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平成28年11月24日 新潟県知事 定例記者会見
(記者会見の動画を新潟県公式YouTubeチャンネルでご覧になれます)<外部リンク>
- 日時 平成28年11月24日(木曜日)
- 場所 記者会見室
- 知事発表項目(10時00分~10時03分)
- 新潟県立高等学校生徒の死亡案件について
- 東京電力幹部との面談について
- 次期新潟県男女共同参画計画(素案)に関するパブリックコメントの募集について
- 「ふるさと新潟応援寄付金」の返礼品の拡充について
- 質疑項目(10時03分~10時47分)
- 知事就任1か月の所感等について
- 日本海横断航路について
- 新潟県立高等学校生徒の死亡案件について
- 東京電力幹部との面談について
- 原発関連問題について
- TPP協定について
- 柏崎市長選について
知事発表
新潟県立高等学校生徒の死亡案件について
既にコメントを出しているところでもありますが、本県の県立高校の生徒さんが亡くなられました。亡くなられた生徒さんのご冥福を心からお祈りするとともに、ご遺族の皆様に深く哀悼の意を表します。生徒さんが学校にいじめの相談をしていたという報告もありますので、第三者委員会の調査も視野に入れながら、教育委員会には学校と協力して事実関係を調査するとともに、適切な対応をとるように要請したところです。
東京電力幹部との面談について
11月22日に発生した地震の影響で延期されていた東京電力數土会長、廣瀬社長らとの面談については、11月29日(火曜日)午後3時30分から行うことに決まりました。
次期新潟県男女共同参画計画(素案)に関するパブリックコメントの募集について
次期新潟県男女共同参画計画(素案)に関するパブリックコメントを募集します。募集期間は平成28年11月24日から12月21日になります。男女が相互に人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別に関わりなくその個性と能力を発揮することができる男女共同参画社会の実現に向けた取組に関する計画です。このたび新潟県男女平等社会推進審議会において、次期男女共同参画計画の素案がまとまりましたので、県民の皆様から広くご意見を募りたいと思います。
報道資料(次期新潟県男女共同参画計画(素案)に関するパブリックコメントの募集について)[PDFファイル/201KB]
「ふるさと新潟応援寄付金」の返礼品の拡充について
ふるさと納税の「ふるさと新潟応援寄付金」の返礼品に冬季体験メニューを加え、年内期間限定で「新之助」も加えます。県では「ふるさと新潟応援寄付金」で本県を応援していただいた方に、返礼品として県産品を贈呈しています。今年7月には、本県の魅力をより幅広い方に知っていただいて、交流人口の拡大や移住・定住の促進につなげるための体験型メニュー、宿泊施設の利用券を追加しました。さらにその一環として、冬季体験型メニューのラインナップを拡充しました。また、平成29年秋から一般販売する「新之助」のPRを兼ね、年内の期間限定で「新之助」を返礼品に加えることとしました。
報道資料(「ふるさと新潟応援寄付金」の返礼品の拡充について)[PDFファイル/513KB]
質疑
知事就任1か月の所感等について
Q 代表幹事
11月25日で知事に就任して1か月となります。その感想と、この間に見えてきた県政の課題をお伺いします。
A 知事
極めて素朴な感想になってしまいますが、県又は県知事が管掌する事項の多さというものは、予想したところではあるのですが、非常に大きな組織を所管することになっているのだと実感しました。それぞれの分野で非常にたくさんの課題がありますので、それにきちんと真摯に取り組んでいきたいと思っています。見えてきた課題については、全体的で、少し月並みな話になるのかもしれませんが、様々な要請事項に関して、きちんと調整していくことが非常に重要であると思っています。やはり予算の制限があることですから、様々なご要望、調整事項をきちんと調整していって、何かをしたからどこかに非常にご不便をかけるということがないような県政運営を心がけていきたいと思っています。
日本海横断航路について
Q 代表幹事
日本海横断航路計画の船購入問題をめぐる、売主側と県の第三セクターとの訴訟の第1回口頭弁論が11月24日に開かれます。県としての対応方針を伺います。
A 知事
全体の対応方針ということについては、県民の負担を可能な限り小さくし、また関係者の皆様が可能な限り納得いただけるように、そして可能な限り迅速にこの事態の収束に当たるということになります。第1回口頭弁論に関しては、訴訟実務ということになるのですが、第1回というのは意外に何も起こらないのです。相互に姿勢を確認するだけということになりますので、第1回は型どおりの訴訟実務に沿って遂行させていただいて、その間に様々な活動をしていきたいと思っています。
