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平成30年6月12日 新潟県知事 就任記者会見
(記者会見の動画を新潟県公式YouTubeチャンネルでご覧になれます)<外部リンク>
- 日時 平成30年6月12日(火曜日)
- 場所 記者会見室
- 知事発表項目(13時45分~13時46分)
知事就任あいさつ - 質疑項目(13時46分~14時45分)
- 目指す新潟県の姿について
- 原発関連問題について
- 人口減少対策について
- 知事の政治姿勢等について
- 初登庁の所感について
- 国と地方自治体のあり方について
- 県民健康ビッグデータについて
- 総合計画について
- 新潟空港の活性化について
- 日本海横断航路について
- 給付型奨学金について
- 拉致問題について
- 医師・看護師不足について
知事発表
知事就任あいさつ
このたび知事に就任させていただくことができました花角でございます。ぜひ皆さんとしっかりお付き合いさせていただいて、厳しいご指摘をいただく場面もあるのかもしれませんが、この新潟県の活性化のために、あるいは私が申し上げてきました暮らしやすい新潟県づくりのためによい関係を築かせていただきたいと願っております。どうぞよろしくお願いいたします。
質疑
目指す新潟県の姿について
Q 新潟日報
今日の庁議、また職員の皆さんへのあいさつがございましたが、改めて花角知事が目指すべき新潟県の姿、どういった新潟県を目指していきたいのかという点をお願いします。
A 知事
選挙期間中も一貫して私が申し上げてきましたのは、1つは安心して暮らせる、安全に暮らせる新潟県、暮らしやすい新潟県づくりと。そしてもう1つは、経済がしっかり動いている活力のある新潟県づくりと。この2つを同時に目指していきたいと申し上げてまいりました。もう少し砕いて言えば、安全で安心で暮らしやすい、どういうイメージかと言えば、最低限いろいろな災害に対して身を守れる、財産を守れる、それこそが安心の第1歩ではないかと。あるいは、もしもに備えたセーフティーネットとしての医療や福祉を充実させること。これが安心に暮らすため必要な最低限の条件です。そしてまた暮らしやすさという部分で、人口減少問題もある中で、子育て環境をよくしていきたいと申し上げてまいったところです。一方の、経済の活力のある新潟県づくりという部分について言えば、経済活動・企業活動等がしっかり行われているということも言葉を換えて言えば、働く側、県民側から見ればしっかりとした雇用の場がある、あるいは働く場が確保されているということであり、私はそれに加えてという意味で、起業・創業、新しい事業なりを始めたいという人達、挑戦する方々が次々と生まれる、あるいは新潟に集まってくる、そういう県を目指したいと。そのことが多様な働き方を可能にしていくというふうに考えています。もうひとつ経済の元気という意味では、やはり新潟の魅力をもっと国の内外に一生懸命発信をして、この新潟に訪れる方々を増やしていきたい。そうすることが経済の元気につながるというふうに申し上げてまいりました。特に新潟に魅力の発信ということは、同時に新潟ブランドと言いますか、新潟というものに対する評価が上がっていくということでもあると思っていまして、そのことは例えば農産品の輸出ですとか、県産品の輸出の販路の拡大などにもつながっていくことであり、経済によい影響を与えていく。そういう思いも含めて人を招き入れることだと、こういうふうに申し上げてきたところであります。繰り返しになりますが、この2つの姿を目指して仕事を進めていきたいと思っています。
原発関連問題について
Q 新潟日報
原発政策なのですが、選挙戦でも主張されたと思いますが、現在前知事が立ち上げた3つの検証がございますが、この検証体制も含めて花角知事はどのように原発政策と向き合っていくのか、お考えを改めてお願いします。
A 知事
これも期間中ずっと一貫して申し上げてきたことでありますが、新潟県独自の検証作業、検証委員会が動いて立ち上がっていると。その検証作業はしっかり進めてもらいたいと。誰も期限と言いますか、期間がどのくらいかかるかの固まったイメージがないと思うのですけれども、それが2年なのか3年なのか4年なのか分かりませんけれども、一定の議論を尽くして、それなりの答えがまとまるタイミングが来るはず。その段階で、それを踏まえて責任者として、リーダーとしてきちっとこうするべきだという何らかの結論を取りまとめて、それを県民の皆さんにお示しをすると。その上で納得していただけるか、それでよしとしていただけるか、その意思を確認すると。そういうプロセスを経ていくしかないですよね。こう申し上げてきたところでして、そこは変わっておりません。将来的には本当に安全・安心に暮らすという意味において、原発に依存しない社会を目指してまいりたいということも重ねてお話ししております。その気持ちは変わっておりません。
