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平成29年1月4日 新潟県知事 年頭記者会見
(記者会見の動画を新潟県公式YouTubeチャンネルでご覧になれます)<外部リンク>
- 日時 平成29年1月4日(水曜日)
- 場所 記者会見室
- 知事発表項目(11時00分~11時01分)
年頭所感について - 質疑項目(11時01分~11時37分)
- 年頭所感について
- 糸魚川市における大規模火災への対応について
- 原発関連問題について
- 人事異動について
- 市町村との関係について
- 近隣県との連携について
- 農業分野における課題について
知事発表
年頭所感について
新年明けましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。本年もまたよろしくお願いいたします。旧年中は10月に就任後、早速いろんな事件や災害が多々あったわけですが、それを皆様から正しく適切に報道していただき、大変ありがたく存じております。本年もまたいろいろあるかと思いますが、私は本当に報道というのは非常に重要な役割を担っていらっしゃると思っておりまして、ぜひいろんな県の動き、県政等をお伝えいただければと思います。
質疑
年頭所感について
Q 朝日新聞
先ほどの職員に対する挨拶や庁議でも仰っていましたが、予算編成が本格化します。県民カラーということでしたが、庁議などで具体的にどういう指示を出されたのか、お話いただけますでしょうか。
A 知事
挨拶と同じですが、とりあえず目の前の問題にきちんと対応するということに尽きるのだと思います。懸案的なものは多々ありますので、それらについてきちんと対策を練っていきましょうと言いますか、きちんとした対応をしていきましょうとお話しました。
Q 毎日新聞
先ほどの職員に対する挨拶の中で、粉骨砕身という言葉がありましたが、年末まで皆さん(糸魚川市における大規模火災への)対応に取り組まれたと思います。知事自身はお正月はちゃんと過ごせましたか。
A 知事
私自身はそんなにワーク・ライフ・バランスのライフの方は必要ではないタイプではあるのですが、休むのも大事ですから、ありがたいことにお正月はそれなりに休ませていただきました。皆さん分担してということですが、休ませていただきました。
Q 毎日新聞
プライベートな話かもしれませんが、どういったことをされてお過ごしになられたのですか。
A 知事
まず1日は挨拶をするわけです。2日はほぼ寝るわけです。3日はさすがにちょっと運動とかするわけです。随分ありがたいですが、それでもう大体終わりました。
Q 新潟日報
先ほどの年頭の挨拶の中でもありましたが、結果的に出てきたものが米山カラーであり、そこにこだわらないというお話がありました。それを年頭の挨拶でお話された思いみたいなものは何かあったのでしょうか。
A 知事
私は米山カラーにこだわりません。私は常に何であれ是々非々であるべきだと非常に思います。行政のトップという立場としての思い入れというのはないと困るので、あっていいと思いますが、それはあくまで今ある現実に対してどう対処するかというのが前提にあるべきだと非常に思っています。報道の皆さんから米山カラーと言われますが、米山カラーを出すことが全く目標ではなくて、本当に今ある問題を解決することが目標であって、その解決の仕方にその人の特徴が出るだけであって、カラーを出したいなどということは本当にかけらほども思っていないので、そこは(職員と)共有したいところです。やはり目的は問題を解決して、対処して、より良くしていくことであって、カラーを出したいなどというのは本末転倒だと思うので、それをお伝えさせていただいて、これからの1年の仕事に生かせていただければと思って言わせていただきました。
Q 新潟日報
知事就任後、県議会臨時会と12月定例会があり、知事は、最大会派の自民党と対峙ではなく淡々と向き合いたいというお話がありましたが、これまで向き合われてきてどのようにご自身なりの評価をされていますか。
A 知事
