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【魚沼】メンタルヘルスシリーズ第7回 「こころ豊かに老年期を過ごしましょう」

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0061770 更新日:2019年3月29日更新

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 人は誰でも、年齢を重ねても心身共に健康でありたいと願っています。
 日本は高齢化が進んでおり、近頃は年齢を重ねても健康でいられるように、様々な関連本の出版やテレビ番組で放映が行われています。
 老年期には身体の不調を感じやすくなりますが、いかにこころの健康を保つかといったことが日常生活を豊かにするために大事な要素となります。
 魚沼地域は県内でも高齢化率が高い地域であることから、シリーズ第7回は老年期のメンタルヘルスを取り上げ、こころ豊かに老年期を過ごすために大切なことについて考えてみましょう。

(1)老年期の身体とこころの変化

(1)老年期の身体とこころの変化の画像 老年期とは一般的に65歳以上を言います。老年期の身体とこころにはどのような変化が見られるのでしょうか。
 人は年齢を重ねると、まず身体的な変化を実感するでしょう。身体を作る細胞が徐々に老化していくので、視力や聴力が低下して物が見えにくい・聞こえにくくなる、脳機能が老化して物覚えが悪くなる・考えがまとまりにくくなる、といった変化が見られます。
 また、記憶力の低下などから自分の考えに自信が持てず不安になりやすく、物事をじっくり考えることに疲れ短気になる、といった感情の変化も見られます。
 さらに生活場面においては、長年続けてきた仕事を退職する、家族や友人が亡くなるなど、様々な喪失体験に出くわす、といった環境の変化も見られます。に
 様々な場面で頻繁に、若い頃より心身の機能低下を実感する、喪失体験に直面するといったことが、気分の落ち込みや気力の減退につながると考えられます。
 また、脳の機能も低下していますので、今まで受け流すことができていた些細なことでも重く受け止めてしまいがちです。
 そういった点から、老年期には、身体が老いるといった身体機能の低下に加えて、こころの健康に影響を与えるような変化も多く現れると考えられます。

(2)老年期の精神疾患

 老年期には身体とこころの健康に影響を与える要素や場面が多くあります。
 そのため、身体もこころも多くのストレスにさらされますが、脳の機能も低下しているので上手く対応できず、メンタルヘルスを害してしまう場合もあります。
 老年期に現れやすい精神疾患や状態には、次表のようなものがあります。

疾患(状態) 症状、特徴

うつ病
(気分障害)

  • 気分や意欲、記憶力が低下する
  • 心気的な訴えが多くなる など
認知症
  • 脳機能の低下により、物事を覚えることや場所が分からなくなる、判断力が低下するといったことが起きる。
  • 上記症状に加えて、抑うつ、徘徊、暴言・暴力、幻覚・妄想といった症状が現れる人もいる。
せん妄状態
  • 意識が混濁して、錯覚、興奮や錯乱、まとまりのない行動をする。
  • 認知症に伴って起きることもあるが、身体の病気や環境の変化、薬の影響などが原因となって起きることもある。
幻覚妄想状態
  • 現実にはないが、「誰かが家に入り、お金を盗んでいった」「部屋の入口に猫がいる」といったことを話す。
  • 認知症やせん妄状態の症状、脳機能障害や処方されている薬の影響で一時的に出ることがある。

(3)老年期のうつ病の特徴

(3)老年期のうつ病の特徴の画像 うつ病の発症は高齢者に多いと言われています。
 厚生労働省が行った平成23年度「患者調査」では、医療機関で看てもらっている「気分障害(うつ病、躁うつ病、気分変調症等)」の総患者数は95.8万人でした。男女別では女性の方が多く、年代別では男女とも40歳代が最も多いでしたが、女性の方は高齢者にも患者が多く見られました。
 老年期のうつ病では、眠れない、食欲がないといった一般的なうつ病と同じ症状も現れますが、身体的な不調や不安を強く訴えるといった特徴があります。
 また、現実的な判断が適切にできずに混乱しやすい、妄想的な発言が聞かれる、呆然と一日を過ごす、物忘れがひどくなったように感じる、といった認知症に似た症状が出ることもあります。
 認知症だと思ったら、実はうつ病だったということもあります。逆の場合もありますし、両方という場合もあります。
 老年期のうつ病と認知症には次表のような違いがあります。

  老年期のうつ病 認知症
症状の現れ方 急に現れることが多い 長い期間をかけて物忘れが現れる
憂うつな気分 強い うつ病ほどは強くない
自分を責めるような思い 強い 弱い
大変さを強調することがある
不安感 強い うつ病ほどは強くない
記憶の障害 過大に訴える
訴えるほどの低下はない
記憶障害を否定
過小評価する
時間、場所などの理解 ほとんど理解している 理解できていないことが多い
自殺を考えること しばしばある 少ない