Q NHK
原発について伺います。先ほど意思を県民に対して確認すると。
A 知事
はい。県民の意思ですよね。
Q NHK
選挙戦を通じて、そして昨日も仰っていたかと思いますが、改めてどのようにして県民の意思を確認するのか。その方法についてお聞かせください。
A 知事
それは本当に民主主義の政治と言いますか、行政の中で、いろいろなやり方があると思うのです。主権者の意思を確認する方法というのは、もちろん間接的には議会というものもあるわけですし、住民投票という方法もあるかもしれません。私は決めているわけではないのです。これでなければならないというまでのものを持っているわけではないのですが、今考えられるものとして、私はまさに信を問うという表現を使いましたけれども、責任者としてきちんと責任を持った判断、それはあくまでも県民にとって、あるいは県にとってこれがベストだという何らかの結論を出して、それを私はこれをこうしたいと思うけれども、理解し支持していただけますかと。納得していただけますかということをまさに私自身への信任としてやっていく、問いかけるということが、ある意味でははっきりさせる方法なのかなと思っています。それは時期によっては、先ほど申し上げましたように検証作業の結果、安全性の検証がどのタイミングで終わるかというのが分からない中で、4年後のちょうどまた知事選の時かもしれませんし、非常にスムーズに議論が進んで集約されて、2年3年で何らかの答えが出せるような環境が整うのであれば、そのタイミングでまさに職を賭して確認をするということもあり得ますということを申し上げております。
Q NHK
そうすると任期途中の出直し選もあるということ。
A 知事
そうですね。ずるずる伸ばす必要もないとすれば、まさにこれで新潟県はいけませんかということを確認させてもらうというやり方もあると思っています。
Q NHK
昨日、世耕経済産業大臣が早期に面会をされたいという希望も仰っておられました。
A 知事
それはぜひお話をする機会をいただきたいと思っています。経済産業省、あるいは国全体としてどういうふうにお考えか、この選挙期間を通して、県民がどのような反応をしていたか、どのような考えであるかと私が受け取ったかということは、しっかりお伝えしたいと思います。また、国、経済産業省の受け止めも伺いたいと思います。
Q 朝日新聞
県にとってベストだという結論を出すという中には、再稼働をするしないの判断も含まれるということですか。
A 知事
今、材料がないので何とも言いようがありません。検証結果を見ないと再稼働の議論ができませんよねと。検証作業が終わらないということを一貫して申し上げております。
Q 朝日新聞
選挙戦の中では納得感を得られない限り再稼働はできないと仰っていましたけれども、それは変わらないと。
A 知事
変わらないです。ちょっと余計なことを言うようで大変恐縮ですけれども、納得感というのは感情の問題も入るのですごく難しいとは思うのです。ただそう表現するしかないと思っています。
Q 毎日新聞
今後、東京電力側が花角新知事の誕生で面会することもあるかと思います。米山前知事ははっきりと再稼働は検証がない限り議論はしないというふうに毅然とした態度を取っていたわけですが、花角新知事はどういう態度で、どういう姿勢で向き合っていきたいですか。
A 知事
何をもって毅然と言うかよく分かりませんけれども、当然東京電力のお考えなり話を聞くことはやぶさかではないです。
Q 読売新聞
原発について職を賭して県民に問うということですけれども、いろんな人口減少問題とか。
A 知事
そういう場面もあり得るということです。早く検証作業が進めば。
Q 読売新聞
いろんな人口減少問題とか課題がある中で、原発問題というのは新潟県にとってどれくらいの割合を占めているとお考えですか。
A 知事
それは例えば報道機関の皆さんの出口調査などでどのくらい関心がありますかという、重要視しますかみたいなことですか。
Q 読売新聞
知事として原発問題は新潟県の中でどれくらいの重さと言うか。
A 知事
定量的なものでは分かりませんけれども、間違いなく深刻な、重要な課題だと思います。県民の皆さんの関心の高い課題だと思います。
Q 読売新聞
出直し選挙をしてでも。
A 知事
それをやらないと落ち着かないと言うか、たぶん決着をつけられないくらい大切なテーマだと思います。
Q 新潟日報
原発について伺いたいのですが、将来的に原発に依存しない社会を目指すということで、改めて県としてそれに向けて具体的などういう取り組みをするのかという点と、選挙の中でも池田さん(池田千賀子候補)が原発と地域経済についてのあり方と言うか、検討するというような、委員会をつくるというようなご主張をされていたのですが、そういった考えについてはどう思われますか。
A 知事
