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第1回 阿賀野市大日・村杉地区の取組紹介
猟友会への参加から繋がった移住
1.阿賀野市大日・村杉地区について
大日・村杉地区は、五頭山の麓に位置し豊かな自然に恵まれるとともに、村杉温泉など観光地を有し、地区外からの人の出入りが多い地区です。
令和4年度から将来プランの検討に取り組み始め、地区の将来について話し合いを重ねた結果、令和5年度に将来プランを策定しました。
プランでは、“「農業してみたい!」という人に移り住んでもらい、農業の後継者として地域の担い手として活躍できるように、地区も一緒に取り組んで行く”ことを目標に掲げています。
令和6年度からはプランの実践に取り組んでおり、外部人材の受入体制づくりや就農フェアへの出展による移住・就農希望者とのマッチングなどを進めています。
多量のラジウムを含有する「奇跡の温泉」
2.新たな人材との出会い
地区が将来プランの検討を始めたのと時を同じくして、笹神猟友会に一人の女性、「頓所はるな」さんが加わりました。
「興味があるものにチャレンジしてみよう」と考え、漫画「山賊ダイアリー」や「銀の匙」を読んだことをきっかけに狩猟や農業に興味を持つようになり、手始めに狩猟免許を取得されていました。
当時は新潟市内に住んでいたため市内では狩猟をすることが難しく、銃砲店に相談したところ、大日・村杉地区の「人呼んでクマと話せる男」大野さんを紹介していただき、地区とのつながりが始まりました。
頓所さん(左)と大野さん(右)
3.地域おこし協力隊を受入れ
大日・村杉地区が、外部人材の受入体制づくり活動の本格化に向けて動き始めたことを受け、阿賀野市は就農と地域コミュニティへの参加を目指す地域おこし協力隊を募集しました。
市が中心となり移住希望者と受入れ希望集落をマッチングさせる取組を行ったことで、頓所さんは移住を決断、晴れて令和6年7月に着任しました。
4.頓所はるなさんへのインタビュー
地域との関わりを通じて地域おこし協力隊への応募を決めた頓所さんへ、移住を決めたきっかけや、地区での暮らし等について話を伺いました。
Q.大日・村杉地区の地域おこし協力隊へ応募したきっかけは何ですか?
元々田舎暮らしに憧れがあった中で、笹神猟友会の活動を通じ、大野さんをはじめ地区の人々の温かさに惹かれ、阿賀野市に住みながら狩猟、農業に取り組みたいと考えるようになったことがきっかけです。
Q.協力隊としてどのようなことに取り組んでいますか?
大野さんの下で、農作業や鳥獣被害について学ばせてもらっています。将来的には狩猟したものをジビエとして流通させる、農業+ジビエの地域ビジネスを目指しています。
また、大野さんは阿賀野市に就農相談に来られた方の農作業体験の受入れもされているので、その際は一緒に対応しています。私がいることで、就農希望者の方が地区での就農・移住をイメージしやすく、次の移住者を呼び込む効果があると聞いています。
農作業体験の様子
Q.地区で暮らす中で助かっていることは?
大野さんに出会えて、支えていただいていることが、協力隊として生活する中で一番助かっています。また、地区の皆さんもとても寛容で、外部の人をよそ者扱いせず、逆に「来てくれてありがとうね」と言ってくださいました。このようなウェルカム感にとても助けられています。
Q.地区の良いところを教えてください
先程挙げた地区の皆さんの寛容さもそうですが、太陽とともに起きて寝る、都市部とは時間の流れが違う生活も送れる一方で、ふと何か必要になったら都市部まで車を走らせることができる、便利さも不便さも良い意味でほどほどな「ちょうど良い田舎」なところが素晴らしいと感じています。
のどかな大日・村杉地区の風景
Q.地区に住むにあたり、心掛けていることはありますか?
地域活動やイベントへの参加、畑や共同浴場での地区の方達との会話など、自ら積極的に関わりを持つ機会を作るようにしています。
また、実際に農業に関わってみて、農業は共同作業であることを実感しましたので、その意識を持つようにしています。1人暮らしをしたい、自分のペースで生活したいという人には向かないかなと思います・・・(笑)。
5.地区の今後の対応について
頓所さんが地域おこし協力隊として地区に移住されたことで、将来プランの実践に向けた東京での就農フェアに一緒に出展した際は、「移住者目線で地区についてお話していただくことができた」と、一緒に参加した地区の方はお話しされていました。
大日・村杉地区は、今後も新たな移住・就農希望者の確保に向け、引き続き就農フェアなどに参加し、移住希望者のライフプランや生活スタイル等の意向を伺うとともに、地区の魅力をしっかり説明することで、一人でも多くの方が楽しく移り住んでもらえるよう活動を続けていきます。
就農フェアに参加した際の集合写真
6.インタビューを終えて
地区に関わりのある方に「移住したい」と考えていただくためには、
・地区全体で移住者の方を受け入れる雰囲気づくり
・移住後の生活を支えるサポート役の存在
が大切であることを感じました。
大日・村杉地区は温泉や五頭山がある観光地であり、以前より関係人口が多かったことが、地区全体の雰囲気づくりの基盤になっていると思われます。
併せて、農業の後継者、地域の担い手を受け入れたいというビレッジプランでの地区全体の動きと、頓所さんのニーズがマッチしたことで、今回の協力隊の募集、受入に繋がったと考えられます。
今回は、関係人口から移住・定住に繋がった大日・村杉地区のご紹介でした。
県といたしましても、大日・村杉地区の将来プランの目標達成に向けた取組について、引き続き関係機関と連携し、サポートしていきます。