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鱗計数によるアユの種苗由来判定
要約
アユにおける種苗判定方法の1つとして、側線上方横列鱗を計数して判定する方法があるが、この方法で県内数河川のアユの鱗数を計測して、種苗の由来(天然・人工)を判定した。
背景・ねらい
県内の河川アユは、天然遡上アユの他、人工産アユ(自県産・他県産)が混在する。近年、河川においても「冷水病」を主体とする斃死・損傷魚の発生があり、これがどの種苗であるか等の判定を依頼される。
種苗を判定する1方法として、アユの鱗数(側線上方横列鱗)から判定する方法がある。この方法では、熟練することで現場での確認が可能であることから、漁業者(組合)等に普及したい。
成果の内容・特徴
- 鱗計数は、計数を容易にするため横列鱗を剥離(スケールポケットを計数)にケイコウ色を塗布して行った。
- 計数に慣れれば、色塗布せずに計数・確認が可能となった。(光の当て具合:角度を変える)
- 平成14年度魚野川における採捕アユの種苗判定を行い、天然遡上魚が多いことをみたが、平成15年度の判定では逆に人工産種苗が多かったことが判明した。(平成15年度は、天然遡上アユは激減)
- 計数は実態顕微鏡を使用したが、低倍率の拡大鏡でも計数は可能であった。
成果の活用面・留意点
- 河川の現場でも、拡大鏡等を携帯することで計数(判定)は可能。
- 放流種苗の鱗数を、あらかじめ把握しておく必要がある。
具体的データ
1.各種苗(産別)の鱗数算定
方法
鱗数は、実体顕微鏡を使用して側線上方横列鱗数を計数した。起点は背鰭先端付け根とした。人工産アユは放流時のサンプルを用い、海産アユと湖産アユは数ヶ月の蓄養後サンプルを用いた。
結果
- 人工産アユは14~19枚の間にあり、産地間で区別は付かなかった
- 野積産アユは20~22枚の間で、人工産アユよりも多かった。
- 琵琶湖産アユは22~25枚の間で、野積産アユよりも多かった。
2.魚野川採捕アユの種苗由来調査結果
平成14年度データ
平成15年度データ
その他
研究課題名:アユ種苗総合対策事業
予算区分:国委
研究期間:平成15年度(平成14~18年度)
発表論文等:なし
鱗計数によるアユの種苗由来判定[PDFファイル/330KB]
お問い合わせ先:
内水面水産試験場 資源課
Tel 0258-22-2103
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