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平成30年2月14日 新潟県知事 定例記者会見

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0050557 更新日:2019年3月29日更新

(記者会見の動画を新潟県公式YouTubeチャンネルでご覧になれます)<外部リンク>

  1. 日時 平成30年2月14日(水曜日)
  2. 場所 記者会見室
  3. 知事発表項目(10時30分~11時17分)
    • 平成30年度当初予算案について
    • 平成29年度2月補正(冒頭提案)予算概要について
    • 財政運営計画の改訂について
    • 平成30年2月県議会定例会提出議案について
    • 平成30年度組織改正の概要について
  4. 質疑項目(11時17分~12時31分)
    • 平成30年度当初予算案及び財政運営計画の改訂について
    • 平成30年度組織改正の概要について
    • 平野歩夢選手の銀メダル獲得について
    • 原発関連問題について

知事発表

平成30年度当初予算案について

 平成30年度当初予算案についてご説明します。一般会計の予算規模は、1兆2,392億円であり、前年度の当初予算と比べて156億円、1.2%の減となります。これは特殊要因がありますので、後ほど説明させていただきます。
 予算編成に当たっての視点ですが、本年1月に策定した「にいがた未来創造プラン」の基本理念である「命と暮らしが守られ、一人一人が未来への希望を持って自らの幸福を実現できる新潟県を創る」取組を積極的に推進するという基本的な考え方の下で、予算編成を行ってまいりました。県費負担教職員に係る給与負担の政令市移譲への影響、これは先生の給与が新潟市へ財源と一緒に移譲されたというのがあります。これが予算額が減っている一番大きな理由になります。また、中小企業金融対策に係る過年度貸付け分の減少、これは貸付けが減ったということで、金利が非常に低いので、一般的な民間からの貸付けもあり、減っているということで、これもある種の特殊要因かと思います。そういった予算総額が減少する特殊な要素がある中で、「命と暮らしを守り、現在と未来への責任を果たす」ために必要な予算については、確実に措置したと自負しています。具体的には、人口減少対策をはじめ、新たな総合計画で掲げた目標の達成に向けた取組を積極的に展開するとともに、インフラ施設の適正な維持管理、老朽化対策や、県立病院等の運営など医療環境の確保・充実をはじめとした、本県が現在抱えている課題に対して適切に対応するための予算を盛り込んだところです。このような取組や課題に対応するため、歳入を適切に見込んだ上で、なお不足する財源については、財源対策的基金からの繰入れにより措置したところです。
 歳入のポイントですが、県税については、教職員の給与負担に係る政令市への税源移譲により個人住民税が減少したことなどにより、前年度当初予算よりも67億円、2.6%の減を見込んでいます。また、普通交付税及び臨時財政対策債については、歳出特別枠の廃止等、国の地方財政対策における減少や、本県における公債費に対する交付税措置の減少により、前年度より15億円、0.5%の減を見込んでいます。先ほど申し上げました財源対策的基金については、前年度より36億円増額して、96億円を取り崩すこととしています。これは一定程度、かなりの割合で繰り戻すということになります。
 歳出のポイントですが、歳出は「にいがた未来創造プラン」において掲げた本県が目指す五つの将来像を基本にしてつくってまいりました。将来像は、(1)健やかに伸び伸びと共に暮らせる新潟、(2)安全に安心して暮らせる新潟、(3)活力ある産業と働きやすい新潟、(4)魅力と賑わいのある新潟、(5)学びやすく、成長・活躍できる新潟、この五つの柱を掲げて予算を編成しています。また、人口減少問題への対応については、この五つの将来像の実現に向けた政策を総動員して取り組んでいきます。この五つをやっていく中で、人口減少対策になっていくと捉えています。その他、本県の抱えている課題への対応についてですが、昨年末に道路陥没が起こってしまいましたが、インフラ施設の適正な管理の徹底と長寿命化対策を推進するために、投資事業全体で前年度より12億円増となる1,906億円を計上しています。また、県立病院及び魚沼基幹病院の安定的な運営や、本年4月からの燕労災病院の運営開始などにより、病院事業会計及び基幹病院事業会計への繰出金については、前年度より8億円増となる163億円を計上したところです。
 次に項目ごとに見てまいります。冒頭で申し上げた基本的な考えの下に「にいがた未来創造プラン」の実現に向けた取組について、項目ごとに見てまいります。
 一つ目の大項目として、健やかに伸び伸びと共に暮らせる新潟を実現します。まず、地域で安心して医療が受けられる体制の整備と、魅力ある勤務環境づくりを通じた医師等の確保についてということで、これは医療分野になります。重点的と言いますか、特徴のあると言いますか、医療分野における取組に関しては、まず、健康・医療分野のビッグデータの利活用に向けて、「県民健康ビッグデータプロジェクト推進事業」により、県民健康ビッグデータ構想の策定を行うとともに、DPCデータなど医療データを用いた先行的な分析を実施します。これは(将来的には)病院の決算と言いますか、病院の会計を改善する役も果たしますし、また県民の皆さんの健康にも資すると理解しています。また、県立病院へのクラウド型電子カルテの導入に向けたシステム構築に着手するとともに、(県立病院の)統合データベースの整備に向けた基本計画を策定します。次に、医師不足と地域偏在の解消に向けて、都市部への更なる医師の集中が懸念される専門医制度への対応、これが始まりますので、複数の医療機関が連携して行う研修内容を充実させる取組を支援するとともに、医学生に対する奨学金の貸与を拡充してまいります。次に、看護職員の更なる養成と確保に向けて、平成32年度開設予定の県立十日町病院附属看護専門学校の看護教員の養成等を行うとともに、訪問看護従事者の資質向上や看護職員の再就業支援などに取り組んでまいります。次に、安心して医療が受けられる体制の整備に向けて、地域医療構想に基づく複数病院の再編による中核的病院の整備を支援するほか、夜間の急病に対する不安解消や医師の負担軽減のために、昨年12月に開設した電話相談窓口を引き続き設置し、運営してまいります。次の中項目として、伸び伸びと子どもを生み育てられる環境の実現を掲げています。結婚を希望する方を応援する取組として、個別マッチングの取組を引き続き実施するとともに、市町村が行う広域的な出会いの場の創出や、企業・団体と連携したイベントを支援します。次に、地域の総力を挙げた子育てしやすい環境の充実に向けて、少子化対策モデル事業の成果を踏まえ、「地域の子育て力育成事業」により、NPO等が行う地域における子育て支援の取組を新たに支援してまいります。また、子ども医療費助成については、交付水準を小学校6年生までの子どもの人口に引き上げ、増額するとともに、「にいがた子育て応援企業」に認定された企業における妊娠・出産に関する相談に対応するため、助産師等の専門家を新たに派遣します。次の中項目として、共に暮らせる福祉の充実についてですが、まず、介護人材の確保に向けて、介護の魅力発信や介護人材のマッチング、再就業支援など、介護人材の確保に向けた総合的な取組に加え、キャリア形成や資格取得など、離職防止対策について、重点的に取り組んでまいります。次に、高齢者・障害者の生活を支える取組として、介護予防に重点を置き、効果的な介護プログラムの策定や、市町村へのリハビリ専門職の派遣等を実施します。また、医療的ケアを必要とする子どもを受け入れる保育所については、看護師を派遣します。
 次に、二つ目の大項目として、安全に安心して暮らせる新潟県を実現します。まず、原子力発電所に関する3つの徹底的な検証を行います。検証総括委員会、技術委員会、健康・生活委員会、避難委員会を開催し、「福島第一原発事故の原因の検証」、「原発事故が健康と生活に及ぼす影響の検証」、「万一原発事故が起こった場合の安全な避難方法の検証」を進めてまいります。次の中項目として、インフラ施設の適正な管理の徹底と県民の安全で安心な暮らしの確保についてですが、冒頭でも申し上げましたが、年末の出雲崎町における道路陥没事故を踏まえて、日常の道路管理体制を強化するため、新たに、道路の異常に関する情報を一元的に管理・共有するシステムを構築します。これは電子的なシステムということです。また、橋りょう・トンネル等の定期的な点検結果や補修内容等のデータベース化を進めるとともに、施設の長寿命化に向け、劣化状況や補修の優先度を、新たに一元的に管理します。これは先ほどのものと併せて、道路そのものの一元的管理、また、そういった様々な補修状況や点検状況も一元的にシステム上でしていくということをつくってまいります。次の中項目、災害に強い地域づくりについてですが、糸魚川大火の教訓を踏まえた、地域防災力の向上に向けて、「地域火災予防対策強化支援事業」により、木造密集地域における連動型住宅用火災警報器、これはイメージとしては長屋において火事と言うか煙が出たら、他の長屋全体で(火災警報器が)鳴るということなのですが、この連動型住宅用火災警報器、また、自動消火装置、簡易水道消火装置の整備を支援します。また、防火対策の講習会やワークショップを開催し、防火意識の向上につなげてまいります。
 次に、三つ目の大項目として、活力のある産業と働きやすい新潟県を実現します。まず、県民所得の向上に向けた意欲ある企業等の支援についてですが、県内企業の生産性向上と高付加価値化に向けて、生産性向上につながる設備投資を支援するとともに、県内企業における高度外国人の活用や外国人技能実習制度の適正な運用を確保するため、「新潟県外国人材受入サポートセンター」を新たに設置します。これは比較的新しい打ち出しかと思います。「AI・IoT活用ビジネス創出事業」により、健康・医療分野の導入モデルの実証や、中小企業におけるモデル的なシステム導入を支援してまいります。AI・IoTを活用するものであればということです。基本的にはそういったものの導入を支援するということになります。次に、起業・創業を支援する取組として、若年層の起業マインドを醸成し、経営者等による支援ネットワークを形成するとともに、身近なビジネスでの起業から事業承継による起業まで、多様な形態の創業に対する支援を拡充してまいります。また、ふるさと納税やクラウドファンディングを活用した創業・第二創業を支援します。次に、再生可能・次世代エネルギーの活用促進に向けて、「再生可能エネルギー設備導入促進事業」により、再生可能エネルギーの自家消費拡大のために蓄電設備等を導入する企業を支援します。これは送電の問題がいろいろありますので、そこにあまり拘泥せずにということです。また、今後増加が見込まれる風力発電のメンテナンス業務への参入を支援してまいります。また、燃料電池車の普及に向けて、水素ステーション設置を支援するとともに、県で燃料電池車を率先して導入してまいります。また、若者に選ばれる企業誘致を推進するために、企業立地関連の補助金を統合・再編し、これはいろいろありますけれども、多くの部分は給与ということになりますけれども、良質な雇用や高い付加価値を創出する企業の立地を重点的に支援します。次の中項目、誰もが働きやすい環境づくりについてですが、働き方改革の推進に向けて、ワーク・ライフ・バランスを推進するために、企業ニーズに応じた支援を総合的に行うとともに、新たに長時間労働是正のためのキャンペーンを政労使一体となって取り組んでまいります。また、「男性の育児休業の取得促進を図る助成金制度」については、助成対象を「子どもが1歳2か月になるまでに開始した育児休業」に拡大します。これはあまりにも期間が短すぎるというご意見もあったところですので、お子さんが1歳2か月になるまでに開始する育児休業ならよいというふうに改めました。働くことを希望する方の就労促進に向けては、育児や介護を行っている方に配慮した職業訓練コースを拡充してまいります。育児や介護を行いながら職業訓練を受けやすい、そういうコースをつくるということになります。次の中項目、暮らせる・稼げる21世紀型農林水産業の実現についてですが、まず、平成30年以降の米政策に的確に対応するための取組として、「新たな米政策に対応する新潟米総合生産対策」を立てまして、新潟米基本戦略に合致した取組を支援するとともに、業務用米等の生産拡大や多収穫・低コスト生産に取り組む産地等を総合的に支援してまいります。また、業務用米の需要拡大に向けて、首都圏等の大口実需者に対する商談会等を拡充します。次に、新潟米のブランド化に向けて、「コシヒカリと言えば新潟県」という産地のイメージをさらに強化するということですが、産地のイメージ強化につながるPRを行うとともに、デビュー2年目となる新之助について、プレミアムブランドの確立と定着を図るため、CM等により首都圏等におけるPRを実施します。次に、高収益の園芸産地の形成に向けて、ほ場整備地区における大規模園芸産地の形成に必要な機械整備や施設整備を支援します。次に、中山間地域の維持と持続的な営農体制の構築に向けて、中山間地域において農業を営むことで他産業並みの所得を確保できる仕組みを国に提案するため、「公的サポートモデル事業」において、これは比較的好評であったと今のところ把握しておりますが、対象地区を追加して、経営発展効果を検証してまいります。「雇用を契機とした法人経営発展支援事業」により、中山間地域の雇用の受け皿となる農業法人に対して、新規就農者の雇用と、多角化・複合化に向けた取組を一体的に支援してまいります。次に、林業と水産業の振興に向けて、木材の生産拡大や資源フル活用のためのシステム導入を支援してまいります。また、漁業者が流通・加工業者と連携して取り組む新商品開発や販路開拓を支援します。