Q TeNY
今日これから、第1回口頭弁論があり、お互いの姿勢が裁判で明らかになりますが、どこかしらの部分で争うなり、不同意なりということを県としては考えているのでしょうか。
A 知事
裁判実務として第1回は思いっきり相手の主張を認めるのでない限り、基本的には争いますと言うのです。それはもうそういうものと言いますか、要はこれから裁判していきますという意思表示になるので、そうすると県としてもここは様式美と言いますか、争いますと一言言って、理由は後ほど述べますという定石を出していただくということになります。
Q 朝日新聞
2日前に、県の顧問弁護士を務める早川吉尚氏を新たに(新潟国際海運株式会社の)取締役に選任する段取りが整ったとの発表がありました。早川弁護士が県議会議長(である早川吉秀議員)の息子であることは知っていましたか。
A 知事
知っています。
Q 朝日新聞
県の関係者とも受け取れるのではないかと思いますが、問題点や懸念などはありませんか。
A 知事
その点については私は懸念していません。そもそも国際司法の専門家はそれほど多いわけではないのです。日本の弁護士は日本の国内法を専門とする人がほとんどで、有名か有名でないかということが必ずしも重要かどうかは別にしても、国際司法の専門家として早川弁護士はそこそこ名が通っていると。そもそも、この分野で相当程度名の通った弁護士事務所に所属している弁護士の数はそれほど多くないのです。
実は、早川弁護士が早川県議会議長のご子息であることは従前から知っています。早川弁護士は私と同じ中学校の一つ下の学年にいて、大学時代も(同じ大学で)一つ下の学年にいましたので、従前から親交があります。そういった意味では、こちらとしても非常に話しやすいですし、能力もわかっているということで選ばせていただきました。偶然と言っていいのか、確かに早川県議会議長のご子息ではあるのですが、だからと言って外す理由もありませんし、特段問題ないと思っています。
Q 朝日新聞
(最終的に)知事が了解したというのはもちろん当然のことと思いますが、今回の人選やタイミングというのは米山知事のトップとしての決断や判断を反映したものなのでしょうか。
A 知事
もちろんそうです。行政の長としての私の判断を反映したものです。
新潟県立高等学校生徒の死亡案件について
Q NHK
どのような形で報告を受けて、率直にどのように受け止められたか教えてください。また、いじめは昔からありますが、今またクローズアップされている中でそういうことが起きてしまいましたが、今後どのように対応していきますか。
A 知事
まず、報告に関しては、従前の経緯について少なくとも学校が把握していることに関しては、全て上がっていると理解しています。生徒さんからの訴え、また学校がそれに対してどのように対応したかということに関しては、ほぼ把握しているだろうと認識しています。これからまた新しく出てくるかもしれませんけれども。ご遺族の意向もあるので、現時点で全てを話しづらいところはあるのですが、報道もあるところで、一定のいじめと言っていい事象はあり、それに関して生徒さんはご相談されており、学校も何かしなかったということはなくて、当時としてはそれを受け止めて対応されていたと認識しています。ただ、その後の生徒さんの訴え等も一応全てではないかもしれませんが把握しており、その中には十分ではなかった部分はあるのだと考えています。それを受けての今後の対応ということになるのですが、まずは学校等でより詳しい事実関係の把握に努め、また従前の学校の対応に関してもきちんと把握させていただいて、責任の所在があるならばきちんと明らかにさせていただきたいと思っています。亡くなられた方には本当に痛ましいことではあるのですが、同時に次に生かすということも非常に重要なことではあるので、次の再発防止のために何ができるかということをしっかりと考えさせていただきたいと思っています。現時点では調査中ですから今後の対応に関して確定的なことはまだ言えないところはあるのですが、現場の対応ももちろんですが、生徒さんの心を受け止める体制をより拡充していかなければならないと考えています。
Q 新潟日報
基本的には教育委員会の案件かと思いますが、知事は(事案が発生した日に)すぐにコメントを出されています。今後、知事部局として、また知事としてどのように教育委員会と関わっていくお考えでしょうか。
A 知事
