ページ番号を入力
本文
輸入広葉樹材の高騰等を背景に、近年では国産広葉樹材の家具等への利用が全国的な関心を集めています。本県でも共販市場において家具等に用いる材(以下、用材)向きの広葉樹丸太が集荷されていますが、伐採地においては用材に適した丸太の条件等が不明確なため、バイオマス発電の燃料とされる例が多いようです。
このため、用材利用に適した県産広葉樹丸太の特性の調査を始めましたので、これまでに分かったことをご紹介します。
2022年4月から2023年2月にかけて、新潟県森林組合連合会が運営する新潟木材共販市場において調査を実施しました。定例市よりも用材に適した広葉樹丸太の出材が多いと見込まれる優良材特別市を主な対象とし、樹種、末口径、材長、落札価格について調査しました。
落札された樹種は27以上あり、出材量の多い上位5樹種は、順にケヤキ、クリ、ホオノキ、クロガキ、キリでした。落札価格の上位10件は春季もしくは秋季に多いことから、落札価格には季節性があると言えそうです。丸太の寸法では、末口径は30cm前後が最も多く、大きいものでは1mを超えました。材長は4mを最頻値とする分布となり、2mや3mといった整数値にも小さなピークがみられました(図1)。出材量の多い上位5樹種のうち、森林施業に伴う素材生産が考えられるクリ及びホオノキに着目したところ、末口径の最頻値はクリで26cm、ホオノキで28cmであり、全樹種合計よりもやや細いことがわかりました。材長は両樹種ともに4mを最頻値とする分布が得られるなど、全樹種合計と概ね同じ結果が得られました。
落札価格と末口径に着目した分析では、全樹種合計では相関が得られませんでした(図2)。一方、クリ及びホオノキと樹種を絞ることで有意な相関を得たものの、相関の程度は弱いことから、末口径のみでは落札価格の精度の高い推定は困難であることがわかりました。曲がり、節の数・大きさ、割れなどによって用途が異なり、また、季節によっても落札価格が大きく変わるようです。
写真 優良材特別市の様子
図1 広葉樹丸太の材長と出材数量(椪)
図2 広葉樹丸太の末口径と落札価格
丸太の寸法と価格との関係性について分析しましたが、県産広葉樹材の用材利用を考えるうえでは、用途ごとに求められる条件について考察することが重要と考えられます。今後は需要者への聞き取りを行うなどし、調査研究を進めてまいります。
最後に、調査にご協力いただいた新潟県森林組合連合会の皆様にこの場をお借りして御礼申し上げます。
きのこ・特産課 佐藤 渉