 次に、四つ目の大項目として、魅力と賑わいのある新潟県を実現します。まず、若者のU・Iターンと県内定着の促進についての取組としては、U・Iターンの促進に向けて、「Uターン促進奨学金返還支援事業」の要件を緩和し、県外就業要件を、今までは大学卒業後3年以上だったのですが、これを1年以上に短縮するほかに、短大、高専、専修学校卒業者を対象に加えるとともに、県内での雇用形態についても雇用期間が1年以上あれば正規・非正規を問わず対象とすることとしました。だいぶ範囲が広がっていますので、ぜひご利用いただければと思います。市町村が行う移住者受入の取組について、首都圏でのネットワークづくりや、地域住民を対象とした移住者の受入研修などを新たに支援メニューに加えるなど拡充し、総合的に支援してまいります。また、SNS等を活用した情報発信を強化するとともに、首都圏における各種メディアを通じた広報やイベント等により、本県の魅力や重要施策を発信してまいります。次に、県内外の大学生の県内就職の促進に向けて、新たに、保護者向けセミナーや企業見学会、合同企業説明会を開催します。また、県内で就職活動を行う県外学生の交通費等を支援するとともに、首都圏における合同企業説明会については、開催回数を増やして実施してまいります。また、U・Iターンに関し、協定を締結している大学と協力し、本県へのU・Iターンに関心を持ってもらうためのイベントを開催します。次に、多様な地域資源を活かした観光振興と交流人口の拡大についてですが、魅力ある観光地づくりに向けて、「日本海美食旅(ガストロノミー)推進事業」により、新潟の食文化と観光を融合した滞在型観光の取組を支援します。次に、国内外からの誘客の促進に向けて、2019年秋に、本県と庄内エリアで実施されるJRのディスティネーションキャンペーン関連の取組を推進します。外国人観光客向け広域観光周遊ルートの旅行商品造成や、首都圏における外国人観光案内所と連携した情報発信を行います。また、新たに、上海、香港、タイ、シンガポールに観光コーディネーターを配置します。これは現地の方ということです。次に、北東アジアをはじめとする諸外国との交流についてですが、海外との経済交流と人的交流の推進に向けて、新たに、県内企業の海外展開に関するワンストップ相談窓口をジェトロ新潟に設置します。これは、やはり餅は餅屋ということで、ジェトロにお願いして、新潟県に特化してやっていただくということになります。海外事務所の見直しによって生み出された財源を活用して、成長著しい東南アジア地域において、現地コンサルタントを活用することによって、県内企業の販路拡大に向けた支援を強化してまいります。また、留学を目指す大学生を対象としたセミナーや、留学経験者等を対象とした就職説明会を開催します。更なる拠点性の向上に向けた交通ネットワークの整備については、新潟空港の利用促進に向けて、空港から県内観光地等への二次交通の整備を進めるとともに、定額タクシーの導入や無料駐車場の整備に向けた調査を実施してまいります。また、訪日誘客支援空港認定に伴う着陸料等の助成を行い、路線の新設・増便を促進するとともに、イベントの開催等による航空機利用者以外も含めた新潟空港利用者の増加に取り組んでまいります。次に、地域公共交通の維持・確保に向けた取組については、公共交通の維持に向けて、高齢者等の移動手段の確保・充実を図るため、コミュニティバスや乗合タクシーの導入など、市町村が行う新たな取組を支援します。また、えちごトキめき鉄道の新駅整備(糸魚川押上駅)について、糸魚川市地域公共交通協議会が行う詳細設計に係る経費を支援します。次に、住みやすく暮らしやすいまちづくりの推進については、市町村が主体的に取り組む魅力あるまちづくりについて、「にぎわい空間創出支援モデル事業」により、市町村のまちづくりの検討段階における調査費を支援し、県としても連携して取り組みます。「空き家再生まちづくり支援事業」により、空き家を活用して、まちなかの賑わい空間を創出するような取組に対し、空き家の改修費用等を支援します。
 最後に、五つ目の大項目として、学びやすく、成長・活躍できる新潟県を実現します。まず、将来の夢や希望を育みかなえる教育の推進についてですが、経済的な理由により大学への進学を断念することがないよう、「新潟県給付型奨学金」を創設します。次に、児童生徒一人一人を伸ばす教育を推進するため、「新潟県教育支援システム」を導入し、教員間で指導方法や教材の共有を図ることで、教員の指導力向上につなげていきます。県立高校の将来構想の具体化に向け、各学校が取り組む特色ある活動を推進します。いじめの解消や未然防止等に向けた体制の強化については、「いじめの未然防止や早期発見、早期解消」に向けて、電話やメールによる相談に加え、新たに「LINE」を活用した相談窓口を設置し、児童生徒がさらに相談しやすい環境を整備します。また、新たに、全県立高校にスクールカウンセラーを配置するとともに、小学校においては、スクールカウンセラーによる相談時間を拡充します。教員の多忙化解消の取組については、教員が児童生徒一人一人と向き合える時間の確保に向けて、「スクール・サポート・スタッフ配置事業」により、授業の準備など教員の業務支援を行うサポートスタッフを大規模な小学校に配置します。これは印刷等をしてくださるスタッフということで、それだけでも随分楽になります。中学校と高校に、部活動の指導や大会の引率等を行う部活動支援員を新たに配置し、教員の負担軽減を図ります。次に、魅力ある高等教育環境の充実についてですが、県内大学の魅力向上に向けて、「大学魅力づくり支援事業」により、学部の新設や特色ある教育プログラムの開発など、県内大学が行う魅力向上の取組を支援するとともに、新たに、生徒・保護者向けの県内大学合同進学説明会を開催します。また、県立大学の新学部設置については、平成32年4月の国際経済学部設置に向けて、教育課程の検討や校舎改築に係る基本設計を実施します。次に、県民に夢や感動を与えるスポーツと文化の振興についてですが、スポーツの振興に向けて、「スポーツ大会誘致・開催支援事業」により、市町村等が行う地域の特色を活かしたスポーツ大会の誘致を新たに支援します。また、東京オリンピック・パラリンピックに向け、事前キャンプの誘致を行う市町村への支援を拡充するとともに、聖火リレー実行委員会を設置し、ルート等を検討します。次に、文化の振興に向けて、2019年に本県で開催される国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭に向けて、広報やプレイベントなどを実施します。
 配布資料の12ページから16ページは、今ほど説明した柱ごとの事業を、人口減少対策という切り口でまとめ直したものになります。一つ一つは(先ほどの説明内容と)重複するのですが、どういうところで人口減少対策にそれが役立っていくのかということで、ご説明させていただきます。本県の最重要課題である人口減少問題については、「にいがた未来創造プラン」において、平成36年度までに人口動態で5,900人程度改善することを目標として掲げています。人口減少に歯止めをかけ、出生数の増加や人口の流入促進・流出抑制を図るため、本県が子育てしやすく、暮らしやすく、学びやすく、働きやすい、総合的に魅力ある人々に選ばれる地として、持続的に発展していけるよう、県政のあるゆる分野での取組を総動員して、対応していきます。資料では、人口減少問題対策として、「社会動態」、「自然動態」、そして両方に共通する課題として「魅力ある良質な働く場の確保」の観点から取組を整理しています。県政のあるゆる分野での取組を総動員するということで、取組内容については、先に説明したとおりですので、個々の事業の説明については省略させていただきます。今後の人口減少問題対策の推進については、県民フォーラムの開催など様々なチャンネルを通して、県民の皆さまとの対話の機会を積極的に設け、人口減少をより身近な問題として認識いただくとともに、幅広い意見もいただき施策に反映していきます。また、副知事をトップとするワーキングチームにおいて、施策の進捗管理や部局横断的な対応が必要な課題の検討を行い、政策に反映していきます。
 次に、投資事業のポイントについて説明させていただきます。安全で安心な暮らしを確保し、より快適な日常生活を実現するため、生活密着型のきめ細かな公共事業をはじめ、老朽化対策や防災・減災対策のほか、本県の更なる拠点性の向上に向けた交通ネットワークの整備等にしっかりと取り組みます。以下、主な内容について説明します。まず、公共施設の安全の確保のための老朽化対策等を推進する取組として、社会資本の老朽化に対応するため、公共土木施設や農業水利施設の老朽化対策等に、317億円を計上しています。また、出雲崎町で発生した道路陥没事故を踏まえ、道路の緊急的な老朽化対策等を2月冒頭補正予算と一体で実施します。次に、強くしなやかな県土をつくる防災・減災対策を推進する取組として、水害の防止や被害軽減のための対策や、土石流や地すべり等の土砂災害防止などの防災・減災対策として、623億円を計上しています。また、快適な暮らしを支えるきめ細かな公共事業を推進する取組として、道路拡幅等によるすれ違い危険箇所の解消、都市公園や緑地の整備などのきめ細かな公共工事を推進するため、90億円を計上しています。医療・介護・福祉・教育施設のハード整備を推進する取組として、医療・介護・福祉・教育分野のソフト面での施策に加え、県立病院の建設や地域の基幹的病院施設・設備の整備促進、県立学校の改修などのハード整備に取り組みます。更なる拠点性の向上と交通網の整備を推進する取組として、港湾等へのアクセス向上や、船舶の大型化への対応や安全な航行の確保に取り組むほか、日本海沿岸東北自動車道の整備促進に向けて直轄事業負担金を計上しています。このほか、7月に発生した豪雨災害等の自然災害への対応などを含めた、投資事業全体の総額は、1,906億円で、前年度とほぼ同規模となっています。
 次に、事業のスクラップ・アンド・ビルドについて説明します。基本的には各部局長のマネジメントの下、事業の再構築を進めます。事業見直しの概要としては、平成29年度当初予算における部局長枠2,601事業について、費用対効果等の観点でゼロベースで見直し事業を選定し、200事業で30億円分の見直しを実施しました。見直しによって捻出した30億円の財源により、効果的・効率的な施策を推進するため、「にいがた未来創造プラン」の実現に向けた取組など、132事業を再構築しました。今後も、不断の見直しを続け、効果的・効率的な施策の実現に向けて努めてまいります。次に、内部管理経費の縮減についてですが、現下の諸課題に適切に対応するため、事務の効率化の推進や職員の適正配置等も図ってまいりました。具体的には、事務の効率化の推進として、民間の資金やノウハウを活用した公共サービスの提供、内部管理経費等間接経費の縮減を推進し、5億円を縮減します。次に、職員の適正配置等についてですが、県民ニーズに対応しつつ、職員の適正な配置等により定員を削減し、人件費13億円を縮減します。また、県出資法人への県派遣職員の減員により、0.5億円を縮減します。
 次に、財源対策的基金残高と県債残高についてですが、財源対策的基金については、平成29年度は当初予算で60億円の取崩しを行いました。今年度末の基金残高は、直近の平成28年度と同程度の50億円の積み戻しを想定し、差し引き10億円減の488億円程度と見込んでいます。最終的には、最終専決において確定することになります。また、来年度における財源対策的基金の取崩しについては、冒頭にご説明したとおり、前年度より36億円増加の96億円としたところです。県債残高については、地方交付税の代替措置である臨時財政対策債を除いた実質的な県債残高は減少基調にあり、30年度末には1兆7,730億円程度になるものと見込まれています。
 以上で、当初予算案の説明を終わらせていただきます。

