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排水対策と乾田直播跡の適期播種や効果的な除草で大麦の高収量を実現【有限会社リライ本郷】
高橋 昌利 代表
法人の概要
(有)リライ本郷は集落農家24戸が参加していた「本郷生産組合」のうち、中心的な4名の農業者により、平成15年に設立した農業生産法人です。農業後継者の育成を経営方針に掲げ、構成員4名の他、若手農業者2名を雇用しています。育苗ハウスを利用した園芸にも取り組んでいます。
平成26年度東北北陸ブロック麦作共励会において、米麦改良協会長賞を受賞しました。
経営面積・品種と内訳(平成30年産)
作目 |
品種 |
作付面積 (ha) |
収量 (kg/10a) |
品質 (%) |
---|---|---|---|---|
大麦 |
ミノリムギ |
26 |
293 |
2等 100 |
大豆 |
里のほほえみ |
26 |
172 |
1・2等 46 |
水稲 |
コシヒカリ・こしいぶき・新之助等 |
65 |
506 |
1等 87 |
園芸 |
小松菜・ほうれんそう等 |
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大麦作の概要
工程 | ポイント |
---|---|
ほ場 準備 |
・水稲-大麦-大豆の2年3作体系。団地化し毎年全ほ場をローテーション |
播種 |
・播種は10月上旬にドリル播種、播種量9kg/10a |
防除 |
・除草は、播種直後にクリアターン乳剤の散布のみ |
追肥 |
・背負動力散布機または乗用管理機で散布 |
収穫 |
・自脱型コンバインを用い、約3日間で終了 |
左:ほ場内排水溝(溝の間隔は約8m)
右:周囲明渠(溝の深さは約30cm)
インタビュー ~高橋 昌利 代表にお話を伺いました~
― 大麦の導入メリットについて教えてください。
「大麦を導入した2年3作体系で機械・施設や土地の利用率が高まりました。また、省力的に取り組めることもメリットです。」
大麦は平成13年の法人設立前に作付けを始めました。これまでは大豆を作付けしていましたが、水田の高度利用を図るため、大麦を導入しました。大麦を導入したことでコンバイン等の機械や施設、土地の利用率が高まったほか、収益性の向上が図れました。また、大麦は水稲と比較し、あまり手がかからない作物であるため、省力的に取り組めることもメリットです。
― 多収のために工夫していることについて教えてください。
「排水対策、播種時期と除草の3つが大きなポイントです。」
まず、排水対策についてです。当地域は比較的砂質が強い排水の良い地域ですが、以前、湿害により単収が200kg/10a程度に落ち込みました。それ以来、団地化やブロックローテーションに加え、営農排水対策をしっかり実施しています。
ほ場の暗渠設置率はだいたい3割程度であまり高くありません。当地域のほ場は数十cm下から礫が出てくる場合が多いため、排水対策として弾丸暗渠を入れることはできません。このため、営農排水対策としては、周囲明渠とほ場内小排水溝の施工が重要となります。周囲明渠は深さをしっかりと確保し、ほ場内小排水溝は乗用管理機の作業の邪魔とならない密度で、可能な限り多く入れています。排水溝の施工は播種の前日か当日に行い、排水の比較的悪いほ場は、2日前に行います。
次に播種時期についてです。大麦はこしいぶきの乾田V溝直播栽培の跡作で栽培しています。この体系だと、田面が堅くなっているため、機械による耕起や播種作業の効率が高まり、時期を逸せずに播種できるようになります。耕起と播種は、作業が滞らないよう晴れ間を逃さず、なるべく同日に行っています。
播種は、ロータリーシーダーと鎮圧ローラーがついたものを使用し、ドリル播種を行っています。以前は散播で播種していましたが、播種後の土壌処理剤を散布することができず、雑草が多発することがありました。ドリル播種とすることで、播種後に土壌処理剤を使用することができるようになった他、鎮圧することで、ほ場が平らになり、除草剤の効きを高めることができ、1回の除草剤散布で雑草はほぼ抑えられています。
使用しているドリル播種機
―今後の大麦生産の目標について教えてください 。
「1等を多く出せるよう、工夫を重ねていきます。」
品質を高めていきたいです。目標は全量1等です。肥料の変更など栽培面で工夫をし、目標を達成したいです。
※経営面積や品種情報については取材時のものです