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村上岩船で暮らすヒト・働くヒトへのインタビュー(2)
「チェロを奏でる地域活性化請負人」
吉田 悠亮さん
東京出身。大学卒業後、製造業、人材派遣業を経験した後、飲食企業向け求人・人材紹介サービスを創業。妻の移住したいという希望がきっかけで移住を考えたときに関川村に出会う。地域イベントではライフワークであるチェロの演奏を披露することも。
Q高校時代の夢や職業観を教えてください。
率直に言いますと、高校時代は、どんな職業に就きたいとか、将来のことはあまり考えていませんでした。学校が終わると友達と遊びに行ったり、勉強もバリバリやらなかった割には、ある程度の大学に行きたいという希望は持っていましたね。あと、チェロを始めたのも高校生の時でした。
そうした中、大学受験を迎えたわけですが、さすがに現役合格はできず、1年浪人をして志望校に合格できました。今思えば、勉強に集中した浪人生活もその後の人生では良い経験になったと思いますし、高校から始めたチェロについては、地域の皆さんの前で披露できる機会をもらえてありがたい限りです。
Q今やっている仕事を教えてください。
関川村役場の農林課で、六次産業化推進などを担当しています。地域の農産物のPRや商品開発などを地元の農家や団体と一緒になって、関川村の農業を振興する仕事です。
東京時代の営業や会社経営の経験は、農家さんとの話合いや事業の企画で役立っていると感じます。最初の頃は、様々なことを覚えてマルチにこなさなければいけない公務員の仕事がとても難しくて苦労しました。しかしながら、徐々に仕事に慣れてきて地域の活性化に関われることにやりがいを感じています。
プライベートでは、仕事仲間や東京時代の知人と協力して、新潟初の労働者協同組合「パンプアップ関川」を立ち上げて活動しています。関川産のかぼちゃを栽培して販売したり、かぼちゃを使ったスイーツの製造や販売も行っています。地元の農作物の生産から商品の加工・製造まで(六次産業化と言います)取り組むことで、農家の収入が安定して農業で稼ぐことできるという関川にはなかった仕組みを作ろうとしています。また、関川産の農産物などを村外にPRして関川村の活性化にも貢献したいと思っています。スイーツの製造では、妻がパティシエをやっていた経験もあるので、試作品づくりなど、妻からアイデアをもらう場合もあります。
Q村上岩船で暮らし・働くことについてどう考えていますか?
元々東京で働いていて関川村とは全く縁がなかったのですが、妻が緑に囲まれた暮らしがしたいと言ったのがきっかけで、移住先を探しました。関川村役場の応募をたまたま見つけて内定をいただくことができ、夫婦で関川村に移住することを決めました。東京とは全く違う環境で、公務員の仕事も初めてで不安でした。しかし、自然も多いですし、人とのつながりが近くて相談しやすい環境なので、過ごしやすく働きやすい環境だなと感じています。
また、地域イベントでチェロを演奏する機会をいただくことで、移住者である私を地域の人たちが受け入れてくださり、様々なイベントに呼んでもらえるようになる等、段々地域に入っていけるようになりました。ここでも人とのつながりの近さを感じましたね。
その他で言えば、人や企業が密集し、次々と入れ替わる東京とは違い、関川村は、良い意味で競合が少なく、協力者も得られやすいです。新しいことにチャレンジするにはとても良い環境だなと感じます。
Q今後の展望を教えてください。
役場の仕事と、パンプアップ関川という公私の活動を通じて、かぼちゃをはじめとした農産物をたくさんの人に知ってもらい、関川の農業を持続的にしていきたいと考えています。例えば、一次産品を加工してそこに付加価値をつけて販売することで、地元が稼げる持続的な農業に変えられるかもしれません。かぼちゃの他にも、吉田電材さん(村上市の企業)と一緒に、日本初のライ麦を使ったウイスキー作りにチャレンジしています。
関川の農業を持続的にするために、一緒にやってくれる仲間も増やしたいと思っています。ぜひ、地域の高校とも連携して新商品開発とかできたらいいですよね。
Q将来に向けてやった方が良いこと、高校生へのメッセージをお願いします。
色々な事を考えるだけでなく、早めに実行してほしいです。人はどうしてもアイデアを出しても明日やればいいやと、どんどん先延ばしにする傾向があると思うんですよね。それってもったいないなと思っていて、それならすぐにやってみようということですね。しかも、地元だと、都会に比べて競合が少ないのでチャンスが多いはずです。皆さんも今日起きたアイデアは明日やってみると何かが変わるかもしれません。
また、アイデアの実行や様々な経験を通して自分の苦手も分かるようになります。私も、民間企業とは異なる、地域の公益を第一に様々なことをマルチにこなす必要がある公務員の仕事で自分のウィークポイントに気付きました。その苦手を克服するためにチャレンジをした結果、今の仕事を段々できるようになりました。今では、パンプアップ関川というプライベートでも、地域活性化に関われるところまできました。
皆さんも、アイデアは早めに実行、苦手なこともいずれ出来るようになる、ということを意識して色々なことにチャレンジすると、その後の人生に活かせる充実した高校生活になるのではないでしょうか。
- 関川村役場<外部リンク>
- 労働者協同組合パンプアップせきかわ <外部リンク>