平成29年度2月補正(冒頭提案)予算概要について

 補正の考え方ですが、国補正予算等に対応し、県民の安全・安心の確保に資する経費、農業農村の持続的発展に向けた対応に要する経費やその他緊急性のある事業に要する経費について計上しています。2月冒頭補正予算額は、462億円です。その結果、2月冒頭補正後の予算累計は1兆3,227億円です。当初予算比で679億円、5.4%の増となります。国補正予算等への対応として、県民の安全・安心の確保として287億円を計上しています。防災減災対策、放射線防護対策や道路等の緊急的な老朽化対策等を実施します。農業農村の持続的発展に向けた対応として167億円を計上しています。ほ場整備や経営構造対策等を実施します。その他の国補正対応として8億円を計上しています。県立海洋高等学校実習船「海洋丸」の代船建造や工業技術総合研究所の機器整備を実施します。次に、歳入のポイントですが、国補正予算を有効活用するとともに、一般財源充当額としては、投資的経費の財源として充当する県債のほか、国から決定があった普通交付税の増額分等により対応します。次に、主な事業の概要ですが、道路改善費、橋りょう補修費、防災・防雪施設補修費ということで、出雲崎道路陥没事故を踏まえ、緊急的に道路・橋りょうの老朽化対策等に取り組み、道路利用者の安全確保を図ります。また、事業の平準化、公共事業の端境期における効率的な執行環境確保のための債務負担行為として、ゼロ国債を25億7千8百万円設定させていただきます。

報道資料(平成29年度2月補正(冒頭提案)予算概要について)[PDFファイル/209KB]

財政運営計画の改訂について

 新潟県財政運営計画は、各年度の財政運営を中期的な視点に立って行うため、一定の前提条件に基づいた中期的な財政収支見通しを試算するものです。今回の改訂に当たっては、これまでの財政運営計画で用いてきた経済成長率が本県の実情と乖離していること等を踏まえ、経済成長率等の前提条件を見直すとともに、引き続き、持続可能で安定的な財政運営を行っていく上での今後の課題や方向性について併せて示したものです。また、本計画は、本県の財政状況や国の動向等を踏まえ、毎年度更新及び見直しを行ってまいります。
 本県の財政は、これまで実質収支の黒字を維持し、臨時財政対策債を除く県債残高は平成20年度をピークに減少するなど、財政の健全性は確保されてきています。一方、近年の人口減少や高齢化の進展等に伴い、足元において、本県の財政運営を取り巻く環境は、大きく変化してきています。歳入面では、県税収入や普通交付税等を合計した一般財源歳入総額が近年、減少しています。特に普通交付税は計算上、人口が減ると必ず減るということになります。本県が自由に活用できる一般財源が限られるようになってきています。歳出面では、人口減少・少子高齢化の進展や社会資本の老朽化等、全国共通の背景の下で、広い県土を反映した社会資本整備の必要度の高さや地域医療における県立病院の役割の大きさといった本県特有の事情等によって、より大きな財政負担が求められるようになってきています。人口減少というのは、実は計数上、歳入は減るのですが、むしろ歳出は増える方向にベクトルが働いてしまうということです。これらの結果、平成28年度においては、財源対策的基金残高が9年ぶりに前年度末から減少に転じており、歳入・歳出の間に乖離が大きくなってきていると考えています。
 今回の収支見通しは、今後の安定的な財政運営を確保するため、こうした足元の財政状況等を考慮して試算することとしたものです。経済成長率については、これまで国の「中長期の経済財政に関する試算」の経済再生ケースを参考に設定してきましたが、本県の実情を踏まえ、ベースラインケース、一番起こりそうなケースと言うことでしょうか、ベースラインケースを参考に設定し、試算を行っています。試算の結果、財源対策により調整が必要な額が、今後、毎年度100億円程度で推移することが見込まれています。もちろんこれも、積み戻しがあるということではあります。この調整が必要な額に対し、財源対策的基金により対応した場合、その残高は年々減少する見通しとなっています。積み戻しがありますから、100億円ずつ減少するわけではありません。
 以上の見通しを踏まえ、当面、県税収入や地方交付税等の一般財源の大幅な増額が見込めない中、財政の健全性を確保し、持続可能で安定的な財政運営を行うためには、今後、財源対策的基金の取崩しに頼らない、本県の人口動態・歳入規模に見合った歳出構造への転換を進めていく必要があります。今後は、県民生活や地域経済に与える影響に配慮しつつ、効果的で効率的な施策体系の構築に向けた選択と集中の徹底、将来負担に配慮した県債の活用、病院事業等における効率的な運営の推進等の歳出改革に更に取り組んでいく必要があります。なお、本計画を踏まえた今後の具体的な対応については、平成31年度当初予算以降の予算編成において、検討を行ってまいります。

報道資料(財政運営計画の改訂について)[PDFファイル/855KB]

平成30年2月県議会定例会提出議案について

 こちらは配布資料を見ていただければと思います。第27号議案「特別職の職員の給与に関する条例及び新潟県議会議員給与条例の一部改正について」は、基本的には全国横並びの人事委員会勧告どおりということで(正しくは、特別職報酬等審議会の答申等を踏まえたもの)理解しています。それと関連して、第54号議案「新潟県特別職の職員の退職手当支給条例の一部改正について」、第55号議案「職員の退職手当に関する条例等の一部改正について」は、特別職、一般職の職員の退職手当の支給水準の引下げということで出させていただいています。

報道資料(平成30年2月県議会定例会提出議案について)[PDFファイル/181KB]

平成30年度組織改正の概要について

 平成30年度は、戦略的広報の推進やスポーツ行政の一体的な推進、国内外からの観光客誘致の推進など、県政の重要課題に的確に対応するため、組織体制の見直しを行います。
 戦略的広報の推進として、今まで広報は基本的にはそれぞれの部局でやっていたわけですし、これからも基本的にはそれぞれの部局でやることになるのですが、それを可能な限り統一的に、かつ洗練して、「広報戦略室」を知事政策局広報広聴課に設置し、県全体の広報が統一的、戦略的になされるように取り組んでまいります。
 国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭の開催準備として、県民生活・環境部文化振興課に「国民文化祭・障害者芸術文化祭室」を設置します。
 スポーツ行政の一体的な推進として、競技力向上と生涯スポーツの振興に一体的に取り組み、本県のスポーツ施策を総合的に推進するため、教育委員会が所管するスポーツに関する事務を、学校体育を除き、知事部局に移管し、県民生活・環境部県民スポーツ課を「スポーツ課」に改組します。
 福祉保健行政の総合企画調整機能の強化として、県民健康ビッグデータなどの新たな取組に的確に対応するとともに、病院局とも協力して、県立病院、さらには基幹病院の運営向上に努めるということで、福祉保健部福祉保健課に「企画調整室」を設置します。
 中小・小規模企業等に対する支援体制の強化として、産業労働観光部産業政策課の団体・小規模企業支援室及び産業金融室を統合し、「経営支援室」を設置します。
 国内外からの観光客誘致の推進として、産業労働観光部観光局交流企画課及び観光振興課を改組し、「観光企画課」及び「国際観光推進課」として体制を強化します。
 県産材の生産拡大と利用促進として、農林水産部林政課に「県産材振興室」を設置します。
 安全・安心な医療を安定的に提供するため、福祉保健部の企画調整室と協力して、病院局の体制を強化し、県病院事業に関する企画や経営計画の立案機能を集約し、司令塔的な役割を担う「経営企画課」を設置します。両者が協力し合って、それぞれの改善に努めていくということを進めてまいります。

報道資料(平成30年度組織改正の概要について)[PDFファイル/116KB]

質疑

平成30年度当初予算案及び財政運営計画の改訂について

Q 新潟日報
 米山県政としては一から編成する初めての予算となったのですが、編成を終えて率直なご感想を聞かせてください。

A 知事
 予算というのは様々な制約の中でつくるものですから、もちろん制約の中でということではあるのですが、しかし制約の中では満足のできる予算をつくれたのではないかと思っています。