これから県の職員の皆さんからいろいろ話を伺っていきたいと思いますけれども、立候補表明の時にも申し上げたのですが、私としては佐渡とか粟島とか離島というフィールドが1つの再生可能エネルギー等の実験場のようなものとして使えないのかという漠然とした思いみたいなものはあるのですけれども、結局どこでエネルギーを手に入れるかということですよね。我々の社会生活・経済活動を維持するために必要なエネルギーをどういう形で取り出すかということでしょうが、そのエネルギーを得る方法として、新潟県としてうまく取り組めるものがあれば取り組んでみたいなと思います。エネルギーのボリュームの問題とは少し違うと思うのですけれども、例えば新潟県が持っている1つの資源として雪というものがあって、雪を活用できないかとか、波の力とかそういったものも活用みたいなこともありますし、あるいはメタンハイドレートのような新潟近海沖にある、あのような資源を何らか新潟県が先行的にと言いますか、熱心な取り組みによって次の社会へのメッセージを送れるような、そういう役割ができないかなとか、断片的なアイディアの構想と言うか思いはありますが、いずれにせよそれは少し勉強していきたいと思います。
Q 新潟日報
原発と地域経済については。
A 知事
これは最初に選挙期間のはじめ、告示日の前に櫻井柏崎市長にお会いをしていまして、櫻井市長も柏崎地域の経済社会をどのような形で維持していくかということについてのアイディアなり構想をお持ちのようでしたので、それは近いうちにお話を伺ってみたいと思いますし、市町村が何を考えて、どのようなことをやっていきたいと思っているのかしっかり意見交換をしていきたいと思います。その結果として、学識経験者を集めて場をつくるというのも次のステップとして出てくるかもしれませんし、まずは柏崎の皆さんの話を伺うというところからかなと思います。
Q 新潟日報
県民の関心事なので確認をしておきたいのですが、信を問うまでは再稼働は認めないという理解でよいのでしょうか。
A 知事
そうです。納得しない限り動かしませんと言っています。
Q 新潟日報
それはつまり、言ってみれば例えば県知事選だとすれば、任期中は再稼働は認めないという理解でよろしいのでしょうか。
A 知事
検証委員会の検証作業が終わって、その結論が取りまとめられて、例えば安全性というものについて、このような形ならいけるといったような仮に検証の結果が出れば、それを踏まえて何らかの結論を出して、県民の皆さんに確認を取るというタイミングは、2年か3年後ということもあり得ますということを申し上げています。
Q 新潟日報
そういう意味では、辞職しての出直しであっても、4年後であっても、花角県政というのが。
A 知事
検証作業がまとまらない限り、その議論はできませんよね。
Q 新潟日報
理解としては、任期中は再稼働は認めないということで。
A 知事
任期中というより、4年。縮めたらそれも任期中かもしれません。
Q 新潟日報
次の知事選までは再稼働は認めないということでよろしいでしょうか。
A 知事
まず検証作業が終わらないと、誰も今イメージを持っていないのではないですか。再稼働するべきかするべきではないとか、そもそも議論ができないですよね。これは一貫して申し上げています。米山知事の前の、泉田知事の時代でもそういう議論だったかと思います。その結論が出た時に、検証作業の結果が出て、何らかのやり方で安全性が確保できると、例えばそういう答えが出たとして、それを踏まえて動かすか動かさないか、もちろん単純なデジタルではないと思うのですが、何らかのパッケージとしての結論を、判断して、お示しをすると。それで納得がなければその結論は採用されないということですから。そういう意味で、私が在任している間には動かないということでしょう、結果的には。在任期間が2年か3年かもしれません。そこは分かりません。
Q TeNY
原発再稼働に関して、先ほどからどうやって信を問うかという話をされていたのですが、そもそも信を問う意義はどういうところにあるのでしょうか。
A 知事
決着させるためにはそのぐらいのことが必要なのではないですかという思いです。どこかで最後に出口を出なければならないのです。それはすごく重い判断で、真剣に責任者、リーダーが考えるべきですし、県民も真剣に受けとめる必要があると思うのです。
Q 毎日新聞
3つの検証が具体的にどこまで進んでいるかはご存じではいらっしゃらないと仰っていますが、今後(検証の進捗を)ご覧になられた後に、知事として、何年かかるなとか、最低限これぐらいかけようとか、そういうリミットというか、そういうものをご自身で設定されるお考えというのは。
A 知事
それは(検証委員会の)委員として議論していただいている方々のコンセンサス(合意)なのではないでしょうか。
Q 毎日新聞
あくまで向こう(検証委員会)がどれくらい(議論に時間が)かかるか。
A 知事
どれだけ議論が煮詰まっているのかによるのだと思います。最終的にどの委員会でも同じですが、委員長になられている方が議論をどういう形で収めるのか、そこはしっかりお話を伺いたいと思っていますし、キャッチボールをしたいと思っています。
