ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 分類でさがす > 県政情報 > 県の広報・広聴・県報 > 平成29年2月15日 新潟県知事 定例記者会見

本文

平成29年2月15日 新潟県知事 定例記者会見

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0050046 更新日:2019年3月29日更新

(記者会見の動画を新潟県公式YouTubeチャンネルでご覧になれます)<外部リンク>

  1. 日時 平成29年2月15日(水曜日)
  2. 場所 記者会見室
  3. 知事発表項目(10時30分~11時07分)
    • 平成29年度当初予算案について
    • 平成29年2月県議会定例会提出議案について
    • 財政運営計画の改訂について
  4. 質疑項目(11時07分~12時12分)
    • 平成29年度当初予算案について
    • 柏崎刈羽原発の免震重要棟の耐震不足について

知事発表

平成29年度当初予算案について

 平成29年度当初予算(案)の全体のフレームについてですが、考え方としては県民一人一人の幸福を可能な限り増やし、命と暮らしを守り、現在と未来への責任を果たす取組を推進するとともに、新潟の再生、地方の再生と人口減少問題に対応するため、本県の暮らしやすさの総合力を高め、魅力ある新潟県を実現する施策を推進するという基本的な考え方のもとで、予算編成を行ってきました。
 一般会計の予算規模は1兆2,548億円であり、前年度当初予算と比べ、540億円の減、4.1%の減となっています。大きな理由は、4月から県費負担教職員の給与負担が政令市である新潟市へ移譲され、その影響が239億円減であることです。また、公債費161億円の減や、中小企業金融対策費(過年度貸付分)56億円の減などが見込めるため、前年度より大きく減少しています。予算全体としては、このような制度的な減少要素があり、加えて、来年度の税収についても厳しめに見込んでいることから、予算規模としては減少しています。そういった中でも事業のスクラップ・アンド・ビルドや内部管理コストの縮減等も行った上で、公約に掲げた「現在と未来への責任を果たす取組」をはじめ、予算に盛り込むべきものは盛り込んだものと考えています。
 歳出のポイントですが、「安全への責任を果たす取組」として、原発事故に関する3つの検証をはじめ、防災・減災対策や老朽化対策等を推進します。「命と暮らしへの責任を果たす取組」として、医師等の確保、地域医療体制の整備、介護人材の確保や子育てしやすい環境の整備等を推進します。「教育への責任を果たす取組」として、いじめの解消や未然防止等に向けた体制強化、給付型奨学金の創設に向けた取組、教員の指導力向上や魅力と特色のある高校づくり等を推進します。「雇用への責任を果たす取組」として、男性の育児休業取得支援、県版グリーンニューディール政策、起業・創業支援、海外展開支援や魅力ある観光地づくり等を推進します。「食と農を守る責任を果たす取組」として、中山間地域農業の維持発展に向けた支援、新たな担い手と地域農業のマッチングや平成30年度以降の米政策への対応等を推進します。「住民参加への責任を果たす取組」として、徹底した情報公開と対話型県政を推進します。これらの取組の他、選択と集中による事業の見直しや職員の適正配置、内部管理経費の見直しなども行った結果、一般行政経費は5,243億円で、前年度当初予算より7億円の減、0.1%の減となり、投資事業は1,894億円で、前年度当初予算より9億円の減、0.5%の減となっているところです。
 歳入のポイントですが、県税と地方譲与税については経済状況の影響などにより、前年度当初予算より39億円の減、1.3%の減を見込んでいます。普通交付税及び臨時財政対策債については、地方財政計画や教職員給与負担の政令市移譲の影響を踏まえて積算しており、前年度当初予算より233億円の減、7.5%の減を見込んでいます。
 冒頭で申し上げたとおり、「命と暮らしを守り、現在と未来への責任を果たす」という基本理念のもと、県民の皆様一人一人の幸福を可能な限り増やし、一人一人の不幸を可能な限り減らしていくために、6つの責任を果たすための取組を推進します。以下、重点的な取組について説明します。
 安全への責任を果たす取組ですが、原発事故に関する3つの検証を徹底的に実施します。原発事故に関する3つの検証の徹底的な実施については、先日の記者会見で説明したとおりです。3つの検証を進める体制を整備し、関係者と協力しながら検証を進めていきます。同時に、防災・減災対策や老朽化対策を推進し、災害に強い地域づくりを進めます。近年、全国各地で地震、津波、火山噴火等が相次いでおり、局地的な豪雨や土砂災害も多発しています。当県では雪害もあります。そのため、防災インフラ整備や耐震化支援などの防災・減災対策や、老朽化対策を一層進めるとともに、日常生活に密着した公共事業を推進し、災害に強い、誰もが安心して暮らせる地域社会づくりを進めます。
 命と暮らしへの責任を果たす取組ですが、県民の皆様の健康寿命の延伸や魅力ある勤務環境づくりを通じた医師等の確保に取り組みます。県民の健康寿命の延伸に向けて、「ビッグデータを活用した健康寿命延伸プロジェクト」により国民健康保険や協会けんぽ等の医療ビッグデータ等を活用して、地域ごとに健康課題を分析し、その結果を踏まえて、健康寿命の延伸に向けた健康づくりの取組を検討します。魅力ある勤務環境づくりを通じた医師確保に向けてですが、「電子カルテの統合データベースの構築に向けた取組」として、県立病院を中心とする電子カルテデータを統合し、活用できるようにすることにより、医師が研究等に取り組みやすい環境を整えます。それは同時に(医師の県内)勤務にもつながるわけで、(研究等に)取り組みやすい環境を整えていきます。併せて、電子カルテ未導入の県立6病院にクラウド型電子カルテを導入します。臨床研修病院の合同見学会の開催や、医学生への修学資金の貸与、臨床研修医向けの魅力的な研修プログラムの構築、情報発信の強化などにより、医師の確保に向けて取り組みます。看護職員の確保ですが、潜在看護職員の再就業支援や、看護学生への修学資金貸与に加え、新たに新人看護職員のキャリアアップ支援を行う他、県立十日町病院附属看護専門学校(仮称)の開校に向けた看護教員の養成などにより、看護職員の確保に取り組みます。県立病院の整備やドクターヘリの運航など地域医療体制の整備も推進します。県央基幹病院の建設に向け、実施設計に着手するとともに、県立十日町病院、加茂病院についても改築事業を着実に進めます。ドクターヘリを2機体制として、県民の皆様に必要な医療を提供する体制を整備します。介護人材の確保に向けた取組ですが、介護という職業の魅力発信や、介護人材のマッチング、再就業支援など、介護人材の確保に向けた総合的な取組を行うとともに、介護職員の処遇改善を図るため、職員の資質向上のための研修支援や、労働環境の改善に向けた取組を支援します。子育てしやすい環境の整備に向けた取組ですが、安心して子育てができる環境を整備するとともに、社会全体で子育てを応援する機運を醸成します。また、子どもの居場所づくりやひとり親世帯への支援にも取り組みます。安心して子育てができる環境の整備については、要望の多い病児保育施設の整備について拡充して支援します。また、市町村の子ども医療費助成の実態を調査し、子ども医療費助成制度のあり方を検討します。「年度途中待機児童解消モデル事業」により、年度途中の待機児童解消を目指し、本年度のモデル事業の実施状況を踏まえ、保育士をあらかじめ加配する保育園等を支援するとともに、潜在保育士の掘り起こしや保育士からの相談に対応する「保育サポートセンター(仮称)」を設置します。社会全体で子育てを応援する機運を醸成するため、「男性の育児休業取得促進事業」により、男性の育児休業の取得を促進する事業主及び育休を取得した労働者にそれぞれ5万円の助成金を支給します。要件については、イクメン応援宣言企業であって、子どもの出生後8週間以内に14日以上の育休を取得させた場合に支給することとしています。「少子化対策に係る企業等との協働の仕組み構築事業」により、子育て支援に積極的な企業を「にいがた子育て応援企業(仮称)」として認定し、県と連携した金融機関による教育ローン等において、従業員向けの優遇措置を講じることにより子育てを支援します。また、認定を受けた企業が、5日間以上の子育てのための有給休暇制度を創設した場合に、奨励金として30万円を支給します。子どもの居場所づくりやひとり親世帯への支援についてですが、子ども食堂の開設支援など、地域で子どもの居場所づくりに取り組む団体等の活動を支援するとともに、ひとり親家庭の子どもに対し、学習支援等を実施します。快適な暮らしを支えるきめ細かな公共事業の推進ですが、道路拡幅等によるすれ違い危険個所の解消や、雪崩防止柵の設置等による冬期の安全な交通の確保など、快適な暮らしを支える公共事業を重点的に推進します。