Q 新潟日報
 ご自身で採点するとしたら何点ぐらいで、目玉はどれだと考えていらっしゃいますか。

A 知事
 採点は分からないですね。予算はやはり制約があるので、本当にたくさんの額をもらってつくれれば、また別ではあるのでしょうけれども、そことのずれというのは当然あり得るわけです。その中でできたものとしては、私は及第点であろうと思いますが、同時に、様々な制約の中で、本当にすごく皆さんの要望に全部かなっているというわけではないので、そういう意味ではものすごく高い点を付けるというのもまた違うだろうと思います。私はこういうのは60点ぐらいではいいのかなと思います。残りの40点は、力不足の部分はもちろんありますし、現実的な制約の部分もあるのですが、残りの40点の部分に関しては、執行の努力でしっかりと埋めていくということが重要だろうと思っています。目玉は特にはなくて、どれも目玉と言いますか、どれもしっかりと執行してまいりたいと考えています。

Q 新潟日報
 様々な制約があったという話なのですが、初めて予算編成を最初からやられて、変えていくことの難しさみたいなものをお感じになったということなのでしょうか。

A 知事
 もちろん難しいところはありますよね。ただ同時にそれが楽しいと言いますか、簡単に変えられるなら誰がやっても同じなわけですから。そこは難しい中でいかにアイデアを出したり、調整したりするかというのがおそらく県庁であったり知事の役目だと思いますので、そこはやりがいを持って取り組めたと思っています。

Q NHK
 今回、政策総動員という言葉を使われていますが、改めてその意味と思いをお聞かせいただけますか。

A 知事
 総動員というのは、ある種の標語的な言葉で、全ての施策は総動員しているに決まっているので、より現実的な言葉とすれば、それぞれの政策について常に人口減少というものを意識すべきだということです。やはり人口減少に対応する政策でなければいけないし、人口減少を改善しようとする施策でなければいけない。そういう意味で全ての政策において、人口というのはものすごく基本的な係数なので、その基本的な係数を無視してはいけないという意味で、総動員という言葉を使わせていただきました。同時にそれは全ての政策を動かすのは、やはり人口減少を改善するということに向いているということでもあります。

Q NHK
 今回、(財源対策的)基金を当初予算ベースでは96億円取り崩すということですが、そうやって収支を調整せざるを得ない状態になっていることについてはいかがでしょうか。

A 知事
 現状でいけばこうなるということなのでしょうね。先ほどもお話しましたが、このままでは早晩(基金残高は)枯渇しますので、そうなる前に財政の構造を順次変えていくということだと思います。今ならまだいろいろな手を打っていく時間がありますので。また逆に、ものすごく急にやるというのも、それはそれでよろしくないのだと思います。こういうのはある程度時間を取りながら変えていくことですので、私は一定の期間の間に改善していけると思っています。

Q NHK
 人口減少問題というのが交付税の額に反映してくるということで、逆に言えば対策をしっかり打たないと新潟県にとってかなり厳しい状況になるということだと思うのですが、今後に向けた思いを改めてお聞かせください。

A 知事
 そこは県民の皆さまにもぜひ共有していただきたいところなのですが、本当に人口減少というのはすごく大きな問題で、税収も当然1人当たりが同じであっても総計すると減るわけですし、国からの交付税も人口ベースに計算されていますので減ります。したがって当然ながら歳入は非常に減るという方向にベクトルは働くわけです。一方で、歳出は人口が減少したら減ってくれるかと言うと、もちろん人数をかける分は減る部分はあるのですが、同時に、人口減少でむしろやらなければならないことが増える部分があって、むしろ支出は増える方向なのです。全体としては。プラス・マイナスはありますが。そうするとかなり真剣に人口減少というものに対応していかないと、本当に財政もやがて持たないと言いますか、財政がいつか枯渇してしまいますし、また、それによって皆さんが非常に不便を被るということになりますので、ここは現状を皆さんと共有させていただいて、しかし全然対処できないというような状況では全くないので、しかも急激に対処しなければならないというわけでもないので、もちろんのんびりしていいということではないのですが、時間をかけて、十分な時間を取りながら改革を進めていこうと思いますので、ぜひそこはご理解をいただき、またお知恵も貸していただければと思います。

Q 産経新聞
 今回の予算編成に当たって、どの程度米山カラーが反映されたのか。ご自身の認識としてはいかがですか。

A 知事
 知事は組織のトップなわけですが、組織のトップのカラーというのは常にどのぐらい反映されるのかということだと思います。つくっていく段階では常に部局の皆さんが相当程度と言いますか、かけた時間の比で言えば、大体1対3千なわけです。人数比でそうなるわけなので。そういう意味では皆さんの努力のたまものではあるのですが、同時に、配布説明を読んでいただけると、だいぶ私らしい括りではありませんかという感じでしょうか。カラーというのは、最終的な括りや最終的な調整・判断の中で出てくるものなので、何%とかはなかなか言えないと言いますか、分からないのですが、私としては納得のいかないものは納得がいかないと言って、納得がいくように話合いの中で決めていきますから、そういう意味では私自身は全体に納得しておりますので、満足という言い方も変ですが、そういう意味ではカラーはだいぶ出ているのではないでしょうか。

Q 産経新聞
 「私らしい括り」というのをもう少し踏み込んでお願いします。

A 知事
 例えば、五つの柱(「健やかに伸び伸びと共に暮らせる新潟」「安全に安心して暮らせる新潟」「活力ある産業と賑わいのある豊かな新潟」「魅力と賑わいのある新潟」「学びやすく、成長・活躍できる新潟」)の言い方がだいぶカラーがありますよね。どういうふうに分けるかというのでもそれぞれの括り方があるのだと思います。あとは、合理的と言うと冷たい印象を与えるのかもしれないですが、合理的、効率的に効果を出そうという予算になっていると思います。少し抽象論で恐縮ですが。なかなかカラーがどう出ているかというのは説明しづらいのですが。

Q 朝日新聞
 財政運営計画について、今回は前提になる経済成長率とかの数字を厳しめに見積もった上で出されたというような印象なのですが、あえてそういうものを今回出された狙いみたいなものを教えてください。

A 知事
 狙いと言うか、正直現状に合わせてということだと思います。改善プランというのは改善すればいいですが、しなかったときにギャップが大きくて困るわけで、基本的にはベースラインでいくというのは普通だと思います。予想というのはそうあるべきと言いますか、予想においてあまり楽観的なシナリオに基づいた予想というのは意味がないですよね。それはむしろ希望であって予想ではない。予想というのは基本的には一番起こりそうなところをやるべきだと思いますので、そこに基づいて予想したということになります。政策というのは希望でいいのです。こうしたらどんどんよくなっていくということだと思うのですが、財政というのは希望ではいけなくて、そこは予想に基づいてやらなければいけないということだと思います。そのために現実的な数字を基にしたということでご理解いただければと思います。

Q 朝日新聞
 この計画に基づいていくと、先ほどの話にもありましたように、構造をかなり変えていかなければいけないということで、ただ税収もすぐに伸びるような見通しが立ちにくいのかなという中で、そうすると来年、再来年という中で、かなり大胆と言うか、取捨選択をどこかでこれはできませんという判断も必要になってくるのかなと思うのですが、その当たりはどうお考えでしょうか。

A 知事
 率直に言って、それほど効果がない政策というのも中になくはないわけです。これはしなくても特段問題ないのではないかというようなところはそれなりにあるので、そういうものをきちんと整理していく。また、来年は来年で決めていくことなので、今から言うのもなかなか難しいところではありますが、一つの大きな出費のところとしては病院会計があるわけで、病院会計というのはだいぶ改善しようがあるのです。単に減らすではなくて、経営自体がよくなれば改善するわけですから。そこはだいぶ思い切り削るという形ではなくて、改善の余地がだいぶあるところなのだと思います。あとは、道路の維持管理、補修のような話も、削ることはできないのですが、効率的にやることによって、ある種の効率的な運用と言いますか、どこかでドカンと出るみたいなことを防ぐことはできるわけです。今年は問題も顕在化したところですし、顕在したときに一気にやるということで、一気に補修の予算も計上しましたが、それは来年度以降続くわけではありません。むしろ来年度以降続けないために今年やるわけですから。そういったことで相当程度に私は対処していけると思っています。

Q 朝日新聞
 まだまだ事業そのものを撤退とかしないでも効率化する手段があるという話なのですか。

A 知事
 あると思います。撤退はするのですが、思い切りみんなが使っているような事業を撤退するというようなことにはならないと思います。使っていないものは撤退すると言うか、撤退しても問題なかろうということは撤退しますけれども。

Q 新潟日報
 米山カラーという話もありましたが、財政運営計画などを見ていると、現実路線みたいなところは知事の一つのカラーなのでしょうか。

A 知事
 カラーだと思いますよ。私は極めて現実的な人間だと思いますし、行政はそうあるべきと言いますか、違った場合どうするのだという話になりますから。政策は夢であっていいのだと思います。でも、財政というのは数字なので、夢に基づいて財政をつくられても困るということだと思いますから、そこはある種のカラーだと思います。

Q 新潟日報
 1月の総合計画の発表のときにやり取りさせてもらったのですが、政策面に求めることについてのリスクを職員に取ってほしいですとか、県民所得の向上や人口減少対策などに関しては、やはり普通にやったら普通にしかならないわけなので、他県との比較優位の中ではより優れたものをやらなければいけないというような趣旨の話をされたと思うのですが、今回の予算では知事は政策面でその辺りについてはどのように。

A 知事
 それなりにそうなったのだと思います。あまり同じことばかりを総花的にやっても駄目ですよという話をした中で、スクラップ・アンド・ビルドもしたと思っています。

Q 新潟日報
 全体的に見ていて、その辺りが少し見えにくいかなというところもあったのですが、例えばどの辺りが知事として比較優位であったり、ここをリスクを取ってでもやるみたいな、どの辺りをイメージしてるのでしょうか。

A 知事
 さはさりながら行政なので少し矛盾するような感じかもしれませんが、いきなりというのも何ではあるわけです。やはりそれは時間を2期3期かけながら、この辺はもう伸ばさずに、よく見直しながらこちらにずらしていきましょうということは、埋め込んではあると認識しています。

Q 新潟日報
 例えば県民所得を最終的に300万円にするとか、人口減少を5,900人に改善するとか、大きな目標があると思うのですが、今回の予算というのは、それに対応していくためにどの辺りの位置づけの予算になっているのでしょうか。

A 知事
 それに対応しているつもりです。新しくやったのとかは言いやすいですから、例えば「新潟県外国人材受入サポートセンターの設置」などは結構、政治的にはいろいろ言われかねないところではありますよね。これは思い切りこちらでやるというのはなかなかいろいろな法制度の中でも、また費用対効果の中でも難しいのですが、県としてもしっかりとそういった取組をパブリックにやっていくということですから、その辺などは新しい感じがするのではないでしょうか。あとは、「起業家予備軍拡大事業」というのは、今はネットワークを形成していくというところですから、予算額としては少ないですが、これはつくっていけばそれがより大きくなっていくと思います。

