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マイマイガは、「ブランコケムシ」とも呼ばれ、非常に大発生しやすい昆虫です。幼虫は主に広葉樹、場合によりスギなどの針葉樹や稲も食害する雑食性が非常に強いケムシです。
新潟県においても平成26年度に上越地域を中心に大発生し、広葉樹が大量に食害を受けました。隣県の状況を踏まえると、平成27年度も新潟県内の別地域への被害の拡大が予測されますので、予めその生態と対応策を整理しておきます。
主に4月~6月に幼虫が葉を食害します(写真1)。様々な植物の葉を食べますが、ナラ類やブナなどの落葉広葉樹が被害を受けやすく、個体数が多い場合は山の広葉樹全体が食い尽くされることもあります。幼虫は6月に蛹化し、7月に成虫(蛾)が大発生します。成虫は、雄は色が黒っぽく小型であるのに対して、雌は白っぽく大型であるのが特徴で、雌は夏場に木の幹や建物の壁などに塊状に卵を産卵します(写真2)。
写真1 マイマイガの幼虫
写真2 街路樹に大量に産卵したマイマイガの成虫(雌)と雌雄
山全体が食べ尽くされることも多いため、ナラ枯れと同様に食害が目立ち心配されます。しかし、ナラ枯れや松くい虫のように防除対策は以下の理由から必要ないと言われています。
一つ目として、葉が全部食べられても植栽直後の稚樹をのぞき落葉広葉樹の場合は、枯れることはまれであること、二つ目として大量発生しても、「核多核体ウィルス」と呼ばれるウィルス病が大流行し、マイマイガの大量発生は終息すること、三つ目として山全体の被害であるので防除が現実的に不可能であることの三つの理由です。
ただし、山側の観点では大きな問題はありませんが、都市部に出た場合は衛生害虫として問題となる場合があります。この場合の対策は、成虫の蛾が大発生してしまってからでは効果的な駆除は出来ません。樹木や壁などに産卵された卵を削り取ってしまうことがもっとも効果的です。
マイマイガは近年富山県、岐阜県、長野県や山形県などの近県でも大発生しています。新潟県内の上越地域以外でも県北を除き多くの地域で卵塊を確認しています。このため、新潟市周辺でも今年大量発生する可能性がありますので、マイマイガの生態を理解し対応して下さい。
森林・林業技術課 宮嶋大介