ご指摘のとおり、基本的には教育の独立性ということで教育委員会が管掌していることではあるのです。ただ知事としても大きな方針ということでは、教育委員会とよく話し合わせていただいて、報告を受けながら教育委員会の方にも、このようにしたらいかがでしょうかと、またこのような方針でいっていただきたいと思っていますということをお伝えしていきたいと思っています。現時点でも教育委員会、教育長とはよく意思疎通しておりますので、ほぼ情報は共有している状態だと理解しています。
Q 朝日新聞
米山知事の就任前のことになってしまって恐縮なのですが、昨年も県立高校の生徒さんが亡くなられる事案が少なくとも1件あったのですが、そのときは特に知事コメント等が出ることもありませんでした。今回事案が発生した当日に知事がコメントを出されたことや、今日の会見の冒頭でコメントされた意図について伺えますか。
A 知事
教育については直接の管掌と言いますか、指揮命令系統は教育委員会にありますので、(コメントを)出さないという姿勢もそれはそれであるのだと思います。教育委員会の独自性に期待するということもそれはあると思いますし、制度が変わったということもありますが、やはり知事も教育委員会と協力して教育行政を進めていく立場にあるわけですから、大きな方針として私としてはこうしていただきたいと思っているということをお伝えさせていただき、コメントを出させていただいたということになります。
Q 朝日新聞
特に今回は、いじめの相談があったという経緯を踏まえてということはあるのでしょうか。
A 知事
それ自体を非常に重大視したからということではありません。もちろんそれは事象としては重要なことだと思いますが、それを特にピックアップして、それゆえに対応が変わったということはではありません。
Q 新潟日報
11月21日の段階ではあまりいじめという話はなく、次の日に全校集会したときに報告があったみたいな話かなと思ったのですが、知事の元には亡くなった日には既にいじめの可能性があるとか、いじめの相談があったというようなことが報告として上がっていたということなのでしょうか。
A 知事
少なくとも私はごく初期の段階から現在報道されているようなことに関しては、ほぼ理解していたと認識しています。
Q 新潟日報
ごく初期というのは、亡くなった日にはということですか。
A 知事
そうですね。初期の段階で理解しています。そういう意味で内部において情報が停滞したということはありません。ただそれをどう出していいのかというところがあります。いろいろ微妙な問題もありますので、こちらの方から積極的に出すという話でもないのだと思います。報道は順次、報道側の事情でされていったのだと思いますが、少なくとも私や教育委員会に情報が上がるのが遅かったということはありません。
Q 新潟日報
過去の高校生の自殺について、ご遺族の方と教育委員会との間で、調査や話合いの中で、ご遺族の方が不信感を持ったりするような、コミュニケーションがうまくいかないようなケースが過去にありました。その辺りは、教育委員会の話なのかもしれませんが、教育委員会並びに知事部局として、ご遺族の方とどのように向き合っていくのか、その辺りについての考え方はいかがでしょうか。
A 知事
丁寧にお話ししていくということに尽きるのだと思います。過去の経緯も承知はしており、いろいろなそれぞれの立場の見方というのはあると思うのですが、そもそも事故が起こった場合の両サイドの意思疎通というのは非常に難しいのです。相互が善意であったとしても、なかなかその了解というのは取りづらいところはあるのです。その取りづらい状態を根気よくかつ丁寧に説明させていただくことに尽きるのかなと思っています。
Q 新潟日報
その辺りについて、知事から教育委員会に要請などはしているのでしょうか。
A 知事
そうですね。よくお話をさせていただきながら丁寧な説明に努めるように要請しています。
Q 朝日新聞
今回の自殺の事案に限らず、県内で最近いじめの案件が相次いでいます。教育委員会と相談の上でだと思いますが、あらためて調査などのお考えはないでしょうか。
A 知事
今回の事案を受けて、いじめの防止や、今もう発生しているものに関してはそれがなくなるようにということで、調査や対策を要請させていただきたいと思います。ただ、例えば全県で一斉にやるというようなことに関しては、それは学校ごとの事情があると思うので、学校の事情を反映しながらやっていただきたいと要請させていただこうと思っています。
Q 新潟日報
現状でも、もしかしたらいじめられている生徒さん、学生さんがいるかもしれません。知事個人として、その人たちに対する何かメッセージみたいなものはありますでしょうか。
A 知事