Q 読売新聞
 人口減少問題に関して、全ての事業がそれに向いているべきだと先ほど仰いましたが、今回の新規事業、拡充された事業の中で、特に人口減少問題に資するという意味で知事の思い入れがあるとか、種をまかれたりみたいなところで、実はこういうチャレンジングな狙いがあるのだとか、もし事業があれば具体的に挙げていただきたいのですが。

A 知事
 「活力ある産業と働きやすい新潟」というところは、どれも基本的には思い入れはあります。「働き方改革推進事業」とか、「男性の育児休業取得促進事業」などは結構小さいですが、この辺は一生懸命やりましょうという話をしています。皆さんあまり使ってくれないのです。ぜひこれは使っていただいて、こちらに関しては予算が足りないと言ってもらいたいなというぐらいのところでしょうか。あとは、今ほども少しお話しましたが、県民所得の向上に向けてということでは、意欲ある企業の生産性向上、AI・IoTの活用などに関しては非常に期待しているところです。また、農業等もそうです。あとは、教育に関しては、結構なんだかんだ言っても教育は非常に重要と言いますか、すごく時間はかかるのですが、そもそも人口問題は時間がかかるので。とは言いながら、若者が大人になるのは5年ぐらいしかかからないので、教育のところはそれなりに、だいぶ時間はかかりますが、期待しているところではあります。あとは、小さいなところですが、それはつながるまでには時間がかかりますが、住みやすく暮らしやすいまちづくりの推進なども、意外にまちづくりからでしょうというところもあり、頑張っていきたいと思います。ということで、結構どれもあるということでよろしいでしょうか。

Q 時事通信
原発に関する3つの検証に関して、新たに予算を確保したところがあると思いますが、避難方法の検証のところで、原子力防災訓練の実施と書かれているかと思いますが、これは具体的にどういったことを想定しているかと、検証全体の予算取りについての来年度の目標は。

A 知事
 本当の防災訓練の実施は、お話しているとおり難しいと思います。おそらく(来年度には)間に合わないと思います。そこ(実際の訓練実施)に至る様々な会議等をやっていくということに費やされると思っています。決めたわけではありませんが、来年度はなかなか難しいと思います。実際(訓練にかかる費用)というよりは、計画立案にかかる費用と考えています。予算全体は、1千3百万円ほどですけれども、4百万円×3(回)で1千2百万円という感じで、一つ会議体を1年やるとこのぐらいというところで、基本的には、来年は論点をきちんと洗い出して会議をやっていくということになると思います。確かに、再来年度になると実際の訓練が入ってくるので、少し増えてくる可能性はあると思います。

Q UX
 先ほど財政の方は夢を語ってはいけない、夢であってはいけないという話がありましたが、その現実性というところは財政運営計画の中でどの辺りに。

A 知事
 ここの資料を見ても分かりませんが、歳入見通しの中で元となってる計算の経済成長率が、国の経済改革シナリオ、今までは非常に改善したというシナリオに基づいていたのですが、今回に関してはベースラインという一番起こりそうな、それでも楽観的ではないかとも思えるのですが、少なくともそこに合わせたいうところが、基本的には相当程度に現実的になったと思います。それだけでも全然違うので、財政は。前提を数%変えるだけで大きく変わってしまうので。そこをやったというのはあると思います。それに基づいて減っていくというのを示したのは、県庁的な立場では、随分現実的になったと思います。

Q UX
 県税だけを見ると、毎年数十億レベルで増えると。全体的にはマイナスになりそうな、伸び悩むという基調が見られそうな中で、結構な割合で延びるのだと、楽観的だと思ったのですが、その辺りはいかがでしょうか。

A 知事
 GDPデフレーターというのがありまして、物価が上昇するので(税収が増加する)といったところがあります。確かに多少楽観的で、国のベースラインシナリオですら、2、3%の経済成長率を想定していますから、それが前提になっています。これより(経済成長率が)低い可能性はあります。そこは、当然こちらでも計算していて、そちらとものすごく乖離があるがわけではないので、国が出しているベースラインシナリオで出していますが、もちろんこれより低い可能性はあり得ます。経済成長が数%でしていくこと自体が楽観的ではあるので。

Q UX
 県民健康ビッグデータの話なのですけれども、(配布資料「平成30年度新潟県当初予算案の概要」中、「にいがた未来創造プラン」の実現に向けた重点的な取組の)1ページ目というか、開いて見開きにドンとあるので、やはりこれはまさにカラーなのではないかと思うのですけれども、その一方で、結構全体が見えづらいというか、何ができて、当然そこら辺は来年のプロジェクトテーマになると思うのですけれども、夢とか、知事が好きな未来というか、それがどういうふうに体現されるのかというところを、その温度感みたいなところを教えてください。

A 知事
 これは目新しいからバーンとやっていますけれども、基本的にはどれもというのは、スタンスは変わらないのですけれども、まずこれは結構現実的なところから夢のところまでありまして、夢のところを上に書くから分かりづらくはなるのですけれども、極めて現実的なところとしては、電子カルテの統合データベース整備に向けた取組というのは、これはすでにやっていたと言いますか、6つの県立病院では更新期(電子カルテの導入予定時期)を迎えていたので、どのみちせざるを得ず、それだったらどうせなら統合データベースにしましょうという話で、これは本当のところ予算として、もちろん計上額は大きいですけれども、もとより使うはずの予算という形になります。ただそれをやるだけでも、実は結構と経営改善に資するのです。データをきちんと管理するだけで、取りこぼしとかがなくなりますから。さらにそこから、少なくとも健康情報みたいなものは、6病院では無理ですけれども、県立病院全部の情報を管理できるようになったり、(レセプトデータも含め)全部分析できるようになると、少なくとも一般的な健康情報は出てきますよね。それはだいたい言われているとおりにはなるのですけれども。塩を食べたら高血圧になりますよというようなことにはなるのですけれども。しかしそれは非常に身近なデータで、県民そのもののデータで出てくるので、やはり説得力も違いますし、(将来的には)自分のデータと比較できるという、自分はこのくらいだからこうだということが分かるわけなので、そうすると県民の健康の増進に資していくのだと思います。そこからさらに、それをある種のビッグデータ、いわゆるビッグデータという形で、今言ったのはごく普通の、今あるような病名とやったことみたいな、今あるような情報ですね、レセプトデータに近いようなもの。それはさらに細かいデータも入れたビッグデータになってくると、それは今度は新しい解析と言いますか、新潟大学を初めとした研究者の皆さんによく解析していただいて、新たなものを生み出してもらうことになります。ただ、その前段階として、まずは治験にすごく使いやすいので、そもそも治験をだいぶ誘致できるのだと思います。これを使って治験をどうですかというのは、非常に治験セールスができるのかなと思います。そこからさらには、国も進めている情報の匿名化と合わせて、情報を一般の企業に公開していって、それによって新たな健康産業を創って行くことができると思います。まずはしばらくはだいぶ現実的なところから進んで行って、本当にできあがったところで、いろんなものと平仄を合わせて、より大きな新しい産業の育成に使ってもらおうというふうになって行くと思います。

Q UX
 そうすると将来的には、新潟県を変える起爆剤というか。

A 知事
 なりうると思います。健康のデータというのは、医療産業のインフラ的なものだと思います。それはあくまでインフラなので、本当に変えられるかどうかは、研究機関を含めて民間企業がどのくらいそれを使えるかによると思います。そこは治験などを含めて、新潟県から見た外資(県外資本)となる、東京の企業などが使ってもいいわけですから、そこも含めてやっていくことになろうかと思います。

Q 新潟日報
 県単公共(事業の補正予算案)について伺いたいのですけれども、2月議会の冒頭提案で25億円で、維持補修系もそれなりに積んでいるのかなという印象なのですが、今回、昨年の県管理道路の陥没があったことを受けて、だいぶ多めに見積もったという認識でよろしいでしょうか。

A 知事
 そうですね。そういう認識です。なかなかいろいろな財政状況の中で、ずっと(毎年度同程度の予算額)というわけにはいかないというふうに思っています。

Q 新潟日報
 それは31年度以降というのは、少し減額と言いますか、元に戻るというのは。

A 知事
 少なくとも補修に関しては、そのように考えています。

Q 新潟日報
 その辺というのは、何か政治的な配慮というのはあったのでしょうか。

A 知事
 (予算案に関する)あらゆるものは全て配慮しているものなので。例えば、県民健康ビッグデータも配慮したものなので。そういった文脈の中ではもちろん配慮はあるけれども、ものすごく個別に配慮したというものではありません。

Q 新潟日報
 財政運営についてですが、現状においては(財源対策的基金の)96億円の取崩しは、戻るものがあるとしても100億円近い取崩しがあるということは、現状認識としてはだいぶ危機感を高めているのか、そうでもないのか、その辺はもう一度、お願いできますか。

A 知事
 危機感はあります。本当のところこれは(取崩し額が)ゼロでなければいけないという話ではないのです。例えば、50億円取り崩して50億円繰り戻すのだったら正しい基金の在り方と言いますか、常にそうなっているのであれば特段問題はないと思います。やはりそうではないというのは、明らかに構造的に歳出の方が多いのです。そこは相当見直していかなければならないことだと思います。ただし、見直しに関していろいろな項目も見ていますけれども、ものすごく大変なことをしなければならないという状況でもなく、そこはきちんと、まさにこの段階できちんと現実を認識して、ある程度の長期的ビジョンを持って、しかしそちらにぶれずにいくということをすれば、十分対処できるところだと思っています。

Q 新潟日報
 人口減少対策についてですが、人口減少というのは地方がどこでも抱えるような課題で、一部、東京や大都市を除いては、どこも現状は同じだと思うのですけれども、先ほど言っていたみたいな税の在り方ですとか、構造的な問題、どうしても人口が多いところに割り当てが多いという、その辺の在り方については、何かお考えみたいなものがございますか。

A 知事
 まさに先ほど来から言っている、人口が減ると収入が減るのに、歳入が減るのに歳出が増える方にベクトルが働くということは、国の制度としても構造的に改めるべきところはあるのだと思います。正直、人口減少交付金みたいなものがあってもいいのではないかと思うのは、たぶん地方共通の認識だと思います。むしろ人口が減少した方が、構造的に支出が増えてしまう部分があるので、そういう意味では、人口減少というものに対する交付があっていい。逆に言うと人口が増加しているところは、正直、そこまで交付金はいらないのではないかというところはあるのです。その辺の調整の仕方は今後、考えていただきたいところはあります。

Q 新潟日報
 先ほどもビッグデータ構想の関係の質問があったのですけれども、新規の事業があるということと組織改正ということもあって、新年度の利活用に向けた本格始動の年という位置づけでよろしいのでしょうか。

