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【佐渡】島民クローズ・アップインタビュー(テーマ:”育む(はぐくむ)”)vol.28
島内で頑張っている人を紹介する「島民クローズアップ・インタビュー」をお届けしています。
佐渡地域振興局の各所属や事務所が「育む(はぐくむ)」というテーマをもとにふさわしい方を訪ね、インタビューを実施します。
第28回目は、佐渡アテビを守り、育む活動をしているアテビの会名誉会長 渡部敏文さん宅(新穂大野在住)に訪問し、アテビの会の活動内容や森林づくりへの思いを語っていただきました。
アテビの会で熱弁を振るう渡部さん
Q1 アテビの会を創るきっかけを教えてください
もともと佐渡アテビには関心があり、平成3年に自宅を建てる際、工務店に佐渡アテビを材料に建ててほしいと頼んだところ、材は自分で調達してくださいと言われてしまいました。この時代になると佐渡アテビが流通していないことを知り、残念ながら佐渡アテビで家を建てることができず、やむなく能登材で建築しました。
昭和30年代頃はまだ多くのアテビ林が存在し、それを材料にして家が建てられていました。しかし、乱伐が進みこのままでは佐渡アテビが無くなってしまうことに危機感が募り、アテビを守り育てていきたいという思いを募らせていたおりに、当時の林業事務所から声かけがあり会を発足させました。
能登アテで造られた自宅(佐渡アテビで家を建てることができず悔しいと語る。)
Q2 活動の内容について教えてください
アテビの会の会員数は80名で、10周年を迎えました。
これまでの会員の活動として、アテビの先進地である、青森ヒバや能登アテ(石川県)に視察研修に3回行ってきました。
また、島内のアテビ林を育てるために、育苗や普及活動を行っています。そのおかげで、アテビの苗はアテビの会でまかなえるほどになりました。
アテビ苗畑
Q3 アテビは佐渡市の木ですが、アテビについて教えてください
新潟県では、阿賀町の一部と佐渡に天然分布しているだけなので、佐渡のアテビは佐渡固有のものといえます。
材はヒノキに匹敵する高級建築用材になり、木目は美しく、肌は黄色味を帯びて光沢があり、香気も高く、粘り強く、耐久性・耐水性に優れています。またシロアリに対して抜群に強い性質があります。
アテビ(ヒバ)とスギの木目
Q4 この仕事をしていて、良かったことを教えてください
アテビの会の活動で、佐渡汽船ターミナルにアテビの木を展示するなど普及宣伝活動をしてきました。
その結果、佐渡市の木に認められ、アテビが広く一般の方に知られるようになりました。
また、アテビを植林する人も増えて本当にうれしく思っています。
新穂大野小股のアテビ林
Q5 この仕事をしていて、苦労していることを教えてください。
特に苦労は感じたことはないです。(笑)
植林したアテビをこれからどう育てていくか課題であると考えています。特にアテビは枝打ちや間伐をしないと病気になりやすい木なので、きちんと手入れができるのか心配しています。
Q6 佐渡の森林をどのように育てていきたいと思いますか?
アテビの会はアテビだけ育てているわけではなく、スギや雑木など全体のバランスが大事だと考えています。これまではスギばかり植えてきたので、アテビ林も増やしていきたいと思っています。
Q7 渡部さんの夢や目標をお聞かせください
100年先を夢見て佐渡アテビの太くて美しい林を造り、青森ヒバや能登アテに負けないぐらいに佐渡がアテビの産地なればいいなと思っています。
渡部さん(自宅の庭にて撮影)
☆インタビュアーから☆
渡部さんは大正14年生まれの86歳。農業高校の教員を退職後、アテビの会をつくり佐渡アテビの普及活動に取り組んできました。そのアテビの会も10周年を迎え、これからがスタートだと語る渡部さん。年齢を感じさせない力強い語り口から、佐渡アテビに対する熱意を感じることができました。
こうした地道な活動を皆さんに知っていただき、佐渡アテビに興味を持っていただけることを期待したいと思います。
佐渡地域振興局農林水産振興部 高木
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