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平成13年9月定例会(提案理由)
平成13年9月定例会提出議案知事説明要旨
議案についての知事の説明を掲載しています。
9月25日説明要旨
平成13年9月定例県議会の開会に当たり、前議会以降の県政の主な動きと、提案致しております議案の概要を説明申し上げ、議員各位並びに県民の皆様にご理解とご協力をお願いしたいと存じます。
最初に、県政の主な動きについて説明申し上げます前に、去る9月11日に米国で発生した同時多発テロ事件に関して、無差別大量殺人を狙ったものであり、強い怒りを表明するとともに、犠牲となられた多くの方々に対し、心から哀悼の意を表し、被害者の方々に対しましても、お見舞いを申し上げます。
本県といたしましても、このテロ事件の発生を契機に庁内に連絡会議を設置し、情報の収集と対応に当たるとともに、2002年ワールドカップサッカー大会を控え、政府に対し、国際テロに対して、万全の対応を期すよう強く求めてまいりたいと考えております。
次に、県政の主な動きにつきまして、説明申し上げます。
まず、我が国の経済動向についてであります。
我が国の経済は、先日公表された2001年4~6月期の実質GDPが、対前期比でマイナス0.8%、年率換算ではマイナス3.2%と非常に厳しいものとなりました。現在も輸出や公共投資が減少し、設備投資も落ち込んでいる上に、住宅投資が低迷、個人消費も概ね横ばいで推移するなど、全体として景気は引き続き悪化傾向にあり、また、雇用情勢についても、7月の完全失業率が過去最高の5%となるなど、かつてない深刻な状況にあります。
県内の景気動向を見ましても、個人消費は依然として回復感に乏しいうえ、設備投資もより慎重となるなど、総体として、さらに悪化の状況にあります。
このような厳しい景気・雇用状況に対し、現在、国においては「構造改革なくして成長なし」との決意の下、経済・財政の構造改革を強力かつ迅速に遂行するため、先行して決定・実施すべき施策を「改革先行プログラム」としてとりまとめることとしております。そのうち、今後とりまとめる予定の補正予算では、「雇用・中小企業に係るセーフティーネットの充実策」及び「構造改革に直結し、かつその実施の緊急性が特に高い施策」など、雇用創出効果や民間経済活性化効果が特に高く、成果が目に見える形で早期に現れる施策を推進することとしております。
県といたしましても、県内経済の低迷と厳しい雇用情勢を踏まえ、全力を挙げて産業の活性化と雇用対策に取り組むため、このたび「産業・雇用対策本部」を設置したところであり、今後、国の動向や、県内の景気・雇用動向に細心の注意を払いながら、必要な対策を実施するとともに、国への働きかけを行ってまいりたいと考えております。
次に、平成14年度予算編成に向けた動向についてでありますが、国では構造改革の方針を踏まえ、財政面での抜本的改革の第一歩として、国債の新規発行額を30兆円以下に抑えるとともに、歳出全般にわたる徹底した見直しを行い、思い切った縮減と重点的な配分を実現することとしております。すでに、公共投資については「重点7分野」への重点化を図ったうえで、全体規模を対前年度比マイナス10%に削減することとしているほか、社会保障関係費についても医療制度改革等による削減・合理化を図ることにより、高齢化等に伴う自然増分を圧縮する方針が明確に打ち出されるなど、これまでにない規模の削減が行われる見通しとなっております。
また、地方単独事業についても、平成14年度の地方財政計画では、国の公共事業抑制と足並みをそろえる形でマイナス10%の削減が行われる見込みとなっており、さらに、地方交付税についても今後見直しが行われることとなっているなど、地方の財政運営にとってかなり厳しい状況となることが必至となってきており、その対応が迫られているところであります。
県としては、こうした国の構造改革に的確に対応するため、新たに、改革分野ごとの検討グループを庁内に設置し、情報収集・分析に当たるとともに、「財政制度研究会」を設置し、今後予想される地方交付税制度の見直し等に対し、県としての意見を反映すべく、その対応を含め、本県にとって望ましい地方税財政制度のあり方について検討を始めたところであります。
また、公共事業の抑制などにより予想される景気の悪化や失業者の増加への対応として、「雇用の場の確保と地域セーフティーネットの整備」を平成14年度予算における新規戦略課題として設定し、円滑な労働移動の支援や雇用の受け皿の確保等の課題について鋭意検討を行っております。
