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障害者芸術文化祭の文芸作品
短歌部門 県知事賞
箱作り 指は目となり こつ覚え ためす実力 数をかぞえる
- 作者 菅 洋子さん
- 審査委員コメント 目が不自由であること代償的に「指は目」の触感を働かせる。箱作りのこつを覚え、箱ができるようになる。さあ、いくつ作れたかな。触感の確かさ、作れた箱の完成度を確認する。それが見えない私の実力。前向きな姿勢から生まれた短歌だと思う。
- 短歌部門 応募作品数は、21作品でした。
俳句部門 県知事賞
放牧の 牛のかたまる 氷雨かな
- 作者 矢尻 ゆきをさん
- 審査委員コメント 氷雨(ひさめ)は夏の季語(きご)で雹(ひょう)の古語(こご)。夏というのに突然の雹(ひょう)に、放牧されていた牛が驚いたのかひとところにかたまった。草の緑と牛の群れ、それに雹(ひょう)があたっている風景を忠実(ちゅうじつ)に写生(しゃせい)し、一幅(いっぷく)の水墨画(すいぼくが)のような句としたところがよい。
- 俳句部門 応募作品数は、31作品でした。
自由詩部門 県知事賞
兄弟まっている 生家に帰れる
あのやさしい兄さんの所へ
ひさしぶりの会話がはずむ
夕方 兄さんと一緒におはかまいりに行ってきた
夏の夜空にかがやく星
あれは父と母の星だろうか
しあわせがくるようにといのる
- 作者 志田 智さん
- 審査委員コメント 詩は語り過ぎないこと、説明しないことが大切です。言いたいことをみんな言葉にすると、表現の焦点(しょうてん)が読者につかめません。応募作はほとんどが長い詩です。“兄弟”はわずか7行です。兄の待つ生家に帰るのが嬉しい理由は書いてありません。しかしその喜びは“一緒にお墓まいりに行ってきた”で伝わってきます。また夜空の星を書くことで父母亡き後、兄弟力を合わせて生きたいという願いが星となって夜空いっぱいきらめいていますね。最後をもっと工夫したらより力強い詩になります。
- 自由詩部門 応募作品数は、24作品でした。
川柳部門 県知事賞
リハビリを 励ます風に 背を押され
- 作者 今井 健二さん
- 審査委員コメント 課題“風”はよく川柳で出される題だけに興味をもって拝見しました。“風”の中にある喜怒哀楽(きどあいらく)を期待しながら“リハビリ”を励ます風、応援する風を感じとることができました。
- 川柳部門 題は、「風」。応募作品数は、12作品でした。