 教育への責任を果たす取組ですが、子どもたちが、一人一人の希望に応じて、安心して、質の高い教育を受けることができる教育環境の整備を進めます。いじめの解消や未然防止等に向けた体制の強化についてですが、喫緊の課題であるいじめ問題への対応を強化するため、相談しやすい環境を更に整備するとともに、いじめの未然防止、早期発見、早期解消に向けた体制を強化します。具体的な内容として、「いじめ対策生徒指導支援室」新設については昨日発表したとおりです。「いじめ等の解消及び未然防止等の取組」については、臨床心理士など高度な専門性を持つスクールカウンセラーや、社会福祉士など関係機関との連携により問題解決を図るスクールソーシャルワーカー等の配置を拡充します。また、メールによるいじめ相談窓口の開設、ポータルサイトの充実を図るとともに、高等学校に新たに生徒指導アドバイザーや、生徒・保護者の相談等に応じるスクールライフサポーターを配置します。新潟県給付型奨学金の創設に向けた取組ですが、給付型奨学金の創設に向け、制度設計等を検討するとともに、新たに基金を設置します。アンケート調査や有識者等の意見も参考にしながら、新潟県給付型奨学金の制度設計等を検討します。また、給付型奨学金の創設に備えるため、基金を設置し、法人県民税(法人税割)の超過課税分の一部を財源として、先行して積み立てを行います。教員の指導力向上等を図るとともに、運動部活動のあり方の検討や指導教員の負担軽減に取り組みます。具体的な内容としては、教員の指導力向上に向けて、教員間で情報やノウハウを共有し、相互に相談できる新潟県教育支援システムを構築します。また、「運動部活動環境整備支援事業」では、有識者等により運動部活動のあり方を検討し、県独自のガイドラインを作成します。運動部活動における指導教員の負担軽減を図るために、部活動での外部指導者の活用を促進します。生徒一人一人の個性と能力を伸ばす、魅力や特色のある高校づくりを推進します。具体的な内容としては、卒業後の進路を見据えた学科やコースを設置し、外部人材を活用するなどにより、魅力や特色のある教育課程を実施します。教育関連施設のハード支援・整備を推進します。県立学校の大規模・耐震改修や改築、県立教育施設の建設を推進するとともに、私立高等学校の施設整備を支援します。具体的には、県立高校の耐震化及び大規模改修を引き続き進めるとともに、新潟盲学校・新潟聾学校を統合し、新たに校舎を整備するための基本設計等に着手します。県立少年自然の家の建て替え整備を行うため、本体工事等に着手します。
 雇用の責任を果たす取組についてですが、日本海側の表玄関として、人と企業が集まり、誰もが豊かに働ける新潟県を創っていきます。具体的な取組としては、男性の育児休業(取得)を支援し、働きやすい職場環境を実現します。先ほどの話と重複しますが、子育てしやすい職場環境づくりに向け、新たに男性の育児休業(取得)に対する助成を行います。自然エネルギーを活かした新潟県版グリーンニューディール政策を推進します。自然エネルギー産業分野への県内産業の参入支援や、分散型の再生可能エネルギーの導入促進などにより、新潟県版グリーンニューディール政策を推進します。具体的には「地域再生可能エネルギー面的活用促進事業」により、民間団体等が行う地域特性を活かしたエネルギーシステム導入に向けた計画策定を支援します。「新エネルギー産業参入・育成促進事業」により、新エネルギー産業分野への新規参入に向けた研究開発や製品開発前に行う実証環境調査等を支援します。若者等の起業・創業のチャレンジを積極的に応援します。内容としては、身近なビジネスでの起業を目指す意欲ある若者等のチャレンジを支援するとともに、首都圏等からのU・Iターン起業や県外出身大学院生等の創業に対して、積極的に支援します。また、県内企業の海外展開を支援します。販路開拓に向けた意欲ある県内企業の海外展開を支援する取組です。具体的には、「海外販路開拓のための人材活用促進事業」によりマーケティングやマネジメント能力等を有する外部人材を活用した海外販路開拓を支援します。「海外市場獲得サポート事業」により海外市場におけるマーケティング調査や見本市等への出展について、支援件数を拡充して実施します。多様な地域資源を活かした魅力ある観光地づくりですが、新潟県が国内外から訪問先として選ばれるため、豊かな自然や食、歴史・文化など多様な観光資源を活かした地域の魅力を高める取組を支援し、観光誘客につなげていきます。具体的には、「着地型観光支援事業」により、観光資源を活かした魅力ある観光地づくりに加え、新たに地域固有の価値を高める広域的な取組を支援します。「スキー観光活性化促進事業」により、子ども向けスキーツアーの拡充に加え、県外でのスキー情報発信等の取組を実施します。また、新潟県の魅力を効果的に発信し、国内外からの多くの観光客を誘致する取組を進めます。内容としては、交流人口を拡大するため、新潟の魅力の効果的な発信や、他県と連携した広域観光周遊ルートへの誘客を進め、国内外からの観光誘客に官民一体で取り組みます。具体的には、「広域周遊ルート誘客促進事業」により、東北・関東各県や市町村と連携し、観光庁に認定された広域観光周遊ルートにおける外国人観光客向けの旅行商品造成や情報発信を行います。「キャリアとの連携による誘客促進事業」により、交通事業者等と連携した観光情報の発信に加え、北陸新幹線を活用した関西圏からのモニターツアーを実施します。また、本県の更なる拠点性向上と県内交通網の充実に取り組みます。これは本県の更なる拠点性の向上を図るため、地域の基盤となる道路整備や港湾整備を進めるとともに、県内の交通網の更なる充実に取り組むものです。具体的には、「拠点性の向上に資するインフラの整備の推進」として、高速道路等のインターチェンジや産業団地へのアクセス向上、船舶の航行安全確保のための港湾整備、国の直轄事業で進めている日本海沿岸東北自動車道の朝日温海道路の整備促進などに取り組みます。「県内高速バス路線対策費」については、県内高速バス路線の収支改善など、市町村が行う持続可能な路線への転換・維持に向けた取組を新たに支援します。「地域高規格道路整備計画調査費」については、地域高規格道路の新規事業採択に向けて、松本糸魚川連絡道路や上越魚沼地域振興快速道路の未整備区間の環境調査などを実施します。
 食と農を守る責任を果たすための取組は、新潟の農林水産業を「暮らせる農林水産業・稼げる農林水産業」に守り育てていくものです。個別には、中山間地域農業の維持発展に向けた支援を行います。内容としては、自然・社会条件が厳しく、規模拡大による所得確保が困難な中山間地域農業を営むことで他産業並みの所得が確保できる仕組みを国に提案するため、一定の所得水準を確保するための支援を行い、その経営発展効果を検証するモデル事業を展開します。具体的には、「「公的サポート」モデル事業」により、他産業並みの所得の8割が確保される水準を設定し、既存の支援を除いた一定額を支援します。また、中山間地域において、雇用確保を契機とした法人の経営発展の取組を推進します。具体的には、「雇用を契機とした法人経営発展支援事業」により、中山間地域の雇用の受け皿となる農業法人に対し、新規就農者の雇用に係る経費と、多角化・複合化に向けた取組を一体的に支援します。また、新たな担い手と地域農業のマッチングを推進します。農地・機械・技術など地域の農業経営資産等を就農希望者へ円滑に継承するための産地の受入体制づくりを支援するとともに、マッチングを推進し、併せて、就農後の経営発展を支援する取組です。具体的には、「産地の経営資産継承支援事業」により、就農情報サイトを新たに開設することによる情報発信や産地見学ツアーなど、首都圏等から新規就農者を呼び込む取組を実施します。また、平成30年以降の米政策に的確に対応していきます。内容としては、平成30年以降の米政策の見直し、すなわち減反の廃止に対応するため、基本戦略の共有化や県産米需給情報等の提供対策の構築等により、行政による配分に頼らずとも需要に応じた米生産が実施できる環境を整備します。県産農産物のブランド化・ブランドの育成を進めます。「新之助」をトップブランド米としてデビューさせ、コシヒカリと双璧をなすプレミアムブランドとしての地位を確立するため、「新潟の新しい米「新之助」ブランド化推進事業」により、テレビCM等によるPRやイベントなどを実施し、「新之助」の認知度向上を図ります。新潟米の需要を確実に獲得するため、主要銘柄であるコシヒカリの需要獲得に向けて、「新潟県産コシヒカリPR強化事業」により、シンボルデザインの設定・活用・効果等による事例調査を踏まえた上で、新潟県産コシヒカリのシンボルデザインの設定やPRに取り組みます。