いずれにいたしましても、現在我が国が直面している大きな構造改革は、そのやり方如何では大きな痛みを伴うことも危惧されるところであり、改革への強い覚悟を持つとともに、国の今後の構造改革の動向を注意深く見守り、構造改革の実施が地方経済や自治体運営に与える影響等については適切に見極め、必要に応じ国に対して働きかけてまいりたいと考えております。
次に、組織・機構改革についてでありますが、6月定例会において「出先機関の組織・機構改革実施計画案」をお示しし、議論をいただいた中で、基本的にはご理解を得られたことから、本定例会に平成14年度実施にかかる条例改正案を提案させていただいております。
これまでも申し上げてまいりましたとおり、出先機関については、今後は「地域機関」として、市町村や広域行政機構と連携して地域経営の一翼を担い、地域で総合的・一体的行政を展開する役割を果たすことが求められており、それにふさわしい機能強化を図るためには、今回の改革を推進することが何よりも必要であると考えております。
なお、平成16年度実施予定分につきましては、引き続き関係者との調整を図るとともに、今後見込まれる国や地方自治体をめぐる新たな改革や、現在議論中の合併の進展状況等、大きな情勢変化も予想されますので、これらを踏まえながら、準備を進めることとしております。
次に、財政健全化に向けた取り組みについて申し上げます。
本県財政は、6月に公表いたしました「中期財政収支見通しと財政健全化に向けた取り組み」でお示ししたとおり、平成18年度までの今後5年間で各年度平均して約660億円の収支不足が見込まれる上に、主要三基金が底をつくことが確実なことから、今まで以上に厳しい状況に陥る見通しであります。こうした状況を踏まえ、財政健全化計画の基本方針に沿って、可能な限り早い時期に収支不足を段階的に解消し、歳入に見合った歳出構造への転換を図ることを目指して、より踏み込んだ対策を検討しているところでありますが、ここにきて、一段の景気の悪化から今後の税収動向が極めて不透明となってしまったことや、地方交付税制度の見直しをはじめ国の構造改革が、今後県財政に大きな影響を及ぼすことも懸念されることを踏まえると、これまで以上に大幅な歳出削減が避けられない見込みであり、従来削減が困難とされてきた項目を含めた抜本的な歳出の見直しが必要と考えております。
なお、歳入確保策及び歳出削減策について、現在その具体的な目標や実施方法等について鋭意検討しているところでありますが、本定例会における議論を踏まえ、今後、歳入確保、歳出削減の実施に向けたプログラムを策定し、具体的な対策を実施してまいりたいと考えております。
最後に、ハンセン病について申し上げます。
去る9月17日、熊本地裁におけるハンセン病の判決を受けて、群馬県草津町にありますハンセン病療養施設栗生楽泉園を訪れ、本県出身の皆様に直接謝罪をいたしました。国の機関委任事務の執行とはいえ、極めて長い期間、患者・元患者の皆様に多くの苦痛を与えたことについて、心からお詫び申し上げました。
故郷を離れ、多くの偏見の中で隔離されて人生の大半を過ごしてこられた方々の気持ちを想う時、心に大きな痛みを憶えるものであり、今後、これまで以上にハンセン病について、県民の方々に対し正しい理解が図られますよう啓発等に努めたいと考えております。
次に、議案63件について説明申し上げます。
第123号議案は、一般会計補正予算でありまして、総額21億2,856万6千円の追加補正についてお諮りいたしました。
今回の補正は、長引く景気の低迷を踏まえ、中小企業者の資金繰り確保の観点から「中小企業緊急経営支援資金」を来年3月まで半年間延長し、新規貸付枠を増額することに伴い必要となる貸付金や、平成14年度の出先機関の組織・機構改革に伴い必要となる庁舎改修等について所要額を計上したほか、公共事業の内定又は内定見込みに伴う必要な経費などについても、所要の措置を講じることとしたものであります。
以下、補正予算の主要項目につきまして説明申し上げます。
まず、福祉保健及び農林水産・農地関係では、只今説明いたしました出先機関の組織・機構改革に伴い、平成14年4月から健康福祉環境事務所等や、佐渡地域振興局などを新たに設置することから、必要となる庁舎の改修等を行うこととしたところであります。
産業労働関係では、先程説明いたしましたとおり「中小企業緊急経営支援資金」を来年3月まで半年間延長継続するとともに、新規貸付枠を増額することとしました。また、雇用対策として、国の緊急経済対策による情報通信関連訓練の委託増に伴い、IT化に対応した職業能力開発事業費を増額計上いたしました。
土木・港湾空港関係では、公共事業と一体となって行う県単独の道路整備事業について「緊急地方道路整備事業」の国の内示等に伴う所要経費を計上しておりますほか、万代島再開発事業では、歩行者の通行上の安全確保と利便性向上のために必要なペデストリアンデッキ工事や、駐車場の外構工事の前倒し等を行うこととしております。
