本文
【柏崎】地元のものづくり企業を身近に感じる地域企業見学会
技術系の若者に実際の現場を体験して地域企業の魅力を知ってもらい、地元定着を促進するため、柏崎工業高等学校と連携して、柏崎工業高等学校の2年生を対象に地域企業見学会を実施しました。
7月14日(木曜日)に株式会社東芝柏崎工場を電気技術科の生徒39名が見学し、7月21日(木曜日)には株式会社五十嵐電機製作所・株式会社サイカワを機械創造科の生徒34名が見学しました。
また、9月8日(木曜日)には環境化学科の30名の生徒が新潟岡本硝子株式会社の工場を見学しました。
実際の現場を自らの目で見て、感じる経験は何物にも代えがたい貴重な経験となりました。
電気技術科(見学先:株式会社東芝 柏崎工場)
電気技術科の生徒は、世界の産業を支える高性能の電池「SCiB」というリチウムイオン電池を製造している株式会社東芝柏崎工場を見学しました。
この電池は優れた特長があり、発火の可能性が極めて低く、かつ長寿命で急速充電が可能ということで、軽電気自動車の約2台に1台に搭載され、東海道新幹線にも搭載されています。
工場内は、フロアによっては品質管理のため全身防塵服を着用する必要があり、電池を作る工程箇所は電池内に水分を入れないため、湿度を徹底的に排除する対策が取られていました。また、材料を運ぶ運搬車が無人搬送車として走るなど一歩進んだ取り組みも行われていました。
見学を終えて、ある男子生徒は「昨年は、コロナで工場見学ができなかったが、今回実際に工場を見学することができ、自分の将来のビジョンを考えるきっかけとなった。」や、ある女子生徒は「機械の動きが見られて楽しかった。高校のコースを選択するとき、メカトロニクスコースと迷って今のコースにしたが、機械の仕組みとか機械を作ることにも興味がわいた。」など、今後の進路を考えるきっかけとなったという感想を聞くことができました。
機械創造科(見学先:株式会社五十嵐電機製作所・株式会社サイカワ)
株式会社五十嵐電機製作所
機械創造科の生徒は、まず初めに小型DC(直流)モーターの開発・生産を手掛ける株式会社五十嵐電機製作所を見学しました。
開発・生産する小型モーターの中でも車載用モーターが主力で、その中でもアクセルペダルの動きに応じてエンジン出力を制御するモーターは世界シェア約5割、多目的スポーツ車(SUV)などの電動開閉ドア用モーターは世界シェア約8割と世界中に小型モーターを供給しています。
工場で稼働している生産設備の7割が自社開発されたもので、製造ラインで問題が発生しても即座に自社で問題点を見つけ出し、速やかに製造ラインを正常な流れに戻すことが可能な点も強みとのことでした。また、車載用モーターでは、いつ・どのラインで製造されたものかがわかるようにとの顧客からの求めに応じてQRコードを個々のモーターに貼付し、製造の見える化が図られていました。
株式会社サイカワ
次に金属・電機・通信などのケーブル製造機械メーカーである株式会社サイカワを見学しました。
様々な製品に欠かせない電線を作る「伸線機(太い金属を細く線のように伸ばしていく機械)」の設計・製造・販売を行い、カタログ販売ではなく、100%受注生産で顧客のニーズを実現するオーダーメイド生産を行っています。
伸線機は、貴金属の特性によっては最小10ミクロン(0.01mm)まで細く伸ばすことができ、全ての伸線機がオーダーメイド生産ということで、見学当日も発注企業の方々が完成品の動作確認を行っていました。また、海外IT企業による通信環境強化のための投資拡大から伸線機の受注が増えているとのことで、世界とつながる技術を持つ企業が身近にいることに生徒たちは興味深く話に聞き入っていました。
2社の見学を終えて生徒からは「将来、ものを作ることに携わりたいと思っている。今日は生の現場を見られたのが良かった。夢に向かって、仕事をイメージしやすくなった。」などの感想を聞くことができました。
環境化学科(見学先:新潟岡本硝子株式会社)
最終日には環境化学科の生徒が、光・ガラス分野における研究開発を行う特殊ガラス製品メーカーの新潟岡本硝子株式会社を見学しました。
生産を行っている特殊ガラスの中でも「プロジェクター用反射鏡」はガラスから薄膜までの一貫した生産を行っており、その世界シェアは86.4%と世界一を誇っています。また、近年では、フロントガラスに、走行速度やナビなどの主要なインフォメーションが投影される「ヘッドアップディスプレイ」向けレンズの製造実績もあります。
工場内には、ガラス製品を製造するためのガラス溶融電気炉があり、原料である珪砂等が約1,500℃に熱せられた炉に投入され、その後約1,100℃で出来上がった溶融ガラスを金型に流し込みプレスマシンで成型が行われます。ダイナミックな製造工程ながら出来上がった製品はミクロン単位の精度を誇っていました。また、プロジェクター用反射鏡には一つ一つロットナンバーが付けられ、どのラインでいつ製造されたか分かるシステムが導入され、製造工程の見える化が図られていました。
見学を終えた男子生徒は「何気なく利用しているガラス製品も実際の製造工程を見ると複雑で、とても勉強になった。現場を見たことによって、ものづくり企業での働き方のイメージを感じることができた。」と感想を語ってくれました。
見学した株式会社東芝柏崎工場では脱炭素社会実現のために普及が拡大していく電気自動車においては無くてはならない製品であるリチウムイオン電池を製造し、株式会社五十嵐電機製作所の小型モーターは、日々、小型化・効率化していく製品の駆動において重要な役割を担っています。また、株式会社サイカワは、デジタル社会を支える上で重要な光ファイバーケーブルを製造する装置を手掛けており、デジタルトランスフォーメーションを実現するための製品製造を支えています。最終日に見学した新潟岡本硝子株式会社では、自動運転や車の高機能化などに対応する特殊ガラス製品を製造しており、次世代自動車に無くてはならない製品製造を担っています。
柏崎には世界で流通し、かつ、不可欠な製品を製造している会社が、こんなにも身近にあることに見学を通して驚くととともに、高校生に世界とつながっている地元のものづくり企業を身近に感じてもらう、またとない機会となりました。
柏崎地域振興局フェイスブックはこちら<外部リンク>