 住民参加への責任を果たす取組としては、徹底した情報公開と対話型県政を推進します。内容としては、県内各地で直接県民の皆様と対話し、意見を伺う場としてタウンミーティングを定期的に開催します。市町村長と定期的な意見交換の場を設定するなど、市町村との連携協力を強化します。情報公開決定等の審査請求への対応の迅速化を図るため、委員を増員し情報公開審査会の体制を拡充します。公文書の適切な管理を推進するため、公文書管理条例について検討します。県民の皆様にとってよりわかりやすい情報発信に引き続き努めます。
 これら(取組)を統合するものとして、新・総合計画の策定を進めます。現在と未来への責任を果たすための取組を積極的に進めるため、県の施策の方向性を示す最上位の行政計画として、新・総合計画(仮称)を策定します。事業名は「新・総合計画策定事業」です。
 これらの取組を、「平成29年度予算における人口問題対策への主な取組」という別の切り口でまとめさせていただきました。今ほど説明したとおり、喫緊の課題である人口減少に対して重点的に取り組んでいくということです。基本的な考え方ですが、人口減に歯止めをかけるため、出生率の増加や人口の流入促進・流出抑制に有効な施策をできるかぎり講じるとともに、本県を暮らしやすく、子育てしやすく、学びやすく、働きやすい、総合的に魅力ある地とするため、県政のあらゆる分野での取組を総動員して、本県の総合力を高めていきます。
 「子どもを産み育てやすい県づくり」ですが、結婚、妊娠・出産、子育てにわたる切れ目のない支援を推進し、子どもを産み育てやすい環境づくりを進めていきます。具体的な内容としては、「「あなたの婚活」応援プロジェクト」により、結婚を希望する方の婚活を応援するための様々な出会いの場を創出します。「結婚に伴う新生活支援事業費補助金」により、結婚に伴う新生活を経済的に支援する市町村に対し、補助を拡充します。「分娩取扱施設整備事業」により、身近な地域で安心して出産できる環境を整備するため、新たに分娩施設の新築・増改築等を補助します。既に説明済みのものですが、「病児保育施設整備事業」、「子ども医療費助成等交付金実態調査費」、「少子化対策に係る企業との協働の仕組み構築事業」等を進めます。
 「暮らしやすい県づくり」ですが、本県が豊かで安心した生活ができる地域として選ばれるよう、暮らしやすい地域づくりを進めるとともに、積極的な情報発信やきめ細かな支援策の実施などにより移住・定住を促進する取組です。内容としては、「にいがた暮らし情報発信事業」によりU・Iターン支援策の情報を発信するとともに、新たに県・市町村・県内企業等によるオール新潟のU・Iターンフェアを開催します。「定住促進(リブ・インにいがた)対策事業」により、Uターン情報センターを運営する他、県外学生による県内での就職活動を促進するため、交通費支援の回数を2回から3回に拡大します。「県外学生インターンシップ参加促進事業」により、県外学生の県内就職を促進するため、インターンシップ受入企業を拡大し、県外学生の参加促進を図ります。既に説明済みのものですが、「U・Iターン創業加速化事業」、「医師・臨床研修医招へい総合支援事業」、「ドクターヘリ運航事業」等を実施し、暮らしやすい県づくりに努めます。
 「学びやすい県づくり」ですが、子どもたち一人一人が、ふるさと新潟を愛し、将来の夢や希望をかなえることができるよう、質の高い教育、魅力ある教育環境の整備に向けた取組を進めます。内容としては既に説明済みのものですが、「新潟県給付型奨学金の検討費及び基金積立金」を事業として設けています。「いじめ等の解消及び未然防止等の取組」、「新潟県教育支援システム整備費」、「魅力や特色のある高校づくりの取組」を進めます。「夢をかなえるキャリア教育推進事業」により、地域・産業界と連携したキャリア教育を推進し、新たに中学生・高校生向けに世界的に活躍する著名人による講演会を開催します。
 「働きやすい県づくり」ですが、若者が将来に夢を持ち、安心して暮らせることができるよう、地域経済や雇用の確保に大きな役割を担う中小企業をはじめ、意欲ある県内企業の働きやすい職場づくりを推進するとともに、人材確保や育成を支援します。既に説明済みのものですが、「男性の育児休業取得促進事業」を進めます。「にいがた女性活躍推進事業」により、県内企業における女性活躍を推進するとともに、働く女性のキャリア形成の取組等を支援します。「地域産業を支えるものづくり人材等育成プロジェクト」により、ものづくり体験見学会や職業紹介事業者を介した雇用型訓練等を実施します。「地場産業技術・技能承継支援事業」により、後継者が不足している産地企業の技術・技能の承継に向けて、技術者等を新規常用雇用し、OJT等による人材育成を行う産地企業を支援します。「先端技術産業創造人材育成支援事業」により、高度で専門的な技術や技能を有する人材を育成するため、スキルアップ研修の実施や、社員を指導する高度人材の雇用を支援します。「産地の経営資産継承支援事業」により、経営資産を継承するため、産地と就農希望者とのマッチングを推進するとともに、産地の受入体制づくりを支援します。
 「投資事業」についてですが、県民の命と暮らしを守り、より豊かな新潟県を創っていくため、生活密着型のきめ細かな公共事業をはじめ、県民の安全・安心を確保するための防災・減災対策や老朽化対策の他、本県の拠点性の向上に資する道路整備等にしっかりと取り組みます。「県民の生命と財産を守る防災・減災対策や老朽化対策の推進」ですが、水害の防止や被害軽減、土砂災害防止などの防災・減災対策として610億円を計上します。高度経済成長期に集中して整備した社会資本の老朽化に対応するため、公共土木施設や農業水利施設の老朽化対策などに223億円を計上します。「日常生活に密着したきめ細かな公共事業の推進」ですが、県単公共事業は地方財政計画と同じ伸び率の対前年度比103.6%、179億円を計上します。通学児童をはじめとした歩行者の交通安全対策や、交差点改良等による円滑な交通の確保など、日常生活に密着したきめ細かな公共事業を推進します。「医療・介護・福祉・教育施設のハード整備の推進」ですが、236億円を計上します。医療・介護・福祉・教育分野におけるソフト面での施策に加え、県立病院の建設や病児・病後児保育整備の促進、県立学校の改修などといったハード整備に取り組みます。「本県の拠点性の向上に資するインフラ整備の推進」については211億円を計上します。本県の拠点性の向上を図るため、インターチェンジへのアクセス向上や、船舶の安全な航行の確保、日本海沿岸東北自動車道の整備推進に取り組みます。
 この他、全国各地で頻発している自然災害への対応などを含めた投資事業の総額は1,894億円で、前年度とほぼ同規模となっています。
 事務の効率化も進めます。「命と暮らしを守り、現在と未来への責任を果たす取組」を推進するとともに、現下の諸課題に適切に対応するため、行政運営の効率化や市町村への事務権限の移譲、職員の適正配置や事務の効率化を図っています。具体的には、「行政運営の効率化の推進」として、民間の資金・ノウハウを活用した公共サービスの提供、県出資法人への県派遣職員の減員、内部管理経費等間接経費な縮減、スクラップ・アンド・ビルド等による効果の高い事業の重点化などにより18億円の費用を縮減しています。「市町村への事務・権限の移譲」としては、教職員の給与負担や定数決定等の事務・権限を政令指定都市である新潟市に移譲します。地方分権の推進のため、条例による事務処理の特例制度により、県独自の事務・権限の移譲を引き続き推進します。来年度は、県民の利便性向上につながる「NPO法人の設立認証」、「浄化槽の設置届・配置届の受理」の事務をはじめ、市町村から要望があった26項目を移譲します。「職員の適性配置や事務の効率化等」については、県民ニーズに対応しつつ、職員の適正配置や事務の効率化等により定員を削減し、人件費13億円を縮減します。
 財源対策的基金については、今年度当初予算で60億円の取り崩しを行っています。今年度末の基金残高の見込みは、前年度決算の実質収支の黒字や、今年度の県税収入が当初予算よりも増加する見込みであることなどから、現時点では前年度末と同程度の507億円まで積み戻せるものと見込んでいます。一方、来年度の当初予算においては、県税収入の減少や社会保障関係費の増加などが見込まれるため、財源対策的基金からの取り崩しを前年度と同額の60億円としたところです。
 県債残高についてですが、地方交付税の代替措置である臨時財政対策債を除いた実質的な県債残高が減少基調にあり、平成29年度末には1兆7,790億円程度になるものと見込まれています。