まだあまりにも前哨戦ですから、まだ難解ではないのかなと思っています。もちろんご承知のとおり県議会では再々質問までということはいろいろ言われてはいるのですが、私はああいう状態からしか始めていませんし、そもそも議論は好きなので、もし自分が議員だったら、無意味にはしませんが、疑問点があれば再質問でも再々質問でも許されるところまですると思うので、疑問があった議員の方々はそうするのは何の問題もないと。それに対しては自分としては相応に応答できたのではないかと思っています。ただ今までの県議会は基本的には理念的な部分が非常に大きかったですから、議論としてはものすごく踏み込んだ方ではなかったと思います。これから予算が入ってくると、より実質的な議論になりますので、そこで本当に1つの方向をつくっていけるのかどうか真価が問われるところだと思います。
Q NHK
知事になって初めて迎えられた新年ということですが、今年どういった課題に特に力を入れて対処していきたいか伺います。また、明日東京電力の廣瀬社長、数土会長が来られますが、今年の県の原子力行政はどういったことを行っていきたいか伺います。
A 知事
すべからく力を入れていかなければいけないので、特にこれと言うと漏れたところから怒られてしまいますが、とは言え全部言っていると結局総花的で焦点が絞られないと思いますから、1つは知事選で大きな争点になりました原子力の問題です。これは検証をしっかりさせていただくため、その検証体制をきちんとつくって、実質的な検証、今よりも少し大きくした検証を始めさせていただきたいと思います。その中で、明日来られる東京電力や、国、その他関係機関にご協力いただきたいと思いますので、東京電力との明日のお話は今までのスタンスを確認した上で、こちらとしては、どんどん検証を進めますので、必要な情報を提供してください、ご協力をお願いしますということをお伝えすることになると思います。
また、公約の中で非常に大きな反響と言いますか、問い合わせも非常に大きいところである給付型奨学金について、来年度は制度設計になると思います。あれは始めると非常に大きくなってしまうため、あまり煮えない段階では始められないものですから、(来年度は)制度設計になると思います。ぜひ具体的な制度設計を行い、再来年度から実質稼働できるように進めさせていただきたいと思っています。
また、医療・介護については、既にできているプランの着実な実行ということで、今のところそんなに発表できる段階でもないのですが、県民健康ビッグデータというお話は、あれはあれで決して夢物語ではなく、少なくとも構想としては大きいのですが、着実に実行できるところはあるので、その部分をきちんとやって、次々と大きくなっていく道に乗せたいと思っています。
もちろん糸魚川の復興に全力で取り組まさせていただくと同時に、懸案となっている多少大きな公共事業と言いますか、インフラ整備はしっかりと進めさせていただきたいと思っています。そこは国との関係がちょっとどうなるかわからないですが、私自身は国との関係が悪いとは思っていないので、ある程度進めることができることも1つや2つは出てくるのではないかと期待しています。
Q NHK
今のお話の中で、原発の検証体制というお話があったのですが、どういったことを具体的に考えていらっしゃいますか。
A 知事
技術的なところも、今やっているのはある程度項目を絞っていると思いますが、少なくとも既に出ている調査報告が4つありますから、あれをきちんとレビューできる体制をつくりたいと思っています。あと、健康に関しては健康をきちんと検証できる体制をつくりたいと思いますし、避難計画に関しても、これは各立地自治体やその他の周辺自治体も含めて、避難計画を迅速に作ると同時にこの検証を進めていく体制もつくりたいと思っています。
Q 朝日新聞
新年なので少し大きな話をさせていただきます。(イギリスの)EU離脱、トランプ大統領(の誕生)など、年末年始のニュース等においては「分断」というような言葉が踊っていました。そのような社会に対して、どのような所感を持っていますか。知事は実際に「分断」ということを感じていますか。また、そういった不安がある中で県民に対して何かメッセージがあればお願いします。
A 知事
