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【これから住宅の新築をお考えの皆様へ】良い家づくりを行うために大切なこと
家づくりは、設計から工事、引渡しまでの各段階において、設計者、施工者、そして工事監理者など家づくりの専門家との対話や確認を通じて、完成に至ります。そのため、家づくりの専門家と意思疎通を図りながら信頼関係を築いていくことが、良い家づくりを行うための第一歩となります。
ただし、設計者や施工者は知っているけど工事監理者って何をしているの?と思われる方もいるかと思います。
住宅の工事監理に関するポイントをまとめたので、これから新築住宅を検討されている方は、大切なご自宅の家づくりの参考としてください。
はじめに
安全な住宅を建てるためには、設計段階で建築基準法に定められた基準を満たすように設計図書を作成しなければなりません。また、工事中でも、設計で定めた内容のとおりに施工されているか確認していくことが重要となります。
そこで、建築士法では専門的な知識や技術を有する建築士が、資格の級別(木造、二級、一級)に応じて、設計や工事監理を行うことができる業務の範囲等を定め、建築物の安全性等の質の確保を図っています。
住宅の工事監理に関するポイント
工事監理って何?
建築基準法では、建築主は建築士である工事監理者を定める必要があります。
ただし、建築士が行う「工事監理」と施工会社が行う「施工管理」とは異なりますので、その違いを理解したうえで、工事監理者を選定していくことが大切です。
工事監理は誰が行うものなの?
一般的な木造住宅(100m2超え)を新築する場合、その設計及び工事監理は建築士(木造、二級又は一級のいずれか)が行う必要があります。
また、建築士事務所に所属する建築士であれば、どの立場の方であれ、工事監理を行っても構いません。以下に選定例を示しますので、それぞれの特徴を理解したうえで、工事監理者の選定の参考としてください。
なお、規模の大きな建物では、一級建築士でなければ行えなかったり、意匠、構造、設備などの専門分野ごとに分担して工事監理を行う場合もあります。
工事監理はどういった方法で行うの?
工事監理の方法は、立会による確認や施工者から提出される書類により、工事と設計図書との照合確認を行いますが、どちらか一方で行う場合もありますし、両方を併用して行うなど、個々の工事に合わせてどのような確認方法で行うのか工事監理者が合理的に判断して方針を決定します。
工事監理がどのように行われるのかを事前に確認する方法はあるの?
建築士法上、工事監理業務を受託した建築士事務所の開設者は、その契約を締結する際に、
・工事監理に従事することとなる建築士
・工事と設計図書との照合方法
・工事監理に関する実施報告の方法 など
について、建築士が、重要事項説明を建築主に対して書面で行う必要があります。説明を受ける際は、その内容を十分に確認してから契約を締結しましょう。
【ご留意いただきたい事項】
・設計と施工を一括で契約する場合でも工事監理は必要です。契約前の重要事項説明によって、工事監理の方法についても説明を受けましょう。
・重要事項説明は、「設計・工事監理業務の適正化、消費者への情報開示」を目的とした制度です。納得いくまで説明を受けてから、契約を締結しましょう。
工事監理が適切に行われていたのか確認する方法はあるの?
建築士法上、工事の完了時には、工事監理者は建築主に対して、工事監理報告書を提出する必要があります。報告書を受け取る際は、工事監理の結果の内容を十分に確認しましょう。
契約や施工に関して疑問を感じたらどうすれば良い?
建物は、一度できあがってしまうと直すことはできないため、設計の段階から十分に意思疎通を図りながら、家づくりの専門家と良好な信頼関係を築いていくことが大切です。
また、施工中の工事内容に疑問を感じたら、工事監理者に疑問点を問い合わせ、その内容について十分な説明を受けましょう。
工事監理者については、建築士法等の法令順守はもとより、工事監理に関する事項について、機会を捉えて建築主に丁寧な説明を行うことが望ましいです。
最後に、契約者双方で合意形成を図りながら疑問点を解消していくことが基本となりますが、場合によっては、法令違反にまで至らない民事上の契約問題や施工不良問題に発展してしまう場合もありますので、適切な時期に以下の相談機関もご活用ください。
- 住まいるダイヤル(公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター)<外部リンク>
- 独立行政法人 国民生活センター<外部リンク>