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丁寧な除草と播種で多収を実現!泉の棚田で栽培されたそばを製麺販売【泉生産組合(上越市牧区)】
横尾 清一 代表(右から2人目)と泉集落の皆さん
法人の概要
上越市牧区泉集落の農家7戸14名で構成される生産組合。荒廃してきた畑や棚田を活用しながら、そば1.5ha、水稲60a、水稲苗の生産に取り組んでいます。5年前からそばの製麺販売を開始し、「泉のそば【愛を一箸】」のネーミングで販売しています。
経営面積・品種と内訳(平成30年産)
作目 |
品種 |
作付面積 (ha) |
収量 (kg/10a) |
品質 (%) |
---|---|---|---|---|
そば |
とよむすめ |
1.5 |
87 |
1等 100 |
水稲 |
コシヒカリ |
0.6 |
480 |
1等 100 |
水稲苗 |
JA委託苗 |
900 (枚) |
― |
― |
そば作の概要
工程 | ポイント |
---|---|
ほ場 準備 |
・作付予定ほ場は、そばの生育期に雑草が繁茂しないよう、6月20日頃に非選択性除草剤を全面散布 |
耕起 播種 |
・そば品種「とよむすめ」の中山間地(標高200~400m)の播種適期は7月下旬~8月上旬であるが、集落の標高260mに合わせて、毎年8月第1日曜日に播種を計画 |
土壌改良資材散布の様子
インタビュー ~横尾 清一 代表にお話を伺いました~
― そばを導入したきっかけと経緯について教えてください。
「集落に耕作放棄地を出さないため、省力的に栽培できるそばを導入しました。」
地域の特産物として、そば栽培に取り組んでいます。水利が悪く、水田面積が限られた集落のほ場では、かつて「うど」や「なす」などを栽培していましたが、後継者の少ない集落であるため、耕作されない田畑が見られてきました。耕作地を荒らさないように、中山間地域等直接支払制度を活用しながら、少ない労働力や機械で栽培可能な作物としてそばに着目し、15年程前から栽培を本格化させました。収量は安定しており、70~80kg/10a以上を確保しています。
― 加工・販売の取組について、教えてください。
「国産にこだわった二八そばを委託加工しています。」
5年程前から地元JAの提案を受け、生産したそばを製粉・加工し、地域特産物として販売することにしました。生産した玄そばを、長野県の加工業者に委託し、長野県産の小麦粉を使って、国産にこだわった二八そば(そば粉8割)として乾麺に加工しています。加工された乾麺は集落総出ですぐにラベルを貼り、販売しています。地元の商店をはじめ、Aコープや直売所(旬彩交流館あるるん畑)などで、年末から3月頃まで販売しています。
商品のポスター
―多収のため工夫していることについて教えてください 。
「特に播種前の雑草防除と播種量に気を配っています。」
肥培管理は、JAや農業普及指導センターから指導を受けながら、適期に丁寧な作業を心掛けています。
作業で特に気をつけているポイントは、播種前の雑草防除と播種ムラです。作付け前に非選択性除草剤を散布することで、生育期間の雑草の発生が少なくなり、収量の向上に繋がっています。播種ムラは、収量減に直結するので、動散での播種作業は1ほ場を2回播きすることを徹底しています。
この地区のほ場は排水が良いため、排水対策は基本的には行っていません。しかし、中には排水の悪いほ場もいくつかあり、そこでは明渠を施工しています。
また、土づくりのため、石灰質資材を施用しており、一昨年前からは発酵鶏糞(ペレット)の散布も始めており、収量向上に結びついていると思います。
―今後のそば生産の方向について教えてください 。
「地域の畑と棚田の保全のため、今後もしっかりと生産していきたいです。」
現在、泉集落のみならず、隣の集落分も作付けしており、地域の農地の受け皿となっています。耕作放棄地を出さず、地域の景観や棚田を維持するためにも、そばは重要な作物なので、今後もしっかりと栽培していきたいです。
※経営面積や品種情報については取材時のものです