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スマート農業に対応できる西洋なし「ル レクチエ」のジョイントV字トレリス樹形栽培技術
果樹の主枝を直線的に連結する「ジョイント栽培」は、早期に収量が得られ、省力効果が高いことから、県内においてもなしやかきで普及され始めています。さらに、全国的なプロジェクトの一環で、果樹生産の省力・大規模化を目指した自動化機械導入を実現する「ジョイントV字トレリス樹形」(以下「JV樹形」という)がりんご、日本なしで開発されました。当県でも園芸研究センターにおいて西洋なし「ル レクチエ」での適用性を明らかにしたことから、その栽培技術を紹介します。
JV樹形は写真のとおり、樹間150cm~200cm、列間300~400cmに植栽し、主枝を60~80cmの高さで一直線に接ぎ木(ジョイント)します。2年目以降、側枝は60°の角度で斜立させて上方に誘引しV字の樹幹を形作ります。
JV樹形は写真のとおり、樹間150cm~200cm、列間300~400cmに植栽し、主枝を60~80cmの高さで一直線に接ぎ木(ジョイント)します。2年目以降、側枝は60°の角度で斜立させて上方に誘引しV字の樹幹を形作ります。
ジョイントV字トレリス樹形(JV樹形)の概要
「ル レクチエ」の慣行栽培では、10aで1トン以上の収量を得るのに植栽後10年以上を要していましたが、この栽培方法では植栽4年目から収量が増加し、6年目で慣行栽培の成園並み収量3トン/10aとなります。
JV樹形「ル レクチエ」の着果状況
年間作業時間は、慣行栽培316hr/10aに対し、JV樹形は249hr/10aで20%程度削減できます。また、せん定では樹形効果により作業時間が50%以上短縮され、上向き作業も慣行栽培に比べ大幅に減少することから、作業姿勢が改善され軽労化を図ることができます。
せん定時における姿勢別所要時間の比較
佐渡市では、園芸拡大の事業として羽茂地区に西洋なし「ル レクチエ」のJV樹形の展示ほ場を設置しています。園芸研究センターでは佐渡農業普及指導センターと連携し、今年6月、羽茂「ル レクチエ」生産組合26名を対象に、同ほ場でJV樹形栽培の新梢管理について現地指導を実施しました。
佐渡市羽茂地区での現地指導の様子
積雪への対応等、現地での普及には課題も残りますが、これらの課題を克服し現地での取組が増えるよう、今後も研究を進めていきます。