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農業水利施設についてご存じですか?施設の機能維持には適切な管理が必要です!
農業水利施設には、農業生産を支えるほか、住宅地等の浸水被害を防止するなどの役割もあります。
そんな農業水利施設の一部では老朽化が進んでおり、突然機能が停止してしまう場合があります。特に、代かきなどの用水、降雨時の排水など、時期や地域によっては大きな被害につながる恐れがあります。
ここでは、老朽化にともなって過去に実際に発生した農業水利施設の故障や破損の事例などを紹介します。
農業用として作られた排水路
止水板が損傷したコンクリート水路の目地部分
最初は農業用として作られた排水路などの水路でも、現在では道路や宅地等の排水も併せて流す役割を持っているものが多くなってきました。
そのような水路の機能が低下したり、失われてしまうと農業だけでなく、周辺地域の被害につながる恐れがあります。
- 目地が壊れたり、ひびが大きくなると水路の外側の土を水と一緒に吸い出して、周辺の土地が陥没したりすることがあります。早めの目地補修などの対応が必要です。
- 水路に泥やゴミがたまると、水があふれてしまうことがあります。定期的な泥上げやゴミ拾いなどの対応が必要です。
- ゴミは捨てないでください!!水路にゴミを捨てたり、捨てたゴミが水路に流れていくと、水路に設置されている施設の故障や水路があふれる原因となって、農地だけでなく周辺の道路や宅地にも被害を及ぼします!『塵(ちり)も積もれば山となる』
- 《目地》とは、コンクリート構造物の継ぎ目部分の事です。
- 《止水板(写真)》は、目地からの水漏れを防止するためのゴムやプラスチックなどの部材です。
揚水機場や排水機場のポンプなど機械施設
破損したポンプ
農業用として作られた排水機場などの施設でも、現在では道路や宅地等の排水の役割を持っているものも多くなってきました。
そのような揚水機場や排水機場の機能が低下したり、失われてしまうと農地だけでなく、住宅地を含む周辺地域の浸水被害につながる恐れがあります。
ポンプや除塵機(じょじんき)は一部が水中にあり、見えにくい箇所があるため、定期的に点検し、老朽化が進んだ部品や箇所を確認して、交換しておくなどの対応が必要です。
《除塵機》は、ポンプに水と一緒にゴミが入らないように、水中や水上のゴミを取り除く設備です。
ため池やファームポンド
穴のあいたゴムシート
ため池は農業用水を供給するためのものですが、地域の歴史や文化の継承、親水機能、生物等の住みかなど多面的機能を有しています。
しかしながら、作られてから数百年を経過し、老朽化が進んでいるため池もあります。
- ため池などの堤体(ていたい)に、穴があいたり亀裂ができると水が漏れ、拡大すると堤体が決壊(けっかい)してしまう恐れがあります。水の少ない時期に点検して、ゴムシートなどが張ってある場合には、継ぎ目のはがれなども確認し早期に補修するなどの対応が必要です。『蟻(あり)の穴から堤も崩れる』
- ため池なども、水路と同様に泥やゴミがたまると取水のさまたげになったり、貯めることのできる水の量も減ってしまいます。定期的な泥上げやゴミ拾いなどの対応が必要です。
- 《堤体》は、ため池の水をためる堤(つつみ)の部分です。一般的に土でできていますが、内側(水の張ってある側)にゴムシートが張られている場合もあります。
- 《ゴムシート》には、堤体への水の浸透防止や波で削られることの防止のほか、防草などの効果があります。
ため池などの防災に関することはこちら(農地建設課防災係のホームページへ)
農業水利施設の長寿命化について
新潟県には、多数の農業水利施設があり利用されています。ここに挙げた以外にも、防火用水や流雪、環境用水など多面的機能を発揮しているものもあります。また、農地だけでなく周辺地域の湛水被害の防止に貢献している排水施設もあります。
これらの施設をできるだけ長持ちさせ利用していくためには、日常のきめ細やかな維持管理が非常に重要です。
また、農業以外の効果も多いことから、管理者や農業者だけではなく非農業者を含めた地域全体で、施設の役割などについて考えてみることも重要です。
鋼矢板が腐食してあいた穴
老朽化し穴があいた管水路の漏水(ろうすい)
道路下(地中)で管水路が破損