平成29年2月県議会定例会提出議案について

 平成29年2月県議会定例議会に提出する主な議案です。
 平成29年度当初分の主なものとして、第22号議案「新潟県給付型奨学金基金条例の制定について」は、意欲と能力のある者が、経済的理由によって大学等への進学を断念することがないよう、給付型の奨学金を給付するための基金を設置するものです。
 第24号議案「新潟県市町村立学校職員定数条例及び新潟県地方警察職員定員条例の一部改正について」は、県費負担教職員に係る給与負担等の新潟市への移譲に伴い、教職員の定数を改正するとともに、警察活動の強化を図るため、警察官定員を改正するものです。
 第25号議案「新潟県情報公開条例の一部改正について」は、個人情報の定義を明確化するとともに、調査審議を促進するため、部会の決議をもって情報公開審査会の決議とすること等、所要の改正を行うものです。
 第28号議案「新潟県県税条例及び新潟県特定非営利活動法人を支援するための県税の特例に関する条例の一部改正について」は、地方税法等の改正に伴い、自動車税におけるグリーン化特例に係る期間を延長するとともに、自動車取得税の廃止及び環境性能割の創設等、所要の改正を行うものです。
 第29号議案「法人の県民税の特例に関する条例の一部改正について」は、現行条例における超過課税の適用期間を平成34年3月31日まで延長するとともに、平成28年度税制改正に基づく税率の改正を行うものです。この一部が新潟県給付型奨学金(の基金)に充てられる予定です。
 第31号議案「新潟県国民健康保険運営協議会条例の制定について」は、国民健康保険法の改正に伴い、国民健康保険事業に関する重要事項について審議する国民健康保険運営協議会を設置するため、その組織及び運営に必要な事項を定めるものです。
 第35号議案「新潟県産業立地を促進するための県税の特例に関する条例の一部改正について」ですが、産業立地を促進し、雇用増大及び経済活性化の取組を継続するため、対象業種を拡大するとともに、条例の期限を3年間延長して、平成32年3月31日までとするものです。
 第37号議案「新潟県屋外広告物条例の一部改正について」は、屋外広告物の一層の安全性を確保するため、屋外広告物等の設置者等に対し、広告物の設置状況等について点検することを義務付ける等、所要の改正を行うものです。
 第38号議案「新潟県の警察署の名称、位置及び管轄区域に関する条例及び新潟県警察署協議会条例の一部改正について」は、警察署の新設・廃止等に伴い、名称、位置、管轄区域及び警察署協議会に関する規定について、所要の改正を行うものです。

報道資料(平成29年2月県議会定例会提出議案について)[PDFファイル/148KB]

財政運営計画の改訂について

 国の制度変更を踏まえて、財政運営計画を改訂しました。平成29年度の国の制度変更や地方財政計画など、県の財政を取り巻く諸情勢の変化を織り込んで、中長期的な収支見通しの試算を改訂するものです。
 財政運営計画では、計画期間中、節度ある財政運営による財源対策を講じることによって、実質収支の黒字基調を維持しうることが示されています。県では、今回改訂した財政運営計画により、県民の皆様に不安を持たれない財政運営を進めるため、引き続き、歳入・歳出両面にわたる努力を積み重ねていきたいと思っています。

報道資料(財政運営計画の改訂について)[PDFファイル/308KB]

質疑

平成29年度当初予算案について

Q 新潟日報
 (現在と未来への責任を果たす)重点的な取組の最初に「安全への責任を果たす取組」として原発事故に関する事業を持ってきたことに対する思いを聞かせてください。

A 知事
 非常に大きな予算額の中で、(説明として出てくる)順番については順不同と認識しており、全ての項目がいずれも等しく重要だと思っています。ただ、知事選でも大きな争点となったところで、県民の皆様の関心も高いと思い、これを一番前に持ってきました。

Q 新潟日報
 各委員会(の運営経費等)を含め、原発に関する施策を実際に予算計上したことになりますが、原子力防災に対する考えを聞かせてください。

A 知事
 対策費として計上した予算額が十分かどうかというのは、これからつくっていく部分もあるので途中での増減もあると思いますが、いずれにしても3つの検証の取組をしっかりと進めていきたいと考えています。

Q 新潟日報
 (日常)生活に密着したきめ細かな公共事業という説明が何回かありましたが、公共事業についてはそこに重点を置いたという考えでよいでしょうか。

A 知事
 相対としてはそうなります。ただ、大型のものと言うか、それなりの規模の公共事業に関してももちろんしっかりと取り組んでいきたいと考えています。

Q 朝日新聞
 初めての当初予算編成となったわけですが、発表してみて、あらためてどのようなものになったと感じていますか。また、特に医療の面でいろいろな新規事業があります。米山知事は医師でもあるということで、その辺りの思いを聞かせてください。

A 知事
 初めての予算編成ですが、少なくとも思いは盛り込めたと思います。ただ、もちろん満点ということでもないですし、予算はあくまでも予算であって、より重要なのは執行の段階だと思います。(予算)額そのものよりは、いかに執行するかの方が重要だと思うので、この予算をきちんと有意義に実行できるように全力を尽くしたいと思っています。
 医療に関して新規事業が多かったことについては、もちろん私が得意としているというところは(理由として)なくはないと思いますが、本質的にはやはり医療分野に対する県民の皆様の期待と言うか、要望が非常に大きいところですので、それに応えさえていただいたものと考えています。

Q 朝日新聞
 盛り込んだ思いとはどのようなものですか。また、満点ではないというのはどういったところが。

A 知事
 思いとしては、耳にタコができるほどの繰り返しで本当に恐縮なのですが、少しでも幸福を増やせるように、少しでも不幸を減らせるようにという思いを込めさせていただきました。
 満点ではないことについてですが、満点というものはないと言うか、常にいろいろな制約の中で(事業を)行っていくわけで、全てできるなどということはあり得ないのが通常と。ただ、いろいろな制約の中でできる限りのことはしたと考えています。

Q 産経新聞
 「現在と未来への責任を果たす重点的な取組」を説明したあとに、別の切り口ということで「平成29年度予算における人口問題対策への主な取組」を説明しましたが、(人口問題対策の)位置づけについてどのような捉え方をしているのか聞かせてください。(「現在と未来への責任を果たす重点的な取組」として説明した事業と)重複している部分もああったかと思いますが、あえて人口問題対策への主な取組として分けた理由について聞かせてください。

A 知事
 人口問題対策への関心が一番高いかどうかはよくわかりませんが、私としては(県が抱えている)問題のかなり根本的なところにあると思います。前知事も言っていたところではありますが、実は人口減少というものは、ある意味、共同体に対する最終的な評価のようなところがあると思うのです。もしかすると増えないのかもしれませんが、素直に考えると、その共同体がハッピーであればやはり人口が増えるのだろうと思うわけです。いろいろと仕方がない部分もあるにせよ、人口が増えていかないことについては、共同体として一番優先的に取り組まなければならないことだと思います。ただ、先ほども話したとおり、その取組は非常に総合的なものなので、このように分けた形で出させていただいたのですけど、あえて位置づけを言うのあれば、最初の(現在と未来への)責任(を果たす重点的な取組)の項目ごとの整理になるのだと思います。行政全体としてこの地域をどうよくしようと思っているかということで整理しようとすると、人口(問題への対応)という見方で(各事業が)このように整理されるのではないかということで書かせていただいたということです。通常は前の(「現在と未来への責任を果たす重点的な取組」における区分けの)方で十分だと思いますが、県や社会における最大の課題だと私が思っている人口問題も一つの切り口として、(対応する事業を)示させていただいたという答えでいかがでしょうか。

Q NHK
 先ほども同じような質問がありましたが、今回の予算で米山知事のカラーが幅広く出せたと感じていますか。

A 知事
 カラーという質問は多いのですが、ある人が行えば普通にその人のカラーが出てしまうと言うか、逆に特にカラーを出すことが目的ではないのだと思います。自分が行いたいことを盛り込んでいけば結果としてそのカラーになるのですが、決して私自身が好きだから(という理由だけで)行うのではないわけです。県が抱えている課題に対して一番必要だと思ったり、県民の皆さんが一番求めていることだと思ったりするから実行するわけで、別に自分のカラーを出したいから行うのではないわけです。ただ、(必要だと思うことの)捉え方などで、どうしても責任者個人の傾向は出てくると思っています。その(意味での私の)傾向は出たと思います。あまり身内を褒めるのも何ですが、県職員の皆さんが私の傾向を尊重してくれたので、私としては比較的、自分が望ましいと思ったものが反映された予算編成ができたと思っています。

Q 朝日新聞
 今の話の裏返しのような質問になるかと思いますが、全体として見ると、予算規模も各予算項目の配分も大きく変わったわけではないと受け止めています。予算編成を行ってみて、(知事就任前の)素人だったときにイメージしていたものと比べて知事の権限があったのか、それともなかったのかといった辺りはいかがですか。

A 知事
 少し答えづらい質問ではあるのですが、おそらく権限としては素人として考えていたときと同じだと思います。少なくとも予算案というのは県議会に提出する前につくるものですので、議決を得られるかどうかは別問題として、相当な権限で相当なものはつくれるのと思います。予想と違ったのは、むしろ影響の部分です。それ(好きなように予算編成)をしたときにどのような影響が出るのかと。もちろん全くの素人だったわけではないので、すごくナイーブ(純粋)にそう考えていたわけではありませんが、自分がそうなるまでは好きなように決めればよいと思っていたわけです。ところが、実際に(各事業の)具体的な中身を見るわけですので、好きなようにと言われても、そうしたときの影響が次々と頭に浮かびます。そこはやはり初めてなので、予想してなかったことがこれほどいろいろあるということがわかると。いろいろな具体的影響があることを考えると、おそらく権限としてはかなり強いものがあると思いますが、考えなしに(権限を)行使するわけにはいかないと非常に実感したというのが、今回の最大の感想になるかと思います。

