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本年度の県の「学校教育の重点」では、「人権教育、同和教育」の文頭に、「差別を許さず」という言葉を付け加えました。これは、態度目標を示したものであり、いじめの重大事案や、同和問題に関する差別事象が起きていることを踏まえ、より一層の人権教育、同和教育の充実を図り、差別を許さない態度の育成を求めたものです。
児童生徒が、多様性を認め、互いの命を尊び、豊かな人間性をはぐくむための、組織的・計画的な教育活動の中心に、人権教育、同和教育があります。
児童生徒一人一人に、人権尊重の精神を育むためには、教職員自らが、人権教育、同和教育に対する理解を深めるとともに、人権感覚を高めることが大切です。そして、人権教育、同和教育を組織的、計画的に実施するために、全体計画だけでなく、年間指導計画を整備し、計画に従って着実に実践を積み重ねることが求められます。
本年度の人権教育、同和教育主任等研修会では、参加者に次の二つのものを持参してもらい、これをもとにグループ協議を実施しました。
(1) 昨年度又は本年度実施した人権教育、同和教育の授業の指導案又は実践例
(2) 自校又は中学校区の人権教育、同和教育の年間指導計画
義務教育課の指導主事が講義を行い、参加者から人権教育、同和教育に対する理解を深めてもらいました。(1)の「授業」に関するグループ協議では、「自分の中の差別意識に気付くこと」、「差別された側のしんどさに共感し差別に憤ること」、「差別に対して自分ができることを考えること」など授業のポイントになることが話題に上がりました。また、授業後に検討会をもち、課題や発問などの改善点を明示した指導案を蓄積し、次年度に生かすことの有効性なども話し合われました。(2)の「年間指導計画」に関するグループ協議では、「学校の実態に合った年間指導計画を作成し、学年内で同時期に授業を行うことで分析や授業改善がしやすくなる」、「学習参観日や人権教育強調週間で全校一斉に授業を実施するなど、集中的に取り組むことで人権意識の向上に結び付く」等の意見が出されました。
年間指導計画を作成していない学校は、年度内に確実に作成するとともに、各校の年間指導計画を基にして中学校区で共通の年間指導計画を作成するか、または、共通理解を図るようお願いします。
本年度の全国学力・学習状況調査の結果が7月31日に公表されました。各学校で児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育活動の成果と課題を検証することを通して、今後の教育指導の充実や学習状況の改善に役立てていくことが求められています。
児童生徒の学力の状況や課題等を的確に把握・検証するためには、各学校や各市町村の状況に即し、多面的な分析を行い、指導上の課題等を明らかにすることが必要です。
(1)教科ごとの平均正答数、平均正答率、中央値等の数値データによる分析
(2)児童生徒の正答数の分布の形状等から全体的な状況を把握・検証
(3)問題別の結果から学習指導要領の領域や評価の観点、問題形式ごとの正答や無解答の 状況の分析
(4)解答類型別の結果から個々の問題における誤答や無解答の状況の分析
(5)これまでの調査の結果の状況や市町村における独自の調査の結果との比較分析
また、児童生徒及び学校に対する質問紙調査の結果の分析・検証も必要です。国立教育政策研究所のクロス集計によると、課題の解決に向けて、自分で考え、自分から取り組むことができていると回答した児童生徒ほど学力が高い傾向が見られました。このように、学校の指導方法や児童生徒の学習意欲等の状況と学力との関係について分析を行うなど、教育や教育施策の成果、取り組むべき課題等を明らかにする必要があることに留意してください。
結果の分析を授業改善に確実につなげるために、調査問題の趣旨、課題、指導改善のポイントなどが具体的に示された「平成31年度(令和元年度)全国学力・学習状況調査報告書」、「平成31年度(令和元年度)授業アイディア例」(ともに国立教育政策研究所)等を活用するなどして、各学校での取組の一層の充実を図ってください。
○新潟県の概況
上の表は、県の平均正答率、全国平均、県と全国の差を示しています。(数値はいずれも公立学校のもので、政令市を含んでいます。)
【国語】 小・中学校とも全国平均を上回り、特に小学校においては全国平均を大きく上回りました。
【算数・数学】 小学校算数で全国を下回りました。小学校算数は昨年度のB問題でも全国平均を下回っていました。
【英語】 初めて実施された中学校英語は、全国平均を下回りました。
今年3月、東京都目黒区で両親の虐待により、5歳女児が短い一生を終えることとなりました。また、1月に遡ると、父親からの虐待で千葉県野田市の小学校4年生児童が死亡する事案も発生しています。いずれの事案も学校と関係機関との連携不足が指摘されています。
