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9月24日から30日までは結核予防週間です。2週間以上、咳や痰が続く場合は早めに受診しましょう。
1 結核は日本の重大な感染症です
令和5(2023)年の日本の結核罹患率(人口10万対の新登録結核患者数)は8.1で減少傾向にありますが、未だ国内では、年間10,096人が新たに発症し、1,587人の方が亡くなっています。
日本の結核罹患率は2021年に9.2と結核低まん延国の水準である10.0以下に達し、2023年も継続しており、米国等他の先進国の水準に年々近づき、近隣アジア諸国に比べても低い水準にあります。
(厚生労働省の「2023年結核登録者情報調査年報集計結果」)
令和5(2023)年の新潟県の結核罹患率は6.0と全国より低いですが、128人の方が新たに発症しており、患者者における60歳以上の割合は約8割を占めています。
結核は、患者の出す咳(せき)のしぶきに乗った結核菌を、直接吸い込むことによって感染します。
結核に感染しても、多くは免疫の働きで発病を防ぎ、感染した人で一生のうちに発病するのは10人に1人程度といわれていますが、感染して1~2年で発病する場合と、何年もたって体が弱ってきた時に発病する場合があります。
過労や睡眠不足、不規則な生活習慣、無理なダイエット、喫煙、過度のストレスなどは、身体の抵抗力を弱めるので、発病のもとになります。
また、高齢者では、加齢に伴い免疫力が下がるため、過去に感染した菌が活動を再開して発病する場合があり、結核を発症する危険性がその他の年齢の方に比べて高くなります。
2週間以上、咳(せき)や痰(たん)が続く場合は早めに受診しましょう。
結核予防週間(9月24日から9月30日)
厚生労働省では、毎年9月24日から30日を「結核予防週間」と定めて、結核に関する正しい知識の普及啓発を図ることとしています。
公益財団法人結核予防会では周知ポスター等を作成配布するとともに、「全国一斉複十字シール運動キャンペーン」として全国各地で街頭募金等を実施して、結核予防の大切さをお伝えしています。
結核予防会結核研究所ホームページへリンク<外部リンク>
2 早期発見・健康診断
結核を発病したときの初期症状は、風邪に似たもので見過ごされがちです。
発見が遅れて重症化し、人に感染する状態になると、本人は結核患者として結核病棟へ入院して治療しなければなりません。さらに、結核患者と接触した周囲の方も、発病の有無を確認するための健診を最長2年間続ける必要があります。
「まさか結核とは思わなかった」、診断された患者さんからよく聞く言葉です。知らぬ間に感染し、健康診断を受けず、結核と気づかないまま放置していたことで重症化し、さらに本人だけでなく、周囲の方へ感染させてしまうことがあります。
結核は、早く発見すれば、薬も良く効き治りやすい病気です。年1回の健康診断や早めに医療機関を受診することは、結核を早期発見するためにも、とても大切です。
受診義務(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律[以下「感染症法」という。]第53条の3)
- 高等学校以上の学校(専門学校、各種学校をも含む。)に入学する方は、入学年度に一度、胸部エックス線検査を受けてください。
- 65歳以上の方は、毎年一度、胸部エックス線検査を受けてください。
- 学校、医療機関、社会福祉施設、介護老人保健施設で働く方は、毎年一度、胸部エックス線検査を受けてください。
なお、学校、医療機関、社会福祉施設、介護老人保健施設の管理者は、対象者への健診の実施と、健診実績の報告が義務付けられています。管轄保健所へ報告をお願いします。
健診実績の報告様式(結核健康診断予防接種月報)はこちら [Excelファイル/31KB]
3 早期受診
2週間以上長引く咳(せき)、痰(たん)、長引く微熱、長引く倦怠感(体がだるく、活力が出ない)、胸痛、体重減少、このような症状が続いたら、すぐに医療機関を受診しましょう。
また、日本の「結核登録者情報調査年報」において、受診や診断が遅れる患者の割合はあまり減少していません。
受診時には、感染症の正しい診断をより早く行うために、「いつもの風邪とは違うところはないかな?」と考えてみて、症状が2週間にわたり続いているなど、医師に伝えてください。
医師の届出義務(感染症法第12条)
結核を診断した医師の方は、保健所へ届出をお願いします。届出をいただくことで、結核の発生や流行を探知することができ、まん延を防ぐための対策や、医療従事者・国民の皆様への情報提供に役立てられます。
感染症法における医師の届出のお願い(厚生労働省ホームページ)<外部リンク>
4 治療法・医療費
- 結核は薬を飲めば治ります。結核の治療は3種から4種の抗結核薬を併用し、半年から9か月程度服用します。長いと思われるかもしれませんが、きちんと服用すれば確実に治る病気です。
なお、中途半端な治療は、薬に対する抵抗力のある結核菌(耐性菌)をつくってしまうので、本人ばかりではなく周囲の人にとっても非常に危険です。 - 咳(せき)や痰(たん)に結核菌が出ていない人は、周囲に感染させる危険性がないので、職場や学校などに行きながら通院で治療できます。
- 結核指定医療機関で医療を受けた場合、国や自治体が医療費を負担する制度があります。
負担額は、世帯の市町村民税所得割額や、入院と外来通院の違いなどによって異なります。
5 予防するには
栄養バランスのよい食事と十分な睡眠、適度な運動など、普段から健康的な生活を心がけ、免疫力を高めておくことが大切です。過労や睡眠不足、不規則な生活習慣、無理なダイエット、喫煙などは、身体の抵抗力を弱めるので、発病のリスクを高めます。
また、抵抗力の弱い乳幼児は、結核に感染すると重症化しやすく、生命を危うくすることすらあります。予防のためには、BCG接種が有効ですので、市町村からの案内に従ってなるべく生後5か月から8か月の間(遅くとも生後1年)に接種しましょう。
6 気になるときは保健所に相談
保健所には、医師・保健師などの医療専門職もおり、結核の相談、療養支援や結核の知識の普及啓発を行っています。
一人一人が、結核について正しく知る、自分や周囲の健康を気遣う、それがまん延防止の第一歩です。
結核は治る病気ですが、決められた期間、中断なく薬を飲むことが大切です。また、結核の治療が終わった方には、再発しやすい治療終了後の最低2年間、保健所が支援をします。
7 関連リンク
- 厚生労働省結核のページ<外部リンク>
- 公益財団法人結核予防会結核研究所のページ<外部リンク>
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