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吸引装置を使ったコクチバス卵・仔魚の駆除方法
要約
コクチバスの駆除によって生息尾数を抑制するためには、さし網や釣りによる親魚捕獲のほかに産卵数の抑制という観点から産卵床破壊を併用することが有効である。そこで毎年ほぼ同じ時期と場所に形成される産卵床に着目して、卵・仔魚の吸引装置を用いることにより、迅速・的確に駆除することができる。
背景・ねらい
加治川水系内の倉ダム湖におけるコクチバス駆除は、さし網、釣りによるほか、遠浅湖岸では仔魚のタモ網掬いも行っている。しかし、産卵床は毎年ほぼ同じ場所に形成されるものの湖岸(周囲約7km)の広範囲に分散していること、ダム湖下流の加治川本川へコクチバスの流出がみられることなどの問題点もあり、これらを解決して湖内の生息尾数を抑制するには、新たな手法を取り入れた駆除が必要となってきた。
成果の内容・特徴
- 装置は、市販品のエンジンポンプ、砂濾し器及びサクションホースを連結した簡易なもので、初期投資も約12万円と比較的安価であった。
- 実証試験では装置を船外機船へ搭載し、操船兼装置操縦担当1名及び駆除作業担当1名(潜水服、3点セット着用)の要員2名態勢で産卵床を探索しながら確認できたものを駆除した。
- 装置は、毎分200~300Lの吸水能力があり、産卵床内の卵・仔魚を小石や砂等とともに吸引した。
- 正味30分弱の時間で仔魚約1万尾を駆除することができた。仔魚は少なくとも浮上後間もないもの(孵化後7日程度、全長約10mm前後)までは吸引装置によって駆除することができた。
成果の活用面・留意点
- 産卵床を探索しながらの駆除となることから、透明度の高い水域に適した手法である。
- タモ網掬いによる駆除は産卵床の形状や仔魚の逃避によって取り残しがあるほか、中腰姿勢での長時間作業によって時間的、労働的負担が大きい。反面、吸引装置によれば確認できた産卵床はタモ網掬いでは対応が困難なものであっても、卵・仔魚を速やかにかつほぼ確実に駆除が可能である。
- 吸引装置を船に搭載することで機動性が向上して規模の大きな水域における駆除にも対応可能である。
具体的データ
その他
研究課題名:内水面外来魚管理等対策事業
予算区分:国補・県単政策
研究期間:平成12~18年度
発表論文等:平成17年度 内水面推進会議外来魚研究会において発表
内水面水産試験場 資源課
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