Q 毎日新聞
たらればの話で恐縮ですが、例えば1年で(結論が出る)とかそういうことになったとしても、そう。
A 知事
委員長がそういう見通しを持っておられて、この議論は1年程度で収束できると、それなりの答えをまとめられるということであれば、それはそれでありがとうございますということです。ただ、(検証は)3つありますので、総括(委員会)もあるので、全部そろうかどうかは分かりません。
Q 東京新聞
原発の検証作業の体制についてお伺いしたいのですが、柏崎市の櫻井市長が、検証作業自体をやる意味があるのかと、やるならやり方を考えないといけないなど、知事と直接会って見直しを求めたいという発言を記者会見でされましたけれども、それに対するご対応はどのように。
A 知事
それはまだお会いしていないので、(お会いした時にお話を)伺いたいと思います。
Q 東京新聞
検証作業について、前知事の体制をそのまま引き継ぐのか、縮小もしくは足りない点を強化するのかなど、検証作業の見直しを何か考えられていますか。
A 知事
今の時点で何も見直しを考えていないです。まずはしっかり、今あるメンバーで、今ある仕組みの中で検証作業を進めてくださいと言っています。
人口減少対策について
Q 新潟日報
人口減少対策なのですが、人口減少対策にどのように向き合うのか改めてお願いします。
A 知事
これも繰り返し申し上げてまいりましたが、なかなか日々の暮らしなり生活の中で痛みを感じない課題だと思うのです。毎日毎日痛いわけではない。ただ、徐々に徐々にこういう表現を使わせてもらいましたけれども、我々の体力を奪っていく。要するに地域社会の活力を奪っていく、そういう意味で深刻なテーマだと、課題だと思っています。これはどう向き合うかということは、なかなか特効薬というか、これをやれば解決するというものがなかなかない中で、いろんな手だてを重ねていくしかないと思うのですけれども、分析的に申し上げれば、自然減の部分と社会減の部分がありますねと。自然減の部分については、やはり子どもの数が減っているということが1つの問題なわけですから、何とか子育て環境を改善し、まさにご夫婦が希望する子どもの数が持てる社会、そういうものを目指したい。そして一方で社会減は、これもなかなか難しいテーマですが、やはり進学のタイミングと就職のタイミングで県外に出ていっているのが現実ですので、魅力ある教育機関づくり、あるいは県内での自らの希望に合った働き場所探しを応援すると言いますか、もっと具体的に言えば、就職先の会社とか、こういう働き方がありますよというマッチング、情報提供を一生懸命やるということ。そうして見つけていただくということです。そのためには先ほど申し上げた、働き場所の多様性も必要だと思うのです。量があればいいというものでもなくて、やはりそこには自らの希望するまさに生き方とか、人生観があるわけですので、それに合ったまさに様々な働き方ができる場を用意するということと背中合わせみたいなのかなとは思っています。それからもうひとつ最後に言えば、Uターン・Iターン(の促進)ですよね。新潟に戻ってきてもらいたい。あるいは新潟に移住してきていただく。そこの部分も力を入れていくことが必要かなと思っています。
Q 新潟日報
人口減の関係で、子育て環境の充実という話があったと思います。県民からも子育て環境、教育に関して、大変関心の高いところですが、具体的にどういったところから取り組まれたいか、お話をお聞かせください。
A 知事
個別の具体的な政策まで今ここでお話しできるほどの蓄積はございません。県でも(人口減少対策ワーキングチームが)スタートしていると思うのですが、副知事をトップとして。その議論の状況を確認させてもらって、私自身のアイディア出し、これは職員へも大胆な発想と緻密な実行と申し上げたのですが、考えていきたいと思います。
Q 新潟日報
人口減の話で、子育て環境とか教育面という意味では、選挙戦の中では学童と保育みたいな話も。
A 知事
保育も非常に関心があります。学童保育という言葉も使いました。それが子育ての環境づくりの1つだと思っています。私自身の個人の経験から。
Q 新潟日報
その他についてはコメントはないでしょうか。
A 知事
これをやりましょうとかあれをやりましょうとかは、今は言える状況ではありません。
知事の政治姿勢等について
Q NHK
今回、選挙は突然の選挙という形になりまして、任期満了ではなくて知事の辞職に伴う選挙という形になりました。そういった中で当然様々な課題がある中で、県政の立て直しであるとか、信頼回復という声も聞かれますけれども、これについてはどのように戦っていかれるお考えでしょうか。
A 知事