私は「分断」を感じています。「分断」という言葉が出てくる大きな理由の1つは、やはり停滞しているからなのだと思います。社会がどんどん前に進んでいるときは、皆が共通の夢を持つわけです。(社会が)よりよくなるというのは1つの夢ですので、そういった共通の夢を持っているときに人は協力しやすいと言うか、立場が違ってもそれほど変わらないわけです。ところが、日本はある種停滞していますし、世界全体を見てもある種の停滞感があるのだと思います。日本よりも随分GDPが伸びている国は多々あるのですが、いずれにせよ世界全体でちょっとした停滞感があると思います。停滞感があると、人はどうしても共通の夢がないわけです。それこそ私が(就任して)最初に言ったとおり、幸せは皆同じ幸せだから共通の夢を持つのですが、不幸というのはそれぞれの捉え方があるので、それぞれの不幸に対してそれぞれが不満を持つわけなのです。不満の持ち方が、ある人は極めて民族主義的な不満で、外国人が悪い、自分の国は正しいという不満を持つわけです。また、ある人は逆にそのような排外的な人が悪いという不満を持ったりするわけです。そういったことが分断に繋がっているのだろうと私は思うのですが、それを解いていくのはそれこそ政治の役割だろうと。分断は分断、意見の違いは意見の違いでよいとして、それをまとめ、お互いに憎しみ合わない関係を築いていくのが政治的リーダーの仕事だと思うので、そこはやはりリーダーがきちんと言葉を尽くしていくべきだと思います。もう1つは最初の話に戻るのですが、言葉を尽くして仲良くしようというのも非常に大事なことではあるものの、同時にやはり夢をつくるということも大事なのです。共通の夢があれば、実はたいして言葉がなくても社会の分断は割と解消していくわけなのです。ですから、夢をつくっていくことと、言葉を尽くして分断しないようにするという2つに政治的リーダーは取り組むべきだと思います。ただ、県知事というのも大きな仕事ではありますが、それはどちらかと言うと国政における政治的リーダーが果たすべき役割だろうと思います。
Q 産経新聞
別の意味での夢について伺います。夜、眠っているときに見る夢のことなのですが、今年の初夢は見ましたか。
A 知事
多分何か見たと思います。
Q 産経新聞
おぼろげながらでも構わないので、どのような夢を見たのか聞かせてください。
A 知事
大変恐縮ながら、あまりおもしろい話ではありません。普段夢を見ても、ほとんど日常生活の夢で、かつ夢を見ている状態で少し朦朧としているので、日常生活のことだけれども辻褄が合わないような夢を見ることが多いです。例えば、県庁で普通に仕事しているのですが、なぜかパソコンで作成した原稿をプリントアウトするのではなく、手で書き写そうとしていて、時間までに書き写せなくて困ったというような変なタイプの夢です。皆さんも(そういった夢を)見ることはありませんか。状況としては日常生活と一致しているのに、非常に変なところで辻褄が合っていないみたいな、その手の夢を見るのです。今年の初夢も明らかに仕事系の夢で、つまらないことで悩んでいたような気がします。パソコンで(作成した原稿を)書き写せないみたいな、県庁にいて何か仕事しているのだけれども、何かあって間に合わないと言っているような夢だったような気がします。ただ、間に合わない理由は極めてわけのわからない理由だったような気がします。
Q 産経新聞
今年、米山知事は50歳という1つの節目を迎えます。公私含め、今年中に何が何でも達成したいことはありますか。
A 知事
もう答えを期待されているところもあるのですが、確かに40代のうちに結婚したいとは思います。50代独身男性がその後に結婚できる確率は、確か1%を切るのではなかったでしょうか。あまり正確には覚えていないので、でたらめな数字だったら許してください。皆さんがそれぞれ調べていただいて、正しい数字を当てはめていただければと思いますが、確か40代で3%くらいなのが、(50代で)ガクンと下がるようなので、ガクンと下がる前、40代ですと言えるうちに結婚させていただきたいなと思っています。ただ、それはわかりませんね。
公の方は再三述べているところではありますが、いくつもの公約に掲げた課題があって、今年中に完全に(実現)できるとはなかなか思いませんが、ぜひ今年中にトラック(軌道)に乗せると言うか、飛び上がって多少なりとも滑空と言うか、ある程度目途が付くような状態に持っていきたいと思います。原発(再稼働問題)もそうですし、給付型奨学金や医療の(健康に関するビッグデータ活用の)話もそうですし、糸魚川(市における大規模火災からの復旧・復興)や、懸案となっている公共事業もそうですし、複数あるわけですが、それらを多少なりとも(軌道に)乗せていきたいと思っています。
糸魚川市における大規模火災への対応について
Q 毎日新聞
糸魚川の大火の関係ですが、県庁の御用納めが終わってから、そのあといろいろと動きがありました。その辺りについて、あらためて教えていただけますでしょうか。
