ニホンナシ育成品種「新王」（しんおう）

　・育成経過
　園芸研究センターにおいて1997年に「おさ二十世紀」の花に「豊水」の花粉を交雑し、交雑実生から黒斑病抵抗性の個体を選抜、ほ場に定植後、自家和合性系統を選抜した。2005年、自家和合性であり、品質もすぐれる系統を「新園2号」として選抜した。現地試験で高い評価を得て、2010年に職務育成品種に認定され、2011年3月に「新園2号」を「新王」として品種登録出願、2013年3月25日に「新王」（登録番号22540）として品種登録された。

・樹勢および生態的特性
　樹勢は「あきづき」と同等でやや強く、えき花芽、短果枝の着生が多い。開花は「豊水」並みの時期である。自家和合性を有しており、人工受粉を実施しない放任受粉でも実用的な着果が得られる。収穫期は新潟県において9月下～10月上旬で、「あきづき」と概ね同時期となる。黒斑病抵抗性を有し、黒星病にはり病性であるが、通常の防除で問題は認められない。

・果実特性
酸味が少なく、甘みを強く感じ、食味評価が高い。大きさは「豊水」、「あきづき」並み、果形は円形で、「豊水」に比べると玉揃いが良い。赤ナシで無袋栽培が可能である。

・栽培性
自家和合性であるため、除芽等による開花数の制限を行うことで効率的な着果管理作業が可能になる。