まず第一にはそれは本当につらいことだと思います。人間はつらくなってしまうと、つらさに心を奪われて、いろんな方法があるということに目が向かなくなってしまいます。特につらい思いをされている生徒さんは、おそらく絶望的な気持ちになっておられるのだと思うのですが、ぜひ少し力を振り絞って顔を上げていただいて、自分の前にはいろいろな選択肢があるのだと、この状況を脱するいろいろな方法があるのだと思っていただいて、先生であり、周りの大人であり、もしくは友人であり、いろいろなところにシグナルを発してほしいと思います。本当につらい思いをしている生徒さんにそう言うのは申し訳ないところではあるのですが、1回2回うまくいかなくてもぜひ絶望せずに何度でも試してほしいと。大人の力も100%ではないので、聞いたことをすぐに必ず解決できるということではありません。残念ながら大人もお子さんに比べれば少しは解決能力がありますが、100%の解決能力があるわけではありません。ただ、みんなそれぞれに解決しようと思いますから、どうか諦めずに何度でも相談なり、いろいろなシグナルを発することを続けてくださいというメッセージを伝えたいと思います。
Q 新潟日報
いじめの把握や、いじめがあったときの対応などに関して、現場の先生方に求めたいことは何かありますでしょうか。
A 知事
とにかくいじめは許さないということを子どもたちにきちんと伝えるということを、ぜひ根気よくやっていただきたいと思います。現場の先生方にとっても、いじめの問題は非常に難しいのだと思います。ものすごく極端なものに関しては、常にやるべきことは決まっているので、非常に極端なものがあった場合には断固たる措置をとると。全くなければ何もする必要はないと。100と0は非常にわかりやすいのですが、世の中にはいろいろな段階があるので、いろいろな段階のものがあるときに自分がどのように対応したらいいかというのは、その先生の経験なのだろうと思いますが、現場の先生にとっても難しい部分は事実としてあるのだと思います。先生方がその場で真摯に取り組むというのは大前提として、自分で全てを抱え込まずに、先生同士や教育委員会にぜひご相談していただきたいと思います。(問題を)放棄してはいけませんが、先生の手に余るということもなくはないのだと思います。きちんと情報を上げていただいて、県としてもそのサポート体制をしっかりと作っていきたいと思っているということをお伝えしたいと思います。
Q 新潟日報
いじめを認知しない、カウントしない方が、先生にとっても評定がいいのではないかというような風潮もあるのかなと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
A 知事
そのような風潮があるというお話も聞いていますし、人間の心理として、常にトラブルに関してないことにして、そのまま何事もなくなってしまえばいいというのは、一般的な心理としてなくはないと思います。ただ、本県においてそのような状態ではないと私は信じていますし、少なくとも新潟県はそのような対応をするつもりは全くないと。いじめを認知することは全く先生の過失ではないのだから、むしろ積極的に(情報を)上げていただきたいと。いじめが起こってしまったこと自体に関して、先生を責めるようなことは全くありませんし、対応に関しては適切にしなければなりませんが、起こったということに関して先生を責めることは全くないので、認知したところで情報として上げていただきたいと思いますし、それは教育委員会にも、現場の先生にも伝えていきたいと思います。
Q 新潟日報
通知か何かで。
A 知事
はい。
東京電力幹部との面談について
Q 時事通信
11月22日の東京電力との会談が中止になりました。その理由は福島沖での地震に対応するためと東京電力が説明していましたが、その一連の対応について知事はどのようにご覧になりましたか。
A 知事
私は適切な対応だと思います。福島第二原発の使用済み核燃料の冷却プールの冷却装置が一時停止していますので、まさに延期してその対応に当たられたわけですから、よかったと言ったら何ですが、延期したことで対応に当たられたのだろうと思います。(延期の発表と)東京電力の中での(トラブルの)把握の前後はよくわかりませんが、いずれにせよ地震があり、仮に全くトラブルがないとしても、きちんと点検等はしなければなりませんし、組織のトップが現場に集中することは大事なことでしょうから、延期自体は私は適切な対応だろうと思っています。
Q 時事通信
福島第二原発で少しトラブルがあったということですが、それに対する東京電力側の対応というのはご覧になってどのように感じましたか。
A 知事
それに対する対応に関しては、報道されているところではやはり対応の遅れもあるように思いますし、本当にトラブルの原因がご説明されているとおりなのかというのは、少しわからないところもあります。小さなトラブルという言い方は違うのかもしれませんが、いずれにせよ大きくはない今回のトラブルに関してもきちんと検証していただいて、再発防止も当然していただきたいと思います。
