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突然ですが、みなさんは普段手にする食品や製品がどのようにつくられているか、ふと気になったことはありませんか?
最近はテレビ番組でも、身近なお菓子などの生産現場が取り上げられていて、やっているとついつい見入ってしまうことも。普段なかなか目にすることが出来ないので、興味が惹かれる方は多くいるかと思います。
昔から積極的に工場見学に行くくらい、生産工程を見ることが好きな私はある日突然思いました。日本酒が造られる過程を見たい!!
そこで今回は、新潟の日本酒が造られる裏側を取材してきました!
徐々に過ごしやすい気温になってきた秋口。実りの秋と言われるように、美味しい新米や果物などが市場に出回る時期ですが、日本酒を造る上で欠かすことのできない酒米が収穫される時期でもあります。
良く晴れた10月頭のある日、酒米『越淡麗』を収穫されていた十日町市の農家さん、北村公太郎さんの元にお邪魔させていただきました。
十日町市の米農家 北村公太郎さん
北村さんは、大学卒業後一般企業への就職を経てご実家を継がれ、コシヒカリなどの食用米の他、越淡麗や五百万石などの酒米も生産されています。
そしてなんと、冬場の農閑期には地元の酒蔵である『株式会社松乃井酒造場』で蔵人の一員として、ご自身が生産した越淡麗も使用した酒造りをされています!
新潟県で開発された酒米『越淡麗』は、他の品種と比較して実りのタイミングが遅めの「晩稲(おくて)」の品種です。
刈り取り終わった他品種の田んぼが広がる中で、これから刈られるのを待つ越淡麗は黄金色に輝いていました!
大きなコンバインを軽快に操作する北村さんによって、1区画30アール(約3,000平方メートル)の田んぼは小一時間であっという間に刈り取られました。全体では越淡麗だけで90アールの田んぼを保有されているそうです!(約4トン分のお米の重さになるそうです!)
コンバインに溜まった稲がすごい速さで袋へ移されます。あたりにモクモクと粉が舞います
機械で刈り取った稲は、袋に入れられて作業場までトラックで運び、大きな大きな乾燥機で1日ほどかけて低温で乾燥させ、機械にかけることで玄米の状態になるそうです。
生まれも育ちも生粋の新潟県人ですが、これだけの規模の農作業を見たのは初めてで、ずっと「すごい!!」と驚いてばかりでした。
作業の合間に今年の出来栄えを伺うと、『100点満点中で50点ですね』となかなか厳しい自己評価。『今年の反省は来年以降に活かしていきます』と言う北村さんのストイックさが、美味しいお酒造りに欠かせない素晴らしい酒米を育てることに繋がるのですね。
越淡麗は他の品種と比べると病気に弱く、水の管理など気を付けなくてはならないことが多いそうです。生産の苦労はあるものの、県内で生産された越淡麗に毎年試験場がつける順位の中で上位に入ると、手塩に掛けて育てた分、大きなやりがいや喜びを感じるそうです。
そもそも北村さんが越淡麗を生産されるようになったのは、松乃井酒造場さんが酒造りに使う越淡麗の生産が出来る地元農家さんを探しており、そこに手を挙げたことがきっかけとのこと。
その後、声をかけられて冬場の酒造りにも参加されるようになりました。(もっと昔は、農家の方が冬場に酒蔵で働くことは一般的だったそうです!)
お酒はお好きですか?と伺うと、『もちろん』とにっこり。毎日“研究”も兼ねてご家族と色々な酒蔵の日本酒を楽しんでいるそうです。
最後に北村さん一押しの松乃井酒造場さんの日本酒をお聞きしました。
“純米大吟醸松乃井”
【お酒のデータ🍶】
・純米大吟醸 (植物性の「醸造アルコール」を使わず、米と米麹のみで造られたものに『純米』がつきます)
・越淡麗使用 (有機栽培で育てたものだそうです)
・精米歩合45% (米の55%、つまり半分以上を贅沢に削っているという意味です)
・アルコール度数 15度 (日本酒はこのくらいの度数が一般的です)
『少し酸味も感じる爽やかな味。有機栽培で自分が育てた越淡麗が100%原料に使われているので、思い入れも大きい。是非多くの方に味わって頂きたいです!』
帰り道に私も早速購入しました!後ほどゆっくり味わわせて頂きます🌠
次回は北村さんに、蔵人としての視点から酒造りに関するお話を伺います!!
【関連リンク】
株式会社松乃井酒造場<外部リンク>