A 知事
被災者生活再建支援法の適用は県がするのですが、適用して問題がないと国の方で言っていただき、大変ありがたく思っています。また、がれきの処理等はほぼ自己負担ゼロでなされることが決定していますし、またその他の法令もこれに準じて適用されるものと思いますので、相当程度に被災された皆さんや自治体の財政的負担が小さい中で復興ができると思います。お金の問題というのは非常に大きな問題でして、それがネックになっていろんなものが進まないということが起こりづらくなるわけですから、逆に言うと財政的なところをきちんと国から手当していただきましたので、これからは市及び県の責任が非常に重大なところであると認識しています。市及び県は迅速な復旧・復興に努めてまいりたいと考えています。残念ながら、街の一角が文字どおり焼失してしまったわけですから、もちろん被災された皆さんの生活再建を大前提として、いかにより良い新たな街をつくっていくかということに全力を尽くしていきたいと思います。
Q 毎日新聞
米山知事も現場を歩かれて、事業主さん(への支援)などは、知事も相当力を入れられたいというようなことを仰っていたと思います。その中で特にここはやらなければいけないと思われた点があると思いますが、お聞かせください。
A 知事
事業意欲と言いますか、再開意欲の高い事業主さんが複数おられて、料亭の鶴来家さんは今日、仮設店舗と言いますか、臨時の調理場での食品営業許可が下りる予定です。それはまさに県の仕事ですが、これをきちんとバックアップして1つの復興の象徴になっていただけるとありがたいと思っています。あと加賀の井酒造さんも極めて再建意欲の高い事業者さんで、こちらはなかなか臨時でというわけにはいかないご商売ですから、こちらはなるべく早く、場所としてはあの場所以外では考えづらいところであると思いますので、こちらを進めさせていただきたいと思います。同時に、その他の部分で今度は被災された方々の合意を取っていかなければいけないところがあって、多少なりとも防火に強い街をつくっていこうと思うと、道幅を変えたり、多少街並みを変えていかなければいけないと。そうするといろんなプロセスが必要になります。火事ということになると、県としては迅速にやるべきところと、時間を取るべきところが混在するのです。その混在のバランスをうまく取っていくと言いますか、うまく仲介していくことにしっかり取り組みたいと思います。時間を取るのも大事ですし、早くやらないとどんどん人が抜けてしまいますから、人が抜けないようにきちんとバランスを取りながら街を復興していきたいと思います。
原発関連問題について
Q 時事通信
東京電力と県の合同検証委員会は、米山知事になられてからはまだ開催されていないと思いますが、そのご予定はいかがでしょうか。
A 知事
もちろん進めさせていただきたいと思います。明日の面談は、スケジュール調整をする場ではないのですが、合同検証委員会もきちんと進めさせていただきますということはお伝えさせていただきたいと思います。
Q 時事通信
鳥インフルエンザですとか、糸魚川の大火でいろいろお忙しい日々を過ごされましたが、原発の視察というのは今年は考えていらっしゃいますか。
A 知事
もちろんです。ぜひ行かせていただきたいと思います。
Q 時事通信
(視察の)時期は。
A 知事
早めにと思います。早めにと言いますか、延ばす意思はないということです。スケジュール調整できた早いところでと思います。年度内にとは思っていますが、予算編成が入ってきたり、スケージュルが大分詰まっているので、その合間を縫ってにはなると思いますが、遅くなく行きたいと思います。
Q UX
(原発)再稼働の議論の条件として、福島第一原発事故、健康被害、避難計画の検証と仰っています。3つの検証の進める順番という意味での優先順位というのは、仰っている順番が大体進めていくステップということでしょうか。
A 知事
論理的にはそうなるとは思います。ただ、こっちが終わってからこっちというつもりはなくて、検証自体は並行でいいのだと思います。論理的には、事故が起こってから健康の被害が起こって、健康の被害を防ぐために避難しますから、それぞれが先行しないと参照できないので、そういう方向にはなると思います。ただ、こっちが全部終わってからこっちを始めるとは考えていなくて、私自身もできる限り早めに全ての対策を整えたいと思っています。ただ、(検証を)頼む人に対する説得と言いますか、調整等も必要ですので、そういう意味では多少なりとも全体が揃うのには時間がかかると思います。