Q NST
東京電力との初会談において、どのような話をしたいか、どのような姿勢で臨みたいかあらためてお願いします。
A 知事
基本的には、時間もそれほど長い時間ということではありませんので、相互の立場を確認することになるのだと思います。ただ、相互の立場を確認する中で、当然私としては議会の答弁でもお答えしたところですが、本気で検証しようともちろん考えているわけなので、そうすると当然東京電力から情報を出していただかないと検証のしようが事実上ないわけですので、そこに関してのご協力をお願いしたいということはお伝えさせていただきたいと思っています。
Q TeNY
東京電力(の數土会長ら)との今後の面談は決まりましたが、世耕経済産業大臣と会う予定はありますか。知事の就任直前に、大臣側は「お会いしたい」と言っていたのですが、年内に会う予定はありますか。
A 知事
年内(に会うというの)は、国としてもスケジュール的になかなか難しいと想像しています。ただ、先ほどお話しした検証を進めようとすれば、当然国との話合いも必要となってくるので、それほど遠くない時期に調整させていただきたいと思っています。
Q BSN
先ほど、(事故の原因等を)本気で検証するためには東電の協力や、情報を出していただくことが必要とのコメントもありました。前知事は、(東京電力の)これまでの体質などを踏まえて、情報がすぐに出てこないといった辺りや隠ぺい体質をかなり指摘していましたが、面談の場で東電にそういった注文などをつけるようなことは考えていますか。
A 知事
初めから相手を否定するようなこともありませんが、従前の経緯があるわけですので、そういったことは今後はやめてください、情報はきちんと速やかに出してくださいと要請させていただきます。
Q 毎日新聞
先ほど、双方の立場の確認と仰ったのですが、あらためて知事としては、三つの検証(福島第一原発事故の原因の徹底的な検証、原発事故が健康と生活に及ぼす影響の徹底的な検証、万一原発事故が起こった場合の安全な避難方法の徹底的な検証)が必要だということをお伝えするということでよろしいでしょうか。
A 知事
はい。
原発関連問題について
Q 産経新聞
先日の県議会の臨時会の中で、泉田裕彦前知事と米山知事の原発に対するスタンスについての質疑があって、それに対して米山知事は泉田前知事の路線を継承します、スタンスの違いはありませんと答弁されています。スタンスは同じという中で、再稼働の議論について、検証なくしては議論はできないというところは継承しているけれども、現状においては再稼働は認められないというご発言は、ご存じのとおり、泉田前知事は一切されていなかったのです。その発言の違いについてはどのように考えていらっしゃいますか。
A 知事
発せられる質問が異なれば答えも違うわけですし、質問される状況が変われば答えも変わるわけですから、スタンスが同じでも当然状況が変われば違う答えをすることになるかと思います。泉田前知事が、例えば現状で(再稼働を)認められますか、認められませんかという質問されたかどうかは私はわからないので、それは何とも言えないのですが、私は同じ方針の基に、しかし現状においてその質問をされればそう答えますということかと思います。
Q 読売新聞
先日の臨時会で柏崎刈羽原発の視察をしたいという意向をお話しになっていましたが、スケジュール感は大体いつ頃というのはあるのでしょうか。
A 知事
もう11月24日ですから、年明けにはなるでしょうね。向こうの予定もあるでしょうし、こちらも議会等のスケジュールが詰まっていますから、年明けの早くとは言いながら、現在のスケジュールの詰まり方を見る限りでは、どうしても1月の半ば以降になるかと思います。
Q 読売新聞
視察するに当たって、特にこういう部分を注力して視察したいという点はありますか。
A 知事
特に現場の方々にどんな状況でお仕事されていますかということはお聞きしたいと思います。もちろんいろいろな機器類等は見させていただきたいとは思うのですが、一方で、私は医師、弁護士であっても原子力工学の専門家ではありませんので、あの巨大な施設を見て何かを判断できるということではないのだろうと思います。自分の能力と言いますか、専門知識はきちんと理解した上で、そこに行ってすごい機械を見たから安全だとか、安全でないとか、どちらだと言えるというようなことではないのだろうと思います。ただ、やはり現場感というのは大事ですから、現場を見させていただいて、それぞれの方々がどのような仕事をされているのかというのは確認させていただきたいと思います。
Q 産経新聞
