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36 郷本空庵跡
概要・良寛とのゆかり
岡山県円通寺を後にし、故郷に戻った良寛の最初の仮住まいがあった場所。
良寛は、実家のある出雲崎を通り越して寺泊の郷本海岸の塩焚き小屋に逗留した。これが郷本空庵である。
当時の海岸線は現在よりもだいぶ沖合に延びていたので、良寛の利用した塩焚き小屋も空庵跡の碑よりも50mほど先の砂浜にあった。
良寛はこの空庵で寝起きしたが、良寛の帰郷を知った出雲崎の弟夫婦が迎えに来ても行こうとせず、
衣服や食事を置いていっても必要な分だけをもらってあとは返したとのこと。そして半年ほど郷本空庵で過ごし、その後行方を絶ったという。
実家に戻らず、ここで過ごした訳は何だったのであろうか?故郷へ帰ることを禁じた道元の教え(莫帰郷)のせいであろうか?
階段を上った曹洞宗玄徳寺の境内に良寛空庵跡碑と詩碑がある。
全景写真
逸話
海浜郷本という所に空庵があったが、ある日の夕方、旅僧が一人来て隣家に申し、彼の空庵に泊まった。
翌日近村に托鉢して、その日の食に足るときはすぐ帰る。食あまる時には乞食鳥獣にわかて与えた。
こうして半年暮らし、人々はその奇特さを賞賛し、良寛の道徳を尊んで、衣服を贈るものあった。
だが、あまるものはまた貧乏な人に与えた。その空庵は出雲崎を去ること三里(12km)の場所にあった。
(『北越奇談』より)
詩歌碑・像
良寛詩碑(傭作)