Q 朝日新聞
 その辺りは県民生活への影響であるとか、行政の継続性であるとかをあらためて感じられたということでしょうか。

A 知事
 そういうことです。突然変わってしまってはいろいろな人が影響を受けますし、また、一つ一つの既存のプロジェクトというものは、それによって多くの方が影響を受けているわけですから、そういった影響が非常に大きいものだということをあらためて感じたということです。

Q 朝日新聞
 個別のところで、医師の「地域医療研修特別プログラム事業」ですが、新潟県はかなり地域の研修医の皆さんには、これまでも取組をされてきたかと思うのですけれども、新規事業として新たに(取組を)されるというのは、何か更にあらためてのアイディアみたいなものが出てきているのですか。

A 知事
 新規になっていましたか。すみません。

Q 朝日新聞
 (平成29年度新潟県当初予算案の概要の)3ページ真ん中の辺りになります。

A 知事
 これは新しい研修プログラムができるから新規ということなのでしょうか。研修プログラムはものすごく新規なことはないので、今までの取組を更に拡充していって、より魅力的なプログラムをより増やしていくという意味だととっていただければと思います。

Q 朝日新聞
 新しい専門医の制度などで、地域では不安も持たれましたけれども、その辺りも考慮されていくのですか。

A 知事
 もちろん考慮していきたいと思うのですが、まだ専門医制度は、本当のところ固まっていないので、当県に限らず全ての医療関係者が苦慮していると言いますか、成り行きを見守っているところと思っています。

Q NST
 先ほど結果として(知事の)カラーが出るという話がありましたけれども、原発や医療も含めて、特にご自身の意向が強く反映されたような事業、取組があれば教えてください。

A 知事
 確かに原発に関しては、明らかに必要だと思ってやっているからではあるのですけれども、発案者的な意味では新しい、私の意向と言いますか、意識が入ったものだとは思います。県民健康ビッグデータ系の電子カルテ等についても、そういう手法を使うということに関しては意向が入ったものだと思いますし、新潟県給付型奨学金に関しても、意向の入ったものだとは思います。
 そのほか、そんなに予算規模は大きくないのですが、男性の育児休業取得や子育て支援等についても一定程度積極的にやりましょうと言ったというところではあると思います。

Q UX
 今、ちょうどお答えの中に男性の育児休業取得、子育て支援という言葉がありましたが、雇用の一番上に男性の育児休業取得(支援)ということを置いてあるというのはどんな思いでしょうか。

A 知事
 なかなか雇用の問題というのは難しいところがあり、それほど県の権限は大きくはなく、むしろ国の(対応する)部分が大きい領域ではあります。ただ、最近、非常に言われているように、なぜ雇用が少ないのかと。全国では実のところ求人倍率は非常に高いわけです。求人数が少ないという状況は変わり、少なくとも計数上は現在はそうではないのだと思います。そうすると、今、実は一番求められているのは、雇用の数ももちろん前提として必要なのですけれども、雇用の質であろうと。それは、雇用としていい環境ということだと思うのです。その中で新潟県として一番できるものとして男性の育児休業ということを掲げさせていただいて、ほんの小さなところではあるのですけれども、ここから働きやすい環境というものが広がっていただきたいと思っています。

Q UX
 先ほど、人口問題を切り分けて項目を立ててあるという話がありましたが、その前の重点項目で、一般的に人口減少、社会減、自然減とある中では子育てという単語が非常に多く出てくると思うのですが、その辺りの思いはいかがでしょうか。

A 知事
 こちらも社会減等に関しても、もちろんこれも真剣に取り組むのですけれどもということがあって、ただ本当のところ、すごく悪いことなのかということは考えようだとは思うのです。新潟県はかなり昔から首都圏にたくさんの人材を輩出してきたわけです。それは社会減と言えば社会減なわけですが、それによって日本全体が発展するのであれば、回り回って新潟県も、日本の経済も豊かになるわけですから、それ自体、新潟県にとってはもちろんうれしいばかりでもないので、戻ってきていただけるようにはもちろんするのですけれども、ものすごくマイナスのことではないのだと思うのです。新潟県で子どもが増えない、子育てがしづらいということに関して、もしそうであるならば、新潟県はぜひそこは改善すべきところだと。それはやはりあまり言い訳の余地がないと言いますか、回り回って日本にとっていいことじゃないですかみたいなことが言えないのだと思うのです。それはあまりよくないに決まっているということですから。ですので、人口対策の根本的な大きなところというのは、それぞれの地域で子育てがしやすくて、子育てが行われるということだと思って、(子育てという単語が)比較的たくさん出てきているというようになっています。

Q 新潟日報
 確認ですが、予算編成の中で制約もあるという話があったのですが、先ほど仰った権限が大きいだけに思いどおりやってしまうと影響も(大きい)という意味を指しているのですか。

A 知事
 そうですね。まず歳入の総額という最大の制約があるわけですし、それぞれに関しても、本当の意味での制約と言うと、確かにその歳入の範囲内では文字どおりの意味ではさしたる制約はないのだと思うのです。ただ、影響はいろいろありますから、それはやはり実質上の制約と言いますか、きちんとやっていくという現実の制約があるのでということで言わせていただきました。

Q 新潟日報
 多分、いろいろ国の制度ですとか、法律ですとか、そういった制度の枠組みたいなものもあるだろうと思うのですが、そういった中でそういったことが制約になっていくのか、あるいは工夫することで、県の予算というのは、県の未来を切り開く可能性をうまく生み出していけるような工夫をしていくことで乗り越えられるのか。その辺りの感触みたいなものはどんなものでしょうか。

A 知事
 両方だと思います。人間というのはありとあらゆる場所で制約のある中でいかに工夫するかという(ことを試みるものです)。結構工夫するとそれぞれに変わるところはあるわけですから、少なくともいろいろなところは乗り越えられる部分は多々あるのだと思うのです。ただ、先ほどちょうどお話が出たように、職場環境の改善ということで県としても取り組みますけれども、やはり根本的なところは、国の労働制度に依拠するところはあると思いますし、ご説明させていただいた農業政策に関しましても、こちらも県としてできるのはある程度限定した範囲でのモデル事業にはなるのだと思うのです。なかなか県で全体的なものというのは、それこそ他の予算に影響を与えることを甘受しない限りは難しいということですから、そういう意味では、工夫でいろいろできるところと、その中でやはり国の制度の制約が大きかったり、国の制度変更を求めるところとあって、それぞれを区分けしながらやっていくことになると思います。

Q 新潟日報
 対話型(県政の推進)の中で、市町村(との連携協力)の部分があったと思います。先般の市長会でも定期的に協議していこうという大枠の枠組みたいなものが示されたわけで、今回の予算というのは市町村も注目していると思うのですが、今後の具体的な市町村との協議の中で、どういった政策分野とか、予算をベースにして話し合いの素地をなしていきたいとか、その辺りのイメージはあるでしょうか。

A 知事
 極めてシンボル的なものとして、ずっと言われている子ども医療費を含めて、福祉系のところは各市町村も予算確保に非常に苦慮しているところなのです。同時にこれは市町村に任されているわりに、(支援・サービス等を)受ける側としては、どこ(の市町村)で受けてもいいともちろん思うわけです。かつ、どこ(の市町村)でもある程度、統一的なものであってほしいと思ったりしているわけです。この辺りはもちろん市町村がそれぞれの工夫で独自に取り組まれることがまず第一なのですけれども、同時に県として一定の支援をしつつ、支援するからにはある程度の統一感と言うか、こういったものをつくっていきましょうというものを示させていただきたいと思っています。それは福祉の分野で一つの大きな枠組だと思います。
 もう一つは、別の観点では観光で、観光もまた皆さんいろいろな取組をされているのですけれども、もちろん皆さんそれぞれの取組が一番重要なのですけれども、やはり今、広域観光になっていますから、観光する側からしてみたら、市の境目などもあまり関係ないわけでして、どこでもいいところに行きたいと。しかも一体となってあちこちに行きやすかったり、ある種の統一感と言うか、ある種のブランド観があった方が観光していて楽しくなるわけですから、そういった観光の分野に関しても、ぜひいろいろな統一感をつくっていきたいと思います。
 最後は教育です。教育も福祉のうちに入ってくるのだと思うのですけれども、こちらも親御さんとしてはという話で、各自治体の取組がある前提の上で、しかし比較的統一的なものを、クオリティを求めるところがありますので、こちらは更に県教育委員会、市教育委員会がはさまりますから、県としてものすごく上から何か言うということではないのですけれども、一緒に協力をさせていただいて、一定のクオリティを確保しつつ、きちんとした支援をさせていただきたいと思っています。