原発再稼働に対する米山知事と泉田前知事との発言の違いについてもう一度確認させてください。先ほどの話は、例えば(内容や状況が異なる)質問があって、それに対する答え(なので、スタンスは同じでも異なる答えになる)ということでした。しかし、米山知事は選挙戦を通じて、また当選後や就任記者会見の冒頭など、特に質問がない状態で「県民の命と暮らしが守られない現状においては再稼働は認められない」という明確なメッセージを発しており、その部分は明らかに泉田前知事とは違うと受け取っています。スタンスは同じと言いながら、発言が一歩踏み込んでいることについての知事の考えを聞かせてください。
A 知事
目の前で(原発再稼働についてどう考えるかと)聞かれてはいませんが、県民の方々がそういった質問を心の中に持っているような状況に変化したということではないでしょうか。選挙戦では突然こちらから演説し始めるので、県民の皆さんの質問を受けて演説することはなかなか少ないわけですが、演説する側としては皆さんが疑問に思っていることに答えようと思って演説するわけです。そういった意味では、県民の皆さんの間で、この問題は一体どうなるのかという疑問が高まっていると考えたので、そのように(泉田前知事の路線を継承すると)演説させていただきました。また、おそらく県民の方々の気持ちとして、(選挙戦で)演説したことは(知事就任後も)基本的にそのスタンスなのかどうか、演説したことに対して今はどのように思っているのかというところがあると考え、(「県民の命と暮らしが守られない現状においては再稼働は認められない」という言葉を)使わせていただいたので、私としては変わっていないと思っています。
TPP協定について
Q NHK
TPPについて、オバマ大統領が自身の政権のうちでは(議会の承認は)難しいだろうと正式に判断されたということですが、これまで静観していくと仰っていましたが、その受け止めと、今後どのように対応をとっていきたいかを伺います。
A 知事
オバマ大統領もそう言われましたし、トランプ氏がかなり明確にやらないと仰っているので、基本的には相当難しくなったのだと思います。もちろん残りの国だけでやるというお話もありますが、TPPの日本にとっての大きな図式は、アメリカ以外の諸外国から輸入し、アメリカという巨大市場に対して低関税で輸出すると。それによってバランスがとれているというのが大きな図式ではあったわけなので、アメリカが抜けた時点で日本だけが入ってやるということになった場合、完全に交渉の前提が崩れているのだと思います。日本の国益のバランスということに関してはかなり厳しいものになると。国の方針はわからないのですが、国がもしアメリカ抜きで、しかも現在できている協定案でいくということであれば、強硬に反対と言いますか、問題点を指摘させていただくと。それはメリットがほぼほぼ喪失した状態で、安いものが(日本国内に)入ってくるというのはいいことですから、デメリットとは言いませんが、しかし日本にとって明確なメリットが消えた状態でそれを推進するというのは、それはどうなのでしょうかと。従前の国益を守るという国会決議にあまりにも反するのではないかということは、県としてお伝えさせていただきたいと思います。ただそうなるかどうかもわからないわけなので、国や世界の動向を注視することになるのだと思います。
Q 新潟日報
こういった状況にある中で、(TPP協定と関連法案に関する)国会承認は12月9日に自然成立します。以前、(国会承認から)間を置かずに県としての要望を伝えるということを言われていたと思いますが、オバマ米大統領が(在任中の承認を)諦め、トランプ氏が(米大統領に就任した)初日に脱退するという発言をしている中で、県として国に要望なりを伝えるという辺りの考え方はどうなってくるのでしょうか。
A 知事
状況を見ながらではありますが、トランプ氏が米大統領に就任した初日に脱退すると言われているわけなので、(国に要望するのは)その後になるのではないかと思います。少し国の姿勢がよくわからないところもあるのですが、(アメリカが正式に脱退する)その前に要望してもまともに取り合っていただけるのかと。国が決めることなので、あまり私が言うことでもないのですが、(TPP協定が)発効すると本気で思っている人は、事実上かなり減っていると思います。国会での議決はするのだと思いますが、このまま発効する可能性は正直言ってかなり低いです。少なくとも協定の中に(域内全体の国内総生産の85%以上で、かつ6か国以上が批准する必要があるという)GDP条項があるので、トランプ氏が参加しないと言っている限りは絶対に発効しないわけです。残りの国で発効させるためにはもう一度、最初から交渉しなくてはなりません。少なくともGDP条項に関して変更するという交渉を行い、全参加国で合意しなければいけないわけですので、どれだけ最短で見ても発効は1年後だろうと。トランプ氏が翻意すると途端に状況は変わるのですが、トランプ氏が翻意しない限りはそういうことだと思います。その間に、発効した場合の問題点や対応策を県として国に示した場合、正直棚ざらしにされてしまうと言いますか、少しタイムリーではないところがあるので、まとめてはおきながらも、出すタイミングは計らせていただきたいと思っています。
