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第29回(令和6年度)新潟県環境賞 受賞者の活動紹介
令和6年度 第29回新潟県環境賞を受賞された皆さんの活動を紹介しています。
新潟県環境賞大賞 環境保全部門:長岡市立寺泊小学校
△海を守ろう!海を楽しもう!活動
海の恵みと地域のつながりを生かした環境教育
活動の概要
本校では、海に近いことや、地域の様々な文化財がコンパクトにまとまっていることなど立地の良さを活用し、様々な体験活動を「地域の方々の協力」のもと重ねてきました。
R4年度から、これまでの活動を整理し、一歩進んだ「環境問題等(SDGs)の課題解決を意識した活動」、「児童が主体となった持続可能な活動」へと舵を切り、地域とともに実践する「参画型の活動」・「協働的な活動」を児童が中心になってつくり上げ、身近な環境問題を解決していくことを目標に定めました。
〇 「てらコミマルシェ」への参加
R4年度から、6年生が中心となり、コミュニティセンター主催のイベントに「寺小屋」という出店を設置し、「海のすばらしさと大切さ」を地域の方々にPR活動する体験型の活動を展開しています。
R5年度は、「守ろう!海の美しさ 知ろう!海の危機 守ろう!みんなの海」というテーマを設定し、下記の参加・体験型の出店を出店し、地域の方々とのつながりを大切にした活動を行いました。
・マイクロプラスチックとシーグラスを比較した環境問題を訴える「展示パネル」
・海の自然を守ることの大切さをPRするための手作りの「リーフレット」配布
・子どもたちが海で集めたシーグラスを使った「アクセサリー作り」体験
・漁協の方が漁船で取って来てくれた海水から作った「手作り塩」展示
・流木を集めて作った「流木アート」展示
・「海を守ろう!標語コンテスト」全68作品を掲載した一覧表を、地域に配布したり学校のHPに掲載したりすることで、環境問題をともに考えることの大切さを地域へ訴えかけました。
〇 全校浜活動
R6年度は、全校児童にも活動を広げ、「全校浜活動」と称した児童会活動を児童が中心となって企画しました。「海を守ろう!海を楽しもう!」というテーマを掲げ、地域のボランティアの方とともに海岸へ出かけ、「浜遊び活動」、「海岸清掃活動」を実施しました。この活動をきっかけにしながら,各学年でも「海」を核にしたさらなる活動を進めています。
このように環境問題を学ぶだけではなく、自分たちから地域へ投げかけることで、環境問題に積極的に関わろうとする意識の向上や、地域を大切にしようとする気持ちの深まりが見られています。
受賞者コメント
「海の恵み」を核にし,地域と協働しながら進めてきた実践が認められうれしく思います。「自然の素晴らしさ」と「環境問題」の両面を,児童が五感を通して実感し,問題解決に向けて地域とともに学んでいく姿を目指し,教育活動を進めています。この度の受賞を励みに,今後も,「海・地域・環境・実践・実感」を大切にし,未来の担い手・地域の担い手となるたくましくて思いやりのある児童の育成に努めてまいります。
△出店「寺子屋」で環境PR △環境保全をPRするリーフレット
新潟県環境賞 カーボンゼロ部門:新発田市立猿橋中学校生徒会
△市環境衛生課職員と生徒の意見交換会
ゼロカーボンシティ新発田市×猿橋中学校
活動の概要
猿橋中学校生徒会では、ゼロカーボンシティ宣言をした新発田市と連携し、校内と地域に脱炭素の取組を波及させる活動を続けています。
〇新発田市との意見交換
生徒会環境委員会・総務の生徒が、市環境衛生課職員から、ゼロカーボンシティ実現の取組について聞き、意見交換をしました。
〇生徒会環境委員会による脱炭素の取組の実践・表彰
・ロゴマークの作成
市のロゴマークに取組名「ゼロカーボンシティ新発田市×猿橋中学校」を追記して、校内に掲示しました。
・緑化活動の推進による二酸化炭素の削減
校内花壇を増設し、市と連携してグリーンカーテンを育てました。また、校外に「地域と学校の笑顔の花壇」を設置しました。
生徒会の取組が、次の表彰を受けました。
グリーンカーテン写真コンテスト「未来へ続けていきま賞」 花壇コンクール「優良賞」
・校内の脱炭素の実施
照明や冷暖房のこまめな消灯を呼びかけました。また、不要になった学用品等をフードバンク新発田に提供する活動を行いました。
〇保護者や地域・市民への脱炭素の取組の波及
・生徒会による実践発表
生徒会が、市で開催された「環境エコカーニバル」で、取組を紹介するとともに、ゼロカーボン活動の実践を市民に呼びかけました。
・広報活動
