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アトピー性皮膚炎について

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0462273 更新日:2022年3月3日更新

はじめに

 アトピー性皮膚炎の治療では、皮膚をていねいに洗い保湿剤を塗る「スキンケア」を、「薬物療法」と並行して行うことが大切です。

 そこで、アトピー性皮膚炎の治療に役立つ情報について、皮膚科専門医の新潟大学大学院医歯学総合研究科 分子細胞医学専攻細胞機能講座 皮膚科学分野 助教 長谷川 瑛人先生からお話を伺いました。

 

医師イラスト

〔長谷川 瑛人先生のプロフィール〕

2014年4月に、新潟大学皮膚科へ入局後、2017年4月新潟大学大学院医歯学総合研究科に入学。同大学院を2020年9月に御卒業され、2020年10月に新潟大学皮膚科 特任助教へ御就任を経て、2021年4月~現在に至るまで、新潟大学皮膚科の助教として、臨床現場を中心に御活躍されています。

 

Q1. アトピー性皮膚炎は、どのような病気ですか?

 A1. アトピー性皮膚炎とは、かゆみを伴う皮疹(ひしん)が繰り返し現れる病気です。顔や首、肘、膝などに左右対称に皮疹(ひしん)が出てくることが多いです。

 また、アトピー性皮膚炎の患者さんは非常に多くいらっしゃいます。日本では、小学生より小さいお子さんの約10%がアトピー性皮膚炎と言われております。

 

Q2. どうして皮疹(ひしん)やかゆみが生じるのですか?

 A2. 皮膚は、体から水分が必要以上に逃げてしまうのを防いだり、細菌などの外からの異物から守るのに重要な役割を果たしています。この機能を「バリア機能」といいます。

 アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚は、このバリア機能が弱くなっていることが分かっています。これにより、水分が外に出てしまい皮膚が乾燥したり、外から異物が侵入しやすくなってしまいます。

このような状態では、皮膚で炎症が起きやすく、その結果として皮疹(ひしん)やかゆみが生じてしまいます。

 

Q3. どのような治療方法がありますか?

 A3. アトピー性皮膚炎の治療においては、症状があっても日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要にならない状態に到達し、それを維持できることを目標にします。

そのためには、「薬物療法」と「スキンケア」の2つが重要になります。

◇ 薬物療法

 薬物療法は、皮膚の炎症を抑えることが目的です。

 さまざまな治療法がありますが、アトピー性皮膚炎診療ガイドラインでも第一選択として推奨されている治療法は「ステロイド外用薬」です。

 「ステロイド外用薬」を塗ることで、かゆみが治まり、見た目がきれいになります。

 ここですぐに薬を塗るのをやめてしまうと、また皮疹(ひしん)がぶり返して、また塗り薬を使用する、という繰り返しが起きてしまいます。

 現在は、見た目がきれいになって、かゆみがおさまってからも間隔をあけながら塗り薬を続けていく「プロアクティブ療法」が勧められています。「ステロイド外用薬」を塗る量、期間、間隔については、医師と相談しながら治療を続けていくと良いでしょう。

 

「ステロイド外用薬」のワン・ポイントアドバイスひらめきマーク  ステロイド

”ステロイド”と、聞くと使用について不安を感じる患者さんもいらっしゃると思います。

「ステロイド外用薬」は、塗った部分にのみ作用し、全身への影響は少ない薬剤です。

「ステロイド外用薬」の局所的副作用としては、
ステロイドざ瘡(通称:ニキビ)、ステロイド潮紅(ちょうこう)、皮膚萎縮(いしゅく)、多毛、細菌・真菌・ウィルスによる皮膚感染症、アレルギー性接触皮膚炎などがあります。病変の皮疹(ひしん)の程度、部位、年齢を考慮して適切なランクの「ステロイド外用薬」を選択し、必要な期間に限定することによって、局所的副作用の発症の頻度を下げることができると言われています。

したがって、薬の量や期間などを適切に使っていれば、大きな副作用が起こることはほとんどありませんので、医師の指示に従って正しく使用することが大切です。

 

◇ スキンケア

ボディソープ スキンケアも大切な治療のひとつです。

 アトピー性皮膚炎におけるスキンケアとは、皮膚を清潔に保つことや、 保湿をしっかりしてバリア機能を助けてあげることです。

     アトピー性皮膚炎では、皮膚についた細菌によって症状が悪化してしまうと言われています。アヒル

     からだを丁寧に洗ったあとに、保湿剤を塗って水分を補います。

                                                                                                         

からだを洗う時のコツをご紹介しますひらめきマーク 

  • 温度

 入浴、シャワーの時のお湯の温度は38度~40度がちょうどいい温度です。

 42度以上の熱いお湯は、皮膚の保湿成分である皮脂が溶けてしまったり、かゆみが強くなったりしてしまいます。

 

  • 石けん、洗浄剤

 石けんの泡はよく泡立ててからだを洗いましょう。泡立てネットなどを利用すると泡を立てやすくなります。

  しっかり洗うことも大切ですが、ナイロンタオルや目の粗いタオルでごしごし強くこすってしまうと、皮膚を傷めてしまうので、たっぷりのきめ細かい泡で、優しく洗うとよいでしょう。

 ひじの関節や首などは、しわが多いので、手でしわを伸ばして洗うこともポイントです。

 

  • 洗ったあと

 からだを洗った後の石けんの泡はしっかり流しましょう。石けんが皮膚に残っていると、刺激になってしまうことがあります。体を塗る女の子

 泡を流したら、タオルでこすらずに、やさしく包み込むように拭きましょう。

 入浴、シャワーのあとは、皮膚が乾燥する前に保湿剤を塗って、しっかり皮膚の潤いを保ちましょう。

 

最後に

アトピー性皮膚炎は、完全に治すことは難しい病気です。

しかし、しっかりと治療を行えばコントロールすることはできる病気です。

 正しく薬物療法を行い、スキンケアを行いながら、日常生活にできるだけ影響がなくなるようになることを目指して治療を行っていきましょう。

 

 

リーフレット

   「薬物療法」と「スキンケア」のポイントをまとめたリーフレットを作成しました。ぜひご活用ください。

 

参考リンク

 

 

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