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令和3年度 地域と学校の協働・連携に係る研修会を開催しました
■ 趣旨
新しい学習指導要領において、「社会に開かれた教育課程」の理念のもと、「主体的・対話的で深い学び」の実現やカリキュラム・マネジメントの充実等が示されています。学校には、カリキュラム・マネジメントを通じて、子どもたちが「何ができるようになるか」「何を学ぶか」「どのように学ぶか」等、教育課程の改善に関わる事項を組み立て、家庭・地域と連携・協働しながら教育活動を行い、不断の見直しを図ることが求められています。家庭・地域と目標を共有し、多様な教育活動が目標の実現に対してどのような役割を果たせるのかという視点をもつことも重要となっています。
このような背景のもと、より多くの教職員のニーズに応じたものとするため、昨年度から「地域と学校の連携・協働に係る研修会」として、次の(1)~(4)の研修を位置付けています。
研 修 名 | 対 象 者 |
---|---|
(1) 地域連携研修会 |
・地域連携担当教員(初めて担当する教諭は原則参加) ・参加を希望する教職員 |
(2) 地域連携コーディネーター養成スクール |
・学校管理職(新任教頭は⑵または⑷の研修会に原則参加) ・参加を希望する教職員 ・行政担当者 ・地域コーディネーター |
(3) 新潟県コミュニティ・スクール研修会 |
・参加を希望する教職員 ・学校関係者 ・行政担当者 ・学校運営協議会委員 |
(4) 地域とともにある学校づくり研修会 |
・学校管理職(新任校長は原則参加、新任教頭は⑵または⑷の研修会に原則参加) ・行政担当者 |
今年度は、新型コロナウイルスの影響で、多くの研修会を、日程・内容の一部を変更して実施しました。その中で、下越・佐渡地区は対面で、上・中越地区はオンラインで実施した「地域連携研修会」と全県一斉に対面とオンラインを併用して実施した「地域とともにある学校づくり研修会」について紹介します。
1 地域連携担当研修会
(1) 趣旨
地域連携担当教員や地域と連携した教育活動を実践する教職員として、コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)や地域との連携・協働の必要性、地域連携を担う役割について学び、学校と地域をつなぐ基本的な事項の習得を図る。
(2)期日・会場・対象地域
期 日 | 会場・開催方法 | 対 象 |
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6月2日(水曜日) | 生涯学習推進センター |
下越・佐渡地区小・中・特別支援学校 地域連県担当教員 参加を希望する教職員 |
6月3日(木曜日) |
長岡市中央公民館 ※新型コロナウイルスの関係でオンライン開催に変更 |
上・中越地区小・中・特別支援学校 地域連県担当教員 参加を希望する教職員 |
(3)日程
13時30分~13時40分 開会・オリエンテーション
13時40分~14時40分 講義
14時40分~15時10分 活動事例紹介
15時20分~16時30分 個人演習・演習のまとめ
16時30分~16時40分 閉会・アンケート記入
(4)講義
「新しい学習指導要領とコミュニティ・スクール」
新潟大学教職大学院 准教授 雲尾 周 様
(5)活動事例
<下越・佐渡地域>
阿賀野市立安田小学校 教諭 磯部 博幸 様
<上・中越地域>
十日町市立川治小学校 校長 大淵 英一 様
(6)研修の概要
2つの会場を合わせて53名の参加がありました。講義では、講師の雲尾様から、新学習指導要領改訂のポイントを基に、地域と学校の連携・協働の重要性について解説していただきました。
活動事例紹介では、下越・佐渡地区では阿賀野市立安田小学校 磯部 博幸 様から、上・中越地区では十日町市立川治小学校の大淵 英一 様から、地域連携担当教員の役割や、各校の学校と地域をつなぐための活動を紹介していただきました。
