本文
研究成果詳細解説 成熟期が早く、多収の小麦品種「夏黄金(なつこがね)」の生育特性及び品質特性
成熟期が早く、多収の小麦品種「夏黄金(なつこがね)」の生育特性及び品質特性
「夏黄金(なつこがね)」は農研機構東北農業研究センターで平成28年に育成された硬質小麦品種です。
令和2年度に新潟県の産地品種銘柄指定され、作付面積の拡大が期待されています。
令和2年度に新潟県の産地品種銘柄指定され、作付面積の拡大が期待されています。
新潟県内では小麦の作付が増加し、パンや麺に加工されて農業の6次産業化に貢献しています。
しかし、小麦の成熟期は梅雨に重なるため、刈遅れ 収量や品質が低下する事例が見られます。
そこで、「夏黄金」の新潟県における特性を把握し、導入と安定生産を図るため特性を調査しました。
しかし、小麦の成熟期は梅雨に重なるため、刈遅れ 収量や品質が低下する事例が見られます。
そこで、「夏黄金」の新潟県における特性を把握し、導入と安定生産を図るため特性を調査しました。
「夏黄金」の出穂期は5月2日で「ゆきちから」より1日早く、成熟期は3日早い6月12日です。
北陸地域の平均梅雨入り日の6月12日頃ですので、降雨による刈取りの遅れや子実の成分変性を回避しやすいです。
「夏黄金」の稈長は94cmで、「ゆきちから」より5cm短いため、倒れにくく栽培しやすい特性があります。
北陸地域の平均梅雨入り日の6月12日頃ですので、降雨による刈取りの遅れや子実の成分変性を回避しやすいです。
「夏黄金」の稈長は94cmで、「ゆきちから」より5cm短いため、倒れにくく栽培しやすい特性があります。
「夏黄金」の成熟期の様子です。
「夏黄金」は穂の色が赤褐色で新潟県で作付けられている「ゆきちから」と容易に判別できます。
「夏黄金」は穂の色が赤褐色で新潟県で作付けられている「ゆきちから」と容易に判別できます。
「夏黄金」の特性のうち有利な点として「ゆきちから」より赤かび病に強いことが、育成地の東北農業研究センターの調べでわかっています。
また、「ゆきちから」より穂発芽しにくいことがわかっています。
しかし、現在までの調査では、耐雪性が中で、「ゆきちから」に比べて雪には強くありません。
しかし、現在までの調査では、耐雪性が中で、「ゆきちから」に比べて雪には強くありません。
「夏黄金」の子実の特徴です。
「夏黄金」の子実重は平成30年から令和2年の調査で、10アール当たり537kgで「ゆきちから」に比べて収量が多いです。
千粒重は40.1g、容積重は851g/Lで「ゆきちから」より大きいです。
「夏黄金」の子実重は平成30年から令和2年の調査で、10アール当たり537kgで「ゆきちから」に比べて収量が多いです。
千粒重は40.1g、容積重は851g/Lで「ゆきちから」より大きいです。
「夏黄金」の麦の子実は赤褐色です。また、「夏黄金」の子実が大きく揃っていて、品質が良いです。
「夏黄金」の製粉と製パン特性です。
「夏黄金」は生地の力を強くする遺伝子を持っているため、エキステンソグラムの生地伸張抵抗は強で、伸張度は中と評価されます。
このため、製パン試験の焼き上がりの比容積が大きく、パンがよく膨らむ結果が示されています。
「夏黄金」は生地の力を強くする遺伝子を持っているため、エキステンソグラムの生地伸張抵抗は強で、伸張度は中と評価されます。
このため、製パン試験の焼き上がりの比容積が大きく、パンがよく膨らむ結果が示されています。
この研究成果の導入対象は、「新潟県の少・中積雪地域小麦生産者」です。
留意点は、
耐雪性が中であるため、栽培可能地域概ね根雪期間90日未満がめやすです。
水田転換畑で栽培する場合は、圃場排水対策を確実に実施できるよう、水稲収穫から小麦播種までの期間を考慮し、水稲早生品種等と組合せた作付計画を策定する必要があります。
留意点は、
耐雪性が中であるため、栽培可能地域概ね根雪期間90日未満がめやすです。
水田転換畑で栽培する場合は、圃場排水対策を確実に実施できるよう、水稲収穫から小麦播種までの期間を考慮し、水稲早生品種等と組合せた作付計画を策定する必要があります。
「夏黄金」の種子の入手先は、農研機構育成品種の種苗入手先リストを参照してください。
PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)