Q UX
必ずその順番でお話しされている理由は、ひとまず論理的なという。
A 知事
そうです。逆に言うと、事故原因を調査してから別段避難計画は参照する必要はないのだと思います。避難計画には事故原因は関わってきますが、事故原因に避難計画は関わってきませんので、この順番で言っているということです。
Q TeNY
確認ですが、検証するのは県の技術委員会でよろしかったでしょうか。
A 知事
技術委員会はまさに言葉どおり、原子力技術、原発技術という意味です。(技術委員会の委員は)健康や避難計画に関しては専門家ではないので、それぞれ技術委員会に相当するような委員会を立ち上げていくことになると思います。
Q TeNY
今あるのとは別に。
A 知事
委員会としては別になると思います。今ある技術委員会には主に事故原因を検証していただいて、健康については健康委員会的なもの、避難に関しては避難委員会的なものをつくって、かつそれを統括するような委員会があるという形になっていくと思います。
Q TeNY
その委員会は年度内に。
A 知事
年度内になんとか目途を付けたいと思います。人が全員揃うとは思わないので、少なくともロードマップであったり、形に関しては年度内にお示しさせていただきたいと思います。なぜかと言うと、そのための予算を通さなければいけないわけですから、予算をお願いするに当たっては、それぞれの人が必ずしも全部キャストできているわけではないでしょうが、どういう方向でいくのか示さなければいけませんから、それは示させていただきたいと思います。
Q TeNY
何年スパンでこの3つの検証というのはお考えでしょうか。
A 知事
それは事前にはわからないので、やりながらとは思いますが、普通に考えたら3~4年はかかると思います。また、知事の任期は4年ですから、任期の接続部分では、私自身が何をしてきたかを検証されるべきと言いますか、私が検証したことを検証されるべきというところがありますから、その検証に耐えるようなものは出させていただきたいと思っています。
Q 毎日新聞
先ほど原発の視察の話が出ましたが、年度内というのは、今年度内ということでしょうか。
A 知事
今年度内です。3月中には行きたいところですが、予算編成がスケジュールに入ってきますので、スケジューリングできなければ延びることもあるということです。
人事異動について
Q 新潟日報
予算編成と並んで人事も今後大詰めを迎えるかと思いますが、それこそ米山カラーみたいなものは考えていらっしゃるのか、人事についてどのように考えていますか。
A 知事
人事というのはあまり言えないのですが、県政と話としては同じで、特段自分のカラーを出したいと全く思っていないと言うか、適材適所であるべきと言うか、その問題を解決するのに一番ふさわしい人がなるべきだと思っています。最終的な決定権、人事権は知事が持つというのがこの組織ですから、その結果としてもしかしてカラーが出るかもしれませんが、特段カラーを出すために何かをしたいとは思っていないということです。
市町村との関係について
Q 新潟日報
昨年末に、定期的に協議していくということで県市長会、町村会と合意し、確認したと思いますが、それを受けて今年は市町村との関係について、成熟した関係とかを含めて、どのような形にしていきたいのか、その辺りはいかがでしょうか。
A 知事
もちろん成熟と言いますか、私は本当にきちんと意思疎通ができる関係を築いていくべきだと思っています。前回(の意見交換会)は初回ですから、お互いに挨拶してお話できてよかったという話になると思いますが、実際に実務が始まってくると立場の違い、意見の違いが出てきますから、必ずしも仲良くみたいな話にはならないと思います。でもそれをずっと継続的にやり続けられる、かつ実務的にやっていける関係を築いていきたいと思っています。定期的にやることのよさはそこだと思います。定期的にやるのだから、きちんとスケジュール感を持って、議題を選んで、事前にちゃんと調査をして、事前に相互の違うところをきちんと見られると。その中でこの違いをどう埋めるかという話をきちんとしていける関係がいいのだと思います。実務的と言うと、冷たく感じられてしまうかもしれませんが、私は全くそうは思わなくて、県政であれ市町村政であれ、目的は目の前の行政課題を解くことであると。要は行政課題を適切に解決していける市町村と県の関係を構築していきたいと思っているということです。
