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小冊子「”新潟”であるために・十章」
現在の新潟平野は、良質米「コシヒカリ」の産地として有名であり、かつ、その中心である新潟市は日本海側を代表する都市として発展を続けています。
その陰で、つい最近まで、新潟平野の大部分は腰まで水に浸かりながら農作業を行い、3年に1度は水害で家屋や水田そのものが押し流されるという、現在の新潟平野からは想像も出来ない現実がそこにあったことが忘れられようとしています。
そこで、多くの人に、先人(農民)たちが築いてきた新潟平野の生い立ちを知って頂くとともに今後の新潟平野のあり方を広く県民に問いかけていきたい。そんな思いを込めて作成した冊子です。
「新潟であるために・十章」の表紙
主な内容
1 現在の平野が形成される以前の新潟
新潟平野は河川の堆積物により形成
新潟平野は、信濃川、阿賀野川の大河川により形成された我が国屈指の平野で、そこには10万ヘクタールの農地が展開しています。しかし、低平地であるため、農民は“水との戦い”の歴史を繰り返し、水田や家屋を守るため堤を築き亀田郷、白根郷といわれる輪中地帯が形成されました。
2 新潟平野の形成
大水害の苦しみと過酷な農作業からの開放
戦後、大規模なかんがい排水事業(現在の親松排水機場、新井郷川排水機場など)によって、腰まで水に浸かりながら行う過酷な農作業は姿を消し、昭和43年の大災害以降大規模な水害はみられなくなりました。
3 新潟平野の現状
新潟の生活基盤を支える農民と農業用施設
信濃川、阿賀野川等の下流地域は、農民が24時間排水ポンプを運転することにより、今の土地が維持されていますが、この排水ポンプが止まるとJR新潟駅周辺の繁華街を含む約2万ヘクタールの土地が水没してしまいます。
4 新潟平野の将来
新潟平野がいつまでも豊かな平野であるために
新潟平野の地形は、現在も江戸初期と何ら変わっていません。平野は多くの排水施設によって支えられているのです。しかし、将来にわたって新潟が豊かな平野であるためには、解決しなければならない次のような多くの課題があるため、広く県民に問いかけていきたいと思います。