A 知事
 そのつもりです。だいぶ本格始動してくると思います。

Q 新潟日報
 先ほど、いろいろな段階があるというようなお話だったと思うのですけれども、本格的な利活用というのは、どういう時期的なターゲットをイメージされていますか。

A 知事
 それも段階的で、今年(正しくは、平成30年度)はさすがに制度設計になるのですけれども、来年度(正しくは、平成32年度)くらいには少なくとも6つくらいのところでデータベースを共有するので、それはまさに研究者しか使いようがないような話ですけれども、研究者に開放するだけで、一定の成果が出てくると思います。思い切り革新的なiPS細胞で出るなどということはないですけれども、少なくとも県内においてはこういう健康状況で、こういう受診状況で、少なくともそれによってある程度の経営の改善と健康に関するある程度のデータが出てくるということでやっていけると思います。先ほどお話しした夢のあるような話というのは、どこかということはないのですけれども、それもやはりあまり長くてもしょうがないので、5、6年内である程度、そこまで到達するようにやっていくということだと思います。

Q 新潟日報
 人口減少対策というところで、今回、婚活応援プロジェクトの予算は減額になっていると思いますが、結婚支援という辺りが前の知事の時代、目玉的に打ち出されたところだと思うのですけれども、今回、予算の減額というところもあって、結婚支援という部分は県の役割としてはやや後退したという見方でよろしいのでしょうか。

A 知事
 例えば、それがすごくうまくいったら、私も結婚しているのではないかという話があるわけですから、基本的に県がすごくやったら本当にうまくいくのかということに関しては、ある程度見直しながら役割分担だと思います。逆にここは民間でもいろいろなサービスが出てきており、正直、かつて民間は玉石混淆だったところはあると思いますけれども、だいぶいろいろなサービスが展開される中で、石は石として認識されるようになったところがあります。玉石がだいぶ分かりやすくなってきたところもあるので、そこは役割分担をしながら、逆に民間ではできない部分をやるという方向に特化していくのがいいのではないかと思います。これも少し時間をかけながら組み直していく予算の一つだと認識しております。

Q 新潟日報
 子ども医療費助成等交付金の拡充ですが、市町村からの要望があり、調整されてきたところだと思うのですが、交付水準が小学校6年生まで上がるというところはどういう考え方なのかということを。交付水準が上がっても、実態としては新しく助成を受けられる人たちが増えるというところはちょっと期待できないのですが、拡充によってどのような政策効果ということを狙っているのかという点を伺います。

A 知事
 基本的には子ども医療費の負担も減るということで、これは仰るとおり、実はこの年齢になるとあまり子どもというのは医療費を使わないのです。実は、非常に小さい頃が(使う医療費が)大きいのです。ですが、そこは心理的なものもありますから、子どもを持つということに対する心理的負担を減らすということだと思います。あとは、少し政治的な話になってしまうのですけれども、子ども医療費の負担みたいなものは、各市町村でどこまでやるか競争にはなりがちなのです。特に県だと県をまたいで引っ越すということはなかなか大変だから、すぐにはできないのでしょうけれども、市はすぐ隣の市に行けてしまうので、あちらの市がやればこちらの市もということにはなっていくのだと思います。それは少し不毛と言いますか、その中で医療費の適正な使い方という意味でも、また医療の配分という意味でも不毛なところがあるので、そこは県がある程度入って、水準をある程度共通化しながら、同時に医療の適正配分も含めた調整をしていくことも含めて、(交付金を)拡充しながら適正化していくということでやらせていただいたということで、県としては認識しております。市町村から見ると、余計なことを言ってくれるなという話かもしれないので、そこは政治的なところもあるのですけれども。

Q 新潟日報
 「平成30年度新潟県当初予算案の概要」のところで「公的サポート」モデル事業が8ページにありますが、知事選の頃からの知事の肝いりの政策だったと思うのですが、1年くらいやってこられて好評だったと仰っていたのですが、どういった成果があったと認識していらっしゃいますか。

A 知事
 1年なので思い切り収入が増えたという感じではないのです。ただ、やはりそれはある種、当たり前なのかもしれないのですけれども、やっている方にしてみると年限5年(正しくは、3年)と限られているとはいえ、見通せるというのはいいなという。それはそうでしょうと言われればそれまでなのですけれども、そういうものはあり、かつそれぞれの似たような中山間地域において、我々もぜひそれをやってくれと。そうしたら一生懸命頑張れるのだけれどもというご意見を頂いているということです。これはやはり当然ということなのでしょうけれども、一定の所得が保障できれば、人は別にそれに合わせて生活水準を設定できるので、相当程度に存続性はあるのだと思うのです。それが当然ながらという感じである程度、立証されつつあるのかなということです。それが本当に生産額に(つながって)いくかどうかということはもう2、3年しないと分からないということだと思います。少なくとも、心理的には大いなる影響があるということでしょうね。

Q 新潟日報
 もともとは昨年から3地区で始めていらっしゃいますが、今回、また増やすということで、増やすというのはもともと想定していらっしゃったのでしょうか。それとも、好評だったということで、もう少し増やそうということでしょうか。

A 知事
 実はもとより最初からもう少し増やしたかったのですけれども、やはりそれは最初だしということで、予算のかねあいもあり、3地区にむしろ限定したというところもあるので、そういう意味では、さらに統計を取る上でも、せめて10くらいないと、それは特殊要因だと言われかねないわけです。単にたまたま経営者がいいからなっただけだと言われかねないので、それはある程度増やしていきたいと思っています。

Q 新潟日報
 来年度以降も増やす可能性はありますか。

A 知事
 可能な限り。ただ、そこはそれこそ先ほど言った予算のかねあいがあるので、その中で調整が付けばということです。あとはもちろんやりたいという方がおられればということですけれども。

Q 新潟日報
 交通政策についてお聞きしたいのですけれども、今年度、特に空港ですとか、港に関して従来の施策の整理をかなり行ってこられたと思いますけれども、より柔軟な形で予算編成に臨まれたかと思いますが、改めて交通政策の重点についてお聞かせください。

A 知事
 交通政策も現実的であるべきと言いますか、もちろん新しいものをつくって夢があるということも非常に重要なのですけれども、特に交通というのは、今はベースとしてまず通すみたいな話はほぼ済んでいると思います。むしろそれがビジネス、経済に資するかどうかということで考えなければいけないし、経済というのは基本的には市場が決めるわけです。そうすると経済の現状に合わせた、特に経済政策として交通ネットワークを拡充していくのですから、経済の現状に合わせた政策でなければいけないということで方向性を調整したと認識しています。その中で、割りにトピックとなった空港については、路線の拡充がかなり大きなウェートを占めると思いますので、かつ路線の拡充については、ただ単に呼び込むだけではなくて、こちらも使うと。当然、飛行機は行って、帰ってのものですから、こちらも使うということも含めて、空港の活性化を図っていきたいと思いますし、またアクセス改善については、一つの方法に限ることなく皆さんが使っているものを、特にタクシー(定額タクシー導入調査)、駐車場(無料駐車場の整備に向けた調査)などを掲げさせていただきましたけれども、そういったものをよく選択して、アクセスの改善に努めていきたいと思っております。

Q 新潟日報
 今のお話で確認ですけれども、二次交通の整備が全体的に現状に合わせた施策として打ち出したものであるということで。

A 知事
 二次交通は現状に合わせています。また、活性化についても、二次交通の整備と同時に航空便やそれに付随するキャンペーンが重要だということです。ただ単に直接つなぐことが重要なわけではなくて、様々な複合的な政策の中で活性化をしていくべきだということだと思っております。

Q 新潟日報
 関連してですが、今のキャンペーンというお話もありましたが、空港ですと二次交通を整備した先に単純コンテンツの部分についてですが、観光に関する予算を見ると一番規模の大きいものがデスティネーションキャンペーンに関するものかと思うのですけれども、もう少し新潟県らしさと言いますか、独自性が欲しいようなところもあるのですが、交流人口を増やすということも人口減少(対策)に資することだと思うのですけれども、その辺りについて知事はどんな意識ですか。

A 知事
 そのとおりだと思います。ただ、先ほど少し出させていただきました、市町村が主体的に取り組む魅力あるまちづくりというのは、実は観光だったりもするのだと思います。予算としては観光のところに区分されていませんけれども。もう少し(予算を)使いたいところもあるのですけれども、同時に観光地というのは、それぞれのビジネスをやっている部分があるので、それぞれのところにものすごくお金をつぎ込みづらいわけです。やはりまち全体みたいな話にはなってくるので、今のところこうなっております。ただ、もう少し改善の余地は確かにあるとは思いますが、またそこは次年度以降、調整の上でということだと思います。マスコミ関係の方からご指摘いただいたキャッシュレス化であるとか、Wi-Fiであるとか、そういったものに関してもいろいろやりようがあると思いますし、先ほどの景観の創出みたいなところもあると思いますので、少し長い目でつくってまいりたいと思います。

Q 新潟日報
 組織改編もされるということですけれども、組織改編することによって、どこにより力を入れていかれたいか、改めてお願いします。

A 知事
 観光でということですよね。そこはやはりどこというよりは、やはりコンテンツ、でも結局、全部になるのですけれども、きちんとコンテンツをつくった上でそれを有機的につなぐということなのでしょうか。有機的につないで、かつそれをきちんとPRしていくということでしょうか。それを効率的にやっていくということだと思います。どちらかと言うと単発でやってはいけないと言いますか、全体像を持ってやるということで組織改編をしたと認識しております。

Q NST
 先ほど政策で、特に目玉はなくて全部が目玉だと仰っていたのですけれども、ビッグデータだったり、給付型奨学金だったり、ご自身の選挙の公約に挙がっていたようなものは強い思い入れがあるということでよろしいでしょうか。

A 知事
 もちろん思い入れがあります。それはそう書いていただいて構いません。

Q NST
 それが形になろうとしているというところで、今のお気持ちはいかがでしょうか。

A 知事
 それは大変ありがたいです。知事は2年目ですけれども、自分がただ政策を言っていただけの立場から、いろいろな方の力を借りて、もちろん税金を使ってですけれども、実現できる立場に立てたということは本当にありがたく、やりがいのあることだと思っています。

Q NST
 「平成30年度新潟県当初予算案の概要」には載っていないのですが、(「平成30年度当初予算(案)における主な事業」に)観光面で、SNS等を活用した情報発信強化事業ということが新規の事業で挙がっているのですけれども、今までの取組では足りないと感じているのでしょうか。

A 知事
 足りないですね。かつ広報と絡むところにもなると思うのですけれども、情報発信、特にSNSはだいぶターゲティングできるわけです。ターゲティングしながら、どこに何を売り込むかということを戦略的にやらなければいけませんので、そこはきちんと新しい課で対応していきたいと思っております。