学校だよりやHP等で生徒会の活動を発信しました。
受賞者コメント
猿橋中学校生徒会では、新発田市環境衛生課とも連携し、「ゼロカーボンシティ新発田市×猿橋中学校」に取り組んでいます。花壇やグリーンカーテン、節電など、地道ですが大切な活動を継続してきました。「環境エコカーニバル」で実践紹介もしました。今回の受賞を大きな励みにして、これからも、地域と共に末永く活動を続けていきます。私たちが住む新発田市、日本、そして、地球の未来の環境を守ることに寄与していきたいです。
△生徒会が、市の「環境エコカーニバル」で実践発表をしました。△「地域と学校の笑顔の花壇」市の花壇コンクールで「優良賞」を受賞しました
新潟県環境賞 カーボンゼロ部門:グリーンサーマル三条株式会社
△ボイラー外観
山林未利用材を活用した電気の地産地消
活動の概要
元々林業が盛んであり、森林資源が豊富な三条市下田地区の未利用材を利用しての木質バイオマス発電所を稼働させることにより、森林資源の循環と雇用を生み出し、事業を通じて環境の保護と持続可能な循環型社会の一端を担っています。
平成29年9月に三条保内発電所の運転を開始しました。
三条市内及び県内外の林業から出た間伐材をチップ化したものを燃料とし、おおよそ900度で燃焼し蒸気を作り、蒸気のエネルギーでタービンを回転させて発電します。
下田地区を中心に山主様や南蒲原森林組合様からのご協力をいただきながら森林を伐採し、山主様から希望のあった箇所については植林を実施しています。
また、保内地区の園芸事業者様、三条市緑のリサイクルセンターを通じて大島地区、代官島地区の果樹農家様からの剪定枝を受入れ(年1,500~2,000トン)、これらも燃料として活用しています。
木質バイオマス発電所で発電された電力を三条市内の公共施設で利用することにより、”電力の地産地消”を行い、カーボンニュートラルの推進を図ります。
地域の方々に地元の森林保護に関心を持っていただけるよう、近隣の小中学校、高校、大学からの見学を受け入れるとともに、住民向けの内覧会を定期的に開催しています。
発電所施設や林業(間伐・植林)等について解説した映像を視聴いただき、安全を確保した上で場内をご案内しています。
受賞者コメント
この度は数ある活動の中からこのような栄誉ある賞をいただき、喜びと驚きを感じております。
山林の未利用材を活用した木質バイオマス発電には未だ課題もございますが、今回の受賞を励みに、持続可能な循環型社会実現のため活動する一員として邁進する所存です。
△園芸業者様からの剪定枝を粉砕する様子 △内覧会にて近隣の皆さまをご案内
新潟県環境賞 地域創り部門:新潟海さくら(エシカライズ)
△快晴の中でのビーチクリーンは爽快です!
エシカライズ~地球に、街に、人に優しいエシカルアクション~
活動の概要
エシカライズはEthical+Rise=Ethicarise 倫理的上昇というオリジナルの造語です。定期的なビーチクリーン活動をはじめ、CSR活動、イベントや講演授業を通して1人でも多くの方に環境問題について知って頂くための活動を行なっています。人と未来に優しく。まずは「知ること」で、買うものや行動といった選択がきっと変わるはず。持続可能な社会を意識した取り組みを、楽しみながら日常生活の中に取り入れることが1番大切であると考えます。100年先の地球にたくさんの生命が生まれる未来のために。自分のため。周りの大切な方のため。できることはなんだろう?そう思っている方が、気軽にエシカルアクションに取り組める、エシカライズはそんな場でありたいです。
拠点として活動をしている日和山浜は新潟市中心部からのアクセスも良いのですが砂浜には多くのゴミがあるのが現状です。せっかく場所も良いのにこれでは勿体ない!という思いで活動を始め、最近では参加者の人数も増えてきました。エシカルアクションを多くの人に知ってもらい、日常に取り入れて頂きたい。 一人ひとりが細やかでも行動を起こすことで、 世界は必ず良くなっていく。
エシカルが特別な言葉ではなく、 <日常のコト>として浸透していくことが私達の目標です。
受賞者コメント
この度は新潟県環境賞「地域創り部門」を受賞できたこと、大変光栄に思います。この受賞は、私一人の力ではなく、日頃から支えてくださる皆様のおかげと思っています。特に、共に活動してきた家族や仲間、地域の皆様には心から感謝申し上げます。
私たちは地域の自然環境を守りながら、環境教育にも力を注いでおります。 この受賞を励みに、美しい新潟の自然環境を次世代に引き継ぐため、今後も地域の皆様と手を携えて積極的に活動を展開してまいります。
