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【農業技術・経営情報】6次産業化(加工):もち加工の留意点について

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0398877 更新日:2021年2月1日更新

 冬場に向け、もちの加工・販売に取り組む方は多いと思いますが、加工する上で、カビの発生や雑菌の繁殖を抑える衛生管理は重要な製造ポイントになります。品質の高いもちを製造するための留意点について、製造工程毎に衛生管理面を中心にご紹介します。

1 原料米

 原料米の品質が最終製品の品質を左右しますので、まずは、生産場面で土壌から雑菌に汚染されないよう倒伏させない栽培管理が必要です。また、着色米・死米は雑菌に汚染されているので取り除きます。

2 精白

 もち玄米のぬか層や胚芽部分に雑菌が多く、これらを取り除くために精白度を88~89%とやや高めに行いましょう。精白時には品温が上昇し、雑菌繁殖の原因となりますので直ちに放冷しましょう。また、精白後の長時間の貯留は避けて、速やかに次の工程に移るのが理想的です。

3 水洗

 洗米は、米の表面に付着するゴミやぬかを洗い流すとともに雑菌を積極的に洗い流す作業です。米と同量の水で5回程度5分を目安に丁寧に行いましょう。
 ただし、10分を超えると米が割れ始めますので注意が必要です。割れ米が発生すると水切りが不十分となり、型崩れしやすいもちになります。洗米した水は、雑菌が多く含まれるので、床に広がらないよう直接加工施設外に排水するようにしましょう。跳ね返りにも注意してください。

4 浸漬(しんせき)

 浸漬時間は、3~12時間が理想的です。もちは、冬期間に製造することが多く水温を気にする必要はないと思いますが、気温の高い時期の製造においては、水温15℃以下で浸漬します。米が水面から出ないようにたっぷりの水で浸漬します。

5 水切り

 浸漬が終了したら水を切り、米の上から新しい水を散水し、米表面の水を新しい水に置き換えます。その後、水切りは30分以上行い、2時間以内に蒸し工程に移ります。水切り時間が短いと蒸米表面の水分が高くなり型崩れしやすいもちになってしまいます。逆に長すぎると香りが悪くなったり黒ずみの原因になります。

6 蒸し

 ボイラーを使用する場合、蒸し時間は20~30分、蒸し器や蒸籠であれば30~40分必要です。蒸し米の適正な水分量を確認する目安として、蒸し上がり後の蒸米重量は、原料米の1.42~1.43倍となります。目安重量よりも軽いと蒸気から米への水分供給不足、逆に重いと水切り不足や蒸し器内のお湯の跳ね返り等が考えられます。その場合、水分過多のもちとなり、傷みやすくなります。
 また、吹き上がる蒸気からも雑菌が拡散するので、施設内に蒸気が停滞することなく強制排気されるよう換気状況を確認しましょう。

7 搗き(つき)

 搗き工程は、杵搗機・ミキサー式・練りだし機等の機械を使って行う場合、機械の種類により、もち内部の気泡の入り方が変わり、搗き上がりのもちに違いが出ます。

  • 杵搗き機・・・コシが強いもち
  • ミキサー式・・よくのびるもち
  • 練りだし機・・柔らかいもち

 杵搗き機の場合は、蒸米をすぐに搗き始めますが、ミキサー式、練りだし機の場合は、すぐに搗くと水分過多のもちになるため、2分程度放冷し水分を飛ばしてから搗き始めます。

8 延ばし・成型

 搗き上がったもちは、耐熱樹脂板等に挟んでプレス機で1.5cm程度に圧延成型します。または、取り板に取り粉をふり、のし棒で延ばし長方形に成型します。取り粉は、馬鈴薯澱粉が最もよく、鍋で加熱し乾燥と殺菌を行ってから使用します。加熱・殺菌することで、もち表面の水分を速やかに吸収し表面乾燥を助けてくれます。もちの成型は、品温70℃以上で行い高い温度を保持して雑菌による汚染を防ぎます。

9 冷蔵・硬化

 延ばしたもちは、棚に差して放冷します。この時、必ず下段から上段に向かって差すようにします。上段から差すともちが冷めにくく、表面が乾燥しないためカビやすくなります。この時、高温度帯を一気に過ぎるよう冷蔵庫に入れて急速に品温を下げます。(3時間で20℃まで)その後、約5℃の冷蔵庫で1~2日間入れて硬化させます。

10 切断・包装

 硬化したもちを冷蔵庫から取り出し、結露が生じない温度まで放置してから切断を行います。結露が生じると雑菌の二次汚染を受けやすくなり、カビの発生や包装後、乳酸菌発生による膨化の原因となります。
 包装は、酸素の通しにくい包装資材を使用し、容量に合った脱酸素剤を封入します。この時、真空包装するともちと包装資材の間に脱酸素剤がはりついて、酸素吸収ができにくくなりますので、包装資材内で空気が流通する程度の緩い脱気状態でシールします。包装資材の折れによるピンホールやシール圧着不良による隙間に気をつけましょう。
 包装後のもちは、極力温度変化のない環境で貯蔵します。

 もちは、水分40%の高水分食品であるために、カビや雑菌が容易に繁殖します。これを極力避けるためには、鮮度のよい原料米を利用することや各工程での衛生管理を徹底することにより、長期の保存が可能となります。作業者の手洗い、服装、加工室の清掃・機械・器具の殺菌はもちろんのことですが、「雑菌を持ち込まない、増やさない、排除する」を基本に、作業の衛生管理ポイントを下記のとおり整理しました。今年のもち加工の参考にしてください。

「作業の衛生管理ポイント」の表
参考文献:食品加工総覧(農文協)

 

【経営普及課 農業革新支援担当 河内 由紀子】

 

 

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