本文
3.新潟県における海岸保全について 海岸侵食とその要因
日本海の荒波
日本海に面する新潟県は、毎年のように来襲する冬期(12月~3月くらいの間)風浪により、海岸侵食を受けやすいといえます。
新潟海岸の侵食例
信濃川河口付近に位置する新潟市では、明治から現在に至るまで、海岸侵食により最大約350mも汀線(陸と海との境界線)が後退しました。
新潟海岸の侵食要因
新潟海岸では、大河津分水路開削による信濃川からの流出土砂減少、河口突堤・港湾防波堤による沿岸漂砂(波や海流により移動する土砂)の阻害などにより、海岸へ供給される土砂が減少するとともに、天然ガスなどの採取による地盤沈下の影響が加わり、大規模な海岸侵食が発生したのです。
なお、治水対策や港湾建設などは、地域の発展のためには欠かせないものであり、今日においてもその位置づけは変わりません。
新潟海岸における海岸保全の取り組み
新潟海岸では、沖合に波浪のエネルギーを低減させるための構造物(離岸堤・人工リーフ・潜堤)を設置し、堆砂させる(人為的に沿岸漂砂がとどまるようにする)ことで、海浜の回復を図っています。また、供給土砂の減少が著しく海浜の回復が望めない区域では、砂の移動を止めるための構造物(突堤工・ヘッドランド)の設置とともに、人為的に砂を海岸に供給すること(養浜)で、静的に安定した海浜を回復させる取り組みも行っています。
今後の海岸侵食対策の重要課題
新潟海岸の例のように、今後の海岸侵食対策として、海岸での土砂収支量を広域的な視点で把握することに努め、養浜の推進を図ることが、海浜の維持や形成のための重要課題となっています。