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障害者芸術文化祭の文芸作品
短歌部門 県知事賞
足を引く 我(われ)を見ていた 幼子(おさなご)が 痛々しげに 転んだのとう
- 作者 佐藤寧治さん
- 審査員コメント 幼子の素直な思いやりが表現され、作者が心を癒された様子が伝わってきます。
- 短歌部門 応募作品数は、17作品でした。
俳句部門 県知事賞
恙(つつが)なき 妻との暮らし 冷奴
- 作者 梨本勝夫さん
「妻、仲間、多くの皆さんのお陰様で生かされてきました。この命生かされてきた恩返しにして生きたいと祈じているこのごろです。」 - 審査員コメント 支えあって暮らしておられる安らかな日々の姿が、客観、主観のバランスがうまくとれた句として生まれたと思います。かざり気のない、しかも心の底に生かされている感謝の心がうかがえる、心あたたまる一句です。季語(きご)の冷(ひや)奴(やっこ)の選択もよろしいです。
- 俳句部門 応募作品数は、35作品でした。
自由詩部門 県知事賞
雪が降る 地上に何かを 問いかけるように 雪が降る
恐ろしく静かに寂しく 白く輝いて 雪が降る
人の心の中を照らすかのように 傷ついた悲しみの心を 癒(いや)すかのように
この地上に延々(えんえん)と 雪が降る
人の世のありさまを 人の心の中を垣間(かいま)見たかのように
何かを地上に語りかけるかのように 謎のように美しく浄(きよ)らかに 雪が降る
- 作者 金子栄一さん
病いと一生付き合ってゆかねばならないと思うと雨空のようにうっとうしい気分になります。でも仲良く付き合ってゆこうと思っています。私は詩などペンを取って書いている時が一番幸せです。かけがえのない無我夢中の時間。天から与えられたこの趣味のひとときを私は心から深く感謝します。 - 審査員コメント 金子さんは自然の事物を深くみつめて詩を書いています。しかし、ただ自然へのあこがれだけではありません。雪は私たちになじみのものですが、雪は二面を持ちます。「雪が降る」の雪は、金子さん自身でもあるでしょう。雪の多様な姿は金子さんの心で、それがよく表現されています。その意味で深い詩です。また「雪が降る」の5回の繰り返しのリズムはこの詩にしっかりした形を与え、よい作品に仕上げました。ただこれはいつも成功するとは限りませんので、ご注意下さい。おめでとう。
- 自由詩部門 応募作品数は、18作品でした。
川柳部門 県知事賞
楽しいと 思えば坂も 昇られる
- 作者 高木かおるさん
「川柳で呆けないように元気に暮しています。」 - 審査員コメント 人生も同じです。自分自身を楽しくしていて、はじめて道が開かれます。そして坂を昇り切ることもできます。すばらしい作品をありがとうございます。
- 川柳部門 題は、「坂」。応募作品数は、17作品でした。