Q 新潟日報
 そういうことが新潟県の総合力などを高めるみたいなことなのでしょうか。

A 知事
 そうだと思っています。

Q 新潟日報
 新・総合計画(仮称)について(策定に関する)予算も計上されています。今まで何回かお伺いしているのですが、実際、予算編成を終えてみて、新・総合計画(仮称)に反映させたりですとか、盛り込みたい視点ですとか、そういったようなものはあるでしょうか。

A 知事
 それぞれの中で、割と皆さんお気づきかと思いますが、調査費的なものがそれなりに多い予算案ではあるわけです。これを調査費のまま終わらせては意味がないわけですから、来年度は(予算を)増やさなければならないです。(予算を)増やすからにはどこか(の予算)を減らさなければいけないということになりますから、新・総合計画(仮称)の中では、今回の予算編成を反映して、ある種の統廃合に関して、より踏み込んでいきたいと思っています。

Q 新潟日報
 より米山知事らしさが見えるのは平成30年度ということでしょうか。

A 知事
 そうかもしれないです。それはそんなものではないですか。大体、2年経ち、3年経ち、4年経てば(予算編成も)どんどんその人らしくなってくるのでしょうね。

Q NST
 先ほどの質問に関連してですが、住民参加への責任を果たす取組については、この平成29年度新潟県当初予算案の概要の中で具体的な予算額が示されていませんが、これを6つ目のポイントに入れた理由としてはどういった思いでしょうか。

A 知事
 県政に限らず政治というものはということだと思うのですが、もちろん選挙というのは非常に大きな民意をいただく機会ではあるのですけれども、同時に選挙は短い期間でどんどんやってしまいますから、あまり意見をじっくり聞けるわけではないわけです。そうした中、常に民意のコンファーム(確認)と言いますか、思っていらっしゃることを受けていくべきだし、また思っていることに対してある種の納得感はあるべきだと思うので、それは民主政治の根幹ということで6番目に載せさせていただきました。

Q NST
 (泉田)前知事から米山知事に代わって、項目を変えていきたいという思いはあるでしょうか。

A 知事
 あまり前、後ろは関係ないと言いますか、(項目を変えていきたいということは)考えていなくて、私としては今ほど説明したとおり、民主的な政治には必要なことであると思うと。必要なことであるからやると。その過程において、自分の傾向が出てくると思いますけれども、あえて自分を出したいからやっているということではないと思っています。

Q UX
 検証委員会のことなのですが、選挙戦では徹底的な検証ということを言われていて、それを実際、具現化と言うか形にしたのかと思うのですけれども、見ている印象としても非常に分厚いなと思います。先ほど県民の関心もあるとありましたが、更に深めて、その真意と言うか、ここまで分厚く検証を重ねる狙いをあらためてお聞きします。

A 知事
 真意は、徹底的に検証するということ以外にはなくて、これは再三説明しているところではあるのですけれども、ここで検証しなくていつするのですかと。「いつ検証するのか、今でしょう」という冗談を言うと怒られるのでしょうけれども、まさに今こそ全体像をきちんと見るべきだと。全体像を見ない議論がなされていると思うので、そこは事実に立脚し、かつ全体像を見た上での議論をすべきということで、このようにさせていただきました。

Q UX
 新・総合計画(仮称)なのですけれども、策定と言うか、取りまとめ等は年内にできますか。

A 知事
 もちろん年内にと思っています。

Q UX
 次の年度に(実施)ということになりますか。

A 知事
 はい。

Q 時事通信
 大きな話になるのですけれども、予算(案)を拝見していると、検討の費用や新たなプロジェクトに向けた投資的な意味が強いのではないかと思うのですけれども、任期の間で来年度予算(案)というのはどういった位置づけになっているのでしょうか。

A 知事
 もちろん可能な限り任期の中で、これは(任期の)1年半目ということになるのですけれども、1年目は多少なりとも準備的、投資的なことが多いのはやむを得ないと。あまりどたばたやっても仕方ないし、そもそも時間がかかることですから。2年目はそれができるべきだと。3年目では本格的に実施されるべきだと。2年目で実施してもいいのですけれども、なるべく早く実施すべきですけれども(本格実施は3年目くらいではないかと)。4年目は、もちろん実施しつつ、評価されるべきだと。それを受けての(県知事)選挙になるのかはわかりませんが、少なくとも4年が終わるところではきちんと検証される状況にすべきだし、その中できちんと実現されるべきだと思います。任期という枠組があるということももちろんですけれども、あらゆるプロジェクトというのはそういうものだというところがあって、あらゆるプロジェクトというのは、大体3、4年が単位なのだと思うのです。全く関係ないビジネスの事業だとしてもです。そういったことも反映して4年の任期が決められていると思いますので、これで出た投資的なものに関してはきちんと実施した上で、かつ評価ができるところまで持っていくつもりで、今回、(予算案を)計上させていただいています。

Q 朝日新聞
 米山知事は昨年、野党系の知事として当選されて、今回、必ずしも選挙で支援を受けなかったような政党や団体からの予算要望をいくつも受けてこられました。特に(県議会で)最大会派の自由民主党は県民生活に密着した公共事業の予算確保を求めており、その辺りも取り込まれているのかと感じました。いろいろな政党、団体等からの要望というのはどのように組み込まれているのでしょうか。

A 知事
 是々非々という言葉が使われてすぎていますけれども、本当に必要なものは必要、必要のないものは必要ないという、それだけという感じです。政党という枠組ならば、支援した、支援しないということがあるのですけれども、政党の要望のかなりの部分は、その後ろにある団体からだったりするわけです。後ろの団体というのはもはや、誰が支援して、誰が支援していなかったのか全く把握できないというところですから、そんなことを気にしても始まらないので、中身を見て決めようとは考えています。

Q 朝日新聞
 これから2月県議会定例会で提案されるわけですけれども、最大会派の自由民主党も含め、理解は得られるという手応えはありますか。

A 知事
 私は(理解が)得られると思っていますけれども、あまりそういうことを言うと、議論もしていないのに何だという話になりますので、理解が得られることを希望していますし、もちろん得られると思って(予算案を)出すわけです。(理解が)得られないと思って(予算案を)出すのは失礼な話ですから、得られるだろうと思ってつくらせていただきました。とはいえ、忌憚なくご意見をいただきたいと思っています。

Q 新潟日報
 先ほど、スクラップアンドビルドを進めた上でつくった予算と仰いましたけれども、スクラップの部分についてはどういった事業があったのでしょうか。

A 知事
 やめませんかというようなことを言ったのはたくさんあったのですけれども。(例えば)ある種の支援に対して、それはいまひとつ目的にかなっていないのでやめませんかということは言いました。

Q 新潟日報
 知事の方から言って、やめた事業がいくつかあると。

A 知事
 ありますね。私は、目的にかなわないことをするのは好きではないと言いますか、目的とマッチすることをすべきだと思っています。

Q 新潟日報
 いくつくらいあったかというのは言えますか。

A 知事
 だいぶありました。10や20か、もう少しあったと思います。

Q 新潟日報
 そのスクラップの部分で、共通する視点として意識したところとしてはどういったものがありますか。

A 知事
 目的に対して有効な手ではないということです。大体予算に入るような事業というのは、目的自体は大体大義名分があるのです。目的として全く大義名分がないようなものは事業化されないわけですから。ところが、得てしてやっているだけみたいなものはあるわけです。一番ありそうなのは、かなり遠大な目的に対してセミナーをやっているみたいなものです。果たしてそのセミナーをやることが目的に対して役に立っていますかと。もしくは会議とかで、ひたすら会議だけしていて、実際の目的に繋がっていないといったことは結構あるわけです。目的と直結しないものに関しては、ある種の満足感はあるのでしょうけれども、満足感で予算を費やすのも何でしょうと。それはスクラップしていくべきだということでやっています。

Q 新潟日報
 知事が判断されるときには、結果が出ているかどうかという指標などをご覧になっていますよね。

A 知事
 もちろん見た上でです。本当にセミナーが生かされた事例はいくつあるのですかと。かつそれを把握できるのかということは考えています。

Q 新潟日報
 日本海横断パイプライン構想について、今年度は(構想に関する)調査費が計上されていなかったのですが、それまでの数年間は調査費が計上されていたと思います。今回、主要事業を見る限りそういった(予算の)計上がありません。2年続けてないということで、県として(日本海横断パイプライン)構想については一時中断、凍結といったお考えなのでしょうか。

A 知事
 これも関係する方が多々おられるので、あまり軽々に物は言えないのですけれども、少なくとも現下の状況において、特にそれをビジネスとしてやっている方々のご意見を聞く限りでは、採算がとれるラインにいく可能性は極めて低いと把握しています。

Q 新潟日報
 昨年末、世耕経済産業大臣と面会されたときにも、パイプラインの話題も出たと伺っています。国にも意向は多少あるのではないかと思いますが、県として現状では難しいというご判断ですか。