Q 新潟日報
これまでの話では、日本国内の状況を見て、国会承認のタイミングから間を置かずに(要望する)ということだったと思いますが、そうではなくて、来年、トランプ氏が米大統領に就任してどうなるのかといった部分も見極めた上でということですか。
A 知事
見極めてということになると。これは事務当局の了解を得ているものではなく、今、この場で私が思っていることではありますが、おそらくそういった方向になると思います。どうなるかわからないとは言いながらも、あまりにも(発効が)不透明すぎて、発効した場合のことを要望する意義は失われつつある状況だと思います。
Q 新潟日報
今、トランプ氏がTPPから離脱するというようなことを言っている段階で、TPPの枠組自体が少し怪しくなってくると思いますが、知事としては、TPPの枠組は必要だと思っていますか。
A 知事
大きな枠組としてはもちろんいると思います。それは、GATT(関税及び貿易に関する一般協定)からWTO協定の流れとさして違うわけではないわけです。本当にワールドワイドと言うか、世界の多くの国が入っているのか、それとも環太平洋と言いながら、ある程度限定されているのかは別として、いずれにせよ世界的な交易が非常に盛んな中で統一のルールを作っていくこと自体はあるべき姿と言いますか、どのみちそちらの方向に進んでいくのだと思います。人がやろうがやるまいが、ビジネスをやっていけば、事実上の統一ルールは必ず作られていくのです。それをあまりに放っておくと、極めてローカルルールみたいなものが出来上がって、かえって不便になるということがたぶん起こるので、それよりはきちんと関わるところで話合いをして、合理的なルールを作っていくということはあるべき姿だと思っています。
Q 新潟日報
個別のEPA(経済連携協定)やFTA(自由貿易協定)に比べて、TPPを含めて多国間でやることの利点はどのようなところだと思いますか。
A 知事
個別の交易だけで製品ができるのかということだと思います。車を一つ作るのに、かなり昔のモデルであれば、どこかから鉄鉱石を輸入して、日本で車にして、輸出するということで、それは二国間(の協定)でいいのでしょうが、今は材料等の輸入や設計、組立てが多国間で行われ、製品が作られているわけですから、(多国間の協定がなければ、)二国間で全てルールが違うという状態になるわけです。それは非常に煩雑であり、ビジネスを阻害するものだと。可能な限り広い範囲で共通のルールを作ろうというのは、時代の潮流に合った考え方だと思います。
柏崎市長選について
Q 時事通信
柏崎市長選で当選した桜井雅浩氏は、前知事の時代は(市長と)知事との対話の場面が少なかったように思うので、ぜひ対話の機会を重ねていきたいと言っていました。(選挙結果を受けて、)知事は(柏崎刈羽原子力発電所に係る安全性の確保について)協力・連携していきたいとコメントしましたが、その辺りについて定期的に会合を持つだとか、どのような考えを持っていますか。
A 知事
直近の報道を見ると、桜井氏のスタンスも微妙に変わりつつあるようですので、それは(桜井氏の)希望次第ではないでしょうか。希望がないのに、こちらからどうしても(会いましょう)というものでもありません。ただ、きちんとした避難計画を作っていく上で地元自治体の協力は絶対に欠かせませんし、そのためには意思疎通が必要ですので、私としては定期的な話合いの機会を設けさせていただきたいと思っています。
Q 時事通信
最初にいつ頃会おうかといった辺りは。
A 知事
そう遠くない時期にと思っています。就任されてから1~2か月の間で(会いたい)と私は思っていますが、相手があることですので、相手次第ではないかと思っています。
Q 時事通信
先ほど、桜井氏のスタンスが変わってきたと言っていましたが、どういったところが変わったと思いますか。
A 知事
選挙戦のときには比較的(国や県と)話し合いたいと言われていたと思いますが、最近の報道によると、(再稼働の是非に関する話合いは)それほど急がなくてもよいのではないかというニュアンスに変わっていました。私が直接聞いたわけではないので本当のところはよくわかりませんが、そのような報道もされているので、新市長としてのスケジュール感を確認した上で、調整させていただきたいと思っています。
※文中の( )内については、広報広聴課で加筆したものです。
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