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世界かんがい施設遺産「上江用水路」見学会を開催しました。
令和5年10月14日、関川水系土地改良区主催、上越地域振興局共催により、世界かんがい施設遺産「上江用水路」見学会を開催しました。
7回目の開催となる今年度は天候に恵まれ、参加者80名が上江用水路の水源である「野尻湖」、「笹ヶ峰ダム」を中心に、関連施設を1日かけて巡りました。
※世界かんがい施設遺産は平成26年度に創設された登録制度で、「上江用水路」は平成27年11月に登録されました。(令和5年10月時点で新潟県唯一)
【野尻湖揚水所】
東北電力(株)の職員から関川流域の水力発電の歴史について説明をいただき、野尻湖の一角にある揚水所内部を見学しました。
この施設は、野尻湖の水位が吐口である池尻川の敷高より低い期間に、野尻湖の水をポンプアップして池尻川に流すものです。野尻湖から池尻川への送水、さらに有効落差 74.2mの落水により、池尻川発電所で発電が行われます。
発電の際は、観光資源としても重要な野尻湖に水の濁りや水質異常が起こらないよう、注意して水が使われています。
【笹ヶ峰ダム】
新潟県妙高市杉野沢にある農業用ダムの「笹ヶ峰ダム」について、ダム管理事務所の職員から説明と施設見学しました。
笹ヶ峰ダムは、高さ48.6メートルのロックフィルダムで、有効貯水量は920万立方メートル、高田平野約6千ヘクタールの水田に農業用水を供給しています。農業用ダムとしては全国でも珍しく標高1200メートルの高地にあり、毎年4月1日から11月19日まではダム脇の管理事務所に職員が常駐して管理し、それ以外の時期は関川水系土地改良区内の施設で遠方操作による管理を行っています。
ダム周辺の山々は紅葉が始まっており、多くの参加者がダムと紅葉の風景を楽しみ、写真を撮影していました。
【上江用水記念公園】
上江用水路が世界かんがい施設遺産に登録されたことを記念して、一級河川関川からの取水口があった場所に整備された記念公園です。
公園中央には、上江用水路の変遷が分かるように、土水路から石積み水路、コンクリート三面張水路と続く、上江用水路をミニチュア化したような水路が配置されています。
また、上江用水路の歴史や関連施設のマップが書かれた案内看板や休憩ができる東屋、トイレも整備されています。
【水土里養水資料館】(川上公会堂)
平成30年度に改築した妙高市川上集落の公会堂内に、上江用水路など地域を支える水源の資料が設置され、資料館として使われています。
設置されているDVDやパンフレット等の資料には、上江用水路の世界かんがい施設遺産への登録を受けて国や県で作成したもののほか、地元有志で作成したものもあります。
当日は、地元の方から用水路ができるまでの歴史やその周辺地域の人々の暮らしをお聞きしたほか、地元住民が編集、ナレーションを行い作成した上江用水路を紹介するDVDを鑑賞しました。