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多自然川づくりの取り組み

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0048499 更新日:2024年2月1日更新

 多自然川づくりは特別なことではなく、河川整備事業などで工事が行われるときに工事と一緒に行われます。
 川全体の自然の営みを考えて、地域の暮らしや歴史・文化との調和にも配慮して、川が本来持っている生物の生息・生育・繁殖環境や多様な河川景観を守り、取り戻すための方法です。
 下にひとつの事例を挙げていますが、全ての川で同じ方法を取るのではなくて、河川ごとや地域ごとに違うそれぞれの特長を考えながら、工事を行っています。

施工時の環境配慮事例

流水の濁りを抑制しながら施工した事例

 沈砂池を設けて施工を実施することで、周辺環境への負荷を軽減することができます。土のうや専用資材を利用し、沈砂池を設けるほか、現地発生の転石を配置することで沈砂池を設ける方法があります。

沈砂池設置状況

従前の良好な澪筋を保全しながら施工を実施した事例

 掘削による澪筋の改変を最小とすることで、長い時間をかけて形成された良好な河岸・河床の状況を保全し、

 生態系への影響を最小とします。

澪筋保全の様子

生物の生息・生育・繁殖環境の保全に配慮した事例

掘削に伴い巨石が発生した場合に、護岸基礎部の埋め戻しや、河床低下部への河床整正に優先的に利用します。

多様な流れを創出し、生物の生息・生育・繁殖環境に適した河床状態を保つだけでなく、護岸等構造物付近に寄せ土・寄せ石を実施することで、河川構造物の安定性確保に寄与します。

転石の配置状況

 

滝谷川の事例

 滝谷川は五泉市を流れる信濃川水系能代川の支川です。平成12年の水害の後、能代川とその支川では、多自然川づくりによって、水害対策事業や河川改修事業が行われました。
 川づくりの工夫として

  • 川が自分の力で自然に澪筋(みおすじ:水の流れによって作られる筋)ができるように、左右岸の護岸ブロックの間に余裕を持たせました。
  • 川岸から水際まで植物が連続して生えることができ、生物の移動ができるようにしています。
  • 護岸ブロックが植物で覆われて、周囲の田園風景と調和するようにしています。

滝谷川写真
滝谷川

滝谷川横断の画像
滝谷川横断図

 

塩谷川の事例

 塩谷川は信濃川水系刈谷田川の支川で、その源を長岡市(旧栃尾市)・三条市境に位置する山地に発し、途中葎谷川、九川谷川および田中沢川などと合流し、見附市で刈谷田川と合流する流域面積58.1km2、流路延長約15kmの一級河川です。

 平成23年7月の新潟・福島豪雨では、洪水流量が塩谷川の流下能力を大きく上回り、ほぼ全川で越水し、宅地被害307戸(全壊8、半壊28、床上浸水210、床下浸水61)、浸水面積215haと甚大な被害が発生しました。

 これを契機に水害対策事業による河川拡幅とともに、河川環境に配慮した多自然川づくりを実施しました。河床の平坦化により河床形態が固定化しないよう、瀬・淵・ワンド・細流など多様な環境を再生し、工事着手前の河川環境に近づけることで生物の多様性の回復を目指しました。

目標(塩谷川)

 施工後のモニタリングを実施しており、瀬や淵が保全されている状況が確認されています。

モニタリング(塩谷川)

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