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【下越】飼う前から考えよう!犬猫シニアライフについて(下越動物保護管理センター)
犬は7歳頃から、猫は8歳頃からがシニア期とされていますが、品種や飼育環境等により異なります。
シニア期になると、体も弱り病気にもかかりやすくなります。嗅覚も衰えてくるので、フードを温めて匂いを出すなど、食欲を維持する工夫が必要です。歯磨きで口の中を清潔に保ったり、適度な運動も忘れずに、小さな変化を見逃さないよう心がけましょう。また、気温や生活環境の変化で体調を崩しやすくなるので気をつけましょう。
また、筋力の低下や病気の影響などで、今まで出来ていたことが出来なくなったり、視力や聴力の低下により不安になったりと、ケアが必要になってくることが予想されます。
1人で抱え込まず、家族と協力したり、かかりつけの動物病院に相談し、無理なく続けられる方法で向き合いましょう。
殆どのペットは人よりも早く歳をとります。別れは辛く悲しいですが、ペットにとっては飼い主の愛情が全てです。最期までみとるのは飼い主の最期の愛情と責任です。
出典:共に生きる高齢ペットとシルバー世代(環境省啓発パンフレット<外部リンク>)
犬猫の老化サイン
画像引用:共に生きる高齢ペットとシルバー世代(環境省啓発パンフレット<外部リンク>)
シニア期からの小さな変化は老化のサインかもしれません。日頃からしっかり観察しておきましょう。
過ごしやすい部屋作り
下記を参考に、高齢犬・高齢猫が安心して快適に過ごせる工夫をしてみましょう。
画像引用:共に生きる高齢ペットとシルバー世代(環境省啓発パンフレット<外部リンク>)
トイレの問題
高齢になるに伴い、足腰の筋力低下などでトイレが上手く出来ないケースがあります。叱らず優しく見守りましょう。トイレ周りにペットシーツを広く敷いておくと、トイレからはみ出た場合も安心です。
トイレで出来なくなった場合
- トイレの場所は寝る場所の近くなど行きやすい場所に設置するなどの配慮をする。
- トイレの時に排泄姿勢を保つことが出来ない場合は、トイレの時に排泄姿勢を保つことができるよう、飼い主が体を支えてあげるようにする。
- オムツ、マナーパッドを使用する。
排泄の時にお尻が汚れてしまう場合
- 毛の長い犬猫の場合、肛門周りやしっぽの付け根あたりの毛を短めに刈ると、汚れにくくすることができます。ただし、あまり短く刈ってしまうと、汚物で皮膚がかぶれてしまうこともありますので、注意してください。
- 汚れた時は少量のぬるま湯を汚れた部分にかけ、部分洗いをすることも効果的です。犬猫用のウェットティッシュなどで、優しくふき取ることも出来ますが、使い続けることで皮膚炎を起こしやすくなりますので注意してください。
- 汚れがひどい場合、シャワーで洗ってあげましょう。 ただし負担とならないよう、短時間で手際よく洗ってください。
その他、オシッコの回数や量の増減・下痢・血便などの症状がある場合はかかりつけの動物病院へ相談しましょう。
食事のトラブル
味覚や嗅覚の衰え、食べる姿勢が辛い、歯周病や歯がないことで食欲が落ちたり、栄養バランスが崩れ健康状態が悪化しがちです。食器を高く食べやすくしたり、その子の年齢にあったドックフードを与えるなど配慮していきましょう。
食欲が落ちている場合
- 嗜好性の高いフードを混ぜる。
- 噛みやすく柔らかいフードに変えてみる。
- 飲み込みが難しいようであれば流動食を与えてみる。
- 自力で食べることが難しい時は、市販で売っているシリンジ(注射器)を使用して流動食などの飲み込みやすい食べ物を食べさせる。
異常なほど食欲がある場合
- 単なるワガママでそうなっているのであれば、一回量を減らすなど、工夫しましょう。