Q NST
 米山知事自身もSNSは得意分野かと思うのですけれども、その辺りで、知事としてアドバイスや反映していきたい部分はありますか。

A 知事
 いっぱい炎上もしていますから、得意ではないのですけれども、ただし、少なくともどうしようという方針はあるわけです。私は炎上してもいいという方針を持ってやっているわけです。やはり方針があるかないかは結構重要で、方針があって進んでいくならいろいろな方針があり得ると思うのですけれども、これから取り組むことになっているわけですから、一つの方針を持って、かつ全庁的に共有して進めていきたいと思っております。

Q 新潟日報
 「活力ある産業と働きやすい新潟県を実現します」の分野なのですけれども、同じことをやっていてもという話がありましたが、例えば起業家の育成や再生可能エネルギーの活用などは今までも取り組んできたことでもあると思うのですが、今回、新規事業ということで振られていますけれども、あえてこの部分に新しいことをどういったねらいで、例えば起業家の育成や再生可能エネルギーの活用は、これまでと違うどういうねらいを込めたものかお聞かせください。

A 知事
 確かに括りとしては似たようなもので、大体どこでもやるじゃないかという話になると思うのですけれども、中身が重要だと思っております。まず、起業家育成に関してはあちこちで話しておりますが、これから始めるところなので、あまり大きなことも言えないのですけれども、きちんと実質的なコースを何とかいろいろな大学とも協力してつくらせていただきたいと思っています。ミニMBAと言いますか。それがきちんと分かるかどうかでだいぶ違うのだと思います。それがないと、とりあえず起業家になれと言われても人はなれないですから。一定のコースと時間をきちんと、ホームワークやデューティー(課題)を課した上で、それをきちんと修了した人に関しては、県内の様々な先輩経営者の方々と一定のネットワークでご相談したり、ご相談しなくても、単にインスパイア(触発)されるだけでもいいと思うのですけれども、お話しする機会などをきちんとつくっていきたいと思います。そういう意味では、丁寧に起業家文化をつくっていくと。それは、ただ一言の起業家支援というものとはだいぶ違うのだと思います。
 同時に、「起業チャレンジ奨励事業」はどこでもやるのかもしれませんが、心の持ちようということで、いきなり起業というとなかなか難しくて、そんなにいいネタがいっぱいあるわけではないのですけれども、代表的なところとしてラーメン屋であり、小さなショップであり、もしくは事業承継も起業と言えば起業なわけです。第二創業みたいなものもありますし。そういったものを丁寧にサポートしていくということは、それはそれで新たな在り方なのではないかと思います。誰でも「起業」という言葉を知っているわけなので、大括りとしてはあまり変わらないですけれども、中身をより工夫していくことで新しい事業になっていくのだと思います。
 再生可能エネルギーはさらに共通してしまうところがあって、それはどこでも共通してしまうところがあるのだと思うのですけれども、その中でも、新潟県の特性と言いますか、少なくとも土地が広いとか、雪があるので、シンプルに熱があればとりあえず使えるみたいなところを生かしながら推進に努めてまいりたいと思います。再生可能エネルギーは多少なりとも共通してしまうのはしょうがないので、ここは共通しながら、他県の先進的なところも取り込んでやっていきたいと思います。

Q 新潟日報
 先ほど、送電の問題に拘泥せずみたいなことを仰っていましたけれども、なかなか送電への接続は難しいという中で、蓄電ということで企業に対応してもらいたいという思いがおありですか。

A 知事
 そういう方向はあり得ますよね。熱は一番簡単なエネルギーですから、特に新潟では、まず冬は温めるみたいなところがあって、蓄電を生かしやすいのだと思うのです。そういう意味で、そこの導入は支援させていただきたいと思います。同時にもちろん送電に関しても、別途、国や電力事業者とお話ししていきたいと思います。

Q UX
 農業面の新たな米政策に対応する総合的な対策について、継続してさらに拡充ということですが、具体的にどういった辺りを拡充するとか、あるいは総合的にどの辺りを優先的に進めるのでしょうか。

A 知事
 継続は当たり前じゃないかと言われるかもしれないのですが、まずPRはやめてはいけないというところがあって、PR、CMは重要だということがあり、そこはずっとやっていくことになります。新潟米宣伝事業というのはひたすら繰り返す、飽きずに繰り返すということです。米生産に関しては、市場の状況を見ながら、調整はしながら、拡大もする。柔軟に、平成30年の市況を見ながら、平成31年に関してはどうするかを決めていくことになります。

Q 新潟日報
 昨日、新潟市の予算が発表になりまして、新潟市も財政状況が非常に厳しいということが改めて明らかになったのですが、新潟県都も厳しく、県も厳しいという状況だと、これから新潟という地域全体がどんどん縮小均衡していってしまう一方なのではないかという漠然とした不安を感じるのですが、新潟という地域そのものが今後どのように進んでいくべきなのか。知事ご自身はどのように牽引していきたいのかということを改めて聞かせていただきたいと思います。

A 知事
 人口が増えていくときというのは、常に今使っている額よりも使える額が増えるので、あまり考えないでぼんぼん(事業を)やっていけるということなのです。それがこういう(人口減少の)カーブになると、今までのやり方も変えなければいけないから、そういった意味では、今までのやり方を変えなければいけないというのは間違いないと思います。これはただ全国的な減少ですし、ある意味では世界的と言ってもいいのかもしれないです。どこの国でも人口減少が起こっているので。ただ、新潟市のことは詳細に、報道以上のことは把握していないのですが、県に関しては、十分な対応をしていけば、少なくとも何とかしていけるという状況です。昔から予想されていたこのカーブに関して、どうするかをあまり考えずに、何となく増えていく前提で物を組み立てていたから、今それに変えなければいけないというだけであって、少なくともそのカーブを前提として物を組み替えていけばある程度対応できると思います。それを縮小均衡と言うなら、人口減少並みに縮小均衡していくことは実はやむを得なくて、それを拒否してしまったら、それはまさに人口減少を見ないカーブでどこかが破綻するということだと思います。少なくとも人口減少というカーブは、当面しばらく起こるということに関して、それに合わせる変更は仕方がないし、それは縮小均衡ではないのだと思います。頭割りで計算するのは仕方がないと言うか、算数ですから。それが減少均衡に絶対ならないようにすることだと思うのです。少なくとも、人口割りでは変わらないということに関してはかじ取りがきちんとできると思うし、その中で反転攻勢と言いますか、その中で徐々に人口を増やすための政策にシフトしていって、まず、減少を食い止めて、増やしていくことに取り組んでいくことだと思います。それは時間がかかると思いますができると思います。時間がかかる間に関しては、そこは現実のカーブに合わせたことをして、破綻を避けることだと思います。縮小均衡が寂しいから、それを見ないようにして、ひたすら上昇でいくとすると、むしろひどいことになってしまうので、そこはカーブに合わせていくべきだと思います。

Q BSN
 空港アクセスに絡んでお伺いしたいのですけれども、県として予算を盛った中で、新潟空港は除雪が間に合わず、ここのところかなり欠航しているという背景があると思うのですけれども、そこら辺の知事としての思いと、空港を除雪するのはもちろん県ではないと思うのですけれども、その辺りの所感を教えてください。

A 知事
 そこはやはり、欠航するということ自体が大きな風評的な影響と言いますか、使いづらいという影響を受けてしまうので、そうならないようにしたいと思います。これから、今回の状況を確かめて、除雪体制をよく確認していきたいと思います。私は、8年に1回みたいな大雪に関して、全てに対処するべきだとは思わないです。全てに対処してしまうと、施設を維持する費用がかかりすぎるというところはあると思います。全県土という話をするならば。ただ、その中で、空港は可能な限り対処すべきところではあります。それに対して、もちろん県ではないにせよ、何らかの応援体制が取れるかどうか。もとより何か施設に投資しておけば対処できるのかとか、そこは空港整備をしているところと。どっちの対応なんでしょうかね、あれは国なのかビル管理なのか。国なのですね。そうすると、協力体制くらいになってしまうのだろうとは思いますが、そこはよく情報共有して、なるべく欠航がないようにさせていただきたいと思います。

Q BSN
 稼げる農業を掲げていらっしゃって、業務用米の生産拡大ですとか、そもそもの規模拡大も盛り込んでいらっしゃいます。これについて、来年は(国による生産調整が廃止される)平成30年問題の、まさしく新年度はその年になると思いますけれども、具体的にこの予算を積み増したことでどのような農業のイメージを持っていらっしゃるのか教えてください。

A 知事
 農業のイメージですか。基本的には、勝てるところでは勝ち、守るところは守るみたいな感じでしょうか。私は必ずしも大規模化ばかりがいいとは思わないのですが、少なくとも平地、平野に関しては農業人口、就業人口の減少とともに大規模化が避けられないところがあり、もちろん、大規模化した方がいろいろ経営的には楽なわけです。明らかに打てる手が増えますし、かつ、需要サイドから見たら、大きなロットで取れるわけですから、それはいいわけです。そうすると、条件有利な地域では大規模化。多角化は米の中での多角化と言いますか、園芸も含めてですけれども、農業としての多角化に努めていくことだと思います。6次産業化というのは微妙なところがあって、農家がレストランまでやっては、むしろ経営資産が分離してしまうようなところがあって、むしろそれは農業としては多角化をして、適切なレストランなどと連携する。連携できたら6次産業化と言いますか、そう努めていくのがいいのだと思います。一方で、施策としては方向性がかなり違う話ではあるのですが、中山間地域のような条件不利地域は条件不利地域として、地域保全も含めて保全していくということだと思います。農業は場所によってかなり立場が違うのですけれども、少なくとも有利地域においては、もうかる農業をひたすら追求していくことになろうかと思います。

Q 新潟日報
 先ほどから話が出ている人口減少に伴って、支出が増えるのを具体的にいくつか教えていただきたいのと、それから、予算が足りない部分については執行の努力で埋めていきたいというお話がありましたけれども、1年以上知事をやってこられて具体的なこういうことがあったということがありましたら教えてください。

