試験研究の基本方針は、「森林資源の利用促進と森林の有する多面的機能発揮のための技術開発」で、主要課題は
- 「森林資源の利用促進のための技術の開発」
- 「県産材の安定供給に向けた技術の開発」
- 「特用林産物の振興に向けた研究開発」
- 「健全な森林の造成・管理・保全に向けた研究開発」です。
なお、試験研究課題は、林業関係者などからの要望や林業行政推進上の技術的課題について、必要性、緊急性等の観点から、普及・森林研連絡会議、試験研究事業連絡協議会(林業)、県農林水産技術会議研究企画委員会等を経て決定されます。
平成30年度の試験研究課題は、18(うち新規3)の予定です。
1 主な新規課題
- 「3D解析技術を活用した森林資源把握手法の確立」は、これまでの目視による調査手法では多くの人員と時間が必要になることから、近年急速に普及が進んでいるドローン等無人航空機(写真1)で撮影した高解像度のデジタル空中写真から森林の三次元情報を抽出し、立木本数や樹高から材積等を推定する手法を確立し、施業に必要な調査の省力化を図るものです。
- 「高齢化したコナラ林の確実な更新方法の検討」は、高齢・大径化したコナラ林を萌芽や植栽等を組み合わせた更新によって、短伐期施業林へ確実に誘導する技術を開発し、シイタケ原木やオガ粉の安定供給につなげることで、広葉樹資源の有効活用に資するものです。
2 主な継続課題
- 「新潟県産心去り材の加工技術の開発」は、県産スギ丸太の大径化にともない製材した心去り構造材の活用が重要になっていることから、製材・乾燥時の曲がりの抑制と適切な乾燥方法の開発を行うとともに、心去り構造材の強度特性を解明します。
- 「増収効果と機能性に優れたキクラゲ類栽培技術の開発」は、近年新潟県内でも急速に生産量が増加しているキクラゲ類の安定した栽培技術を確立します(写真2)。あわせてキクラゲ栽培は菌床シイタケの資材や施設が利用可能であることからシイタケ等との複合栽培技術を開発します。
3 成果発表会等
研究成果発表会については、昨年度はテーマ「ブナをはじめとする広葉樹林業への課題」として講演と関連する発表1題、公表成果発表3題を行いました。また、例年と同様に10月の第1土曜日に一般公開を行う予定です。多くの皆様からのご参加をお願いします。
写真1 ドローンによる写真撮影(画像提供元:林野庁下越森林管理署)
写真2 キクラゲの栽培状況
森林・林業技術課 武田 宏