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村上の地域資源「鮭」を大切に守っています
卵のふ化が始まっています!
三面川に鮭を!
今年のサケ漁は、全国的に不漁が伝えられていますが、ここ村上の三面川も例外でありません。(村上市内を流れる「三面川」は、鮭の自然増殖に世界で初めて成功した川、また明治時代には日本で初めて人工増殖技術を取り入れた川です。)
「三面川鮭産漁協」では、大切な地域資源を守るべく漁協で採卵し人工ふ化させた稚魚を例年並み(毎年1,000万粒以上を採卵して、春には5~7cmに成長した稚魚約800万尾を放流)に確保できるよう全力を挙げています。
「ウライ」と呼ばれる柵(画像左側)と落とし柵内の捕らえられた鮭(画像右側)
三面川のサケ漁は、川幅いっぱいに『ウライ』と呼ばれる柵を設け、産卵のために遡上してくる鮭を一括採補します。遡上してきた鮭の行く手を阻み、2か所だけ開いている落し柵と呼ばれる鉄柵の中に遡上してきた鮭が入り込む仕掛けになっています。
採取した鮭の卵を受精させて、水温など自然に近い状態にしておきます。
採取した鮭の卵に精子をかけて受精させます。その後、地下水で洗い流して水槽に入れます。左上の画像にある青いタライの中には、鮭15~20尾分の卵約4万個が入っています。(1尾あたりの卵の数は約3,000個)
卵の選別(画像左)、時間の経過ごとに環境を変えてあげます(画像中央)、稚魚になる頃には屋外の水槽に移します(画像右)
受精後、数週間12~13℃の地下水が流れる水槽の中で成長させます。成長段階を見極めながら、卵の選別を行います。白くなっている卵は死んでしまったものなので手作業で1粒1粒取り除きます。その後、水の通りがいいように画像中央のような黒いザル(トレイ)に入れて流水にさらします。
稚魚になる頃合いを見極めて、屋外の水槽に移します。画像右にある水槽1つには約30万匹の稚魚が入っています。水槽は30個あるので、稚魚は合計で約900万匹が飼育できます。
1月になったら養殖池(画像右の上の方に見えるコンクリート製の池)に移して飼育をします。
鮭が遡上する4年後の三面川が賑わうように
厳寒の川に入って鮭を捕獲します
引き網漁で捕らえられた鮭。1度の漁で十数尾を捕獲していました。
少しでも多くの稚魚を確保するために、厳寒の川に入って「引き網漁」を行っています。4人で川に入って、上流から下流側に網を引いていきます。下流まで移動すると、鮭が網から逃げないように棒で水を叩きます。川の中洲で網を引き上げて捕獲します。(伝統漁法「居繰網漁(いぐりあみりょう)」も行っていますが、取材した日は、風向きの関係や捕獲量の多さから「引き網漁」を行っていました。)
また、漁協の要請によって組合員が「テンカラ漁」といって、特殊な形をした釣り針で、鮭を引っかけて釣る漁法で鮭を捕獲していました。
来春、鮭の稚魚放流が賑やかに行われ、その4年後の秋には元気に遡上してもらいたいと願っています。
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