- 食べてすぐにご飯を食べたがるのであれば認知症の疑いがあります。かかりつけの動物病院へ相談してましょう。
認知症(痴呆症)
認知症の場合、早めに気付き、対応していくことが望ましいです。ただし、認知症ではなく、違う病気の疑いもありますので、動画などを撮影し、かかりつけの動物病院へ相談してみましょう。
認知症が疑われる際の主な行動の変化
- 出来ていたことが出来なくなる(トイレ・しつけていたことなど)。
- 飼い主と認識できず、唸る・噛むなど攻撃的になる。
- 夜鳴きと思われる発声
- 日中寝て、夜活動的になる。
- 出入り口が認識できない。よく知った道でも迷う。
- 刺激に反応しにくい、叉は過敏に反応するようになる
- 目的なく徘徊や旋回をする、または行動が減少する等。
- 異常なほどの食欲(食事後すぐに食べたがるなど)。
- 今までしていたグルーミングをあまりしなくなる。(猫の場合)
寝たきり
筋力の低下や、病気で起き上がることが難しくなることもあります。食事の世話や体や被毛のお手入れ、トイレの工夫や排泄の手助けなどをしてあげましょう。また、定期的な動物病院の受診も大切です。
1)猫の場合
- 年をとると舌で毛づくろいをしなくなったり、届かない場所が出てきたりと、お手入れ不足になります。飼い主は、こまめにブラシをかけてあげましょう。
- 飼い主さんの手で優しくマッサージしてあげましょう。血行もよくなり、コミュニケーションにもなります。その際に、皮膚に異常がないか、しこりがないか、痛がる所はないか、などもチェックしましょう。もし異常があれば、かかりつけの動物病院に相談しましょう。
- こまめに爪切りを行いましょう。年をとると、爪とぎもあまりしなくなってしまいます。爪が伸びすぎると丸まって伸びていくため、肉球に刺さってしまい危険です。
- 柔らかく、清潔な寝床を用意しましょう。また、暑すぎず寒すぎないようにしてあげましょう。冬はペットヒーターや湯たんぽ、夏はクーラーや扇風機を適切に用いたり、日差しが強すぎないようすだれなどを活用するのもオススメです。
2)犬の場合
- 床ずれはマットや床と長時間、愛犬の体が接し、圧迫されることにより血流が悪くなり、皮膚や筋肉が死んでしまった状態です。肩、肘、腰、かかとなどは特に床ずれしやすい箇所です。床ずれ予防サポーターやクッションも市販で販売しているので活用しても良いです。クッション性の高い柔らかい寝床で、2時間おき程度で寝返りさせてあげましょう。1日1回は皮膚の状態を確認し、もし皮膚に異常を感じたら、早めにかかりつけの動物病院へ相談して下さい。
- 関節が固まらないよう、無理のない範囲で体を動かしてあげましょう。体をさするなど軽いマッサージも血行を良くするので効果的です。
- 外に出るまでは介助し、少しでも歩く気があれば散歩に出かけてあげましょう。また歩行補助ハーネスを使用したり、歩行器(犬用車椅子)を使用するなどして、できる限り散歩を続けて愛犬も気分転換になります。
- どうしても自力でトイレができない場合、マッサージや圧迫で排泄を促すことも必要になってきます。犬の種類や個性によって、効果的な圧迫方法が違ってくるので、必ず獣医師の指導を仰ぎ、適切な圧迫方法を覚えましょう。
- 横に寝たままだけでなく、伏せの体勢にして頭を起きていた時のようにして話しかけてあげるのも良いでしょう(クッションなどを使うと体勢が維持しやすいです)。
いざ介護が必要になったら使える道具
- オムツ、マナーパッド(犬猫用や人間用の代用)
- 流動食や水などを給餌する給餌器(シリンジなど)
- 床ずれ予防クッション、ベッド
- 床ずれ予防サポーター
- 歩行補助ハーネス
