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輸出用米として多収性品種「いただき」を活用 【株式会社NKファーム村上】
株式会社NKファーム村上 代表取締役 奥山 芳浩 氏
『国内の米の需給情勢と海外での日本食ブームを考えれば、輸出用米の将来性に大いに期待しています。』
法人の概要
国内の需要情勢等から輸出用米の将来性が高いと考え、生産拡大を図るため、地域の2法人、4農家が出資し、平成26年に設立されました。直播栽培等の低コスト技術を導入し、生産コストの低減を図っています。
水稲経営面積・品種と内訳
品種 | 作付面積(ha) |
---|---|
コシヒカリ | 4.7 |
いただき | 2.0 |
※作付面積の8割は鉄コーティング直播
インタビュー
― 輸出用米に取り組んだきっかけと経緯を教えてください。
「輸出用米はこれから伸びる可能性を感じました。」
これまで様々な生産調整の取組をしてきましたが、助成制度に依存する対応では将来への限界を感じました。輸出用米は、国内の供給過剰に影響せず継続して取り組めます。また、日本食が世界で広がっており、将来性も期待できることから取組を始めました。
― 販売先の確保と作付品種の決定はどのようにしていますか?
「販売対応してくれる業者を見つけることが第一です。」
輸出用米は、コストやノウハウを考えると農業法人自らが販売まで取組むことは困難だと思います。まずは、条件等を聞いてパートナーとなれる販売業者を見つけることが第一です。
― 販売先の確保はどのようにしていますか?
「販売業者が販路を開拓しています。」
販売業者が販売先のニーズを把握しているので、その情報をもとに作付け品種を決めています。「コシヒカリ」より安い米が求められているようです。そのため、低コスト生産ができる多収性品種の栽培が必要と考えています。
― 生産面で工夫していることはありますか?
「販売価格が安いので低コスト生産が必須です。」
同じ品種でも国内の主食用米と比べると販売価格は1俵当たり2千円位安くなります。そのため、低コストで生産しないと採算が取れません。うちでは、作付面積の8割で鉄コーティング直播に取り組んでいます。さらに、密播育苗や流し込み肥料にも取り組んでいます。
― 輸出用米の取組において課題はありますか?
「低コスト・安定生産です。」
どうしても販売価格が安いので、収量を確保しつつ低コストで生産することが課題となります。そのためには品種選定が重要です。
晩生品種では低コスト生産のため直播に取り組むと出穂が遅くなり、場所によっては水確保が課題となることもあると思います。
― 輸出用米を導入・拡大する上での注意点はなんですか。
「まずは販売業者を見つけることです。」
自ら販売まですることは難しいので、まずは販売業者を見つけることが第一だと思います。インターネット等で販売業者の情報を得られると思います。
販売業者ではセールスマンを設置しているので、相談があれば現地に出向いてくれます。まずは情報収集し、その上でメリットがあるか検討しましょう。
生産にあたっては低コスト生産に向けて、多収性品種の導入、低コスト技術の導入がポイントになると考えています。
― 今後の法人における輸出用米生産の方向性を教えてください。
「将来性があるのでさらに拡大していきたいです。」
米の輸出は国内の米価を安定させ所得を確保するために必要になると考えています。輸出用米の生産は将来性があるので今後も作付を拡大したいと考えています。日本食ブーム、グルテンフリーなども後押しになると思います。支援制度があればさらに取り組みやすいと思います。
△輸出用の「いただき」 玄米はフレコンバックで取扱えるため、省力的
※経営面積や品種情報については取材時(平成29年9月時点)のものです