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障害者芸術文化祭の文芸作品
短歌部門 県知事賞
山道を 他人(ひと)の手借りて 登りゆく
浴びたる光 生命(いのち)に染みて
- 作者 高橋 義孝さん
- 審査員コメント 第二句から、歩行困難なのであろう。健康維持には「歩かねば」の思いから遊歩道に連れて行ってもらう。坂道は手を引いてもらい登る。ああ、この浴びる日光がいのちに染み込んでくれる。他人に対する感謝の思い。結句「染みて」を「染みよ」としたい。
- 短歌部門 応募作品数は、28作品でした。
俳句部門 県知事賞
母の日の 長距離電話 長々と
- 作者 清野 常雄さん
- 審査員コメント 母の日は戦後に季語となった輸入行事であるが、どうやら定着した。母の日という情緒のあるものをより一層、母子の関係として描写するのは意外と難しい。長距離電話の「長」と下五の「長々と」のリズム感と実感のバランスがよくとれてすっきりとした句に仕上がったところが良い。単純、明快にして余情満点。
- 俳句部門 応募作品数は、42作品でした。
自由詩部門 県知事賞
何があっても
揺るがないことが
本当の強さだと思っていた
揺るがないなんて無理
大事なのは
揺らいでも
自分が決めた心の位置に
いつも ちゃんと戻って来られること
たとえ 何があっても
わたしは 何度も揺れながら
これからも生きる
揺れながら
おぼつかない足で歩いて
それでも この両手に光を抱ける
光を抱ける
- 題 ゆらゆら揺れながら
- 作者 見田 幸乃さん
- 審査員コメント 生きることは「揺れ」ながらの旅でしょう。他者あってこそ揺れるのです。詩はことばですが、一人よがりの心やことばではよい詩、人の心を打つものになりません。この詩は他者への心くばりは直接書かれていませんが、「揺れながら生きる」決意に他者への気持があたたかく伝わりました。詩のことばの使い方も音の配置もすてきでした。
- 自由詩部門 応募作品数は、20作品でした。
川柳部門 県知事賞
私にも 自慢のできる 友がいる
- 作者 吉田 久美さん
- 審査員コメント
川柳は自然体でなければなりません。力んでもいけません。平易な表現でしかも本音で訴えるものです。「私にも自慢のできる友がいる」これ程幸せなことはありません。楽しく明るく生きてください。 - 川柳部門 題は、「友(とも)」。応募作品数は、9作品でした。