教育関係では、平成14年度からの中高一貫教育学校の開設に伴い必要となる施設整備を行うこととしたほか、二巡目国体の実施に向け整備することとしている県立屋内総合プールについて、基本構想を策定することとしております。
そのほかの項目としては、規制緩和によりバス事業への参入・退出の自由化が行われることに関連して、地方バス路線運行維持対策に係る国の補助制度の改正が行われたことに伴い、所要の経費を計上いたしました。
以上、補正の主な内容について説明申し上げましたが、補正後の財政規模は、1兆3,441億7,856万6千円となり、前年度9月補正後との対比では1.2%の減少となった次第であります。
次に、その他の議案について説明申し上げます。
第124号議案から第135号議案までは、特別会計並びに企業会計にかかる補正予算でありまして、事業実施上必要といたすものについて、それぞれ補正を行うものであります。
また、第136号議案は、県の行う建設事業に対する市町村の負担を変更するものであります。
第137号議案から第161号議案までは、条例案件であります。
すなわち、第137号議案は、情報公開条例について、県民の知る権利の尊重や県民への説明責任を明記した上で、情報公開の実施機関に議会、公安委員会及び警察本部長を追加し、対象文書の範囲を電磁的記録や組織共用文書に拡大するなど、条例の全部改正を行うため、
第138号議案及び第147号議案は、県立新潟女子短期大学及び県立看護短期大学の入学料について、国立短期大学の改正に合わせて改正するため、
第139号議案は、平成14年4月に予定している組織・機構改革に伴い、「財務事務所」から「県税事務所」への名称変更等を行うため、
第140号議案及び第141号議案は、同じく組織・機構改革に伴い、地域振興局、地域振興事務所及び地区振興事務所の設置及びその名称、位置、所管区域等を定めるため、
第142号議案は、水質汚濁防止法の特定施設として新たに施設が追加されたことに伴い、所要の改正を行うため、
第143号議案から第146号議案までは、組織・機構改革により、新たに設置する健康福祉環境事務所等及び保健所と地域福祉センター等にかかる所要の改正を行うため、
第148号議案は、理容師法の一部改正に伴う引用条項の改正を行うため、
第149号議案は、県立療養所悠久荘の名称を全面改築に合わせ「新潟県立精神医療センター」に変更するため、
第150号議案及び第151号議案は、職業能力開発促進法の一部改正に伴う引用条項の改正を行うため、
第152号議案から第156号議案までは、組織・機構改革に伴い、農林・農地関係事務所にかかる所要の改正を行うため、
第157号議案は、高齢者円滑入居賃貸住宅の登録制度が創設されたことに伴い、県の登録事務にかかる手数料を徴収するため、
第158号議案は、組織・機構改革に伴い、土木事務所等にかかる所要の改正を行うため、
第159号議案は、県立鳥屋野潟公園新潟スタジアムの2階ラウンジ及びパントリーの専用利用にかかる使用料を定めるため、
第160号議案は、都市計画法及び建築基準法の一部改正に伴い、建築基準条例の所要の改正を行うため、
第161号議案は、新潟コンベンションセンターの施設設置及び管理について必要な事項を定めるため、
それぞれ、条例の新設及び改正を行うものであります。
次に、第162号議案から第167号議案までは、財産の取得について
第168号議案から第177号議案までは、契約の締結、変更について
それぞれ、お諮りいたしました。
また、第178号議案は、地方税法の改正に伴う県税条例の所要の改正について、急施を要するため、止むを得ず行った知事専決処分の承認を求めるものであり、
第179号議案は、損害賠償額の決定について、
第180号議案は、弁護士報酬の負担について、
第181号議案は、町村の境界変更について、
それぞれお諮りするものであります。
最後に、第182号議案から第185号議案までは、企業会計にかかる平成12年度決算の認定及び利益剰余金の処分について、お諮りいたしました。
以上、各議案の概要につきまして説明申し上げましたが、何とぞ慎重ご審議のうえ、各議案それぞれについて、ご賛同賜りますよう、お願い申し上げます。
10月12日説明要旨
ただいま上程されました議案2件は、いずれも人事に関する案件であります。
第186号議案は、教育委員会委員を任命するため、
第187号議案は、公安委員会委員を任命するため、
それぞれお諮りいたしました。
よろしくご審議のうえ同意を賜りますようお願い申し上げます。