アンケート記入
(3) 講義、演習
<第1回>
講義1・演習: 「今、求められている地域と学校の連携・協働の在り方」
講師: 県立生涯学習推進センター副参事 五十嵐 和彦
講義2・演習: 「『わくわくプロジェクト』で地域と学校との連携・協働の課題を乗り越える」
講師: みらいずworks 角野 仁美 様
<第2回>
講義: 「子どもたちも地域住民も『わくわく』を贈り合う学校をつくろう」
講師: 東京大学大学院教授 牧野 篤 様
演習: トークセッション
<第3回>
講義: 「地域と学校の連携・協働に係る国の動向と、全国の先進的な実践事例から学ぶ」
講師: 国立教育政策研究所 社会教育実践研究センター 山田 智章 様
演習: 「わくわく」を贈り合う学校をつくるために、今、私にできること・これからやること
(4) 研修の概要
3回の研修会とも2会場合わせて約120名の参加がありました。第1回の講師の角野様からは、県内の先進的な事例を紹介していただきました。また、目指す地域や学校の姿に近づくために、課題をどう乗り越えていけばよいか、演習をとおしてそれぞれが考えを整理する機会を与えていただきました。
第2回の講師の牧野様からは、子どもたちや地域住民に『わくわく感』を贈り合える学校をつくるにはどうしたらよいか、具体的な実践例を基にお話ししていただきました。今後はP・D・C・Aではなく、A・A・R※で実践を重ねていくことが大切になるなど、貴重なお話をお聞きすることができました。
※A・A・R(Anticipation、Action、Reflectionの略。A(予測する【ウキウキするような楽しいことを考える】)、A(やってみる)、R(振り返る【更に楽しくなることを考える】)
第3回の講師の山田様からは、オンラインで地域と学校の連携・協働に係る国の動向と全国の先進的な実践事例を紹介していただきました。地域学校協働活動を実施することの効果と課題を具体的に示していただきました。
感染症対策から、小グループによる協議ができず、参加者が書いた付箋やワークシートを読み合う形での演習となりましたが、それぞれが地域と学校の連携・協働について考えを深めることができました。
2 地域とともにある学校づくり研修会
(1) 期日・会場・対象地域
期日 | ||
---|---|---|
9月25日 | 魚沼市地域振興センター |
長岡市・柏崎市・小千谷市・十日町市・見附市・魚沼市・南魚沼市・出雲崎町・湯沢町・津南町・刈羽村 ※上越地区と合同 |
10月23日 | 県立生涯学習推進センター |
三条市・加茂市・燕市・弥彦村 ※下越地区と合同 |
(2) 日程
13時30分~13時40分 開会式
13時40分~13時45分 実践発表を聞く視点(講師より)
13時45分~14時20分 実践発表
14時30分~16時 講義
16時~ 閉会、アンケート記入
(3) 実践発表
中越会場 見附市教育委員会 糀谷 正夫 様
見附市立今町小学校長 小杉 洋一 様
新潟会場 関川村教育委員会 鈴木 正信 様
関川村立関川小学校長 見原 仁 様
(4) 講演
講師:文部科学省初等中等教育局視学委員
東京都三鷹市教育長 貝ノ瀬 滋 様
演題:地域とともにある学校をつくる組織マネジメント
(5) 研修の概要
2会場合わせて約180名の参加がありました。地域と連携して、活力ある学校づくりに取り組む2名の校長先生による実践発表が行われました。各校とも教育委員会と緊密に連携しながら、学校の教育活動を核とした地域づくりが推進されていました。そこには、校長先生方の情熱とそれを支える教育委員会の積極的な取組がありました。
講師の貝ノ瀬様からは、地域と学校との連携・協働体制を構築する必要性や運営上の課題について、自身の経験を基にした具体的な話がありました。社会が激しく変化する中でも、より幸福な社会をつくろうとする子どもを育てるには、地域と学校とのより積極的な連携・協働の必要性が浮かび上がった研修になりました。
3 まとめ
子どもを取り巻く環境が大きく変化している中で、持続可能な地域社会を実現していくためには、学校と地域がしっかりと手を結び、連携・協働の取組を推進することが必要です。そのためには、教職員と地域住民がコミュニティ・スクールや地域学校協働活動への理解を深め、互いに役割と責任を担い合う関係をつくることが大切です。
これからも、地域連携担当教員や地域コーディネーターを中心とした組織・体制づくりに取り組み、地域の特色や実情に応じた教育活動を推進してくださるようお願いいたします。