△特に春先はたった1時間でこれだけのゴミが集まります △海ゴミ問題に関する授業の様子です
新潟県環境賞 地域創り部門:新潟・ラベンダー物語
△6月下旬、刈り取り初日のラベンダー
人と人を、心とこころを、つなぐ、新潟・ラベンダー物語~耕作放棄地の可能性・無農薬ラベンダー栽培から生まれる元気な未来~
活動の概要
ストレスから不調を来たしうつ病と診断され休職するなど、現代医学が苦手とする病で人生を楽しめなくなる人が増加しています。国や一部の医療機関はアロマテラピーを健康法として認めており、うつ病を改善する報告もあります。私達は自然治癒力を高めるアロマテラピーと共に、園芸活動普及の必要性を感じてきました。
こうした中、苺畑ができなくなった高齢女性と出会い、その耕作放棄地を借りることができたため、耕作放棄地にラベンダーを植えることで農地として再生し、収穫体験を通じて地域の方々に交流の場を提供する活動を始めました。
これまで延べ100人のボランティアが参加してラベンダーを栽培し、新潟市産の希少な「無農薬ラベンダー精油(エッセンシャルオイル)」を製造して、アロマを活用した市民向け健康講座を開催しています。
畑の維持管理や製品のデザイン等で障がい者施設とも連携しており、最初は100株から始めたラベンダー栽培も、農地、公園、複数の障がい者施設などで園芸福祉活動が広がり、現在は新潟市、長岡市、十日町市に3か所、合計2千株に拡大しました。地域の景観維持・向上に貢献するとともに、心身の健康と楽しみを与える機会を提供しています。
この取組を通じて、土に触れ、香りに触れることで元気・活力を取り戻し、心身の健康回復を体感、天寿まで人生を過ごすことができる「人づくり」「地域づくり」をめざし、セミナー、精油・アロマスプレー・石鹸などの製品作りで全国に向けて発信しています。
受賞者コメント
新潟県環境賞地域創り部門の受賞に際し感謝申し上げます。受賞の喜びと同時に、無農薬ラベンダーの自家栽培・自家蒸溜・畑から育むアロマセラピー市民講座活動による「香りの街にいがた創り」への使命感を強く感じています。これからも福祉施設と連携する環境保全活動、もの作り・健康作り・仲間作りを継続し、持続可能な未来への貢献を微力ながら重ねていく所存です。
△ラベンダー・バンドルズワークショップ △市民向けアロマテラピーセミナー
新潟県環境賞 環境教育・学習部門:弥彦村立弥彦小学校
△菊まつり観光客へのPR
伝統を受け継ぎ、地域を結ぶ菊栽培を通じた環境教育~私たちの手で菊花薫る村にしたい~
活動の概要
毎年11月に弥彦村の越後一の宮「彌彦神社」境内で新潟県菊花展覧会(弥彦菊まつり)が開催されます。近年は菊を育てる地元の方が高齢化しており、菊の出品数が減少し、菊作りの優れた栽培技術を次世代へ引き継いでいくことが課題となっています。そこで、当校の4年生は、平成24年から新潟県菊花連盟弥彦支部「清香会」の指導を受けながら毎年菊の栽培に取り組んでいます。この活動は今年で12年目を迎えました。
菊の栽培活動は、4年生の総合的な学習の時間に行っています。5月に清香会の皆様から菊の美しさ、菊栽培の魅力と難しさ、菊まつりについての話を聞き、菊栽培への思いを膨らませます。
6月には指導を受けながら全員が自分で土を作り、自分の鉢に植える作業を行います。作業にあたっては、排水性を考慮し、赤玉土を適量入れ、丁寧に優しく苗を植えこみます。その後、根付くまではしおれないように毎日こまめに水やりを行います。6月下旬から7月にかけて、脇芽摘み、支柱立て、防虫を行い、愛情込めて育て上げました。全校児童も菊の生長を見守っており、植物への愛着を育む場となっています。
11月に大輪をつけた自分の菊に一人一人が菊への思いを込めたメッセージを付けて菊まつりに出品します。子どもたちは菊まつり会場で、来場者に菊の魅力、植物を愛することのすばらしさを伝えています。また、子どもたちは、春からの活動を通じ、弥彦村に根付く菊作りの伝統と文化を実感し、ふるさとへの愛着、地域とのつながりを深めています。
受賞者コメント
児童は、自分たちが地域の方の指導の元、丹精込めて育てた菊花を多くの人達に知ってもらいたい、菊作りの素晴らしさを広げたいという思いを、活動を通じてもつことができました。また、昔から弥彦で菊を愛し、育てている方がいること、菊まつりという素晴らしい祭りがあることを知り、ふるさと弥彦村に対して誇りをもち、弥彦の環境を守りたいという意識をもつことができました。
△清香会の指導による菊の鉢植え △環境委員会による学校いっぱい活動
新潟県環境賞 エコの芽部門:社会福祉法人勇樹会白根おおぞら保育園
