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【上越】「上越地域における新田開発のあゆみ(用水編)」 を紹介します
(17) 柿崎地域の用水
改修直前の下条堰(平成13)
高田平野の北東部に位置する上越市柿崎区は、その北東にそびえる米山(993m)と東方の尾神岳の水を集めた柿崎川によって形成され、南西部は吉川区から流れる大出口川と吉川の影響を強く受けています。
この地域の耕地約1,070ヘクタールは、その支流や本川の周辺に広がっており、その用水路や排水路などの農業用施設の維持管理は、柿崎土地改良区が行っています。
各耕地へは、柿崎川にある十王堂堰・丸山堰・初田堰や平沢川にある大沢堰、吉川の下条堰など、川を堰止めて幹線用水路で水を供給しているほか、集落周辺に設けられたため池を利用して耕地へ用水を供給しています。
柿崎川中流部にある丸山堰
なお、現在の柿崎土地改良区は、昭和27年(1952)に各河川の取水堰毎にあった初田・丸山・十王堂・下条・大沢堰の普通水利組合を統合し、地区面積637ヘクタールの下黒川土地改良区としてスタートし、県営ほ場整備の実施とともに面積を拡大し、昭和49年(1974)に柿崎町土地改良区、平成19年(2007)から現在の土地改良区名に変更されました。
十王堂堰
水争いが続いた十王堂頭首工
黒川橋の上流、百木地内の柿崎川には昭和58年(1983)頃に、昔からあった堰を改修した十王堂堰があります。現在ここで取水された水は、上金原・下金原・下条・馬正面地域を潤していますが、もとの下条・馬正面地域は、吉川の下条堰に依存していました。下流の開発が進むにつれて水不足をきたし、柿崎川の丸山堰の余水を集めて増水を図りました。
しかし、さらに開発が進んだことから、江戸時代初期に十王堂堰を設置し用水確保を図りました。
この十王堂用水は一部旧丸山用水江筋を利用したものであり、途中上金原・下金原の耕地を経由して下条・馬正面地域を潤していますが、上流の人々は江筋を提供しているとして、下流との争いが近年まで続きました。
また、十王堂用水は途中、吉川を水管橋で横断していますが、水管橋が高く自然送水できないことから、その高さまでポンプを運転して水を上げ、用水を流しています。