近年では、様々な介護用品が市販されるようになりました。愛犬・愛猫が元気なうちから情報収集して、シニア期に備えましょう。
自宅でできる運動やセルフマッサージ
肉球を温かく湿らせたタオルでふやかし、その後肉球を優しくマッサージしながらクリームでケアすると、血行促進やリラックス効果があると言われています。高齢犬は体に皮膚が、はりついたように動かなくなりやすいので、優しく皮膚を動かすようなマッサージも良いでしょう。また飼い主さんとの絆が深まるきっかけになるかもしれません。
関節炎などの症状がある場合や動き始めに動きにくさがある場合、ホットパックで患部を温めてから散歩に行き、その後アイシングすることで負担が軽減します(冷凍庫ではなく「冷蔵庫」にいれておいた保冷剤で患部を冷やすと冷えすぎないのでオススメです)。
お散歩が難しい場合は、最低限の介助かつ無理のない範囲でストレッチや座り立ち運動をおやつで誘導するなども、その子にとって良い刺激となるかもしれません。
目が悪くなったり耳が遠くなった犬でも、ノーズワーク(※)で楽しむことが出来ます。
※犬の優れた嗅覚を使い匂いを探し出すドッグスポーツ。犬に見えないところでおやつを入れた空き箱やタッパーを適当な場所に置き、それを探させたり、ノーズワーク用マットを利用したり、手におやつを隠してどっちに入っているか当てさせるなど、犬種や年齢関係なく楽しめるトレーニングです。
愛犬、愛猫とともに、自宅でできることをチャレンジしてみませんか。
年をとると出来なくなることも増えてしまいますが、出来ることを探してあげて、出来ることを少し手伝ってあげながらでも、出来るだけ長く維持できるように工夫できると良いですね。
将来にもっと備えるために
自分が怪我や病気で急に入院することになった時、一時的に預かってくれるところはありますか?
ペットより先に自分の身に何かあった場合、残されたペットのことを考えていますか?
いざ困った時に備えて、事前に準備しておくようにしましょう。
出典:共に生きる高齢ペットとシルバー世代(環境省パンフレット<外部リンク>)
ペットのための遺言・信託
自分がペットより先に死亡してしまった時のために、ペットを誰に託すか、残した財産をペットのためにどう使うか決めておくようにしましょう。
老犬・老猫ホーム
ペットを預かり亡くなるまでお世話をしてくれる民間業者(第一種動物取扱業)があります。よく調べて相談の上、利用するようにしましょう。
ペット保険
動物病院での負担を軽くするために、ペット保険(ペットの怪我や病気の治療費を一部補償する保険)に加入しておく方法もあります。加入できるペットの種類や年齢、補償プラン、保険料は様々ですので、よく確認してから契約しましょう。
ペット仲間などの知人・友人
散歩中に挨拶をしたり、情報交換できる知人・友人がいることも心強いものです。情報交換やお話しすることで気持ちが楽になることもあります。
さいごに
殆どのペットは人よりも早く歳をとります。最期には自力でご飯が食べれなくなったり、歩くことが出来なくなったり介護が必要になるケースも多いです。飼い主さんが介護疲れをしないよう、家族みんなで協力したり、掛かりつけの動物病院で一時預かりしてもらうなど、たまには息抜きする事も大切です。
愛犬や愛猫もまた、歳をとると今まで出来ていたことが出来なくなることで不安になります。そんな時に、大好きな飼い主さんに撫でてもらったり、抱っこしてもらうだけでも不安は解消されることでしょう。
介助や介護が必要になったのは、高齢になるまでしっかり生きてこられた証であり、だからこそ味わえる大変さでもあります。ここまで一緒にいられたことを大切に思い、また困っている事があれば周りの人や掛かりつけの動物病院に相談しながら、穏やかな気持ちで最期まで寄り添ってあげてください。