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マイクロサテライトDNA分析法によるイワナの遺伝的多様性の把握技術
要約
イワナ資源を持続的に利用するには、天然イワナの多様性に配慮した増殖が必要である。マイクロサテライトDNA分析法を用いることにより、イワナを殺すことなく、遺伝的多様性を定量的に把握できる。
背景・ねらい
イワナは地域固有性が強く、それぞれの地域ごとに多様な遺伝的組成を持っているため、イワナ資源を持続的に利用するには天然イワナの多様性に配慮した増殖方法が求められている。しかし、地域ごとの多様性を定量的に把握することは困難であった。マイクロサテライトDNA分析法によりイワナの遺伝的多様性を把握することにより、天然イワナの地域性を損なわない増殖方法の確立が図られる。
成果の内容・特徴
- 分析は、イワナの鰭1枚で可能であり、イワナを殺すことなく遺伝的多様性を把握できる。
- イワナから採取した鰭は、100%エタノールで常温保存が可能。
イワナの鰭からDNAを抽出し、PCR法によってマイクロサテライトDNA領域を含むDNA断片を増幅させる。 - 増幅したDNA断片の長さを電気泳動によって測定し、それぞれの個体のアリル型を特定する。
- マイクロサテライトDNA分析法では、従来の方法に比べて多くの遺伝的変異を検出することができる。
- イワナの遺伝的多様性は、生息する河川や生産種苗によって異なっている。
成果の活用面・留意点
- マクロサテライトDNA分析法を用いることにより、それぞれの地域に生息するイワナの特徴が把握できる。
- 人工生産に用いるイワナ親魚の遺伝的多様性を把握することにより、それぞれの地域の天然イワナに近い特徴を持った種苗生産が可能となる。
- 分析に用いる鰭は、新鮮なイワナから採取するとともに、十分な量のエタノールで保存する必要がある。
具体的データ
その他
研究課題名:イワナ資源回復保全調査
予算区分:国委
研究期間:平成10~14年度
発表論文等:平成11年度日本水産学会秋季大会講演要旨集
内水面水産試験場 養殖課
Tel 0258-22-2102