A 知事
 歳出が増える方はシンプルで、一番分かりやすいのは公共交通機関です。中山間地域における公共交通機関というのは、一定の人口がいればビジネスとして成立するので、全く支援しなくていいわけなのですが、例えば、(利用者が)5人とかになった場合には、それはビジネスとしては全く成立しないので、パブリックでやらなければいけないわけです。かかる費用を全部5人にチャージ(請求)していいのでしたらそもそも民間がやると言いますか、チャージできないからパブリックがやるわけですから、当然、そこは赤字になります。病院も似たような話で、要は人数がいれば、基本的に民間ベースで全てできるところが、民間病院に任せておけば民間が採算を取ってくれるわけですが、それを公的病院が何とか維持せざるを得ない。かかった費用が全部チャージできるのだったら、そもそも民間でできるわけですから、かかったお金よりも少ない額しかチャージできないから公的病院がやるわけです。そうすると、当然、赤字として出てくるわけです。その他、集落機能の維持みたいなものに関しても、そこにいる人たちでできなくなっていくわけです。例えば、除雪がいい例だと思いますけれども、そもそも家庭の中に常に若い衆がいる3世代同居みたいな家庭であれば、除雪は全部お任せしておけばいいわけです。20歳の若い人頑張れと言えばしてくれるわけなのです。それが高齢化世代になって若い人が全くいないという状況になると、それは外から一定程度の力を投下せざるを得ず、当然そうしたらお金がかかるということです。人数が減ったからといって人間は生活水準を落とせないので、減った状態で人数が分散した状態を維持するというのは、絶対にお金がかかるのだと思います。執行の段階で(の努力の具体例)というのは、余った予算を使い切ろうみたいな無駄なことをするなと言えば、それなりに5%くらいは余裕を持って予算はつくるものですから、それはある程度のことはできます。そこは使いようというところだと思います。例えば、鉛筆を最後まで使うようになったら100万円残ったみたいな話はあまり知らないですが、普通に残ったものは残った状態で返してくださいと言えば、それなりに戻ってくるということでしょうね。

Q UX
 原子力防災について、先ほど避難方法の検証のため防災訓練(に関する予算)についてはシンポジウムや計画(に費やされる)と仰っていました。先般、柏崎市長の意見とのすれ違いもありましたけれども、可能性として話合いの結果、図上訓練とか机上訓練とか、自治体同士のシミュレーションとかそういったところで例えばすりあわせるような・・・。

A 知事
 机上訓練はもちろんあり得ると思います。それは失敗してもいいと言うか、机上訓練というのは失敗するためにやるようなものと言うか、失敗をあぶり出すためにやるようなものですから、机上訓練は当然あり得ると思います。

Q UX
 実際に自治体との、人を動かしてというのは。

A 知事
 それは本当に事故が怖いと言いますか、一定の人数を動かすということになると、それはそれなりにすりあわせて、かつ、いろいろな人の時間を取るわけなので、きちんと事故の防止と、それで本当に問題点が確認できて洗い出される場ということを分かってからやるべきことだと思います。

Q 新潟日報
 19日から始まる県議会で審議されると思うのですが、昨年度初めて(米山知事が)提出した予算は、62年ぶりだったと思うのですけれども、全会一致ということで成立したわけです。この予算を出すに当たって、最大会派の自由民主党がどうするかというところだろうと思うのですけれども、その辺りについて何か現時点での思いはありますか。

A 知事
 それは予断を持って取り組んではいけないと言うか、それはきちんと議論する中で決まっていくことなので、現時点では全く分からないと思っています。

Q 新潟日報
 1年前と比べると、今回はいろいろ衆議院選挙の話もあって、緊張関係は見た目のところでは高まっているという状況だと思うのですけれども、その辺り予算を通して執行していくという意味において、知事としてはどのような姿勢で臨んでいきたいか、あるいは、理解を得られそうなのかどうかを含めて、その辺りの所感はありますか。

A 知事
 それこそ、それは私にとって都合のいい理屈なのかもしれないですけれども、衆議院選挙と予算って関係ないですよね、基本的に。衆議院選挙で誰を応援したから予算を通さないという議論は、正しい議論ではないと思います。予算がいいか悪いかということでなければいけないし、それはどの会派に限らず、どの議員の方も県民から負託されての立場ですから、ただ単にあの人を応援したから気に入らないみたいな話は、それは議員としていかがなものかと思います。それを言うと角が立つのかもしれませんが、大きな筋論としてそうだと思うのです。なので、私はそこは分離してくださいと平身低頭訴えるつもりです。かつ、本来、分離されるべきものだと思います。その中で、予算そのものについて、このようにべきだ、あのようにあるべきだというところは、ぜひ戦わせていただいて、その中で可決していただけるといいなと思っています。

Q 新潟日報
 確認なのですけれども、県単公共の中で、特段の政治的配慮うんぬんというものではなくて、一定のあれはあるけれどもということだったのですが、特に今回、自由民主党をはじめとして各党会派ですとか、あるいは各種団体からいろいろな要望を受けていますけれども、特段ここのところをよく聞いたとか聞かないとかそういうことは特にないですか。

A 知事
 ないですね。どこにも配慮していますし、そもそも全てに配慮するのが当然と言いますか。私はあまり個人の好き嫌いというのは本当にないタイプではあるのですが、割に個人と政策が分離するタイプではあるのですけれども、個人の好き嫌いというよりは自分の政策への好き嫌い、得意不得意とか理解不理解とかで濃淡が付いてしまったところはゼロではないと思うので、それはもしそうだったら申し訳ないと思いますが、特に会派によってというのは全くないです。そもそも私はそのようなタイプではないです。

平成30年度組織改正の概要について

Q 時事通信
 広報戦略室をつくるということですが、今の広報体制のどういったところが足りなくて、この室をつくることによって、具体的にどういったことを目標にされるのか教えてください。

A 知事
 基本的に部局で広報をやるわけです。それは仕方がないと思うのですが、県庁のジョブローテーションと言いますか、数年でローテーションしていくわけです。その中でたまさか部局の中で広報を担当した人が広報をやっているという状況なわけです。それはそれでいいところもあるのですが、部局の状態を反映するということはあるのですが、正直、素人広報は否めないと言いますか、重要な予算を使った重要な政策の広報を、広報をやり出して1年ですという人がやっているみたいなことが多々あるのです。組織上。そこはそれなりに広報に対して一定の知見を積み重ねた人に相談しましょうと。企業なども当然そうなのです。広報は全部広報(部門)を通しているわけではないですか。全部通すというのは難しいにせよ、相当程度、広報戦略室と相談して進めてくださいと。それによって広報全体の質を高めようというのが狙いになっています。

Q NST
 組織改正について、先ほどの、合理的でありたいという知事のお考えが反映されたものなのかどうか、教えていただければと思います。

A 知事
 一応そのつもりです。合理的であるということはいくつかの点があって、問題に対して組織が対応しているというのは一つの合理性です。問題に対してきちんと対応する場所があると言いますか、問題の区分と組織の区分が一致しているということと、そもそも、その問題にきちんと対応するものがあるという、両方の点で合理的でありたいと思っていて、その方向で組織改正をしたつもりです。

平野歩夢選手の銀メダル獲得について

Q NHK
 今速報が入りまして、平野選手が銀メダルだそうです。

A 知事
 よかったですね。1位はやはりショーン・ホワイト。

Q NHK
 最後、逆転されてしまったようです。

A 知事
 順番で逆転されたということでしょう。

Q NHK
 2本目までトップだったようです。改めて、銀メダルではありますけれども2大会連続の銀メダルです。

A 知事
 おめでとうございます。ご本人はいろいろな気持ちでしょうけれども。悔しさとうれしさと半々が混じり合っているのだと思うのですが、世界2位ですからね。それはすごいので、心からおめでとうございますと申し上げたいと思います。しかも、平野さんは20歳(正しくは、19歳)ですよね。当然、次(のオリンピック)も出られるのでしょうし、ショーン・ホワイトは27、28歳でしたよね。

Q NHK
 31歳です。

A 知事
 ショーン・ホワイトだって31歳ですから、これからどんどん向上していくことができると思いますので、この喜びと悔しさを共に胸にして、また次によりよい成績を収めていただけるように頑張っていただければと思います。改めて、おめでとうございますと申し上げたいと思います。

原発関連問題について

Q 共同通信
 柏崎刈羽原子力発電所の6、7号機のフィルター付きベント設備とか、地震で液状化が起こった際に地下部分が損傷するおそれがあると、報道が先行する形で明らかになったと思うのですが、まず、この事実の受け止めを改めてお伺いします。

A 知事
 その後確認もしたのですけれども、第一として、それはきちんと言ってくださいというのが非常にあるのだと思うのです。そういうことをきちんと言わないのはいけないですよというのは、きちんと東京電力にも伝えたところです。ただ、決して弁護したり擁護したりしたいわけでもないのですが、事の経緯を確認すると、報道資料の中に書いてあったという話ではあるので、東京電力も隠蔽しようと思ったというよりは、何をきちんと事前に伝えるべきかということに関する意識が非常に弱いということなのだと思います。本当に特段擁護したいわけではないのですが、悪意を持って隠蔽したということではないのだと思います。わざわざ自分で報道資料を書いたわけですから。それをもっと早く、きちんと分かった時点で言っていただくのは、今後、非常に重要になってくると思います。

Q 共同通信
 資料には確かに書いてあったのですが、もっと詳細に、そのための会見を設けるとかそういうことがあってもいいのではないかと個人的には思っていますけれども、そういうふうには。

A 知事
 まさにそのとおりだと思います。詳細かつもっと早くですよね。何が不安なのかということ、自分たちだけで完結してもらっては困ると言いますか。何が不安で、かつ、それが本当に不安と言っていいのかどうか。他人もチェックするのだということに関して、非常にそこは理解を変えていただきたいですよね。自分たちが考えた自分たちのロジックでよければいいのではなくて、他人も見て他人も理解しなければいけないのだと。かつ、それによって安全が保たれるのだと。それは住民と事業者と行政とのトリプルチェックで初めて安全を確保するのだということに関して、それはまたですかというのは非常にあるのだと思います。悪意ではないにせよ、その点に関する理解が非常にかけているということに関しては反省していただきたいと思います。

Q 新潟日報
 発表資料に書いてあると言っても、ベントが液状化するということまでは触れていなくて、損傷するということまで触れていなくて、あくまでも地盤改良工事をしますとしか書いていなくて、一方で、県は技術委員会等でベントの性能とかについて、まさに検証している最中でもあるので、きちんと検証している県には伝えるべきではないかと思うので、やはりその辺の伝え方に問題を感じていらっしゃいますか。

A 知事
 伝えるべきです。問題あります。なぜかというのと、今ほどの話とかぶりますけれども、自分たちが分かっていればそれでオーケーなのだということがあるならば、特に技術的なことに関してそういうものがあるのだと思うのです。だから、結果として出てくる改良工事だけ言えば、周りは途中の過程をチェックしなくていいと思っているというところは、ベースにはあると思います。本当に言葉としてそう思っているかは別として。そうではないですということを何年も言っていると言うか、それでよかったらそもそも事故は起こっていませんよねという話は、当然、東京電力がチェックした上で事故が起こっているわけですから。だからこそみんなでチェックするのだと再三再四言っているわけなので、そこは本当に非常に遺憾に思います。そこは本当によくよく改めていただきたいと思います。いつまでもそんなことだったら、信頼と言うか、安全第一ということが全く言葉として成立しなくなってしまうので。安全というのは、自分たちだけで確認できるものではないのだと。絶対というのはないですから、複数の目で見ることによって本当の安全に近づけるのだということを、ぜひご理解いただきたいと思います。

※文中の( )内については、広報広聴課で加筆したものです。


(過去の知事記者会見の一覧はこちら)

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