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日本酒ができる裏側を見てみたい!という気持ちから始まった連載第3回目。
前回の記事【米作り🌾から酒造り🍶まで!蔵人の顔も持つ農家さん】
今回は、なんと実際の酒造りの現場の一部を体験させて頂きました!
取材させて頂いたのは、日本酒学の拠点の1つである新潟大学にほど近い塩川酒造株式会社(新潟市西区)です。
塩川酒造さんといえば、代表ブランドの『越の関』の他、『COWBOY YAMAHAI』や『FISHERMAN SOKUJO』が有名です。他の日本酒とは雰囲気の異なるラベルに目を引かれたことがある方もいるのではないでしょうか。
こちらの酒蔵では、2005年頃から新潟大学の学生と連携した酒造りを行っているそうです。この日は、授業の一環として農学部の院生さん2人が行う酒造り体験に、塩川酒造さんのご厚意で参加させて頂きました!
酒造り体験1日目は『麹(こうじ)造り』です!
『一 麹、二 酛(もと)、三 造り』と言うくらい、酒造りでは麹造りが最も重要なのだそうです。
(※『酛』とは、目的の優良酵母を拡大培養したスターターのこと。『造り』とは、日本酒となる前段階の醪(もろみ)を醗酵させること。)
皆さんは米麹という言葉を聞いたことはありますか?米麹とは、麹菌を繁殖させた蒸米のことで、日本酒だけではなく味噌や醤油などを造るのにも使われています。
食卓に欠かせない発酵食品の基礎となるものだと考えれば、麹造りの大切さが分かる気がします!
ボイラーを使い、お米を蒸していきます✊すごい蒸気!
まずは酒造りに欠かせないお米を蒸すことから始まります。大きな装置を使い、水を吸わせたお米を100度以上で蒸すこと70分…蒸されたお米は、食べるとまるでおこわやお赤飯のような食感でした!
次にアツアツの蒸米の温度を、36度くらいまで冷まします。
水に濡れた布のありがたみを感じました
皆で協力し、水に濡れた麻布を上手く利用して、お米を広げていきます。
火傷の危険があるので注意しないといけませんが、ゆっくりやっているとどんどん次が運ばれて来るのでスピードも大切です。厚みがあると冷めにくいので、できるだけ薄くするために山を崩すたび、何度「熱い!!」と叫んだか…忍耐強さが大切な作業でした。ちなみに、想定よりも温度が1~2度程下がりすぎると次の製麹工程で1~2時間余計に時間がかかってしまうそうで、とても重要な作業でもあります!
こぼれないようスコップですくうのは力やコツがいり、私は一膳分ちょっとしか一度にできませんでした
内側と外側で冷め具合が違ってくるので、布の上で裏返したりポジションを変えたりして温度を更に均一にします。ある程度冷めたら、麻布をくるりと袋状にして次の作業場である2階へ運びます。
上手く持たないとお米がこぼれる大惨事に…!💦
冷ました米は麹室(こうじむろ)と呼ばれる特別な部屋に運びます。
この部屋は、酒造りに利用される麹菌が活発に活動できるよう、31度くらいの室温に保たれています。
先ほど36度まで冷ました米を台の上に広げ皆でうちわで扇ぎつつ、更に33度くらいまで米の温度を下げていきます。
最初は岩盤浴のようにじんわり温かくて良いなあと思いましたが、作業が進むにつれ暑くてたまらなくなります!蔵人の皆さんが半袖で作業するのも道理です…外気温に合わせて厚着してきてしまったので、汗がにじんできます。
全体が一定温度に下がったら、ふるいで種麹を振りかけます!写真や映像でよく見る作業に興奮!優しくしゃっしゃっと均一に振りかけ、米を裏返して裏面にも同じようにかけていきます。この作業がこの日一番上手くできた作業でした✌
振りかける種麹は造るお酒によって使うものが違い、例えば大吟醸酒を造る時に使うものはちゃんと振りかかっているかよく見ないと分からないくらい少ない量で、非常に細かい粒子なのだそうです。
種麹をまんべんなく広げるために皆で混ぜ、最後は1つの山にまとめて布や小さいお布団でくるみます。暖かい部屋でお布団にくるまるお米たち…とても平和で幸せそうな姿でした。
これで1日目は終了です。
次の日、お布団を剥がして山を崩し、再びもみほぐします。
お米は初日よりも固くなっているので力を込めてほぐします!
この時点でもう麹菌は前日より繁殖し、お米のデンプンは糖化されだしているそうで、室はほんのり甘酒のような良い匂い…!一定量ずつ小分けにし、温度調節をしやすくします。その後、温度の繊細な管理を経て、次の工程へ進んでいきます。
今日だけで、普段食べている時とは違うお米の姿を色々見ることができました。米麹の完成が楽しみです😃
この日、これからの工程で使う『酒母(しゅぼ)』も見せて頂きました!
酒母とは、目的とする優良酵母を大量培養したもので、米麹・酵母・水・蒸米(これらに加えて、速醸酛という製法の場合は乳酸)で造られます。
米も入るため最初は硬いそうですが、日が経つにつれポタージュスープのようなクリーミーさが出てきます。少し味見をさせて頂いたところ、“酸味のある微炭酸つぶつぶ甘酒”のようでした!
このままソフトドリンクとして売れそうな、好きな人は好きな味かも?表面は泡です
次回は、完成した米麹を使った『仕込み』の作業の一部を体験してきたので、皆さんにお伝えします!
【関連リンク】
塩川酒造株式会社<外部リンク>