A 知事
 どこまで言っていいかという問題があるのですけれども、実際、海底にパイプラインを這わせているところはあるわけです。それにふさわしい自然環境があるわけです。少なくともあまり深くない、かつそれほど距離が長くないと。そういったものがあれば採算に乗るでしょうし、採算に乗るであれば検討の余地があると思います。少なくとも現下の経済状況において、日本海を横断するものに対して採算性が高いという意見は、基本的には出ていないということです。

Q 共同通信
 新潟の拠点性の向上と交流人口の拡大についてなのですが、新潟市の篠田市長も、これは市単体ではできないと。東京オリンピック・パラリンピック(の開催)を控えており、今後、新潟の存在感を出していく上でも大切かと思うのですが、今回の予算編成に当たってどのようなことを重視したのかと、予算を計上したところがあれば教えてください。

A 知事
 現時点で、それほど予算は計上していません。意見としては非常に賛成です。これからより具体的に市で計画を立ててくるので、それに合わせて考えていこうと思っています。もちろん篠田市長ともそのお話はさせていただいており、県としては基本的に同意見ですと。力を合わせて新潟の拠点性を高めていきたいと思っています。ただ、具体的な予算化というのは、まずは新潟市が先行していくことになるので、それに合わせてこちらで予算を計上していくことになると思います。

Q 共同通信
 今回の予算編成でもいくつかあると思うのですが、交流人口を拡大していくに当たって、どういったところが大切だとお考えですか。

A 知事
 ハードとしてできるところとソフトとしてできるところがあると思うのですが、私自身は、ソフトは民間が独自にやった方がいいと言いますか、公共団体がやっても魅力的なソフトはできないのではないかというところがあります。私は最近、新潟市に転居してきたわけですが、不便なところは多々あるわけです。(新潟)駅前の活性化という話がある中で、駅前が便利かと言うと、それほど便利なわけでもないというところはあるわけです。新潟市では(平成29年度当初予算(案)で)駅前地域の再開発事業にだいぶ予算を計上されていたように把握しておりますし、また、鉄道で分断された部分もだいぶ改善していくという話がありましたので、そういった部分に関して金額が具体化すると同時に、よく意見をすり合わせた上で県としても協力させていただきたいと思っています。何よりも新潟市が便利で住みやすいまちになることが大事だと思っています。

Q UX
 交流人口や拠点性に関わる交通について伺います。以前、知事は新潟空港をオンリーワンの空港にしたいと仰っていました。どのようなオンリーワンの空港にしたいのか伺います。また、今回、台湾やハルビンなどアジアを拠点とした事業が新しく盛り込まれているのですが、その辺りの思いを伺います。

A 知事
 結局、なぜ新潟空港を使うのかという話なわけです。特に、新潟市にいるとあまり考えないのかもしれませんが、私は魚沼市出身ですから、魚沼市とかですと、便が悪くなったら新幹線で羽田(空港)に行く方がよほど早かったりするわけです。そうすると、一つは値段ではないかと。もう一つは、他にはない航空便がある、他にはない土地と繋がっていると。値段に関しては、LCC(格安航空会社)等を含めて使うメリットがあると。空港に行きやすければ使うという時代ではなくて、使うことのメリットが感じられる空港にしていくということが重要で、その大きな柱が、特徴的な路線があり、かつ、ある程度は価格競争力があるということだろうと思っています。

Q 新潟日報
 平成29年度(予算(案))に「新潟県給付型奨学金検討費」が予算計上されましたが、平成29年度で検討を終えて、平成30年度からの実施になるのですか。

A 知事
 はい。(平成29年度に)基金も5億円積みます。(平成30年度から)実施の予定です。

Q 新潟日報
 先ほど知事は、ご自身の意思がかなり反映されたものとして奨学金を上げていましたが、(基金に積み立てる)5億円という金額はその意思を反映したものと受け取っていいのでしょうか。

A 知事
 そうですね。ただ、これはバランスの問題で、本来はもっと多くしたいところではありますが、県の財政は無限ではないですし、どこかを増やせばどこかを減らしてしまうので、少なくとも現時点でできるところとしてはこの規模だということです。本来的に、非常に裕福な方まで対象にするべきだとは思いませんが、必ずしも極めて裕福でない層に限ることでもないと。結構普通の層にとっても教育費の負担というのは重くて、その負担によって子育てを躊躇するところもあると思いますし、必ずしも希望ではないところに行くということもあるかと思うので、可能な限り(対象を)広げたいとは思っているのですが、バランスの上ではこうなりますし、そういう意味では、(私の)意思を反映したものだと思います。

Q 新潟日報
 知事選でも訴えていた福島第一原発事故の検証と給付型奨学金は(予算案に)盛り込まれているなと思ったのですが、もう一つ、少し頓挫しつつあるTPPの関連で、(米国との)2国間交渉の話もあります。これに関しては、予算編成上、どういったところで反映されていますか。

A 知事
 直接TPPに関するものは盛り込まれていません。これから2国間交渉が始まるとしても、まとまるまでに1年かかるでしょうから、今年度予算にTPPに直に対応するようなものは盛り込まれていません。ただ、中山間地域農業の維持発展に向けた支援として、「「公的サポート」モデル事業」を計上していますが、これは中山間地域に限定したある種の所得保障的な仕組です。TPP対策の一つとして所得保障的な制度が必要であるということから、県としてできる範囲でのモデル事業になっています。そういう意味では、TPP対策と関連しているかと思います。

Q 新潟日報
 「「公的サポート」モデル事業」というのはどういったものを想定していますか。

A 知事
 かなり所得補償に近い形です。ただ、その範囲が限定されているということです。

Q 新潟日報
 具体的にどういった事業ですか。

A 知事
 営農している方に対して一定の補助金を出していくということです。

Q 新潟日報
 何かめぼしい、目を引くような営農の仕方とか、そういったものに特化して(補助金を出す)というわけではないのですか。

A 知事
 そうではありません。それは別の話ということです。法人として(農業を)営んでいるところが新しく雇い、(事業を)拡大していくことに関しては、「雇用を契機とした法人経営発展支援事業」で支援します。もちろん、一つのあり方としては、こういう農業の仕方がいいのだということがあるのだと思うのですが、そういったことを行政が押しつけるのはどうなのだろうというところがあって、そこはむしろやり方を工夫された方がいいのではないかというところがあります。逆にそうではなくて、みんながこうあるべきだというような、大きな方向性としては園芸をやっていくとか、水田をフル活用するというような話に関しては、サポートとは切り離して、かつ、中山間地域に限定しないような形でやるべきことだと思うので、そちらはそちらでやっていくことになります。モデル事業は、所得をある程度保障していくことが有効だということに特化するべきだということです。あまり他の要素を入れるとわけがわからなくなってしまうので、それに特化しているということになります。

Q 新潟日報
 国に提案するということですが、いつまでに提案するという目途はありますか。

A 知事
 3年です。

Q 日本農業新聞
 知事は先ほど「暮らせる農林水産業、稼げる農林水産業」をキーワードとして挙げられました。ここに込められた思いを伺います。

A 知事
 稼げるところはぜひつくっていきたいと思います。だからこそ「新之助」(のブランドか)なり、輸出拡大、大規模化に全力で取り組んでいるわけです。一方で、現実として、中山間地域にも多々営農されている方がいて、それこそ主力である魚沼地域ですら、過半数は中小規模の農家なわけです。あまり「稼げる」に特化して、中小農家を無視してしまうと、主力であるはずの魚沼産コシヒカリでさえなくなってしまうというのが、現在の新潟県の農業が置かれている現状だと思います。「稼げる」はもちろん、より「攻めの農業」はもちろん大事なのですが、その前に「暮らせる」があって、その次に「稼げる」があって、その次に「攻めの農業」があるのだろうと思います。

Q 新潟日報
 原発の検証について伺います。「避難生活に関する調査」に約1,400万円計上ということで、調査費としては多い方だと思いますが、どこまで突っ込んだ調査を期待していて、何を明らかにして、検証にどう生かしていくのかを聞かせてください。

A 知事
 詳細はこれから詰めていくのですが、現時点での感覚としては、一部はシンクタンク等に、網羅的な数値を全部出していただきたいと思います。何人が避難して、何人が帰って、その間何人がどんな生活をして、それは家庭があってのことですが、ある種の家庭のモデルを用いて、一体その被害額はどのぐらいであったのかと。つまり、事故そのものの直接的な影響や賠償の他に、避難ということにおいて一体社会はどのような影響を受けたのかということを、一定のクオリティのあるシンクタンクに網羅的な調査していただきたいと思っています。シンクタンクは値段を決めれば、その中でできることをやってくれるので、クオリティのある、ある程度のものはできると思います。あとはコンペティション形式で手を挙げていただいたところにいろいろなエピソード的なものを集めていただきたいと思っています。きちんとやるのは大事なのですが、無限にやるつもりはなくて、まず一つは、避難というものの全体像をある程度網羅的に知りたいということと、それに伴って特徴的なエピソードをきちんとわかりたいというとろころです。

