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ナラ枯れ被害と対策
ナラ枯れとは
6月下旬頃に前年被害木からカシノナガキクイムシの成虫が飛散し、健全なナラ類の木に入り込み、菌類を繁殖させることで、通水障害を起こし木が枯れてしまいます。
ナラ枯れ被害の状況
新潟県のカシノナガキクイムシによるナラ類の枯損は、平成16年度には東蒲原地域と村上地域を中心に、平成22年度には南魚沼・糸魚川・佐渡地域を中心に被害が激化し、それぞれ10万本を超える被害量となりました。
その後は、被害を受けやすいナラ大径木が減少したことなどから、被害は急激に減少し、近年はピーク時の4%以下で推移していましたが、令和6年度は、5,940本(対前年度比295%)の被害木が確認され、被害が発生した市町村数も増加しました(R5:16市町村→R6:20市町村)
ナラ枯れ被害対策事業
新潟県では、生活環境の保全や保健休養の場として重要な森林公園やキャンプ場を中心に、防除事業を実施しています。
(1)駆除事業
枯れたナラの中に潜むカシノナガキクイムシを殺虫し、周辺への被害拡大を防ぐために行います。
事業名 | 内容 | 実施時期 |
---|---|---|
伐倒駆除 (ビニール被覆) |
枯れたナラを伐採し、カシノナガキクイムシが潜む根元に近い部分の丸太をビニールでくるみ、発生したカシノナガキクイムシをビニール内に閉じ込めて殺虫します。 | 枯れてから、翌春カシノナガキクイムシが脱出する6月中旬までに実施します。 |
(2)予防事業
枯死を回避するためには、カシノナガキクイムシの穿入を防止したり、ナラ菌の樹体内でのまん延を防止する方法があります。
事業名 | 内容 | 実施時期 |
---|---|---|
ビニール被覆 | カシノナガキクイムシが最も多く穿入する、幹の根元から2~4mの高さまでビニールで被覆し、カシノナガキクイムシの穿入を防ぎます。 | カシノナガキクイムシが脱出する6月中旬までに実施します。 |
樹幹噴霧処理 | 幹の根元から2~4mの高さに粘着処理剤を噴霧処理し、カシノナガキクイムシが入り込まないようにします。 | |
殺菌剤樹幹注入 | 殺菌剤を幹に注入し、ナラ菌の繁殖を抑えて枯れないようにします。 | 開葉後、カシノナガキクイムシが脱出する6月中旬までに実施します。 |
集合フェロモンを利用した面的防除法 |
カシノナガキクイムシをおびき寄せる「集合フェロモン」をナラの丸太に設置し、そこに周辺一帯のカシノナガキクイムシをおびき寄せ集中的に穿入させることで、守りたいナラ林への被害を防ぎます。 | 5~6月上旬に丸太を用意し、6月中旬までに丸太にフェロモンをつけて、ナラ林の周辺に設置します。 |
ナラ林の若返り法 | 被害を受けやすい40~50年生以上のナラの老齢木を伐採し、その根株から新しく生えてくる芽(萌芽)を育てることにより、林全体を若返らせ、ナラ枯れに強い山にします。 | 萌芽が出やすい11~4月(木の休眠期)に伐採します。 |
山のナラ枯れ「Q&A」
【パンフレット】山のナラ枯れQ&A [PDFファイル/2.66MB]
ナラ枯れ被害の仕組みや被害対策などについて解説しています。
ナラ枯れ被害について、原因であるカシノナガキクイムシは、新たなナラの木を求めて移動するため、被害発生箇所のナラ枯れ被害は4年程度で終息します。
その後、生き残ったナラや他の樹木が成長するため、徐々に森林としての機能を回復します。
ナラ枯れ被害から森林を守るための注意事項
- 健全なナラ類を伐採して放置すると、カシノナガキクイムシを誘引する恐れがありますので避けてください。
- 被害木(カシノナガキクイムシが生息している木)を伐採して移動すると、被害を拡散することになりますのでご注意ください。できる限り、燃料などとして使いましょう。
- 太い樹ほどナラ枯れの被害に遭いやすくなります。更新を進めて若返りを図りましょう。
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