△7月 小豆、ズッキーニ、モロヘイヤ、オクラの種まき
”もったいない”を肥料に~段ボールコンポスト~
活動の概要
新潟市南区役所区民生活課と連携し、野菜くずをたい肥に変え、肥料として利用して野菜を育て、収穫して食べるという取組を行いました。
5月、段ボールコンポストとは何か?野菜くずを再利用すると地球にどんないいことがあるのかなどを子どもたちにわかりやすく説明しました。給食室と家庭から出る野菜くずをミキサーで粉々にし、土を混ぜ、たい肥作りを行いました。10日間、子どもたちと一緒に野菜くずをミキサーで粉々にし、混ぜて寝かせる作業を継続的に行い、その後1か月ほど寝かせます。
7月に野菜(ズッキーニ、小豆、モロヘイヤ、オクラ)の種まき、育成を開始しました。毎日の水やりを行い、収穫できる時期を楽しみにして待ち、8月末に収穫。子どもたちは大きく生長した野菜を見て喜んでいました。収穫後、段ボールコンポストの活動の振り返りを子どもたちと行い、収穫した野菜は給食でいただきました。
子どもたちは普段捨ててしまうような物も再利用できることに気づき、“もったいない”の気持ちを育むことができました。また、「何か自分たちでできることはないか。」と考える力につながりました。
受賞者コメント
3年前より 地域の方にご協力いただき 、野菜くずを使った 作物 づくりに取組ん でいます 。この活動をきっかけに 地域 との関わりが 生まれ、 園児 や保護者 にも 身 近でできる エコ活動に 関心をもって もらう機会となりました 。この度受賞を受け活動を振り返ると、 南区役所 区民生活課 の方との 連携 、協力があったからこそ と思っております 。これからも地域 との関わりを大切に 活動を広げ 、継続して 行 いながら 自分たちにできることを 取り組んでいきたいです 。
△野菜くずを粉々にして土に混ぜて寝かせます △8月 地域の学生さんもいっしょに収穫
新潟県環境賞 特別賞:木村 龍眞さん
△周辺の調査をしているところ
トウホクサンショウウオと暮らす阿賀野市であり続けるために~今の僕にできる保全活動~
活動の概要
毎年、春になると自宅近くにトウホクサンショウウオが姿を見せます。”小学生のいたずらから守りたい”と思い調べていると、新潟県で準絶滅危惧種に指定されている生き物である事を知りました。トウホクサンショウウオと共に暮らす阿賀野市、新潟県であり続けて欲しいと思い活動してます。いたずらに対して注意をしたり、毎年3月~5月の産卵時期には水たまりや側溝に産まれて、そのままでは死んでしまうと思われる卵を安全な場所に移す活動もしてきました ”トウホクサンショウウオを守りたい、保全するにはどうしたらよいのか?”と思い、2022年8月、新潟大学ジュニアドクター育成塾4期生に入塾しました。永田教授による「トキの野生復帰と佐渡の里山」を聴講しその中で『その地域に住む生き物を守り育てていくためには、その地域に暮らす人の理解が必要である』(一部抜粋)との話が心に残りました。自分の意見を主張したり、相手を注意するのではなく、そこに暮らす人に“理解してもらうこと”が必要だと気付かされました。
そこで、トウホクサンショウウオについての意識調査のアンケートを2022年10月~2024年3月までに市内の小学校3校に実施しました。認知度は地域により異なりましたがトウホクサンショウウオを知ってもらえた事は保全に向けての一歩だと感じました。また、笹岡小学校環境委員会2名が共感してくれ、トウホクサンショウウオに関するポスター作成や、保全のための劇を考えてくれた事はとても嬉しく思っています。
新潟大学ジュニアドクター育成塾ドクタークラス4期生修了後はN-step新潟に在籍し、2024年度には新潟大学農学部筒浦さとみ准教授のもとでトウホクサンショウウオの産まれた後の卵の殻の抗菌活性試験に挑戦しました。また、自宅での飼育、観察を行いながら、冬の住拠となる落葉樹のある場所の調査や、卵の移動、産卵に適していると思われる山清水がたまるような場所などの周辺を調査しています。
受賞者コメント
「トウホクサンショウウオを守っていきたい!阿賀野市・新潟県でこれからも暮らし続けることができるように・・・」という思いから生まれた活動です。このような賞をいただきとても嬉しく思っています。専門家の皆様、御協力いただいた各学校、先生方に心から感謝致します。トウホクサンショウウオの魅力をこれからも伝えていきたいと思います。
△地域の小学生に依頼したアンケート
過去の受賞者の紹介
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