Q 新潟日報
 子ども医療費助成について伺います。来年度予算では実態調査費を計上していますが、これは平成30年度以降の増額を前提としたものと考えていいですか。

A 知事
 ここはいろいろと難しいところがあります。まず、一定年齢に対する医療費の助成に関しては、きちんとやっていきたいと思っています。ただ、その担当は基本的には市町村なわけです。少なくとも前年度までも、他府県並みの助成はできているという認識の下に額が決まっていたわけです。ところがそうではないのだという意見が、市町村からたくさん寄せられているわけです。意外とそこは計数にできないので、そこをきちんと計数にするというための調査費です。その結果、やはり足りているということであれば、必ずしも増やすことが前提ではありません。ただ、もちろん足りてないということであれば、それは増やすことになると思います。その結果次第になると思います。

Q 新潟日報
 医療ビッグデータの活用に向けた意気込みと来年度の位置づけを伺います。

A 知事
 調査費ばかりだと思われるかもしれないのですが、これが正しいやり方で、最初にきちんと制度設計をしなければ、後から戻れないので、慌ててやっていいことは何一つないと思います。1年間、時間をかけて、いわゆるシステム設計なども含めて、きちんとした制度設計を進めさせていただきたいと思います。これは私の思い入れがあるように見えるかもしれないのですが、実は特段私のオリジナルではなくて、既に昔から言われていることであって、実は国も以前からこの方向で進めようとしているところで、いろいろな制約の中でできなかったことが、ちょうど新潟県という環境の中でできるということで進めさせていただいているものです。今の医療ニーズにマッチした政策だと思っています。これをうまく進めさせていただいて、皆さんの医療サービスの質を落とさずに、医療費の上昇には歯止めをかけて、より効果的な医療を実現していきたいと思っています。

Q UX
 病児保育施設の拡充についての思いをお聞かせください。

A 知事
 こちらも非常に評判がいいという言い方は何ですが、できたところの方のご意見を聞くと、非常に役に立つ、よかったという声が多いです。担当としては市町村になるのですが、市町村としても、これがあると皆さんが非常に喜んでくれるという話をいただいています。担当は市町村ですが、県内全体でどこかの地域だけがサービスが受けられないということがないようにしていきたいと思うので、ぜひ拡充させていただいて、市町村と一緒に協力して、皆さんが病児保育のサービスを受けられ、それによって子育てと仕事、更にプライベートもワーク・ライフ・バランスを実現できるように取り組んでいきたいと思っています。

Q TeNY
 県産品を海外へということでいくつか新しい取組があるのですが、新潟県のどのようなものをどういうところに向かって出していくのかイメージがあればお聞かせください。また、地域防災力の充実・強化としても新たな事業がいくつかあり、例えばその中に「消防職・団員確保推進事業」、「災害時広域応援体制構築事業」というものがありますが、これは先日発生した平成28年新潟県糸魚川市における大規模火災を多少なりとも意識されたものになっているのでしょうか。

A 知事
 県産品は、一つは農産物が大きいです。実はコシヒカリは海外で食べるには高すぎる部分もあって、業務用米の需要が多いのですが、海外も日本と同じで、ワインでもすごく高い2万円、3万円のワインはそんなに売れるわけではないけれども、では安いからワインを買うかと言うと、やはりフランスのワインが好きだというところがあって、やはりブランドというのはあるのです。海外においても、業務用米でも新潟の引き合いは強いので、そちらの方を強めていくということになるかと思います。お酒に関しては、このままのトップブランドの価格帯でいけるということだと思います。あとは工業品については、既に輸出しているところであり、輸出のいろいろなことを皆さんもわかっており、ブランドも確立している中で更に販路を拡大するために、様々な見本市への出展等を促進させていただきたいと思っています。
 次の防災力については、まさに糸魚川市の大規模火災が大いなる教訓になりまして、地域の方々が次々と(周りの方に)声を掛けてくださったことで、死者が一人もいなかったということがあります。また、広域連携は本当に大事と言いますか、それは(高病原性鳥)インフルエンザでも思ったのですが、すごく大きな火災などがあるからと言って、一つのところでずっとものすごい消防力を持ち続けるというのは、それはそれで負担になってしまうので、コストの問題としても現実的ではないと思いますし、維持できません。もちろん各地域に必要なものがあるというのは前提なのですが、必ずしも地域で全部持たずに、広域連携でカバーしていくというのが今日的なあり方だと思います。それは糸魚川市の大規模火災で実感しましたので、そういったことはぜひ、あの教訓を学んで進めていきたいと思っています。

Q 新潟日報
 (一般会計の予算規模が)全体で(前年度当初比で)4%減る中において、公共事業、特に県単公共が4%増えています。これは端的に言って、県議会最大会派への配慮があったのでしょうか。

A 知事
 特段、配慮したということありません。必要と思って計上したということです。

Q 新潟日報
 知事は以前、「10年先のために」がキャッチフレーズと仰っていましたが、新・総合計画(仮称)の計画期間はどれぐらいで考えていらっしゃるのか伺います。

A 知事
 10年先のためにと言っていたときは県知事になるとは思っていなかったわけです。だから10年先のことを予想するのは極めて難しいというのが、我が身からよくわかったことですので、(計画期間は)4~5年だろうと思います。

柏崎刈羽原発の免震重要棟の耐震不足について

Q 朝日新聞
 昨日の原子力規制委員会で、柏崎刈羽原発の免震重要棟の耐震性が極めて弱いということが明らかになりました。一つは原子力規制委員会という場で明らかになったこと、また、それが担当部署に上がっていなかったことをどう思われますか。また、それについて、県に対して既に説明などはあるのかを確認させてください。

A 知事
 事務的には受けていません。いかがなものかと言わざるを得ないと言いますか、苦言を呈させていただくということだと思います。そもそもきちんと造っておくべきというところから始まって、(耐震不足であるという)事態を(東京電力が)把握したのが平成26年であると。私はあまりそういうことを言うのは好きではないのですが、そうすると今までの話し合いは何だったのかと。昨年10月に私が知事になった時点で知っていたわけですし、1月に(会長や社長が挨拶に)来られたときも知っていたわけですし、つい最近、(私が)柏崎刈羽原発に行ったときにも知っていたわけです。もちろん、私と対話した社長なり会長なりが知っていたかどうかはまた別の議論ですし、そこはきちんと調査いただきたいのですが、いずれにせよ、知っていた担当者がいたわけです。その人は新潟県の代表として知事が(柏崎刈羽原発に)行き、社長が説明することは知っていたわけです。ということは、自分が知っている情報を言わなければいけないということは認識していたはずです。それがこれだけ上がってこないと。これも再三ですから、よく理由を精査していただいて、きちんと対策を打っていただかないと、何が正しくて何が正しくないのかわからなくなってしまいます。私も(柏崎刈羽原発を)視察したわけですが、一応、原因に対してこういう対策がなされていますというのは全部説明があったわけです。基本的には誰が見てもということだと思うのですが、私はもちろん専門知識があるわけではないですし、仮に専門知識がある人が行ったところで、目の前でそこを開けろとか目の前でどうということはできないわけなので、基本的には説明を信じるということが全てのベースになっていると思います。その全てが疑わしくなってしまうと、対話していきましょうという話が根底から覆ってしまうので、本当によくよく反省した上できちんとした説明をいただきたいと思いますし、きちんとした対策を打っていただきたいと思います。それがないと今後の議論をどう進めていいのか、こちらとしても困ってしまいます。(東京電力が)何か言うたびに疑わなければいけないのかという話になってしまいますから、そこはよく考えていただきたいと思っています。

Q 朝日新聞
 東京電力への信頼はかなり失われたということでしょうか。

A 知事
 それはそうでしょうね。どれも重要ではあると思うのですが、例えば、ケーブルの配線みたいなものに関しては、ケーブルの配線の分け方を忘れていてチェックしていなかったことはよくはないけれど、なくはないのかなと思うことは可能だと思います。しかし、免震重要棟が震度7で機能しないかもしれないというのは相当根本的なところなので、それは本当に困ると言いますか、今後の議論の進め方に大きく影響してしまうと思います。だからといって、今進んでいる枠組をひっくり返したいということではないですが、ここはお互いによく考えなければいけないところだと思います。

Q NHK
 ケーブルの敷設の問題の際には、県側から東京電力に申入れをされたりしていますが、今回の事態はかなり深刻な話かと思います。呼び出してあらためて申入れをするとか、知事の方で何かお考えはありますか。

A 知事
 申入れをせざるを得ないと言いますか、事務方と詰めているわけではありませんが、原因から対策まで、調査報告書の一つでも書くべきことではないかということは言わせていただくことになると思います。

※文中の( )内については、広報広聴課で加筆したものです。


(過去の知事記者会見の一覧はこちら)

このページはリンク自由です

Adobe Reader<外部リンク>

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)

<外部リンク> 県公式SNS一覧へ