近隣県との連携について
Q 新潟日報
(先ほど)近隣県との連携強化ということも言われていたと思います。近隣県とは三県知事会議や(中央日本)4県サミットなどの枠組もありますが、その辺りも含め、今年は近隣県とどのように連携していきたいと考えていますか。
A 知事
これも(市町村との連携と)同じで、結局、近隣県との連携も連携自体が目的ではないわけです。何をするのに必要だから連携するのかということなのだと思います。(目的として)大きなものの1つは観光であり、1つは危機対応と。(危機対応を)区分けするなら医療と災害という話になるのでしょうけれども、それは実は似たようなもので、常時行われる医療においてそれほど(近隣県との)連携が必要かと言うと、あって悪くはありませんが、それほどでもないと思います。どちらかと言うと、救急医療や災害時における緊急対応のようなところで連携が必要になってくると思うので、観光の部分と緊急対応的なところでぜひ連携を深めていきたいと思います。広域行政というのは、やはりより広い方がよいところが出てくるわけですので、そこはぜひ(進めたいと)と思いますし、やはりきちんと問題を解決していける体制を築いていきたいと思います。
Q 新潟日報
今、言われたことを実現していく舞台や場、スケジュール感など、具体的に何かイメージしているようなことはありますか。
A 知事
もちろん知事会などでもそれぞれの知事とお話はさせていただきます。知事同士がいがみ合っているとなかなか進まないので、もちろんそれも大事なのですが、そこで話をした上で、本当のところはやはり事務レベルでと。知事がお互いに仲良くするのは大事ですが、仲良くしたからといって何かが起こるわけではないので、やはり事務レベルできちんと議論できる体制を築いていくことが大事だと思います。今回、高病原性鳥インフルエンザ(の対応で)も非常に教訓を得たところですので、(必要資材の)備蓄や相互融通などといった技術的な話は進めさせていただきたいと思います。記者会見での答えと前後してしまいましたが、糸魚川市(における大規模火災の件)でも、結局、富山県と長野県から救援に来ていただいたわけで、そういった連絡体制をきちんと事務レベルで詰めるということをさせていただきたいと思います。
農業分野における課題について
Q 日本農業新聞
目の前の大きな課題に対応することが大事だと仰いました。農業の分野で目の前にある大きな課題はどのようなものがあると考えていますか。
A 知事
TPPもありますし、米の生産調整が終わるという極めて大きな問題もあります。TPPは、80%、90%の確率で何事もなく終わるのだろうと思います。もう1つの大きな課題は、やはり生産調整の終了です。これは極めて悩ましい問題だと思っています。県として、例えばこの計算方法でこのようにやりますということは、それなりにいろいろな策を練らないといけませんが、そこはできるとして、一体本当にそれが守られるのかということを担保する方法はないわけです。計画を立てたはいいけれど、計画を守らなかった人が一番得をするという状況になりかねませんし、新潟米のブランドは農業としても重要ですし、ある種新潟県民のアイデンティティですよね。おいしい米を作っている新潟県というのは、心の中にあるわけです。ブランド価値は、価格と量の両方で決まったりするわけですから、一気に(価格が)暴落することは、非常にブランド価値の毀損でしょうし、そうかと言って量を確保しなければいけないと。この問題は極めて大きな問題で、国に一言言いたいところではあるのですが、あまりにも丸投げすぎると。県には強制力はないのですが、これで一体どうしろと言うのかという気持ちではあるのですが、そんなことも言ってられないので、なんとかできる方法を考えてやりたいと思っています。それは大きな課題だと思います。
もう一回り大きな課題としては、担い手不足だと思います。私の実家も農家ですし、私の出身地も農村です。担い手が相当不足しているというのは極めて厳しい現実です。これを放置すると、新潟米という新潟県人のある種のアイデンティティを保つことは非常に困難になりかねないと思います。これに関しては、今年中みたいな話ではありませんが、きちんとした対応をしていかなければならないと思っています。
※文中の( )内については、広報広聴課で加筆したものです。