 うつ病は重度化すると、自殺につながる危険性もある病気です。
 不調の状態が続くことを年齢のせいばかりにせず、「あれ?」と自分で、そして周りが気づいたら、まずはかかりつけの医療機関、市町村地域包括支援センターなどの相談機関に相談してみましょう。

(4)老年期のメンタルヘルスを支える

(1)治療で支える

 うつ病をはじめ、老年期の特有のメンタルヘルスの不調は、医療機関を受診し、治療を受けることで改善・回復することがあります。
 老年期のうつ病の治療では、一般的なうつ病同様、薬物療法、精神療法が行われます。疲れた心を休めるために、服薬と休養が必要になります。
 一般的なうつ病の治療と異なる点は、症状が落ち着いてきたら身体の機能をそれ以上低下させないよう、負担にならない程度で活動することが大切です。

(2)家族等の支援で支える

 老年期のメンタルヘルス不調は、本人が気づけない・気づかない場合が多くあります。そのため、家族や介護支援関係者などの理解や協力が必要になります。
 一般的な老化現象とメンタルヘルスの不調は異なります。「もう年だから」と本人も家族もレッテルを貼らずに、いつもの状態と違うことに気づくことが早期受診や対応につながります。

(3)地域の見守りで支える

 老年期の心身の不調を支えるためには、家族や近親者以外ともつながりがあることが大切です。行動範囲や交流関係が狭くなると、近親者等とだけの関わりが強くなり、その方が死去するとより強い喪失感や孤立感に陥ることがあります。
 日頃から「おはようございます」、「調子はどうですか?」と声をかけてもらえることで「人とつながっている」、「地域に支えられている」と感じることができ、メンタルヘルスの不調予防につながります。

(4)老年期のメンタルヘルスを支えるの画像

(5)「老い」を楽しむ

 人は誰でもいずれ「老い」を迎えます。健康に生活するためには、身体の動かすだけではなく、こころを豊かにするために自分なりの工夫が必要です。例えば以下のようなことを意識して、「老い」を楽しく過ごせるようにしてみませんか。

(1)「老い」を迎える思考方法を準備する

  • 仕事を辞めたら何をして過ごすかといったことを考える。
  • 昔できたことにこだわらず、「今の自分に何ができるか」を想像してみる。
  • 自分でできること、誰かに頼っておきたいことなど、老後の生活を具体的に想定してみる。

(5)「老い」を楽しむの画像

(2)日常生活で身体とこころの健康を意識する

 健康寿命を伸ばすコツ、「テクテク・カミカミ・ニコニコ・ドキドキ」を日常生活の中で意識し、取り入れてみましょう。

テクテク

老年期になると、ただ闇雲に運動をすればよい、ということではありません。
息が上がらない程度の運動強度、継続できる程の運動時間・頻度といった運動処方が必要です。
2日に1回、30分~1時間程度のウォーキングを取り入れてみませんか。

カミカミ よく噛んで食べることで、脳の活性化や唾液に含まれているホルモンが作用し、老化の予防に役立ちます。
よく噛み、ゆっくりと、楽しみながら食事を摂ることを意識してみましょう。
ニコニコ 笑いには、免疫力のアップ、ストレス解消、細胞の活性化によりがん予防など様々な面で健康増進に効果があると考えられています。
日常的にクスッと笑えることを探す、テレビなどを見て大きく笑う。
口角をあげて笑顔を作ってみることも効果があるそうです。
ドキドキ 老年期になると脳を活性化する機会が徐々に減っていき、メンタルヘルスの不調にもつながりやすくなります。
行きたいところへ旅行して景色に感動する、友人とカラオケに行き好きな曲を歌うといったことを通して脳を刺激してみましょう。

(3)社会とつながる

 数十年前と異なり、近年は老年期を迎えても、仕事を続けていたり、ボランティアなどに積極的に参加する活動的な方が増えています。
 「老い」には様々な機能低下が見られますが、これまでの長い人生で培ってきた経験と知恵がそれぞれにあり、それらを活用できるような仕事や場が今後も増えていくのではないでしょうか。
 シルバー人材サポートセンター等を活用して、経験や知恵を生かせるような仕事を探す、若い世代へ経験を伝授できるような場を創出する、といったことを通して社会に貢献することで、自分らしい、こころ豊かな老年期を過ごすことができるでしょう。

(3)社会とつながるの画像

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