立て直しや信頼回復は、結果としてついてくるものかもしれませんけれども、私としてはとにかくずっと選挙期間中は一貫して先ほど申し上げた、目指すべき新潟県の姿というものを訴え、お話をし、それを実現するためにこういうことをやっていきたいということを一貫して申し上げてまいりましたので、着実に確実にそれに取り組んで少しでも早く、少しでも多くの成果を出していく。そのことこそ県政の信頼の回復と安定につながると思っています。端的に言えば結果を出していく。しっかり取り組んで。しっかり取り組んでいく姿を見せるだけでも前進かもしれませんけれども、なかなか結果というのは出ないこともあるかもしれません。取り組んだ上で成果を出していけるように努力したいと思います。
Q NHK
就任の時期ですけれども、年度が始まって2か月あまりということで、すでに当初予算も可決した中での就任ということですけれども、これについてはいかがでしょうか。
A 知事
例年国の予算が通った後、6月の議会で多少の修正が入ったりするのが恒例ですので、それはそれで、しっかり次の議会までに私自身も必要な勉強をして、やれることはやっていきたいと思います。
Q 新潟日報
年度途中で任期が始まるわけですが、この1年目を知事としてどう位置付けているか、花角カラーというものを分かりやすくアピールしていくおつもりがあるのかということ、それをアピールしていくとすればどこからアピールしていくか、この3つをお聞かせください。
A 知事
年度の途中というのはあまり意識していないです。例えば、予算がもう組まれていますよねみたいなところはあるのかもしれませんが、それは必要に応じて修正が可能でしょうし、あまり年度途中だからという意識はないです。
Q 新潟日報
そこで1年目というのを、知事としてスタートダッシュをかけていくようにするのか、お勉強しますよとか、いろんな。
A 知事
どのレベルの勉強かはありますが、冒頭に今の心境をお話しさせていただいたように、約束したことはできるだけ早く実行に移し、成果を出していきたい。それこそが信頼の回復と安定につながるというお話をさせていただきました。そういう意味では、じっくり構えてあいうえおから勉強するというそのような発想はないです。やれるものはどんどんやっていきたい。トライ&エラーと言うと少し言い過ぎだと思うのですが、これも職員の皆さんへのお話の中で申し上げたとおり、失敗を恐れずにやる、そういう果断な実行を呼びかけたこともあり、私としてはできるだけやれるものにはすぐにでも着手していこうと。ただ、闇雲にやるのではなくて、そこは緻密な実行と言ったのです。やればよいといったものではなくて、成果が出るように最大限の知恵を絞った上でやるときはやりましょうという主旨です。
Q 新潟日報
(ご自身の)カラーはいかがですか。
A 知事
カラーという意識はあまりないです。言ったことを実現するという意識はあります。私の何とかという意識はないです。
Q 新潟日報
前知事との違いであるとか。
A 知事
考えたことがないです。何か違うことをやってやろうとかそういう発想はないです。
Q 新潟日報
花角知事に変わったから変わりましたよということを県民にアピールされるとか、それによって安心であるとか安全であるとか信頼であるとか、そういうことを分かりやすく示すという。
A 知事
それは、目指す姿に沿ったものであるならば、こういうこともやってみましょう、ああいうこともやってみましょうということもあるかもしれませんが、私のアピールのためという意識はないです。
Q 新潟日報
できることから迅速にやっていこうと。
A 知事
それに尽きると思います。
Q NHK
これまで30年以上行政マンとして国に奉職されてきて、それで今回政治家という形になったわけですが、目指すべき知事像と言いますか、政治理念も含めて、どういった知事を目指していきたいかというのを教えていただけますでしょうか。
A 知事
混ぜ返すような答えになりますが、私は政治家を目指しているつもりはないのです。知事の仕事は、ずっと一貫して、7割、8割は行政だと思っています。確かに2割、3割に行政官ではない部分の判断みたいなものがあるのかもしれませんが、それは選挙を経るという意味で与えられる役割かもしれませんけれども、圧倒的部分は、行政官の責任者だと思っていまして、目指す姿、政治家のリーダー像みたいなものは、今、自分にはないです。むしろ、この行政をいかに円滑に、いかに効果的に動かすかということに関心を持っていますし、目指す方向はすでに申し上げてきた方向感でもっていかに成果を出していくか、そこにしか今関心はないです。
Q 新潟日報
財政規律についてお伺いしたいのですが、財政は決して新潟県は裕福な状態ではないのですが、今回の選挙戦でいろいろな方にお世話になったかと思うのですが、いろいろな産業界の方であったり、いろいろな地域の方であったり、そういった方々がいろいろなお願いをしてくる可能性があると思うのですが、一方でそれに応えられるだけの予算はなかなか作りにくい、またいろいろな政策を他にもやりたいことがご自身でおありだと思うのですが、財政規律と県民要望と、どのようにバランスを取っていくか、何かお考えはありますか。