演習は、新型コロナウイルスの影響で様々な制約がありましたが、上・中越地区ではweb会議システム「Zoom」の「ブレイクアウトルーム」を活用して、作成したワークシートを紹介し合ったり、日頃の取組の情報交換をしたりしました。対面による小グループの演習と変わらない感覚で話し合うことができ、新しい研修のスタイルの一つとして、可能性を感じるものとなりました。
2 地域とともにある学校づくり研修会
(1) 趣旨
「学校における働き方改革」となる学校支援活動の効果的導入事例や、「社会に開かれた教育課程」の実現に向けた地域連携担当教員等を生かす学校経営について学び、管理職や行政担当者としてのリーダーシップとマネジメント力の向上を図る。
(2)期日・会場・対象
期 日 | 会 場 | 対 象 |
---|---|---|
7月9日(金曜日) |
生涯学習推進センター ※会場参加・オンライン参加のどちらかを選択 |
・学校管理職(新任校長は原則参加、新任教頭は本研修会と「地域連携コーディネーター養成スクール」のどちらかに参加) ・行政担当者 |
(3) 日程
13時30分~13時45分 開会・オリエンテーション・実践発表を聞く視点の確認
13時45分~14時30分 実践発表
14時30分~14時35分 質疑応答
14時45分~16時25分 講演
16時25分~16時35分 質疑応答・閉会・アンケート記入
(4) 実践発表
○テーマ:城北「愛」~Partnershipで地域を笑顔に~
上越市教育委員会 管理指導主事 清水 登紀子 様
上越市立城北中学校 教頭 江口 利彦 様
○テーマ:湯沢町を誇りに思い、次世代を担う、たくましく生きる子どもの育成
~オール湯沢で取り組む学園支援~
湯沢町教育委員会 教育課長 高野 敏明 様
湯沢町立湯沢小学校 教頭 金井 淳 様
○テーマ:地域の特色・地域の力を生かした持続可能で豊かな学びを子供たちに
~地域も学校もwin winな活動を目指して~
村上市教育委員会 嘱託指導主事 小田 智美 様
村上市立金屋小学校 校長 小田 卓 様
(5) 講演
演題:「地域とともにある学校をつくるための管理職の役割」
~学校の働き方改革の推進とチーム学校の実現を目指して~
講師:文部科学省国立教育政策研究所 初等中等教育研究部長 藤原 文雄 様
(6) 研修の概要
生涯学習推進センター会場の参加者が22名、オンラインでは144名の参加者がありました。実践発表では、3つの市町村から実践を発表していただきました。各地区とも学校課題や地域課題の解決に向けた内容であり、参加者からは「具体的な実践が聞けて大変参考になった」という意見が多くありました。
講演では、講師の藤原先生より、地域と学校の新たな仕組み作りに校長のリーダーシップは欠かせないことを話していただきました。また、本研修の趣旨である「働き方改革」「社会に開かれた教育課程の実現」についても各地区の実践発表と関連付けながら重要なポイントを話していただきました。
今回はオンラインによる参加者が大半で、移動による負担が軽減されたため、このような開催方法による研修会の継続を望む声が多くありました。また、「参加者同士の意見交換の場を設定して欲しい」という声も多くありました。大勢の人が参加する研修会や、対面とオンラインを組み合わせたハイブリット型の研修会では、意見交換の場をどのように設定していくかは、今後の課題になります。
3 まとめ
子どもを取り巻く環境が大きく変化している中で、持続可能な地域社会を実現していくためには、地域と学校がしっかりと手を結び、連携・協働の取組を推進することが必要です。そのためには、教職員と地域住民がコミュニティ・スクールや地域学校協働活動への理解を深め、互いに役割と責任を担い合う関係をつくることが大切です。コロナ禍ではありますが、県では引き続き開催方法を工夫しながら研修会実施するよう努めて参ります。これからも、地域連携担当教員や地域コーディネーターを中心とした組織・体制づくりに取り組んでいただき、地域の特色や実情に応じた教育活動を推進してくださるようお願いいたします。