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【農業技術・経営情報】野菜:セルトレイ育苗による秋植えたまねぎに適した定植及びは種時期について
加工・業務用たまねぎは、セルトレイ育苗による機械化一貫体系で平成25年頃から県内各地域で取り組まれています。しかし、慣行地床苗に比べて小さいセルトレイ苗に対応した栽培技術が未確立のため、越冬率の低下やりん球の肥大不足などで生産が安定していませんでした。このほど、園芸研究センターの試験結果からセルトレイ苗に適した定植及びは種期が明確となりましたので紹介します。
1 定植期
越冬率を確保するには越冬前に冬期間の低温、過湿条件に耐えうるだけの株体力が必要となります。秋冷が早い新潟県で小さなセルトレイ苗を生育させるためには、越冬前までの生育期間を確保しなければなりません。
そこで、園芸研究センターで試験を行い、慣行地床苗より早い10月中旬に定植することにより、12月上旬までに十分な根重と生育量(12月上旬における生育目標は、葉鞘短径6~7mm)が確保されることがわかりました(図1)。この方法であれば、越冬率は概ね80%以上で安定します(図2)。
図1 定植日別根重の推移と越冬前の生育(平成24年)
注)全て育苗日数55日苗を使用
図2 定植日が越冬率に及ぼす影響(平成24年-26年)
注)同一定植日の同一凡例は、は種日が異なる
【全図共通】
- 各図における()内の年は収穫年を示す。
- 各試験とも品種は‘七宝甘70’を主に供試している。
- 規格内収量はりん球短径7cm以上。
2 は種期
機械定植に適応した苗として十分な根鉢形成には、は種後55日程度を要します。そのため、は種日が遅くなると定植期も遅くなり、りん球は小球化します。10月中旬定植に対応するには8月中旬は種となり、平均りん球重400g前後と十分な肥大が確保され、規格内収量が最も多くなります。(図3)。
図3 は種日が規格内収量及び平均りん球重に及ぼす影響(平成24年-26年 平均)n=5-10
注)定植日:10月10日 ~ 11月9日 誤差線:SE
3 栽培上の留意点
(1)
8月中旬のは種時期は高温時期となるため、屋内での段積み発芽や断熱シート利用等の高温対策を講じ、発芽不良が発生しないよう十分に注意してください。
(2)
育苗様式は288穴規格セルトレイを用いた露地ベンチ育苗ですので育苗期間中の剪葉は行っていませんが、ハウス育苗の場合では剪葉が必要となります。
【経営普及課 農業革新支援担当 増田 浩吉】