A 知事
それはもう、悩みながらやるしかないです。ないものはないという世界ですから。どんな行政でもずっと私は経験してきたことであり、まさに悩みながら優先順位を考え、メリハリを利かしていくということだと思います。
Q 新潟日報
その中で、やはり県の財政が大変な状況にならないようにというのは。
A 知事
それはそうです。屋台骨をつぶすわけにはいきません。国においてもそうでしたし、県においてもそうだと思います。まさにメリハリと優先順位とを考えながらやるということだと思います。
初登庁の所感について
Q 読売新聞
今日朝、多くの職員に迎えられて初登庁をされて、庁議があったり、一斉に職員の方にあいさつをされたりというのを経て、昨日感じていらっしゃった重責感とはちょっと違う実感がもしかしたら湧いてきているのかなと思うのですけれども、今のご心境はいかがですか。
A 知事
いろいろな感情がないまぜなのですけれども、仰るとおり懐かしい方、ずいぶん職員のお顔を見たので、ある部分ほっとするような、古巣に戻ったような感覚、安心感的なそういう部分も正直あります。この方々と一緒に仕事ができるみたいな、そういう楽しみ的なものも含めて、そういう懐かしさとほっとするようなところと、一方で、これから取り組む仕事というのは、まさに約束したことを実行するということですので、それはそれで私自身の責任を問われていく話ですので、やるぞという意味での気力の充実とも言えますし、責任が重いなという緊張感の気持ちと、これらがまさにないまぜになった状況というのが今の気持ちなのです。
Q 読売新聞
特に不安みたいなものはないですか。
A 知事
不安というのは特にないです。ただ、さきほどもちょっと話が出ましたけれども、一生懸命取り組んでもなかなか答えの出ないことってありますよね。事柄によっては。時間がかかることもあるでしょうし、思うようにいかないこともあるでしょう。そういう意味での困難性というものに対する不安感というのはゼロではないかもしれませんけれども、それ以上にやるぞと、やっていくぞということの前向きな気持ちのほうが強いです。
国と地方自治体のあり方について
Q 共同通信
2点伺います。花角新知事は国の官僚としても活躍されて、副知事という立場でのお仕事をなさっていて、その両方の行政経験を踏まえて、国と地方の理想的なあり方というのはどのようなお考えがおありかなと思って、こうあるといいなという国とのあり方は。
A 知事
これも選挙期間中に申し上げましたけれども、上下の関係ではないと思うのです。これは皆さん当然だと思っておられるでしょうけれども。やはりそれぞれ役割があって、おのずと違う役割を持っていて、それらがまさに協働、協調して動く。あるいは連携するとか、そういう姿こそ目指すべきところで、そうでないとギクシャクすれば物事は前に動かないというふうに思っています。
Q 共同通信
選挙期間中の弊社の調査で、安倍政権の一連の問題がこの県知事選にどれくらい影響があるかという質問をしたのです。そうしたら県民の回答の半数ほどがこの安倍政権の一連の問題が知事選に影響があるという回答を得ているのです。それを踏まえて現状で、今の安倍政権に対して花角知事はどのようなお考えかちょっとお聞きしたいのですけれども。
A 知事
申し訳ないのですけれども、今の政権への評価というのは、私はあまり実はトータルとしての評価というのは持っていないです。個別の政策について賛成とか反対とか、どうかなとか、そういうものは多少ありますけれども、トータルとして好きだとか嫌いだとかそういうことも含めて評価することは、私個人ではしていません。
Q 共同通信
知事としての立場で、政権の改ざん問題とか、半数の方が影響があると答えている中でどのようなお考えをお持ちですか。
A 知事
他山の石とすべきところはあると思います。国の行政機関で起きていることは同じ行政機関である県の行政組織の中で同様の問題が起きていないかどうか、そこはきちんと検証していく必要はあるという意味では関心はあります。あるいはそういう同じ誤りなりを踏まないようにということでの、自ら見直す1つの機会になるというところはあると思います。
県民健康ビッグデータについて
Q 新潟日報
前の知事の時に着手したばかりの政策がいろいろある中で、健康ビッグデータ構想、医療のデータをビッグデータ化して活用しようという構想があるのですが、ご存じの範囲でビッグデータ構想について進めていくかどうか、お考えがあればお聞きしたいのですが。
A 知事
まだ詳しくは承知していないです。ただ、医療に限らずビッグデータと言われるものをもっと活用すると我々の経済社会もっと便利に、もっと満足度の高いものになっていくというのは一般論としてあります。様々なビッグデータと言われるものがあるので、例えば車の一つ一つの動きも全て集約するといろいろなものが分かってくることもあるでしょうし、外国人の行動のパターンを知るというのもたぶん携帯のスマートフォンの動きから分かってくるとか、そういう部分も例えばあるでしょうし、様々ビッグデータを活用して1つ経済社会をよりよいものにしていくという試み自身は私は全く賛成です。ただ、今仰られたものがコストと狙う効果でうまくいくのかどうか、そういう見極めも当然必要だと思いますし、ただ着想はすごくあり得ると思っています。