国では、2月の関係閣僚会議において「『児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策』の更なる徹底・強化について」が決定され、文部科学省、内閣府、厚生労働省の連名で児童虐待に係る情報の管理や学校・教育委員会と児童相談所、警察などとの連携に関する以下のような新たなルールが定められました。
(1) 学校等及びその設置者においては、保護者から情報元に関する開示請求があった場合には、情報元を保護者に伝えないこととするとともに、児童相談所等と連携しながら対応すること。
(2) 保護者から、学校等及びその設置者に対して威圧的な要求や暴力の行使等が予測される場合には、速やかに市町村・児童相談所・警察等の関係機関や弁護士等の専門家と情報共有することとし、関係機関が連携し対応すること。
(3) 要保護児童等が休業日を除き、引き続き7日以上欠席した場合には、理由の如何にかかわらず速やかに市町村又は児童相談所に情報提供すること。
また、文部科学省は、5月9日に「学校・教育委員会等向けの虐待対応の手引き」を公表しました。手引きには、学校が通告を判断するに当たって、「確証がなくても通告すること(誤りであっても責任は問われない)」「虐待の有無を判断するのは児童相談所などの専門機関であること」「保護者との関係よりも子供の安全を優先すること」「通告は守秘義務違反に当たらないこと」といった学校が対応に留意すべき事項等がまとめられています。 子供たちの心身の「育ち」を支える学校は、重大な人権侵害である児童虐待の予防・発見・通告、虐待を受けた子供の保護・自立支援のための関係機関との連携・協力の役割を果たさなければなりません。各学校におかれましては、職員研修で内容を確認し、迷わず対応できるようにするなど、「虐待対応の手引き」の効果的活用をお願いします。
【新潟県の現状】
令和元年8月1日付「平成30年度の児童虐待相談対応件数(速報値)について」によると、県内の児童虐待相談対応件数は2,793件(前年度比635件増加)で、5年連続で過去最多を更新しました。虐待の種類別では、「心理的虐待」が最も多く、次いで「身体的虐待」、「ネグレクト」の順となっています。今年度も、県内では昨年度を上回る児童虐待事案が発生しています。また、管内でも、一つ間違えば重大事態になりかねない事案が報告されています。
児童虐待の問題は、心的外傷ストレス障害、反応性愛着障害など、人格形成に影響を及ぼす可能性が高く、生徒指導上の諸課題の背景として影響を与えるケースも少なくありません。したがって、児童虐待に関する正しい知識と対処法を身に付けることが重要です。
県の共通テーマ「学校と家庭、地域をつなぐPTA活動の工夫」に基づき、中越地区では、子どもたちの心の健康に着目した「子どもたちのメンタルヘルスを支えるPTA」を内容とする研修会を実施しました。下表のとおり大勢のPTA役員・会員の方々から参加いただいたことに感謝申し上げます。
始めに新潟青陵大学 准教授 齋藤恵美 先生から講演をしていただきました。Youメッセージ(あなたは~しなさい)ではなく、Iメッセージ(私は~と思うよ)を送ることを大切にした子どもとの接し方、「ストレスは必ずしも悪ではない」というストレスのとらえ方、「聞き役に徹する」というかかわり方、「10秒呼吸法」というストレスサインが見られた時の対処法等、演習も交えながら理解を深めました。
その後のグループ協議では、講演を聞いての感想や子どもたちの心の健康・笑顔のために取り組んでいること・今後取り組みたいことについて意見交換を行いました。
本研修会を通して、子どもが心の健康を保つためのかかわり方や言葉がけの重要性、ストレスサインに気付いた時の対処方法などについて学び、参加者それぞれが子どもへのかかわり方について具体的な示唆を得ることができました。家庭でも所属するPTAでも「学んだことを生かしていきたい」との声が多数ありました。
8月から、新聞等で報道された重大な事案が立て続けに3件発生してしまいました。
◆児童買春・児童ポルノ法違反 高校生に画像を自分の通信機器に送信させた。
◆器物損壊 駐車中の自家用車に塗料スプレーを吹きかけた。
◆児童買春・児童ポルノ禁止法違反 金銭を渡す約束をして、わいせつな行為をした。
いずれの事案も教職員が逮捕されるという、学校や教育に対する信頼を根底から覆す、絶対に起こしてはならない事案です。しかも、1件は、非違行為根絶について学校の取組をリードし指導する立場の校長が起こした前代未聞の事案です。中越管内はまさに危機的な状況、緊急事態であります。非違行為をこれ以上発生させないよう改めて全教職員で確認していただくとともに、組織的継続的に取り組んでいただくようお願いします。
教職員の非違行為は、勤務校の児童・生徒、保護者や地域社会はもとより、県民全体の教育に対する信頼を大きく裏切る行為であり、その影響ははかりしれません。改めて非違行為根絶に向けて、各学校が取組を強化し、信頼される学校づくりの実現に向け力を尽くすようお願いします。