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新潟県の農業法人における人的資源管理事例集の作成
新潟県内の農業法人における職場を働きやすくするための取組み事例を整理しました。職場改善につなげるために法人経営者が、事例集により他法人の取組みを知ることにより、自己の現状を評価し、よりよい取組みを選択することが期待できます。
新潟県の農業法人における人的資源管理事例集の作成 [PDFファイル/636KB]
新潟県の農業法人における人的資源管理事例集の作成 [PDFファイル/2.76MB]
人的資源管理の分野で先進的な取組をしている新潟県内の農業法人の取組内容について紹介する事例集を作成しました。
農林業センサスによれば、本県農業の雇用者数は経営体の減少に伴い減っているが、組織経営体での常雇い数は10年で倍増しています。
一方、農業法人等就業者の定着状況は、平成24年の就業者の3年後の定着率が約6割程度といわれており、会社での役割が十分に発揮できないなどの理由により4割の人が職場を後にしているという傾向にあります。従って、働きやすい、働きがいのある職場を作っていく必要があります 。
働きやすい職場をつくることで、(1)作業能率が向上し、(2)働く人が職場にとどまり、(3)経営理念と従業員の行動とが一致することにより、最終的に収益の向上に繋げることができます。
県内の5人以上の従事者を要する土地利用型農業法人を訪問し、「みんなに頑張って働いてもらうために、どんなことをやっているか」を聞かせてもらい、分類・整理を行いました。
取組事例は110事例に渡り、「採用」「配置」「経営計画」「コミュニケーション」「教育訓練」「評価考課」「昇進異動」「賃金」「福利厚生」「退職」に分類及び整理しました。
以下に事例のいくつかを紹介します。農業問題に関する作文や計算などの採用試験を実施している法人がありました。社長が試験問題を作成するケースが多く、選抜(ふるいにかける)を目的とした試験ではなく、基本的な学習能力をみるためとのことでした。
A社、B社とも、「育苗」が最も難易度が高いと考えており、代表理事・代表取締役が担当していました。
水稲作業の「育苗」「田植え」「刈り取り」など作業ごとに担当者を決めている事例がありました。
会社の将来ビジョンを常に語っていた例がありました。これによって従業員に、各人が強いられての行動ではなく自ら進んで行動するような労働意欲、つまりやる気を引き出す動機を与えることが期待できます。
社内のコンピューターネットワークを構築している例がありました。
携帯端末を会社で貸与している法人もありました。
ほ場生産管理システム(ほ場地図を利用して農場内のさまざまな生産工程管理データの収集・蓄積・可視化を行うソフト)では、アグリノート、KSAS、フェースファーム、FARMSなどが利用されていました。
作柄反省会を行い今年度の実績報告、取組に対する検証、次年度の改善提案などを行っている法人がありました。終了後には忘年会を行うとのことでした。
生育調査を実施して自社ほ場のデータを元にした具体的な対応策を検討している法人がありました。
春・秋の農繁期の作業開始前にオペレーター講習会実施している法人がありました。
ベテランと若手の交流の場になっているとのことでした。この研修会を契機に若手がベテランに質問するようになったとのことでした。
後継者育成のためには「任せることが大事」とよく言われるところですが、地域の役職を任せている法人がありました。
法人の顔として後継者本人が地域の会合に出て行くことによって、より責任感が本人の中に醸成されることも期待できます。
この事例集を使うことにより、
(1)経営者:よその法人の取組みを知ることにより、よりよい職場のルールをじっくり考えて欲しい。
(2)経営者と従業員:コミュニケーションのネタとして、一緒に職場のことを話し合って欲しい。
(3)支援者:事例を参考に、農業法人の経営者の皆さんに、タイミング良く助言して欲しい。 と考えています。
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