総合計画について
Q 新潟日報
米山県政が今年1月に総合計画を策定しました。それに基づいて本年度予算が策定されたわけなのですが、個別具体的な点はご存知でないのは承知していますが、方針として花角県政版の総合計画を策定するにあたって、これまでの現時点での総合計画をゼロベースから見直していくという作り方を望まれているのか、それとも継承すべき点は継承してリニューアルしていくという形を望まれているのかどちらでしょうか。
A 知事
詳細に総合計画を承知していませんが、基本的には今出来上がっているものが直ちに問題があると思いませんので、基本的には尊重していきたいと思います。ただ、2年3年4年経って、見直していくものが出てくれば随時見直していけばいいと思います。あまり計画づくりに労力をかけるということが、どれほど生産的なのかというところは私の30数年間の行政官としての仕事の中で感じているところはあるので、皆さんの英知を集めて出来上がっている計画に問題があると思えませんので、基本的にはそれに沿ってまずは仕事を進めてみるということだと思います。
Q 新潟日報
総合計画については、マイナーチェンジもせずにそのまま(すでに策定されている)総合計画を使う想定で。
A 知事
今は詳細に承知していませんので、あまり計画づくりにそうそう労力をかける必要はないのではないですかという一般的な気持ちは持っています。もし不具合とか、少し実情と違うのではないのかというものがあれば、それは都度直していけばいいと思っています。
新潟空港の活性化について
Q 新潟日報
空港アクセスですが、米山前県政では空港利用者が135万人に達した時点で鉄軌道の導入についての検討を再開するという事実上の棚上げとする方針を決めたのですが、棚上げとする方針を見直すお考えはありますか。
A 知事
どのような議論を経てそのような結論に至っているのかは検証させていただきたいと思います。
Q 新潟日報
鉄軌道の必要性について、改めてご見解をお願いしたいのですが。
A 知事
私は副知事の時代から、新幹線の駅と空港とを何らかの軌道系の交通手段で結ぶことが空港の活性化にも新幹線自身の活性化にもまちづくりの上でも効果があると申し上げていましたが、そこは今でも変わっていないです。交通事業の問題というのは、確かにそれだけでみると非常に損益をどうみるかというテクニカルな部分がたくさんありますが、一方で卵と鶏(卵が先か、鶏が先か)みたいなところがあって、例えば空港の利用者がここまでいかないと資金回収が見込めないということがあるのでしょうが、一方で交通サービスのレベルが上がると空港の利用にも好影響があって、好循環を始めるということもあるので、それをどう評価するか、見通すかということは議論してみたいと思います。
Q 新潟日報
(年間利用者数が)135万人に達しない限り(空港アクセスに関する)議論は再開しない、それを検証してみたいという、その上で135万人に達する前に議論を再開する可能性があるということでしょうか。
A 知事
私自身がどんな議論を経てどういう考え方でこういう結論に至っているのかをしっかり検証したいと思います。例えば、違うじゃないか、こういう考え方もできるのではないかとか、こういうアイディアもあり得るのではないかとか、何らかの違う要素を見つけることができれば、その時点でもう1回議論しませんかというのはあり得ると思います。
Q 新潟日報
新潟空港全体について(の話)ですが、オンリーワン空港を目指している中で、オンリーワンではなくなってきているという面があって、花角新知事としてはどんな空港をつくっていきたいというビジョンはありますか。
A 知事
結局、要は路線を張るかということなのです。路線を張ってもらえるだけの魅力をエアラインに感じてもらえるかということだと思います。そのためには新潟という地域の魅力があるでしょう、新潟が行動のエンド(目的地)であれば。新潟の魅力をアピールしていく必要があるでしょう。トランスファー、乗り換えであれば、最終目的地が違うところであれば、乗り換えの利便性を強調するでしょう。結局、どんな新潟空港の空港像(を目指すのか)と言えば、エアラインが路線ネットワークを張りたくなるような空港を目指したいと。使い勝手がよいとか、お客さんのアクセスが非常に容易なので、お客さんも利用客も評判がよいとなると、エアラインも(路線拡大に)動きますよね。直接的な方法としては、一部の地方空港で起きていますが、一定数のロードファクター(有償座席利用率)まで支援するという方法もあるかもしれません。様々な空港の魅力づくり、エアラインの事業戦略とも重なってきますが、連携できるものは連携し、甘い水は甘い水で用意するし、アピールの仕方もあると思うのです。新潟に(路線が)入るとこんなよいことがありますよとか。あるいは隣県ですね、空港に遠い山形の南部とか、米沢、置賜地域とか、あるいは会津地域とか、群馬・埼玉の北部とか、こういったところも巻き込んでの魅力アピールというものは十分あり得ると思うのです。
日本海横断航路について
Q 新潟日報
日本海横断航路計画について、いろいろな経緯があった末に、ビジネス面での採算性が現時点で厳しいということから白紙になっていますが、日本海物流と言いますか、その点についてはどのようにお考えですか。
A 知事
これも荷物が先なのか、船が先なのかという議論はついてまわるのです。サービスがないと荷物は集められないし、荷物もないのに船だけを走らせてもどうするのだというような議論は常についてまわるわけです。かつて30年ぐらい前は環日本海の時代がくると、ロシアや極東地域や朝鮮半島の北部を含めて、ヨーロッパとも近い、地政学的には一番近いルートだと。必ずや日本海側がむしろ表玄関になる時代がくるかもしれないという議論はあったと思いますが、結局今の現実の中で、ロシアの経済・社会の存在感とか、朝鮮半島の現状とかそういったものを考えると、日本海に対する期待というものは、残念ながら今はかつてほどの夢がないようなところはあります。そのような中にあって、経済活動として、ビジネスとして日本海横断航路というものがどれほど魅力的なものとして存在感を発揮していけるのか、注目して関心を持っていただけるかというのは、現時点の個人的な感情で言うとなかなか厳しいものがあると思います。ただ、その一方で夢ある部分でもあると思っていまして、もう少し真正面からやらなくても何かもう一段の工夫はないものか、再び日本海に光があたるような知恵がないか追究していきたいと思います。
Q 新潟日報
今米朝会談が行われていますが、日本海の魅力に光があたることがないかという話がありましたが、米朝会談の結果、政治的な問題が解決されて、日本海に光があたるといった期待はありますか。
A 知事
あります。非常に環境が変わることを期待したいです。
給付型奨学金について
Q 新潟日報
前米山知事の時に(県独自の)奨学金(制度)があったわけですが、利用者の使い勝手の善し悪しも含めて課題もあったかと思うのですが、こうしていきたいとか方向性はありますか。
A 知事
県独自の奨学金制度をつくられたというのは承知しています。その利用の状況は、詳細は分かりませんが、(申請数が)募集数までいっていないという話も伺っているので、もう少し制度を手直しする必要があるのではないか、その辺りも勉強していきたいと思います。ただ、ある意味では県独自のものを用意するというのは、私も何か考えていきたいです。(奨学生に)新潟に残っていただくことも含めて、奨学金制度というものは前向きな政策だと思いますよ、評価しますよという趣旨です。ただそれが今十分な効果を生んでいるかとか、募集の状況も(募集数の)100パーセントに達していないというのも聞いているので、何らかの制度づくりに改良すべき場所があるのかもしれないという印象を持っていて、それは勉強させていただきます。
拉致問題について
Q TeNY
米朝首脳会談がちょうど裏で行われている中で、新潟県としてはやはり拉致問題がどう進展していくかとても注目だと思うのですが、その辺りは花角さんはどう。
A 知事
関心があります。期待もあります。100パーセント(拉致問題の話を)テーブルに上げると(トランプ大統領に)言っていただいたと報道で側聞していますので、どういう議論が出されるのか注目しています。
医師・看護師不足について
Q NHK
前知事は医師の資格を持っていて、医師不足にも対応していきたいというような計画を進められていた部分もあったのですが、花角さん自身は、医師・看護師不足にどのようなお考えをお持ちですか。
A 知事
人材不足、人材がなかなか集まらないという話はずっといろいろな人から伺って、深刻な課題だと思っております。ただ、その答えが、人口減少問題の先ほどの話ではないですが、こうやったらというのが、今私が思っているわけではありませんので、いろいろな人のお話を伺いながら、そこでもし私がこれまでの仕事の中で御縁がある方とか、組織とか、そういうものとの接点がうまく使えて、たまたまこういう人のネットワークの中でこういうことができるかもしれないということが見つかれば、それはハッピーだと思っています。
Q NHK
中央の人脈。
A 知事
厚生労働省かもしれませんし、それに限らず、例えば看護関係の教育機関や、これまでの御縁の中でどこかでつながることはあり得ると思いますし、人を介してでもつなげていくことはできる部分があると思いますので、うまく役立てることができたらと思っています。
(Q※文中の( )内については、広報広聴課で加筆したものです。